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【個人撮影】金貸しチンピラ二人組が美人妻を眠る子供の横でガチの輪姦レイプ中出し
ピンポーン
休日の朝早く、マンションのインターホンが鳴り響く。
「あれ、誰だろう?」
リビングに居た唯は早朝の来訪者に首を傾げた。
現在は日曜日の朝八時。平日とは違い、休日ではまだ早朝とも言える時間だ。リビングには唯とエリザヴェータの姿しかない。他のガーディアン達はまだ起きては来ていなかった。普段なら全員が起きている時間だが、疲れているのだろう。金曜日の晩も夜通し愛を睦みあったというのに、土曜の晩までいっぱいセックスしたのだ。いくらガーディアンの戦士が超人に近い体とはいえ、相当に疲れているはずだ。
「唯殿、私が出ます」
「いや、僕が出るよ。エリザヴェータさんは、ゆっくり見てて」
エリザヴェータが立ち上がろうとするのを制して、唯がソファから起き上がる。
「済まない、感謝します」
エリザヴェータは頭を下げてそれだけ言うと、テレビに注意を戻す。テレビの画面はちょうどCMに代わっており、玩具の宣伝をしていた。
エリザヴェータがこんな早朝に起きているのは、テレビでやっている特撮を見るためだった。唯が聞いた話だと、スーパーヒーロータイムというらしい。
ガーディアン全員が寝入ったあとは、ベッドの中で眠れずにゴロゴロしていた唯だったが、七時ジャストにエリザヴェータがぱっちりと目を覚ましたのには驚いた。他の女性達が寝ているのを邪魔するのも悪いし、好奇心もあって唯もエリザヴェータに付き合ってテレビ鑑賞することにしたのだ。意外に番組が面白くて、唯も楽しんでいたところに先ほどのようにインターホンが鳴った。
「はい、どなたです?」
ドアを開けた唯は、扉の前に立っていた予想外の人物に驚いた。
「よっ、唯。元気か?」
「正兄さん!」
玄関に居たのは唯のいとこ、稲田正だった。正は唯の二歳年上で高校二年生だ。長身の痩せ気味の体に、人懐っこい明るい笑顔を浮かべている。日曜の朝だというのに、学生服を着ているのが奇妙と言えば奇妙だった。
「悪いな、しばらく会えなくて。ちょっと忙しくてさ」
「そんな……僕の方こそ連絡取らなくて、ごめん」
唯の両親が亡くなった当時、正はしょっちゅう唯の家に遊びに来てくれた。そのときは落ち込んだ唯を遊びに誘ったり、ただ傍に居て一緒にテレビを見たりと細かい気遣いをしてもらった。家族を失った唯を、恩返しがしたいという芽衣が引き取ったときには、正は随分と喜んだものだ。
だが最近は唯を預かっている家に頻繁に遊びに行くのは良くないだろうということで、正は遠慮していた。だがこうやって直接会うことは無かったが、それでも週に一回くらいはメールでやり取りしていた。
「とりあえず上がってよ。こんなところで立ち話もなんだから」
「お、いいのか?」
「何言ってるんだよ。従兄弟じゃないか」
「そうか、それなら遠慮なく」
唯が開けたドアを通って、正は玄関に上がり込む。学生らしくスニーカーを揃えないまま靴を脱ぎ捨てる。
「何か広いな……金城さんってやっぱ凄いんだな」
「あはは、それは僕も思うよ」
高い天井とかなり奥まで伸びている廊下をキョロキョロ見回し、正が率直な感想を言う。正と芽衣は一応面識があった。唯の叔父夫婦に挨拶するため、二度ほど芽衣が家を訪ねてきたときのことだ。
「でも、何でまた今日はここに? それもこんな朝早くから」
「あれ、メールやっぱり見なかったのか。一昨日の晩から何通かメール送ったんだが」
正の言葉に、唯は軽くドキッとする。女性との情事中に何度も携帯が鳴ってはデリカシーが無いから、実は金曜日の晩から携帯電話の電源を落としていた。例え自室に置いてあったとしても、音を操る唯の耳にはエッチ専用の寝室にまで呼び出し音が聞こえてしまうことがある。
「ごめん、うっかり電源切りっぱなしだった。とりあえず、リビング行こう」
「そうだな。行こう行こう」
ドアを開けてリビングに入ると、ゴォンという爆音が二人を迎えた。音は巨大なテレビモニターのスピーカーからしており、画面の中ではカブトムシに模したヒーローが自分の鎧を吹き飛ばしたところだった。
「唯、これ見てたのか?」
「あ、いや……僕も見てたんだけど……」
唯の視線がソファの前にあるカーペットに座り込んでじっとテレビを見ているエリザヴェータに注がれる。つられて視線を動かした正も、銀髪のエリザヴェータの姿はすぐに気がつく。
「あ、どうもこんにちは」
「正兄さん、ちょっと待ってあげて」
挨拶しようとする正を、唯は制する。何が何だかわからない正を余所に、エリザヴェータはテレビをじっと注視している。テレビのモニター内でヒーローが回し蹴りを放って怪人を倒す。ようやく番組が終わったようだ。するとテレビのモニターを消して、エリザヴェータが立ち上がって正に向き直る。
「どうも失礼。お客様が来たというのに、挨拶もせずに……エリザヴェータ・アンドルス・イヴァノフです。初めまして」
「あ、稲田正です」
