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「はぁ、たまには休めと言ってもなぁ〜…」


さて、初っ端からこのため息をついてる人物は、


「だからって、強制的に外に行かせるか?愛美も亜里沙も。」


ガーディアン創造主にしてロストガーディアンの主である雄喜であった。
彼は当てもなく繁華街を放浪していた。何故こうなったかと言うと、彼自身の有能さゆえの事であった。
彼はとある巨大企業のSEをやっている。そこで様々なプログラムを依頼され、したてるのが仕事だ。数多の世界を渡り、数々の技術をモノにした彼にとって現代社会のプログラムなど赤子の手を捻るほどに簡単である。その為短時間で十数人並みの仕事量をあっという間にこなしてしまうのだ。
しかも、それをやりながら株取引までこなしているのだ。だが、まだ終わりでは無い。依頼のプログラムの他に自分で新しいプログラムを作り、専売特許でさらに儲けているのだ。
これほどの作業を連日してしっかり夜の性活で彼女達を満足させているのだから疲労度は半端ではない…が、人間を辞めている雄喜にとっては問題ない。
しかし、はたから見ている人間にとってはあまり気分の良いモノでは無いので愛美と亜里沙は強制的に雄喜を休ませたのである。


「…飲食店の食べ歩きでもするか? ん?」


余りにする事が無くてしょうもない事を思い付き始めるが、雄喜が歩く少し先で何やら揉め事が起きたみたいだ。


「どうやら傍迷惑なナンパの様だな。…て、なんだかいい雰囲気と呼べないな。止めるか。」


そう言って彼は4,5人の男に囲まれている少女の場所へ向かうのであった。


「はぁ、久しぶりに何も無い休日でのんびりウィンドウショッピングでもしてようかな〜、と思ったんだけど…予想以上にナンパとかウザいわ…」


そう呟いたのは金髪碧眼の美女だった。外国人らしいので年はよくわからないが、ブロンドのウェーブヘアーが似合う大人の美女だ。外出用のカジュアルなスーツにグラマラスなボディを包み、愛美の様な巨乳が目につく。にっこりと微笑んでいる笑顔は、男なら誰でも骨抜きになってしまうだろう、が…今はちょっと不機嫌そうであった。
まぁ、それもそのはず彼女ほどの美女なら色んな人物が声を掛けるからである。ナンパ集団に性質の悪いキャッチセールス、裏が有りそうなスカウト等々…それらを一刀両断で断り続けていればこうなるだろう。


「本当に気分が台無しだわ…て、あいつ等、女の子に手を上げようとしてるじゃない!」


彼女の視線の先で正に見知らぬ女の子に見知らぬ男たちが手を上げようとしているのが見えたが、彼女が介入する一歩手前でメガネを掛けた地味な男が助けに入った。


「はいはい、ナンパはいいけど嫌がる女の子を無理やりは犯罪だよ。」


地味な男、つまり雄喜は少女を庇う様にナンパ集団との間にスゥと入った。
少女は驚きナンパ集団はガンを飛ばしてくる。


「ぁあっ!何だよテメーは。」


「オッサンには関係ないだろう?」


「早くどかないと病院に送っちまうぞ?」


「似合わないことすんなよ、オッサン。」


ナンパ集団はそれぞれ罵声を放ち雄喜に因縁を付けるが、


「はいはい、分かったから。嫌がる子を相手にしてたってしょうがないでしょう?とっとと諦めて次に行くのが賢明だよ。」


「けっ、うるせーよ!ジジィっ」


どこ吹く風かとまるで怯まずに問題なさそうにする彼にナンパ集団の一人がいきなり殴りかかってくる。
しかし、殴りかかった男はいつの間にか出来た野次馬の生垣近くにほうりだされた。


「はぁ、最近話題のキレやすい若者って言うのかコレ…てっ、ヤベ!つい投げちまった。」


雄喜は襲いかかった男の様で最近の話題を思い出すが、その後でつい無意識で反撃してしまった事の方に気を取られた。
残されたナンパ集団は呆然とするがその中の一人がいち早く立ち直り、「やっちまえ!」の合図で残りのメンバーも襲いかかってきたが、


「うお! ちょっ よっ おっと。」


雄喜にいなされ右に左に躓くように倒れていった。
そんな事を数回繰り返した時にナンパ集団の一人が凶器を持ちだした。
ぎりぎり銃刀法違反にならない大きさぐらいある折り畳み式のナイフであった。


「逝っちまえっ、この糞ジジィ!!」


凶器を持ちだした男は仲間がいなされる直前を狙って、ナイフを腰だめし突っ込んでくる。
傍から見れば隙を突かれたように見えるが腐っても長く生き過ぎてはいない。
雄喜にとってそれはスローモーションより遅い攻撃で、相手の手首に手刀を落として凶器を無効にしようとしたが、彼の手刀が当たる直前に男はナイフを落とした。
男はナイフを落とし、その直後に雄喜によって地面に転がされてしまう。
このまま男が諦めるまで受け流し続けようと雄喜は思っていたが、急に手を引っ張られこの場を強制的にあとにする事となった。


「ちょ、ちょちょ、ちょっと〜〜〜〜!?」


「オジさんっ、早く離れないと色々と面倒だって!」


「あぁっ、逃げんなテメー!」


雄喜の手を取ったその正体は助けた少女であった。
絡まれ助けられた時点で野次馬だらけだったというのに相手が凶器を出してきたのだ、警察沙汰になるのは時間の問題であり、まき込まれるのは御免である。
そのため少女は一応、恩人である雄喜の手を取りこの場から逃げ出したのである。
ちなみにナンパ集団が追いかけてきた。
残された野次馬集は通報しかけた者、興味が無くなり離れていく者、ホッとした者など様々であった。
その中で金髪の美女は怪訝な表情をしていた。


(あのメガネの人、見た目に反してかなりの腕前だったわね。ナイフが出たからつい『力』を使ってしまったけど必要無かったわね。)


(でも、こんな人前で『力』を使うなんて私もまだまだよね。…まぁ、誰にも気づかれないだろうし、もしもの時でも私の『力』は護身用にスタンガンを持っていたで誤魔化しが効くから特に問題は無いわね。)


ナンパ集団の中でナイフを出してきた男が獲物を落としたのはこの美女の仕業らしい。
美女は迂闊にその『力』を使った事を多少反省しながら散っていく野次馬に混じって去っていった。