ピシッとお辞儀をするエリザヴェータに、正も慌ててお辞儀を返す。まさか特撮番組を見ていたのが、外国人女性の美女だとは思わず、正はびっくりした。おまけに日本人と言われてもおかしくない流暢な日本語と、綺麗な姿勢でお辞儀までされたのだから、ただただ驚くしかない。
「エリザヴェータさん、正兄さんは僕の従兄弟なんだよ」
「そうでしたか、唯殿の従兄弟でしたか。これからもよろしくお願いします」
「は、はい」
近寄ってきて握手を求めるエリザヴェータに、正は慌てて手を差し出す。綺麗な東欧系の顔に少し見とれていたが、正の視線はすぐにエリザヴェータの胸に釘付けになってしまう。エリザヴェータはタンクトップにホットパンツというプロポーションが丸分かりな格好をしていた。生地はそこそこ厚いのに、タンクトップがピチピチになるまで胸が押しているので、胸の形が服の上からでもわかってしまう。
「唯殿、紅茶を入れます。正殿はコーヒーと紅茶どちらがお好みで?」
「あ、こ、紅茶を……」
「わかりました、しばしお待ちを。お二人とも、どうぞごゆっくり」
エリザヴェータは軽く一礼すると、キッチンへと行ってしまう。騎士のように颯爽とした美女の後ろ姿を見ながら、正はボーっとしている。ちなみに視線は美しいカーブを描いているヒップに向けられている。
「お、おい唯……今の誰だ?」
「エリザヴェータさん? うーん、芽衣さんの友達って言えばいいのかな。ロシアからの留学生だよ」
「そ、そうか……」
よっぽど気になるのか、ソファに案内してもらっても正はキッチンの方を何度も振り返っている。
「なあ、唯」
「何?」
「その……エリザヴェータさんと仲良くなれないかな? 凄い美人だからさ」
「無理。恋人居るから」
「そうか」
従兄弟のにべもない言葉に正はがっくりと肩を落とす。こればかりは唯もきっぱりと言っておかねばならなかった。幾ら従兄弟とはいえ、自分の恋人に手を出されては困るので、あえて最初から事実を告げることにした。もっとも、その恋人が自分だという点は言えないが……。
「それで正兄さん、何か用があったんじゃないの?」
「そうそう。実はさ、今度文化祭があってさ」
「文化祭……遊学館高校で?」
唯は正の言葉に、記憶を掘り起こそうとする。雛菊とミシェルは遊学館高校の教師をしており、早苗はそこの生徒だが、文化祭が近いとは聞いた覚えがない。
「来週の土日なんだけどさ、本格的なお化け屋敷やろうってことになったんだ。それで先週から小物作りとか始めてるんだけど、人が足りなくてさ」
「そうなんだ」
「それで今日はそれぞれが友達を誘って、手伝って貰おうってことになったんだ」
エリザヴェータが紅茶を持って戻ってくる。唯と正の前にティーカップを置き、シュガースティックとミルクをテーブルに置く。
「唯殿は砂糖は?」
「えっと普段は半分くらいかな」
「わかった。ミルクは?」
「いや、入れない」
唯が質問に答える間にエリザヴェータはスティックを破り、中に入っていた砂糖を素早くティーカップに入れる。ティースプーンを掻き混ぜて砂糖が溶けると、エリザヴェータは一礼して去っていった。キッチンカウンターに座る様子だと、二人の邪魔をしたくないということだろう。
「あれ、俺には?」
客なのに何も聞かれなかった正はキョトンとする。てっきり自分にまでサービスしてくれると思ったのに、肩透かしを食らってしまった。明らかに恋人を優遇したエリザヴェータの行為に、慌てて唯がフォローする。
「正兄さんは、砂糖どのくらい? ミルクは?」
「あのな、おまえに言われても嬉しくないぞ」
正は仕方無しに自分で砂糖をカップに入れる。彼は残念そうにしながらも、苦笑している。
「それで、どうする? 行くのは昼近くで構わないんだけど」
「うん、いいよ。今日は特に予定が無かったし、夕方まで付き合うよ」
「良かった。やっぱり持つべき者は従兄弟だな」
うんうんと頷きながら正が紅茶を啜る。唯もそれにつられて唯も紅茶に口をつける。エリザヴェータの入れた紅茶は見事な風味だった。何かコツでも知っているのだろう、正も少し驚いた様子だ。
「しかし、この家……本当に広いなー。マンションとは思えない」
「芽衣さんが三フロア丸ごと買ったらしいからね」
「え、上にもまだあるのか?」
「上と下かな。良ければ後で少し案内するよ」
この家はプライベートな部屋が多いが、自分の部屋や廊下、風呂場ぐらいは案内しても構わないはずだ。養子みたいに引き取られた従兄弟が、どういう生活を送っているか正も気になるだろう。正が家に帰ったときに、以前は随分と面倒を見てくれていた叔父夫婦に、自分の暮らしぶりを報告して欲しいのだ。唯は両親が亡くなってから、最高の生活を送っているのだと。
「ごめん、唯君。まさかもう起きてるとは思わなくて」
リビングのドアが開いてバタバタと由佳が入ってくる、バスタオル一枚の姿で。どうやら朝起きたら唯が居なかったので慌ててシャワーを浴びて、着替える間も無く朝食を作りに来たようだ。そんな由佳がリビングで唯と共に座っている正の姿を見つける。
「きゃーーーーーーーっ!」
思わず悲鳴をあげて由佳が体に巻いたバスタオルをぐっと抱き締める。反射的な行動だろうが、バスタオルの間から見える巨大な胸がぐっと寄せられて、余計に色っぽい姿を晒す。
「ごめんなさい、ごめんなさい。すぐに着替えるから!」
由佳はバタバタと廊下を駆け戻る。時間にしてはあまりにも僅かで、正は信じられないものを見たような顔をしていた。唯も彼同様に黙って見ているしかなかった。
「唯、いま由佳が慌てて出て行ったけど、何かあったの?」
不思議そうな顔をして今度は麗がリビングに入ってくる。ショーツ一枚で、首にかけたバスタオルで胸を隠しただけの格好だ。もちろん、リビングの入り口をポカンと見ていた正とはすぐに目が合う。
「いやーーーーーーーっ!」
小学生らしいかわいい悲鳴をあげて、麗は由佳同様に走り去った。埃が舞い上がりそうなくらいの急加速だった。
唖然としている二人の目の前に、次々と他の人物もやってくる。
「唯様、何かあったの!? 麗の凄い悲鳴が聞こえたけど!」
ダボダボのTシャツ一枚という格好で、円が慌てて飛び込んでくる。何かあったに違いないと思い込んで危機に駆けつけたつもりだ。確かに何かはあったのだ、予想に無かったことだが。
「き、きゃーーーーーーーっ!」
円は駆け込んできた速さ以上のダッシュで駆け去った。よもやこんな早朝に、唯以外の男が居るとは思っても居なかった。薄手のTシャツは乳首が透けそうなくらいで、下に何も履いてなかったのだ。慌てるのも無理はない。
「唯様、先ほどから色々と聞こえるのですが、何かあったのですか?」
首を横に向けて廊下の方を見ながら、今度は静香が入ってくる。彼女は色っぽい下着姿だった。着ている薄いピンク色のネグリジェは胸が透けて見えそうで、下には白い清純そうなショーツを履いている。くるりと正面を向いた静香の目が、唖然としている正と合う。
「し、し、失礼しました……」
蚊が鳴くような声でそれだけ言うと、回れ右をして静香は来た道を戻っていく。その動きは錆びた機械仕掛けの人形のようだ。左手と左足、右手と右足が一緒に前に出ている。
「ボウヤ、何かあったの? 静香が妙な顔をして出て行ったけど」
浴衣一枚で髪を拭きながら百合が今度はリビングに入ってくる。緩く締められた浴衣のせいで胸元からは爆乳が零れそうで、太ももなどもばっちりと見えていた。バスタオルで髪を拭いたりしているため、より色っぽい。
「………」
正の姿が目に入った瞬間はきょとんとしていたが、すぐに百合は目にも止まらぬ速さで浴衣の裾と帯を直す。そして無言のまま早足で去っていった。ショーツを履いていなかったので、よっぽど正の姿に動揺したらしい。床に髪を拭いていたバスタオルを落とすが、拾う様子も無く黙って出て行く。
「唯様、おはようございます。今朝のお目覚めはいかがでしたか?」
芽衣がご機嫌な様子で、リビングに入ってくる。昨晩の情事は天にも昇るようで、甘い眠りの中でたっぷりと休むことができ、今朝の目覚めもばっちり。明るい笑顔が自然とこぼれてしまう。芽衣は絶好調だった。リビングに入るまでは……。
「え……?」
芽衣の目が見覚えのある、ここには居ないはずの人物に注がれた。もちろん唯の従兄弟である正のことだ。表向き、芽衣は唯の親戚にも信頼されているきちんとした保護者だ。それなのに今の格好は乳首が見えそうな黒のブラジャーに、ほぼ全体がメッシュでできたショーツという芽衣必殺の勝負下着。芽衣の頭に「アポカリプス・ナウ」という単語が浮かんで消える。
「ご、ご、ごめんなさい。い、稲田様、し、しつ、失礼しました!」
凄まじい勢いで米つきバッタの如く何度も頭を下げ、ドラッグレースの車かと思われるような加速で芽衣は出て行った。猛烈な勢いで出て行った美女を見て、正が一言、
「今の金城さんだよな……」
「き、き、気のせいじゃないかな?」
唯のフォローはフォローになっていない。嘘というのにはあまりにも無理がある嘘だった。
「唯、おはよう。何だか今日は朝から騒がしいわね」
軽くあくびをしながら京がリビングに入ってくる。ブカブカのワイシャツを、寝巻き代わりに彼女は着ていた。ボタンを全部外して、前をあえて開いているので、むっちりとした巨大な胸の半分が見えている。おまけに下半身は紫のショーツのみという、色っぽいが何ともだらしの無い格好をしていた。この格好は、いつもの朝と同じことだが。
「………」
見慣れぬ男の姿に、京の顔がさっと険しくなる。胸の前のボタンを全部合わせて、黙ってリビングの外へと彼女は出て行く。バタンと強烈な音を立てて締まったドアの向こう側で、ドカドカと壁を殴る音が聞こえた。よっぽど恥ずかしかったみたいだ。
「唯様、京が暴れて壁を殴ってました。何かあったんでしょうか? ああいうのは困るんですが」
剣道着の上をはだけた雛菊がドアを開けてリビングに入ってくる。軽く朝の稽古をしていたようだ。剣士には無用と言えるメロンのような胸を晒しで巻いただけの姿で、ハンドタオルで首を拭ったりしている。
「げっ、何で竜宮先生がここに居るの!?」
「わーーーーーーっ! 何で稲田がここに居るんだ!」