「でも…あのメガネの人、どこかであったような?しかもかなり前に。」


う〜ん、と可愛らしく首をかしげて考えてみるが…別のナンパヤローが来たのでその事は霧散してしまった。





その頃、雄喜と少女はと言うと…何故か彼が少女をお姫様抱っこして逃亡中であった。
何故かというと途中で彼女が転び足を捻ったためである。
この光景は目立つがそうも言ってられなかった。まだしつこくナンパ集団が追いかけてくるためである。


「う〜、しつこいなぁ。」


「なぁ、何でそんなに恨みを買ったような感じなんだ?」


少女が抱かれた体勢で横を向くとナンパ集団は相も変わらず追いかけてくる。
そんな様子に走っている雄喜は何故そんなに追いかけてくるのか疑念を持ち少女に聞く。
すると少女はしれっとして、


「べつに?ほとんど逆恨みに近いよ。ただ、『そんな頭の中も恰好もチャラチャラしている馬鹿はお断り』って言っただけだから。」


「…結構、傷つくと思うぞソレ。」


「まぁ、オジさんのせいもあると思うよ?」


「そうか?あと、年をくってるのは自覚してるけどオジさん連呼はヤダなぁ。」


「んじゃ、メガネさん?あなたが軽く何度もあいつ等を倒したのも原因だと思うけど。」


どうやら双方ともナンパ集団の小っさいプライドを刺激しまくったらしい。
そんなこんなで路地裏に入り、L字の狭い所を曲がったらフェンスが建って行き止まりであった。


「ウソ!?行き止まりっ」


少女が思わず声を上げる。と、同時に追いかけてくる奴らの声も聞こえてくる。
少女は諦めそうになるが、


「フェンス約2m強、L字の道はフェンスより1m弱…やれるか。」


「へ?」


雄喜はよく分からない事を喋り少し道を戻る。そうなると奴らの視界に入るが、トップギアで曲がり角の壁に走る。


「ちょ、ちょっと! キャーーーーー!!」


その行為で少女は悲鳴を上げ、このままトップスピードで壁にぶつかると思った時に雄喜は壁を蹴り上げ、上に跳び、フェンス側の壁も蹴り上げその向こう側に着地した。
曰く、三角跳びと言うやつであった。
その光景に追っかけてきた奴らはただボー然と立っているしかなかった。





その後、様々な細い道を抜け、雄喜と少女は公園に来ていた。


「はぁ〜、もうコレで追いかけてこないよね。」


「そうだな。ほら、ハンカチを濡らしてきたから傷見せて。」


「擦り傷くらい平気だって。」


「それでも少しは清潔にした方が良いだろ。捻った部分も確認したいし。」


少女は公園のベンチに座り、雄喜は転んで捻った以外に膝を擦りむいた彼女の為にハンカチを濡らしてきたのだ。
ちなみにこの時間帯では公園内はほとんど人がおらず、二人っきりである。


「…セクハラ?」


「親切心に対して何を言うか。」


そう言う応酬も多少あったが今までの経緯で雄喜が善人だと分かっていたので少女は力を抜き手当てを受けた。


「傷は一応、綺麗にしたし、足首はただ捻っただけみたいだな。」


「もう平気?」


「ああ、特に異常は見られないよ。」


「ありがとう。メガネさん…じゃもう失礼だし、オジさんでもな〜、ねぇ、名前なんて言うの?」


「ああ、俺は…と、ちょうどいいモンが有るな。」


少女が雄喜の名前を聞いてきた時に彼はある物を差し出した。
それは名刺であった。


「え〜と、BCOM社 特殊専属SE 陸良 雄喜?って、この会社めちゃくちゃ大企業じゃん!?」


「まぁ、特殊な位置に居るから所属していると言われると微妙だけど。」


「それでも十分凄い事に変わらないよっ。へぇ〜、あのネットゲーで有名な…」


少女は雄喜の正体に驚く、強いうえに一流企業とも言われる会社に勤めて?いるのだから。
それと、BCOM社はここ最近インターネットゲームや特殊な用途に使うOSなどの開発で有名な会社である。主流となるのはゲームではビーエフと呼ばれるコンシュマーゲームで、一部の熱心なプレイヤーは膨大な時間を費やしていると言われるモノので、OSは工場や何かのロボットなど一般向けでは無い特殊な物である。


「あ、ごめんなさい!私は響啓音楽大学二年の古江 優枝(Yue hurue)って言います。」


優枝は名刺の内容に気を取られていたが、慌てて自己紹介をした。
彼女の容姿と言うと…可愛いというのがしっくりくる。
その可愛さを細かく言うのであれば子犬の様な可愛らしさだろうか?元気で可愛い子犬がじゃれてくる感じである。
髪はセミより少し長い感じで外はねである、色は栗色。目がクリクリしていて愛嬌が醸し出されている。背恰好は平均より低いが、胸は愛美が爆乳であるのならば優枝はワンランクくらい下がって巨乳である。
服はデニムのミニスカートにパーカーといった活動的な恰好であった。が、ストッキングも穿いていたが転んで破けたため脱いでいる。
見た目も雰囲気も子犬という風に感じる女の子であった。


「ああ、宜しくね。古江さん。」


「あははー、優枝でいいですよ〜。」


「なら、俺も呼び捨てでいいよ。優枝ちゃん。」


「じゃ、ユウさんって呼びますっ。」


雄喜は優枝の隣に座り、改めて挨拶すると彼女はフレンドリーに接してきた。
二人とも急ぐことも無いので当たり障りのない雑談を楽しんでいたが彼女の何気ない一言で凍りついた。