正の叫び声の倍近い声で雛菊が叫び返す。反射的に攻撃をかわす要領でバク転して廊下に戻ると、雛菊はすぐに走り去る。自分が通う学校の教師が居たという事実と、彼女の超人的な動きに、正は口をパクパクさせて声も出ない。
「……唯様、お早うございます」
楓が静かにリビングへと入ってくる。恐ろしいことに、彼女はシーツを一枚巻いただけの姿だ。ほぼ全裸に近い。大きく前に突き出した胸元を隠す布の部分が今にもずり落ちそうになっている。楓は未だ口をパクパクと開け閉めしている正にはすぐ気がついた。
「唯様、おやすみなさい。もう少し寝てきます」
シーツをずるずるさせながら、楓は去っていく。その顔はあくまでも無表情だ。だが動揺しているのは誰の目にも明らかだ。
「唯くーん、おはよう。皆はまだ寝てるのかな?」
ピッチリとしたTシャツと水色のショーツという姿で早苗がリビングに姿を現す。胸の容量に押されて短いTシャツがずり上がっており、へそがばっちりと見えている。もちろん胸の形も鮮明すぎるほどでよくわかる。
「土田……」
同学年の人気者を見つけて、正が溜息のような声を漏らす。その声には何処か哀れみのようなものが混ざっていた。
「あはは。稲田君、何でここに居るの? やだなー、何の冗談だろう。夢なのかな? ちょっと部屋に戻るよ。今日のボクの格好は学校の皆には内緒だよー」
異常な程に明るく元気な声を残して早苗が去っていく。よもや自分と同級生で学校の人気者をこんな場所に見ることになるとは、これっぽっちも考えていなかった。廊下から「うわーーーん、もう学校に行けない」という悲痛な叫びがこだましてくる。
「おはようございまーす。唯様、ご機嫌いかがです? 由佳、今日はフレンチトーストが食べたいな」
最後に目をゴシゴシと擦りながら、ミシェルがリビングへとやって来る。だらりとはだけたバスローブは帯を締めておらず、前が大きく開いている。乳首は見えていないが、胸の半分以上は晒されていた。バスローブの間から、凄まじいVカットのショーツという下着もよく見える。
「え、えっと、稲田君!?」
「み、ミシェル先生!!」
美人外国人英語教師のヌードに近い格好に、正は感動したような声を出す。誰にも手が出せない憧れの美人教師が胸をほとんど出して、ショーツ一枚で目の前に居るのだ。ミシェルの方はいつも教えている生徒の姿に唖然としてしまう。何が何だかもうわからない。
「M, Mr. Inada, h, how are you?」
「アイムファインセンキュー」
ミシェルは思わず無意味な挨拶をしてしまうが、正はぐっと親指を出してばっちり返答を返す。彼は人生でも至福のときを味わっているに違いない。
「な、な、なんでーーーーーー!?」
ミシェルは顔を真っ赤にして出て行く。いつもの色っぽくて大人っぽい外国人教師のイメージが台無しだ。よもや、自宅に教え子が居るなんて誰も思わないだろう。だがバスローブ姿に下一枚という格好なら、充分に株を上げたはずだ。
「おい、唯!」
「な、何?」
「あ、あ、あれは何だったんだ!?」
正は唯のシャツを掴むと、ガクガクと首を振る。その顔はあまりの興奮でトマトのように赤い。さっきまでの大量の美女によるショーは、尋常では無いほど正をエキサイトさせたようだ。そして最後のミシェルが止めを刺されたらしい。
強烈なヘッドシェイクの勢いに、首を揺すられている唯はクラクラしてしまう。
「何であんなにたくさんの、美人のおねーさんが裸でリビングに来るんだ!?」
「し、知らな……げふ」
「今のは何だったんだ、立体映像か何かか? それとも俺は夢を見ているのか? 何で土田や竜宮先生、それにミシェル先生まで居るんだ!?」
「た、正兄さん、お、落ち着いて」
「ここは、あれか? 桃源郷なのか? 桃源郷なの……ぶばっ!」
興奮し過ぎたのか、正の両鼻から鼻血が思いっきり噴出した。興奮で鼻血が出たなどという人物を唯は初めて見る。まるで漫画だ。
「わーっ! 正兄さん、しっかりして!」
崩れ落ちる正の体を慌てて唯は受け止めた。どうやら血圧が上がりすぎて、鼻の毛細血管がぶち切れたようだ。
「エリザヴェータさん、救急箱!」
「はぁ……唯殿、もう少し配下を指導して下さい。ここのモラルはゴモラやソドムと同じくらいですよ」
エリザヴェータは軽く溜息をつくと、台所の棚に常駐してある救急箱を取り出した。
休日の朝とは言え、ガーディアン達の朝食は豪華だった。和洋折衷の料理が並び、朝飯として一般的なレシピの料理はほぼ揃っている。明らかに正を歓迎するためだ、というのがわかる。だが料理と反して、全員が揃った朝食のテーブルはまるでお通夜のようだった。
「……え、えっと……」
先ほどから唯は何か話題を出そうとするが、場の雰囲気に声が出てこない。女性陣は先程とは違い、既にきちんとしたファッションとメイクで身を整えている。だが、うっかり裸に近い格好を見せた相手と同席しているのだ。顔の表情がやたらと暗く、気まずいことこの上無い。
「………」
正も美女の裸を見たことを素直に喜んではいられなかった。両鼻にティッシュを詰めて、食事をする姿はマヌケそのものだ。これでは皆さんの裸で興奮して鼻血を出しましたと、言っているも同然だ。
「そ、そうだ。知らなかったんだけどさ、遊学館高校ってもうすぐ文化祭だったんだね」
「あれ。 唯君、知らなかったの?」
早苗が唯の言葉に反応する。ようやく何か話題になりそうなことが見つかり、唯もほっと一息つく。
「私は部活やってないから、特に大変じゃないけど、みんな結構忙しそう」
「そうそう、うちのクラスなんか、かなり気合入れてるぜ」
早苗に向かって、正がにやりと笑う。自分の教室が行う出し物に自信があるのだろう。鼻にティッシュが詰まっているので、全然格好はつかないが。
「今日はそれで唯に手伝って貰おうと思ってさ。誘いに来たってわけだよ」
「唯様に手伝い?」
雛菊は正の言葉に首を捻る。他校、それも中学生に手伝って貰うということの意味がわからないようだ。だがそれ以上に正は不可解という顔をしていた。
「おい、唯。何で竜宮先生はおまえを「様」づけで呼ぶんだ?」
「え、えっと……おいおい話すよ……」
従兄弟に肘で脇を小突かれた唯は困ったように返答する。どうも最近、他人の前でも唯様と呼ばれることが多い。ガーディアン達は特に支障ないと思っているらしく、唯としては少し困ってしまう。
「でも、稲田君が唯様の従兄弟だったとはね……」
「いや、俺も驚きましたよ。まさか竜宮先生、ミシェル先生、それに土田が一緒に住んでるなんて」
いつもとは違い落ち着いた雰囲気を作っているミシェルに、正はうんうんと頷く。ミシェルは大人の美人教師というふうに猫をかぶっており、実際のところよく似合っている。逆に普段家に居るときのミシェルが脳天気すぎるとも言えた。
早苗が不思議そうに唯を見る。
「唯君も教えてあげれば良かったのに、一緒に住んでいるんだって」
「でも、学校が同じでも面識無いかもしれないでしょ」
「ばーか、三人を知らない生徒なんて居ないよ」
言い訳する唯を、正は苛めるように更に肘で小突く。
ミシェルは遊学館高校きっての美人教師で名が通っていた。整った顔の外国人でめったに居ないような金髪美人、プロポーションまで抜群で、妖艶な色気がある。これだけの条件があったら、男子の間で人気者にならないわけがない。新しい学年になってミシェルが教える授業に当たらなかった男子生徒達は泣いて悔しがるくらいだ。家ではかなり明るくお気楽なミシェルも、職場では随分と違うようだった。
ミシェルと同様に、雛菊も有名だ。外国人美女の容姿とは対照的に、和風の雰囲気を醸し出した身持ちが固そうな美人なので、誰の目も惹き付けるような魅力がある。だが男子学生を教えているというのに、彼らからの評判はあまり良くない。授業は恐ろしく厳しく、男の体育教師顔負けのスパルタ教育を地で行く。新学年になって時間割に雛菊の授業があるとわかると、ミシェルとは別の意味で男子は泣き叫ぶらしい。
早苗は交友範囲が広く、人懐っこいので人気があった。誰とも分け隔てなく明るく付き合う彼女なので、転校してすぐに学年中に名前が広まった。かわいいのにそれを鼻にかけることなく、非常にフレンドリーなのも好印象を与えている。彼女を狙っている男子は多い。
三人とも胸が大きいので、それだけでも男の目が何かと彼女達に向く。授業なども、ミシェルと雛菊の胸を見るだけで満足だという者も少なくない。もっとも雛菊が教えている地獄の授業では、あまりのんびり眺めている余裕は無いが。
「しかし、これは嬉しい誤算だったなあ。ミシェル先生と竜宮先生が居るなら、唯の家に入り浸ろうかな?」
「おい、いい加減にしておけよ、稲田」
「はーい」
にやける正を雛菊が咎めると、彼は素直に応じる。
「雛菊さん、待って」
「唯様?」
だがきつく正を嗜めた雛菊を、唯が真剣な表情で止める。
「正兄さんはこんなおちゃらけてるように見えるけど、両親が亡くなったときに、ずっと傍に居て一番励ましてくれたんだ。今日、こうやって遊びに来てくれたのがとっても嬉しかった。良かったら、正兄さんにはもっと遊びに来て欲しい」
唯の素直な心情の告白に、場が静まり返った。珍しく死んだ両親に唯が言及したからかもしれない。
「よ、よせよ唯。照れるじゃないか」
よっぽど恥ずかしかったのか、正はバシバシと唯の背中を叩く。だがガーディアン達の正を見る目は随分と変わった。先ほどまでの、うっかり恥ずかしいところを見られた相手から、友情に厚い唯の良き従兄弟という評価に上がっていた。
「そうか……稲田、悪かったな。ちょっと誤解していた」
「や、やだなあ……竜宮先生、照れますって」
「稲田君って優しい子なのね」
「あ、ありがとうございます、ミシェル先生」
二人の美人教師に褒められて、正は赤くなって照れている。これですっかり打ち解けたのか、他のガーディアン達も談笑に加わって、唯と正は結果的に良い朝食を取ることができた。
「それじゃ、ボチボチ行こうか、唯」
「そうしようか」
リビングで寛いでいた唯と正が立ち上がる。正と共に唯も学校の制服という姿だ。他校の生徒でも遊学館高校の敷地に入るには、制服を着用して欲しいとのことだった。
「待ってよ、二人とも。ボクも行くよ」
廊下からドタドタと早苗が駆けてくる。彼女は既にブレザー姿にミニスカートという通学ファッションに着替えていた。