「そういえば…今日って平日なのに何でいるんですか?」


「っ……」


「アレっ…マズった?」


「…実は」


その後、雄喜はつらつらと今日の出来事を話していった。
その姿は哀愁というか何と言うか…そんな物がにじみ出ていた。


「はぁ、つまり奥さんと娘さんに追い出されちゃった、と。」


「全員血の繋がりは無いけど、まぁ…そんな感じだなぁ。」


優枝が一番近い例えを言い、雄喜が訂正する部分を付けたあと遠い目をする。
しかし、そんな雄喜を彼女は羨ましそうに見た。


「でも、そんだけ心配してくれてるって事でしょ?いいなぁ、うちなんか…」


「優枝ちゃん?」


声のトーンが変わり影が差しそうになる優枝に雄喜が尋ねると、彼女は誤魔化した。


「うんん!何でもないよっ、あ…落ち込んでいるユウさんを元気づけてあげようか〜?」


「はぁ?何を…」


優枝は立ち上がり猫笑いをして雄喜の正面に立つ。彼はそんな彼女が何をするか聞こうとした瞬間、


「腕でぎゅ〜っとね!」


「もが!?」


優枝はその大きな胸に雄喜を抱え込むように抱きついた。
彼女の大きな胸は卑猥に形状を変え、雄喜の顔にぴったりとくっ付く様にへこむ。
それだけぴったりとくっ付くと雄喜はその肉厚に呼吸困難に陥る。


「もが、もが!もがっがぁ!!」


「あん♪そんなに暴れなくてもいいじゃない。」


優枝は雄喜が暴れるのを冗談のように受けとめていたが、彼は本当に空気を求めてもがいていた。
が、胸の肉厚、温かさ、安心するようなムラムラするような匂いのせいで放すのが惜しいと頭の片隅で思うが…


(こ、このままではある意味で逝ってしまうっ …この感じは)


以外とピンチであった。


「プハァっ!はぁはぁ…こんな事気軽にやるんじゃありません!」


「えー、みんな喜んでくれたんだけどなぁ。あ、みんなって全員女の子だよ。男の人にやったのはユウさんが初めてだけど♪」


なんとかこのままの体勢で顔を上げる事に成功した雄喜、それで故に抗議を申し立てるが…彼女自身はどこ吹く風か全く気にしていなかった。
後に聞いた事だが、彼女自身は抱きつき魔で同性の友達相手にスキンシップと称してよく抱きついたらしい。
ちなみに抱きつきセラピーは友達(同性)相手に本当にやっていた。


「だったら、なおさら放しなさい。」


「別にいいんだけどな〜。私を助けてくれたんだし、ユウさんって誠実そうで好みだし♪」


「はぁ〜、もういいから放しなさい。」


「はぁ〜い。」


雄喜がしつこく言うと優枝は観念したのか放したが、色々と問題が有りそうな事を喋りながらであった。
そのあとはまた雑談を楽しんだ。


「あ、もうこんな時間だ。結構、話しこんじゃったね〜。」


「ああ、そうだな。」


「じゃ、さよならユウさん。また会えるといいね。」


「ああ、じゃあな。」


優枝は伸びをしながらベンチから立ち、ちょっと駆け足で公園を出ていったが、その出入口らへんで急転回し戻ってきた。


「ねぇ、ユウさん…ここってどこら辺なのかな?」


「…駅までは一緒に行くか?」


どうやらここら辺は彼女の知らない土地だった為に戻って聞きに来たようだ。
両者ともいやな汗を掻きながらこの場を後にした。





その後、駅にたどり着き二人は別れそれぞれの家路についた。
雄喜が帰ってきたのは夕食の少し前くらいであった。


「ただいま〜」


「あ、お帰りなさい。マスター。」


「お帰りなさい。雄喜さん。」


直接出迎えてきたのは亜里沙であったが、愛美は夕食を作りながらだったのでキッチンからその声が聞こえてきた。
雄喜はいつも食事をするテーブルにため息をつきながら着いた


「マスター、今日は休めた?」


「まぁ、休めたかどうかは微妙だけど騒がしかったのは確かだな。」


亜里沙は彼の隣の席に座ると休日の感想を聞いてきた。
すると、その内容が気になったのか愛美が夕食を運びながら聞いてくる。


「騒がしかったって…何ですか?」


「いや〜、傍迷惑なナンパしている集団があってね。ナンパ相手に手を上げようとしたからそれを止めに入ったら、相手が喧嘩を売ってきたんだわ。」


「まぁ、それは大変ですね。でも、雄喜さんなら別に問題ないですね。」


「まあね。力の差は歴然だし、自分は全部受け流すだけで相手は擦り傷だらけだったし。」


雄喜はその答えに肩をすくめながら答える。彼女はそんな彼に愛想笑いしていた。
が、次の言葉でこの場は凍る…


「でも、それだけじゃ無いんでしょ…」


亜里沙は冷たく言い放った…


「…何をおっしゃる。」


「ただ騒がしかったのならそんなに嬉しそうじゃない。別の何かがあったと私の直感が告げている。」


「そうですか…雄喜さん、正直に話したほうが身のためですよ。」


亜里沙の言葉で動揺し、一瞬間を開けながら答える雄喜であるが彼女達は包囲網を縮めていった。


「そう言えば雄喜さん、何か香水の様なものがにおいませんか?」


「へっ?そんなに匂うかな…」


「匂いませんよ?でも…」


「えぇ、間抜けは見つかったようね。」


「…?!!」


雄喜は愛美の言葉でつい自分の臭いを嗅いでしまうが、それは誘導訊問であった。
それに引っかかり自分とその相手の女性は何かやっていたという事を自ら証明してしまった。


「さぁ、マスター…正直に答えて下さいね。」


「答えてくれないと泣いちゃいますよ。雄喜さんと私、両方が♪」


「…ダキツカレタ ダケデスヨ?」


尋常じゃ無い雰囲気の両者に押され何故か片言になって喋る雄喜。
そんな雄喜に両者は今度は好色の色で迫ってきた。


「もう、雄喜さんてエッチなんだら。」


「うん。私たちがヘトヘトになるまでヤッてるのに…」


「これはヤるしかないわね。」


「そうね、愛美。」


「「絞り出すのが白ではなくて赤に成るほどしてあげないと♪」」


「…逃げるには、いや…もう遅いか。」


愛美と亜里沙が妖しい輝きを瞳に宿して近づいてくるのを雄喜はただ、大人しくしているしかなかった。
きっと次の日の太陽は真っ黄色であろう。



「ただいま〜。」


優枝は雄喜と別れたあと、真っ直ぐに自分の家に向かった。
いつも通り鍵で扉を開け、家に入る。すると中は真っ暗であった。
すぐに電気を付け、リビングに向かうとテーブルの上に置き書きが置いてあった。


『遅くなります。夕食は作っておいたのが冷蔵庫にあります。 母』


優枝はその置き書きをみて呟いた。


「いつも通りだね…ママ。」






それから何日か経って、雄喜はよく何か悩むようになった。
暇があれば唸っていたり首を傾げたりしていた。


「雄喜さん…あの日からどこか上の空ですよね。」


「どうする?聞くべきかしら。」


「でも、私たちが関与できないものだとかえって邪魔にならないかしら。」


「そういう時はどことなく話をはぐらかせられると思うから平気だと思う。」


「あ、ちょっと!?」


愛美と亜里沙はうんうんと唸っている雄喜を見かねて尋ねるかどうかを話し合っていたら、亜里沙が気まずい場合の予測を立てて彼の側に行ってしまった。
そんな彼女を愛美は止めようとしたが既に亜里沙は雄喜に尋ね始めていた。


「ねぇ、マスター。ここ最近何で悩んでいるの?」


「あ、亜里沙か。いや実は…」


亜里沙が尋ねると雄喜は普通に話し始めた。
そんな様子を見て愛美はほっと一息ついたが彼の悩んでいた内容でそれが吹っ飛んでしまった。


「新しいナンバーズ見つけたんだけど…どうしたもんかな?って。」


「「へー…え、えーーーーーー!!!??」」


愛美と亜里沙の二人は絶叫し、彼は深くため息をついた。
なんとか落ち着いた二人は矢次に質問する。


「み、見つかったて何処で!?」


「どんな人なのっ」


「「そして、美人なん(です・の)か!?」」


どうやらまだ混乱しているようであった。
彼は何とか二人を治め説明し始める。


「何処でというのはこの前の傍迷惑なナンパに遭っていたその相手だよ。見た目は…イメージとして子犬系?名前と通っている大学名を教えてもらったからどこに住んでいるかはもう分かってるな。」


「じゃあ、何ですぐに行かないの?」


割とはやく正気に戻った亜里沙が悩んでいる根幹に触れる質問を言った。
それに対し彼は頭を掻きながら答える。


「ん〜、彼女って普通の生活をしてるんだよね。わざわざガーディアンにしてそれを壊すのはどうかなぁ?と思って。」


「あの…私と亜里沙ちゃんはどうなるんですか?」


「二人ともある意味納得してなったでしょ?それに特殊な身の上だから引き込みやすかったてのもあるけど。」


彼の答えに愛美は少しむっとなるが、その返しである意味納得した。
確かに納得してガーディアンに成ったし、愛美は自殺希望者、亜里沙は世を儚んで刹那的に生き、別にガーディアンに成ろうがどうしようかどうでもよかったのもある。
しかし、今度は本当に一般人なので彼は引き込むべきかどうか悩んでいたのである。


「他に悩んでいる理由があるの?」


「相変わらず亜里沙は鋭いな。他の未覚醒者を探してからどうするか考えるのもいいんだが、もうそろそろ戦力が増えたら本来の『イレギュラーを取り除く』ことをしたいから、どうしようかな〜、って。」


彼が番外のガーディアン、Lost Gardian Number 通称『ナンバーズ』を蘇らした本来の目的は悪魔に対抗するガーディアンの増強ではなく、ガーディアンと悪魔との抗争のイレギュラーを取り除くのにある。
そのイレギュラーは大なり小なり組織だろうと思っている彼はある程度自らの戦力が整うまで手を出さなかったのだ。
しかし、自らと今回見つかった未覚醒者を含めて人数が増えてきたのでもうそろそろ動き始めだと感じていた。
が、あまりにも一般人なのでどうしようかと悩んでいたのである。


「これは…私達が口に出す問題じゃないですね。」


「そうね。マスター、今度から一人で悩まないでください。今回、私達は何もできませんが私達にできる事なら何でもしますから。」


「すまん、心配を掛けたようだな。今度から愛美たちにできる事はしっかりと相談するから許してくれ。」


「はい、わかりました。」


「はい、マスター。」


悩みは解決してないがそれでも雄喜の考えてる事が分かり、すっきりした彼女達は自分たちのやることに戻って行った。
そして、彼は彼女達が行ったあとまた悩み始めた。


「…?マスター、変な手紙が…」


暫くすると、郵便入れから内容物を取ってきた亜里沙が雄喜に渡した。
それは変哲もないただの茶封筒であるが、


「…確かに変だな。こっちの宛先が書いてあるのに送り主の名前も住所とかも無い。暑さもそれほどないし、透かして見ても手紙が一通しか入ってない…」


それは送り主の名が無い以外は変哲もないものだったが、感じからするといいものが入っているとは到底思えない。
雄喜はその中身を取り出し、その手紙を見ると額にシワが寄った。


「…亜里沙、一緒に来てくれ。」


「何が書いてあったんですか?」


「馬鹿な奴らのどうしようもない脅迫文だ。」


「「!?」」


急に顔つきが変わる雄喜に対して亜里沙が尋ねるが、彼は怒りを露わにして苦々しく告げる。
彼は掛けてあったコートと帽子を取り、彼なりの戦闘装束を身にまとった。
その姿は黒帽子に黒マント…そう、いつもの黒ずくめの姿である。


「亜里沙…馬鹿にお灸を据えると同時にお前の新装備のテストだ。」


「イエス マイ・マスター」


亜里沙はそう言うと、黒の指抜きロンググローブを身に付けた。
ロンググローブの長さはひざ下くらいまであった。


「あの、私は…?」


「ああ、今回は人間相手になるから愛美の力は強すぎるから留守番していてくれ。」


「そうですか…」


何も言わない彼に不安を感じ尋ねた愛美であったが、その答えにちょっとシュンとする。
すると雄喜は苦笑しながらこう言った。


「たぶん、一人増えると思うから。その準備を色々としておいてくれないか?」


「はいっ、お任せ下さい!」


すると、愛美は笑顔で答えた。
そのまま、彼女は雄喜と亜里沙が出ていくのを見送った。





ココはどこかの廃ビル、オフィス街の外れに在り周りも工事用の柵が取り囲んでおり人がいない筈なのだが、


「にしても、コウちゃんスゲーよ。こんな場所を用意できるなんてよ。」


「へへ、驚いたろ。一応これでも組の末端よりちょいと上だからな。」


「にしても、あのオヤジ来るのか?」


「そのための餌、じゃなかった人質だろ?それに来なければ来ないでお楽しみが有るからな。」


「んぅ、むーむー…」


いけすかない声と言葉で喋っているのは、いつか雄喜にノされたナンパ集団である。
だが、その周りに見たことのない男たちが居る。たぶん、助っ人なのだろう。
その集団から離れたところで呻き声を上げていたのは優枝であった。今の彼女の状態は手ごろな柱に手を上げた状態で座った姿勢で縛られており、布を使った簡易な猿轡で喋れない状態になっていた。
どうやらこのナンパ集団、この中の一人がヤクザと関わり合いを持っており雄喜への復讐のため優枝を人質としてとらえ、彼の家に脅迫状を送り付けたのだ。