「あれ、何で土田まで来るんだ?」
「やだなあ、ボク達友達じゃないか、稲田君。手伝っても構わないでしょ」
「いや、それは構わないんだけど……」
人気者同士という接点はあれど、クラスが違う正と早苗は喋ったことはあまり無い。だが唯と同居人というのなら、まあ手伝いに来ても不思議は無いかもしれない。
「それじゃ、行ってきますね」
「はい、お気をつけて」
唯の挨拶に、いつものように芽衣が微笑む。
「いってらっしゃいませ。早苗、唯様を頼みましたよ」
「はいはい。行ってきますね、静香お姉さま」
静香に投げキッスを放って、早苗がリビングを出る。早苗の行動に正は疑問を抱いたようだが、何も言わずに玄関へと向かう。
「それじゃ、行きましょう」
「あれ、何でミシェル先生と竜宮先生まで居るの?」
玄関でハイヒールとパンプスをそれぞれ履いているミシェルと雛菊に、正は驚きの声をあげる。
「一応教師だからな」
「いや、でも……うちの担任に許可を取っているし」
「他校の生徒も来るわけでしょ。ちょっと心配だから、様子見にね。お邪魔はしないわ」
憮然とした雛菊と微笑むミシェルに、正は何となくだが納得してしまう。二人の教師と二人の生徒、それに唯を合わせた五人は結局一緒に出かけることになった。こんな大人数になるとは、正も考えてはいなかった。
「とりあえず、唯は墓石作るの手伝ってくれ。随分と苦労しているみたいだから」
「墓石ね。了解」
かなり大きめである発砲スチロールを渡され、唯は椅子に座る。
正が案内してくれた教室近くには、かなりの人数が居た。唯が見たところ在校生六割、その他四割という感じだ。人数が多いため、彼らは幾つかのクラスや廊下などに分けて作業している。
真剣にやっている者も居るが、場には何となくのんびりとした空気が流れていた。随分と人数が居るので、分業すれば大丈夫だろうという余裕があるのかもしれない。
「唯様、何をなさっているのですか?」
「あ、雛菊さん。墓石を作ってくれって……」
「へえ、少し貸して頂けますか?」
唯の隣へと座ると、雛菊は彼から四角い発砲スチロールを受け取る。マジックでかなり達筆な字で、スラスラと稲田家之墓と書く。これには唯も苦笑するしかない。
「うーん、上手いものね」
雛菊の様子というか、唯の様子を見にミシェルがやってくる。彼女は唯の背後に回ると、雛菊の字を観察する。
「さすが、書道が趣味なだけあるわね。上手いわ」
「まあな。これくらいならマジックでも書ける」
唯から彫刻刀を借りて、雛菊はマジックで書いたところを手早く彫る。すると見る見るうちに字が綺麗な溝へと変わっていく。滑らかに名前を刻む雛菊に、唯は出番が全く無いくらいだ。
「ミシェル先生、ちょっといい?」
「はいはい、今行きますね」
生徒に呼びかけられると、ミシェルはにっこりと笑って去っていく。ゆっくりと歩くその姿は落ち着いていて、大人の色気がたっぷりと出ていた。
「ミシェルさん、普段とは別人だね。何だか落ち着いているというか……」
「学校では猫かぶってますからね。男子生徒や他の先生をからかって遊んでるんですよ」
雰囲気が一変しているミシェルを唯が見やると、雛菊が淡々と答える。雛菊にはミシェルの猫かぶりなど、日常のことらしい。遠くでうっすらと笑って軽く愛想を見せるミシェルは、唯が知る底抜けに明るい女性とはまた違うものだった。そんなミシェルの姿に、男子生徒達は他校の生徒も含めて鼻の下を伸ばしているように見える。
「これでよし……と。唯様、出来ましたよ」
「あ、ごめん……わー、凄いな。よく出来てるよこれ」
発泡スチロールという柔らかい素材にも関わらず、雛菊が彫った文字は墓に彫られている文字そっくりに出来ていた。
「まあ、刃物の扱いは任せて下さい。これしか取り得がありませんが」
「そんなことないって。ありがとうね、雛菊さん」
唯の感嘆したような声と満面の笑みに、雛菊はポリポリと赤い頬を掻く。一緒に住んでそこそこ経つのに、少しでも褒められるといつも赤面してしまう。唯のことになると照れ屋になってしまうのは、いつまで経っても変わらないようだ。
「五輪塔も作ってしまいます? 墓地の定番ですし、材料ありますから」
「あ、お願い。こっち塗っちゃうから」
灰色のペンキで唯が墓石のペイントを始めると、雛菊はカッターで塔の形を作り始める。
「おい、あれ誰だ?」
「稲田の従兄弟らしいよ。何度か稲田が喋ってただろう」
「ああ、あれが例の……しかし、何だか竜宮先生と仲良くないか?」
色々と会話しながら作業に取り掛かっている唯と雛菊を見て、男子生徒の一グループが噂話を始める。学校では常に厳しい顔をして、めったに冗談も言わない雛菊が唯とお喋りしながら作業をしているのだ。おまけに時たま、心底楽しそうな笑顔を見せる。終始明るくほんわかした雰囲気なのだ。遠くから見ると二人は仲の良い姉弟、もしくは年の離れた恋人同士に見える。
「そもそも、何で竜宮先生がうちのクラス手伝ってるんだ?」
「わかんねー。今日、日曜だろ? 宿直だっていう話も聞かないし」
「一体、何がどうなってるんだ?」