「しかし、こいつあのオッサンの名刺持ってるとは好都合だったな。」


「んだな。こいつを見つけるのに苦労したからな。また同じ所らへんで見つけるのにどれくらい待ったんだっけ?」


「そんな事よりよぅ。さっきからこいつを見て思ったんだけどよ。結構、上玉じゃね?」


「そうだなぁ、美人ってよりも可愛いって感じか?しかも結構デケーしよ。」


「ヤッちまうか?」


「いいねー。ソレ。」


男たちが談話しているとだんだん優枝を犯す事に話題が変わってきて、そのナンパ集団とその助っ人の男たちが身動きできない彼女を取り囲んだ。
優枝はこの状況に恐怖するしかなかった。


「でも、ヤッてもいいか?あのオッサン来るかどうか分んねーだろ。」


「構うもんか。このまま待ってもツマラネーしよ。それよりいいモンあるから試したいんだよ。」


「お?何だ何だ。」


「へへ、コレだよ。」


男たちは優枝を犯す算段をしてる最中にあのヤクザと繋がりが有りそうな男が親指の爪サイズの袋に入っている簡易注射を出す。
優枝はそれを見つめて嫌な予感しかしなかった。己の身に身の毛もよだつ恐ろしい事が起きる予感が…


「コレはな。仕入れたシャブを組が特別配合したモンでな?コレを刺された女は処女だろうがガキだろうがよがって尻を振るようになるってもんだ。」


「はは、そいつはスゲーや。とっととやっちまおうぜ。」


「そうだな。」


すると、その男は注射針の保護キャップを外し優枝に向ける。
優枝は身をよじって抵抗するが、


「大人しくしろ!注してる時、針が折れて大変な事になってもしらね〜ぞ?」


「?!」


そう言われると彼女は大人しくするしかなかった。
嫌だが大人しく彼女に薬がうたれると変化はすぐに起こった。
虹彩が引き絞られ目が点に成り、体の筋肉全てが緊張し震え、体の奥から変に熱くなり、異様にのどが渇いた。
そして、


「うわ!?こいつっ、漏らしやがった!」


「そんだけ強力ってことだろぉ?」


「うへぇ〜、こいつの股、ションべンと愛液でグチョグチョだぜ…」


優枝は失禁し、思いに反して体は発情していく。


「んじゃ、俺からだな。」


「え〜、コウちゃんズリ〜よ。」


「あのな。一番の功労者が美味しいところ頂けなくてどうする?」


「ちぇ、すぐに換われよ。」


男はズボンを弄り、優枝を犯す態勢に入ろうとする。
優枝は正常じゃなくなる寸前の頭の片隅で「もう駄目」だと諦めた時、


「ちっ、ある意味一足遅かったか…」


この廃ビルの男たちが居るフロアの入り口で声がした。
優枝はおぼろげな意識の中、逆光によって顔も分からない男をある人物だと確定した。


「よう、陸良のオッサン…会いたかったぜ〜。そして、借りを返させて貰うぜ。」


そう、雄喜が寸前のところで間に合ったのだ。


「…何故、俺の名を?まぁ、どうでもいい。彼女を離せ。」


「ああ、こいつがアンタの名刺を持ってたからな。そして、こいつの状態を見れば分かるだろう?」


雄喜は少しの疑問を解消すると同時にこの場の状況を把握する。
今いるこの場はオフィスと成る筈だったビルらしい。この場は広く、柱は少ない。
そして、ナンパ集団とその助っ人の合計は二十名以上くらい居る。


「ふっ、人質とってこんなに人数集めなければ中年男性を倒す事も出来ないのか?」


「…なっ、舐めやがって!」


雄喜が不敵に笑い、連中を挑発すると半数以上が各々の武器を持って彼を取り囲み。
この集団のリーダー格であるコウと呼ばれた人物が拳銃を出し、優枝に向ける。


「そうだ。ほぼ全員で掛からないと俺の首はとれんぞ?しかし、そんなもんまで持ち出すとわな。」


「へっ、オメーを殺れるなら何だっていいんだよ。俺の持ってるもん分かるな?分かるよなぁ〜……殺っちまえ!!」


雄喜はそれでも挑発を止めず、それに拳銃で対抗したコウは仲間に号令を出した!
チンピラ共は鉄パイプ、木刀、バット、棒状の何かで攻撃しようと襲いかかってきた。
どいつも一気に距離を詰め、一斉に己が得物を振りおろそうとした瞬間…衝撃を受け吹き飛ばされた。
その中心地には、ブレイクダンスの様なポーズで固まっている雄喜の姿が有った。
彼は当たる瞬間にしゃがみ、その場で回転して周りのチンピラ共を蹴り飛ばしたのである。


「くぅっ、こっちには人質が!…あれ?」


雄喜が抵抗したことで人質を明確にし優位に立とうとしたが、優枝を縛っていたロープは断ち切られ銀髪の女性が彼女を抱え込もうとしている所であった。
その女性とは、亜里沙である。ちなみに優枝の周りに居た男たちはすでに倒れている。


「ちぃぃっ!」


その光景を見て拳銃を発砲したコウであるが、亜里沙たちは消え、気づいた時にはもうこの部屋の端で優枝を横たえていた。
種はこうである。
亜里沙は今現在、能力で時を『五秒間』だけ止める事が出来る。時を止めるのに五秒間というのは可笑しいが彼女の時間間隔だと約五秒だそうだ。話がずれたが、ここに入る前…雄喜が注目集め、亜里沙が停止時間内に忍び込み優枝を救出する作戦が取られた。
なぜ、亜里沙だけでやらないのかというと時間停止は連続使用が出来ないのである。再び使うには一拍、間を空けなければならない。そこで雄喜が注意を集める事で忍び込みやすくしたのである。
後は、時間停止とガーディアンの超人的な脚力で移動すればいい事となる。

閑話休題





コウは拳銃で雄喜を制止し、残った仲間で人質の奪還をしようとしたが無駄であった。
向かった仲間はいつの間にか投げられていたナイフで腕や足を貫かれ、重症ではないが戦闘不能になっていた。


「上手いな、ナイフを投げるの。」


「ダーツとかそういうの得意ですから。」


雄喜は亜里沙の投げナイフの腕を称賛し、彼女は指の間や手の平から生えてくるナイフを持ちそれに微笑して答える。
彼女の手に持っているナイフもチンピラ共に刺さっているナイフも同じ、鉄片のようなツバも何も無い完全な投擲用ナイフである。
しかし、彼女はどこにナイフを持っていたのかというと、文字通り『生えてきた』のである。
前回で雄喜は亜里沙の能力の圧倒的な欠陥が分かった。その欠陥とは『停止の能力は意外に攻撃力が無い』という事である。実際に殺傷能力が有るのは『生命活動の停止』だけで他のモノは特に物理的な攻撃力が無いに等しいのである。
そこで雄喜はあるモノを作り亜里沙に贈った。それが今、亜里沙が身につけている黒のロンググローブである。これはとある正規ガーディアンの能力をグローブに付加させたものでガーディアンが能力に使うエネルギーを使い『投擲ナイフ』を『生み出す』事が出来るのである。
しかし、コレはその正規ガーディアンの能力の劣化版であるため、亜里沙が今使っている『投擲ナイフ』しか『生み出す』事しかできないのである。だが、前回の戦いの通りナイフを空中で止めるなどして戦いの幅が増えたことは確実である。

閑話休題





コウは焦っていた。ナンパ集団とその助っ人は既に雄喜と亜里沙の二人に倒され、まだダメージが軽いその仲間も二人に恐怖し戦意を消失していた。
そして、自分にゆっくりと近づく雄喜が服装の為か死神に見えた。


「く、くっくくくく来るなあーーーーー!!」


コウは持っていた拳銃を5連続で発砲するが雄喜は全て避けた。それでも撃とうとしたが、ガキン…弾切れである。
コウの持っていた拳銃はリボルバーであり、弾は全部で6発であった。つまり、亜里沙に1発、雄喜に5発で撃ち止めである。


「う、うぅぅ…あーーーー!!」


それでも抵抗するかのように拳銃自体を投げつけるが、届く前に何かに切られ真っ二つに成った。
コウはもう恐怖で動けなくなり、雄喜はそいつの顔面を片手で掴み持ち上げる。


「な、何で弾を避けられるんだよ…」


「ん、銃口と引き金さえ見れば避けれない事も無い。」


「む、無茶苦茶だ。」


コウは後悔していた。十数人で掛かっても、銃を撃ってもかすり傷一つ負わす事の出来ないコイツはバケモノだと…現に利き腕でないであろう左腕だけでガタイの良い筈の自分を持ち上げているのだから。
抵抗し両手で自分を絞める腕に手を掛けるがビクともしない。


「さて、拳銃といい優枝の状態といい…キサマ、どこから入手した?」


「い、言えねぇ…ぎゃあ!」


雄喜は無表情でコウに尋問するが、奴はそれに答えなかった。
だから、その制裁として左手の握力を上げ奴の頭蓋骨を絞め上げた。きっと、絞められている本人は自らの頭蓋骨がミシミシ言っているのが聞こえるであろう。


「ぐぅっががぁああ、せ、扇戸会だ…」


「そうか。」


コウは痛みに耐えきれず拳銃と薬の入手先を言うと捨てる様に放り投げられた。
そして奴は受け身も取れず、背中を強打した。痛みと強打で蠢いていると雄喜が話し出す。


「なら、そこに行って伝えろ…『シックスが行く』とな。そして…」


この瞬間、亜里沙と優枝以外は肝を握りつぶされそうな感覚に陥った。
雄喜の殺意のせいで…


「この場に居る全員に告ぐ、『次は無い』。」


この場に居る全員が理解した。これはただの脅しでは無く、圧倒的強者からの死刑宣告だと…
この言葉を聞いた者たちは動けない仲間を引きずって我さきへと逃げていった。



雄喜はそれを見届ける前に優枝の元に行く。
そこには横たわった優枝の姿があった。亜里沙が服を緩めてくれていたが、


「優枝の容体は…」


「ハッキリ言って悪い。目の焦点は定まっていないし、発汗も異常、そして呼吸も荒過ぎる。」


「詳しいな。」


「愛美の所に有った看護の本を読んだだけ…で、どうする?」


雄喜はいままで優枝の近くに居た亜里沙に尋ねるが、彼女は目を伏せ危険な状態だと答えるしかなかった。


「薬か何かの中毒症状だと思う。だから俺の術で解毒してみるが問題は…」


「問題は…?」


雄喜は早速、自らの手をかざし術による解毒を試みるがその口調は歯切れが悪い。
それを亜里沙が復唱し尋ねる。


「時間が少し経ったという事だ。普通の人間の精神が耐えきれるかどうか…」


「そんな…」


亜里沙は彼の言葉にショックを受ける。術で解毒しても精神が壊れてしまう方が早いというのだ。


「かくなるうえは…優枝ちゃん、聞こえる…?」


「ゆ ウ…さ、ん?」


雄喜はある覚悟を決め、優枝に話しかける。
すると優枝は途切れ途切れながらも答えた。


「このままじゃ、体は治っても心が壊れてしまう。でも、助かる方法が一つだけある。けど…普通の人生は送れなくなる。だから、聞きたい…無論、どうなっても俺が責任を全部取ってやる。」