男子生徒達はわけがわからず、作業を止めて、笑い合っている唯と雛菊を見ているしかなかった。
「だーれだ?」
突然目を塞がれた唯は、危うく絵の具を取り落としそうになる。だが、何とか他の場所に色を引っ掛けることなく、事なきを得た。
「早苗さんでしょ」
「はい、正解。唯君、調子はどう?」
隣の席を引いて、早苗がニコニコしながら唯の傍へと座る。
「早苗さん、他の手伝いはいいの?」
「まあ、クラスが違う私はお邪魔虫みたいなものだしね。どうしても友達とのお喋りばっかりになっちゃうから、とりあえず引き上げてきた。手伝うよ」
ブラシを手に取ると、早苗は唯と同じように発砲スチロールに色付けを始めた。
「ありがとう。助かるよ」
「それに、雛菊と唯君が随分と楽しそうだったからねー。ちょっと邪魔したくなっちゃった」
早苗がにっと笑うと、雛菊は少しむっとした表情を見せる。
「分かっているなら、邪魔するな」
「わお、雛菊にしたら大胆な発言だよね。唯君ともっとイチャイチャしたい?」
「……したい」
「雛菊も素直になってきたねー。じゃあ一緒にイチャイチャしちゃおうか」
早苗が混じったことで、両脇を美女と美少女に挟まれた唯の周りが、ますます華やかになる。お互いに仲良く談笑している姿は、モテモテの男子を囲むグルーピーのようだ。
「おい、土田まで混ざってるぞ」
「う、羨ましい……」
「ち、畜生、混ざりたい……」
爆乳の美女と美少女に挟まれている唯に、男子生徒は本気で悔しがる。恐れられている体育教師と人気者の女子という組み合わせは多少の違和感があるが、それでも男子垂涎のプロポーションの持ち主という点では一緒だった。傍から見てもイチャイチャしているようにしか見えない三人に、男子達は息を吐く。
「ふふふ、唯様。調子はいかがですか?」
背後から声をかけられて、唯は後ろへと振り向く。
「あ、ミシェルさん。いいですよ、順調です」
「本当ですか? それは何よりです」
ミシェルは周囲の目にも構わず、背後からギュッと唯に抱きつく。片手で包むのが難しそうな巨大な胸が少年の頭を挟んで、むにゅっと潰れる。
「おい、唯様の邪魔はするな」
「いいじゃない。唯様だって、ちょっと一息入れたいでしょうし」
雛菊が不機嫌そうに、主を背後から抱き締めるミシェルを注意する。雛菊の棘がある言葉に不満があるらしく、ミシェルは少し唇を尖らす。
「いや、ミシェルさん。ちょっとこれじゃ緊張しちゃうよ」
「ははは、ミシェルは露骨すぎるんだよ。もっとさり気なくスキンシップしないと」
早苗は言葉通り何気ない様子で唯に寄りかかり、胸を押し付ける。動きは自然を装っているが、しっかりと早苗の柔らかい胸が当たっているので、唯は余計にドキドキしてしまう。
「ずるい……唯様……」
欲求不満になったのか、雛菊はさり気なく唯の手を取る。そしてそのままそっと自分の胸に押し当てる。
「ちょ、ちょ、ちょっと雛菊さん!」
「唯様……」
「お、落ち着いて。ね、ね」
三人の美女達に誘惑されて、唯は焦ってしまう。家のリビングならともかく、今は学校なのだ。どう見ても不自然すぎる、というか疑われてもおかしくないような状況だ。おまけに雛菊とミシェルは今いる学校の教師で、早苗は生徒だ。
「あ、す、すみません」
「雛菊って、時たま凄く大胆よね。ちょっと呆れちゃうわ」
自分が何をしたかわかって、慌てて雛菊は唯の手を解放する。ミシェルはそんな彼女を不思議そうに見やる。
「そうそう、この前は唯君がシーツに零したザーメンとか、ペロペロ舐めてたし」
「なっ!? み、見てたのか!?」
「あのね、集団でエッチしてるんだから、見られるなんて当たり前でしょう」
早苗とミシェルの突っ込みに、雛菊は茹蛸のように赤くなってしまう。過激な猥談に唯も少し頬が赤い。
「いま、竜宮先生の胸触ってなかったか?」
「み、見た……う、嘘だろう?」
「い、一体何がどうなっているんだ!?」
どう見てもスキンシップを超えたことをやっている四人に、男子のグループはパニックになってしまう。普段から生徒には猛烈に厳しい雛菊、色気は振り撒いているが生徒には指一本手出しをさせないミシェル、それにフレンドリーだけど告白は片っ端から断っている早苗を少年一人が独占しているのだ。まるで超人気ホストのような唯に、今やクラス中の視線が集まっていた。
「おまえらー、ちゃんとやってるか!?」
そんな中、一人の教師らしき男が教室へと入ってくる。一目で体育教師だとわかる厳つい身体をした中年教師は、偉そうに周囲を見回す。
「折角の休日に付き合ってやっているんだ。他校の生徒共々、しっかり働けよ」
偉そうに大声を出す教師に、生徒達は眉を潜める。
教師の名は熊田と言い、稲田が居るクラスの担任だった。常に傲岸不遜な態度で接するので、生徒達には不人気だ。身体も容姿もゴツイので、ゴリ熊などという不名誉なあだ名で生徒は影で呼んでいた。
「あら、熊田先生。こんにちは」
「や、こ、これはミシェル先生。居られたんですか、これは失礼」
ミシェルが立ち上がると、途端に熊田はペコペコと頭を下げた。ミシェル自身がファーストネームを好むので、生徒と同じく熊田も彼女を名前で呼んでいる。