「う、ん…いい・・よ。たす…けて…」


彼はそれを聞くと最後通達を出す。


「俺に抱かれる事に成るがいいか?」


「いい…あ、いつ・に・・だかれ、るよりは・・・・」


彼は彼女の答えを聞くとしっかりと抱きしめた。


「ごめん…優枝ちゃん。」


「うう、ん…ゆ・・さん…だ…て」


雄喜は優枝に謝り、彼女は彼を許し誘った。
すると、彼は横に居る亜里沙に言う。


「すまん、こんな事になって。」


「ううん、私はマスターのガーディアン(従者)、マスターの望む事は私の望み。だから、早くしてあげて?」


「…ありがとな、亜里沙。」


雄喜は目の前でする事になった亜里沙に謝罪するが彼女は気にしていない。
それがガーディアン…彼の従者であるように。


「よし、いくぞ。」


「う、ん…」


雄喜がこれからしようとしているのは、優枝をガーディアンにする事である。
何故、ガーディアンにする事が精神崩壊の歯止めに成るかというと、ガーディアンの精神は普通でないからである。
ガーディアンは転生し戦い続ける存在。ある意味、不死なのである。しかし、それは普通の人間にとっては耐えきれるモノでは無い。故にガーディアンはその精神を耐えられるように調整してあるのだ。
それは、ガーディアンと成ったならば精神力は凄まじいものになるという事である。
つまり、優枝をガーディアンとする事で薬による精神崩壊が起きない様に調整するのである。



雄喜は座り、自らを椅子の様にし優枝を抱き込んだ。
優枝は力が入らないので彼にもたれ掛かっている状態だが、確りとしていたらこれは対面座位とよばれる体位であった。
雄喜は力の入らない彼女をしっかり抱き、びしょ濡れの下着を横にずらして挿入した。
薬により軽減してるが、処女膜を貫かれた痛みと初めて男のモノを迎える圧倒的な圧迫感で優枝は口を魚の様にパクパクするしかなかった。


「優枝…大丈夫だ、もう大丈夫だから…」


そんな彼女を雄喜は宥める様に優しく撫でしっかりと抱いてやる。
そのまま、ウッドチェアーのようにゆっくりと前後に揺れると彼女の膣内を優しくペニスが擦りたてていった。
そうすると、優枝は今まで渇くような快感が安らかな快感へと変わってゆく。
暫く、ゆっくり優しくせめていったが…


「ユウさ・ん…もっ…と、シて…」


優枝はまだ確りとしない口調で雄喜に懇願する。
それを聞くと、彼はどんどん激しく優枝を振る様にせめたてていった。


「す、っごい!もっと、もっと!もっとイッパイ私を犯してーーー!!」


彼女は薬か主の言葉のせいかは分からないが頭を振りまわし快感を得ようと必死に自らも腰を振りたてる。
結合部分はびしょ濡れで、雄喜の穿いてるジーンズがジットリと濡れる位だ。
彼女の顔も凄い事になっている。涙を流し、涎が垂れ、目が白目をむきそうになっている。
このまま激しくなっていく中で雄喜は片手で優枝の頭を掴み強引にキスをした。
すると優枝もそれに応じ、お互いが口の中をすする様に犯し合う。
だが、この饗宴もここまでであった。
今まで以上に強く奥を押し上げたペニスが彼女の絶頂を誘ったのだ。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


優枝はお互いに口を塞ぎ合ったままイッた。
彼女の膣内は処女特有のキツイ締め付けがより締まり、ペニスが子宮を押し上げ、尿道が子宮口とぴったりくっ付いた状態で精子がぶちまけられる。
彼女は今まで体感えなかった快感に意識を手放した。


「…マスター、上手くいきましたか?」


「ああ、何とか精神が壊れる前にガーディアンとして、ナンバーズとして覚醒したよ。」


「…」


「あまりご自分を責めないでください、マスター。これが最善の策だったのですから。」


「ああ…」


優枝は気絶し、雄喜のペニスが入ったままもたれ掛かっていた。
それを見ながら雄喜は後悔を感じるが、亜里沙が鋭く見抜きそれを否定した。







「あれ…ここ、どこだろう?」


優枝は不思議な感覚を体験していた。
真っ暗で何も見えないが浮遊感だけは感じている。


「ん〜、真っ暗で何も見えないっ、けど…安心するような怖いようなよく分からない感じ…」


彼女はこれに安堵感と恐怖感、反する二つを同時に感じるという矛盾も感じていた。
このまま、じっとしていると目が慣れてきたのか薄く光る何かを見つけた。


「あ、何か光ってる。あ、あそこにも。あっちにも。」


ここは360°光の粒に囲まれた空間なのであった。
遠くに光の粒が美しく輝いている。


「綺麗…星空 ううん、宇宙に居るみたい。」


優枝はその美しさに見とれていたが、急に身を震わせた。


「でも、ここに居るの私一人?」


遠くに星の様に光の粒が輝くがその光はこちらに届かず周りは闇ばかりである。
彼女はいつの間にか両手で頭を抱え込み泣き叫んだ。


「いや、いやぁ〜…やだ!独りはヤダ!寂しいのはもうイヤーーーー!!!」


これは彼女の家庭環境に起因していた。
優枝の家は母子家庭である。しかし、彼女が物心つくかつかないか位に両親が離婚し幼少の頃から独りきりで育った。
母親は仕事に掛かり切りに成り、一番親の愛情を注がれるべき時にされなかったのだ。
彼女は幼いながらも理解し我慢したが、近所づき合いの無いマンションに住み、帰ればたった独りきりの家…幼い心には酷すぎた。
それ故に孤独感というのがトラウマになっているのだ。


「いやぁ〜…や〜…」


彼女は泣き疲れたのか膝を抱え込み蹲る。
すると、赤い光が彼女に向かってきた。その光は彼女の目の前で止まった。


「だれ?誰なの?」


赤い光の玉の筈なのに優枝は『誰』と判断した。
そして、彼女は赤い光に手を伸ばしつかもうとした時…激流のような意思と力が流れ込んできた!


「な、何!?・・・・・・・そう、そうなんだ。ここはユウさんの…」







「ん、んんっ ここは・・・・知らない天井だね…」


「あら?気づいたからしら。」


「だれ?」


優枝は目を覚ますとどこかの家のベットで寝かされている事に気づく。そして、声を掛けられた方を見ると柔和な笑顔を浮かべた大きな胸の女性が椅子に座っている。


「どう、体の具合は?」


「え、えと…大丈夫です。(…まだ、アレが入ってる感じがするなんて言えないよ〜)」


女性が優枝の体を気遣う質問をするが、彼女はペニスがまだ挟まっている感じがする以外は大丈夫です、なんて言える筈もなく顔を赤くしモジモジと答えるしかなかった。
だが、ようやく頭が回ってきて自らの状況を理解しようと始めた。


「あの、貴方は誰ですか?ここは何処なんですか?なんで私がここに居るんですか?」


「うふふ、一つづつ答えてあげるわね。私は稗田 愛美、この家の居候以上同居人未満ってところかしら?そして、ここは陸良 雄喜さんの家。貴女は気絶した後、ここに運ばれたのよ。以上でいいかしら?」


「あ、はい。あ…ユウさんは?」


ゆっくりだが矢次の様な質問に愛美は一つづつ確りと答えるが、雄喜の話題になった途端…頬に手の平を当てため息をつくと、苦笑しながらこう言った。


「あの人は今、出かけてるわ。「落し前を付けてくる」って。」


「はぁ?」


そんな愛美に優枝は生返事するしかなかった。





ココは古風でとても広い日本風の屋敷であるが、そこらじゅうに黒服の男やガラの悪いTシャツの男たちがゴロゴロと横たわっている。
障子は破れ、襖は折れ、鴬張りであった筈の廊下は気絶した者の血と涎で汚れていた。
ココに今立っているのは二人…雄喜と悪魔だけであった。
羊なのか豚なのかはたまた山羊なのか分からない悪魔が雄喜を見据えて対峙する。


「き、貴様!この組と俺になんの怨みがある!?こんなにしやがってっ」


「あぁ、この組の末端とお前…悪魔が調合した薬にウチのもんが壊されかけたからその報復だ。」


悪魔は怒りを前面に出し叫んでいるが、雄喜は飄々と答えるだけであった。
そう、雄喜はあの優枝を危険な目に遭わせたナンパ集団のリーダー格が所属しているヤクザに予告通り乗り込んだのである。
人間の組団員は全員、完治してもヤクザとしては復帰できないほどの怪我を負わせて気絶させ、悪魔は…


「しかも何なんだ!?その赤い光の剣はっ 俺たち悪魔を一瞬で切り裂くとは!」


悪魔の言うとおり、雄喜の握り手から赤い光が剣状に伸びていた。
その光は名刀の様な切れ味で一瞬のうちに切り裂き全て塵に帰っていったのである。
そして、雄喜は見た者に恐怖しか与えない笑みで切り裂いていったのである。


「さぁ、それには答えられ…ないっ」


雄喜は悪魔への返答をすると同時に無造作に横へ斬り払う。刀ほどの長さである赤い光の剣では届かないはずが…
悪魔は横一文字に切り裂かれていた。


「そ、その強さ・・黒の衣に紅き光…お前はもしや・・・・魔……」


悪魔は切り裂かれ、塵に帰る直前に何かを言いかけた。雄喜にはそれが分かったのかもういない悪魔へ言った。


「お前の考えているモンじゃない。俺は、ただのバケモノだ……」


雄喜は自傷気味にそれを言い、先ほどの悪魔でこの組が全滅したことを確認すると、このヤクザの顔である組の名前が刻まれた看板に『6』と刻み込んだ。
…彼には裏の顔が在る。
・・・分かっている事は、黒ずくめである事と用が終わったら標的のシンボルである何かに『6』と刻む事…そいつの名は、残していく印の名をとって神出鬼没の壊し屋兼何でも屋『シックス』という。
そして、ヤクザ『扇戸会』は物理的に消滅した…






「ママ、長い間お世話になりました。」


「ええ、今後世話になる人にあまり迷惑を掛けるんじゃないわよ。」


今優枝が話しかけているのは自分の母親だ。その母親は優枝の方を見ず、台所のテーブルで酒を煽っていた。
何故こんな会話になっているかというと、ナンバーズになった優枝は雄喜の元で生活することに決めたのだ。
やはりガーディアンとして固まっていた方が色々とやりやすいというのが一因である。


「じゃあ、ママ…たまには連絡するね。 さよなら。」


「ええ、さよなら。」


別れの挨拶をし遠くで玄関のドアを閉じる音がした。
母親はコップに残った酒を眺めこう呟く。


「居たら早く出てって欲しいと思って、出ていったら寂しく感じるなんて…私って勝手よね。」


そう呟き、残りの酒を一気に煽った。
優枝の方は玄関から出ていった後、暗い顔をして今まで居たマンションを出たが急に明るくなる。


「よう、迎えに来たぞ。」


その原因は優枝をわざわざ迎えに来た雄喜であった。
優枝は彼の姿を見るととび付いた。


「ユウさんっ、わざわざ待ってくれてたんだ?」


「違うぞ。ついさっき来たばかりだ。」


(ウソばっか。)


優枝は嬉しそうに言うが彼は否定した。だが、とび付く前から耳と鼻が赤いのは寒い中待っていてくれた証拠である。


「ねぇ、ユウさん?責任とってくれるって言ったよね。」


「ああ、言ったな。」


「じゃ、私を一生っ離さないこと!独りにしないこと!」


「分かったよ。」


優枝はガーディアンと成る直前に言った雄喜の言葉を言質ととり笑顔でまくり立てる。
そんな彼女に彼は苦笑しながら答えるしかなかった。


「なら、よろし…んじゃ・・・・・んちゅ。」


「ん?」


彼女は彼が了承するのを確認すると恋人がするようなバードキスをし、離れて行った。
雄喜は不意を突かれたので何もできずにちょっと呆けてしまっている。


「それじゃっ、私とユウさんのスィートホームへレッツゴ〜!」


「お、おい!?誰が何のスィートホームだ!」


「え〜?もうユウさんのプロポーズの言質とったも〜ん。」


「お、お前なーー!」


優枝は離れた後に高らかにそう宣言して雄喜の家へと向かう。
それに対して雄喜が抗議の声を上げたが、彼女はそう言ってガーディアンならではの脚力で走り去ってしまった。雄喜は優枝の言葉を気にし声を上げて追いかける。


(ふふ、絶対私は貴方を独りにはさせないよ。)


追いかけられながら優枝はそう思っていた。
ちなみに愛美と亜里沙が雄喜の家にメンバーが増えるのをどう感じているかというと、


「まぁ、仕方ないんじゃありませんか?」


「マスターの決めた事に異論は無い。」


「「それに夜の負担が減るのは結構な事(です・だ)し…」」


どうやら、彼女達にとって夜の性活が充実するのは喜ばしい事らしい…











     











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