「竜宮先生もご一緒ですか。今日は一体何でまた学校に?」
「稲田君に誘われまして。ちょっと興味があったのと、一応生徒の指導をと思いまして」
「そ、そうですか。それは大変熱心で……よろしければ少し一服しませんか?」
「いえ、もう少しここに居ます。日本の学校の文化祭には興味があるので」
顔を赤らめてしどろもどろする熊田の誘いを、ミシェルはあっさりと断る。熊田がミシェルを密かに狙っているというのは有名な話だが、ミシェルは上手に彼をあしらっていた。
「ミシェル、一応それらしく削ってみたが、どう思う?」
「あ、結構上手くできてるわね。さすがは雛菊だわ」
雛菊が絶妙なタイミングで声をかけ、ミシェルが上手くそれに乗る。雛菊はこういうコミュニケーションの駆け引きはそれほど上手く無いが、ミシェルと協力して余計な虫が自分達につかないように努力していた。発砲スチロールの造形について熱心に話し合うミシェルと雛菊の様子に、熊田は彼女との話題を広げる機会を失う。仕方なく熊田はクラスをウロウロと歩き回る。
「あの男もしつこいな。よっぽどお前にご執心のようだ」
「まったく嫌になっちゃうわよ」
熊田が少し離れると雛菊とミシェルがこそこそと話し合う。
「あ、唯様。あの男と私は何も無いですから」
「うん、わかってる」
「良かったですわ。ちょっとでも疑われていたら、どうしようかと思いました」
「あはは、それは無いって。ゴリ熊とミシェルとじゃ、どう見ても釣りあわないよ」
ウィンクするミシェルに、唯と早苗は苦笑する。金髪美女のミシェルとゴリラのような容姿の熊田が釣りあうとは、誰が考えても難しかった。中学生の唯もミシェルとはあまりお似合いのカップルとは言えないが、最近は彼にもミシェルの彼氏であるという自負心のような物が生まれてきている。
熊田が居るのであまりイチャイチャできないが、それでも四人はコソコソとお喋りしながら作業を続行した。
「おーい、唯。作業は、はかどってるか?」
唯が墓石などのオブジェクトを仕上げ終わった頃に、ちょうどタイミング良く正がやってきた。熊田は手持ち無沙汰になったためか、既に何処かへ去っている。
「お、すげーじゃん。上手くできてるなー」
墓石などの色具合や形を見て、正が素直に感心する。色つきは絵の具の少なさもあってまあまあだが、形としては見事に出来ていた。稲田家之墓という文字は、この際気にしないことにしたらしい。
「雛菊さんと早苗さんが手伝ってくれたから」
「へえ、竜宮先生が手伝ったんだ」
「まあ、そのために来たようなものだからな」
意外そうに言う正に、新しく発泡スチロールで切り出した卒塔婆を塗っていた雛菊が、ぶっきらぼうに答える。
「ミシェル先生も手伝ってくれたの?」
「私は監督してたわ」
「こいつは単に冷やかしてただけだ」
正の質問にミシェルは笑顔で答えるが、雛菊がすぐに突っ込みを入れる。実際、ミシェルは唯とお喋りしていただけで、何もしていない。
「とりあえず、一旦休憩入れてくれよ。これだけ出来てれば文句無いし」
「そう? じゃあ、ちょっと一息入れようかな」
「そうだねー」
唯と早苗はぐっと背を逸らして伸ばす。四人で色々と話をしながら作業していたので、それほど疲れたという感じは無かったが、正の提案に素直に乗ることにした。
「唯様、校舎を見学しません? 色々案内しますよ」
「それはいいな。唯様、行きましょう行きましょう」
ミシェルの提案に、珍しく雛菊もはしゃいで唯を誘う。二人とも自分の職場を唯に深く知って貰いたかったのかもしれない。
「うん、行きたい。二人とも案内してくれる?」
「ボクももちろん行くよ。二人して抜け駆けは無しだからね」
唯はミシェル、雛菊、早苗に誘われて廊下へ出て行く。楽しそうな従兄弟の姿に、仲がいい正も自然と嬉しくなった。だが、そこではっと気がついた。
「何でミシェル先生も雛菊先生も、ずっと唯様って呼んでるんだ? 何か納得いかないなー」
すっかり慣れていたが、どう見ても恐ろしく不自然な事実に正はうーんと首を傾げた。
「遊学館高校って広いんだね」
「ええ、生徒数が結構居ますからね」
「そっかー。じゃあ先生達は大変だね」
「そうですね。校外学習の引率とかは、色々と苦労します」
唯の前を雛菊が歩いて、色々と説明して回る。いつも学校では厳しいという雛菊だが、今は柔らかな笑みを浮かべていた。唯を案内して回るのが、よっぽど楽しいらしい。嬉しそうな雛菊に遠慮して早苗とミシェルは時たま説明を補足する程度だが、その代わりに唯を両側から挟んで腕を組んでいる。
校舎を上がったり下がったりしながら三人はあちらこちらを回る。そして十五分近く経過したころ、
「あれ、竜宮先生じゃないですか?」
教室の中から廊下へと一人の男が出てくる。眼鏡をかけた人の良さそうな青年で、白衣を着ているところを見ると教師のようだ。出てきた教室のプレートが科学室となっているので、化学を教えている教師かもしれない。
「梅田先生、こんにちは」
「奇遇ですね。休日に居られるとは思いませんでした」
雛菊が軽く頭を下げると、梅田と呼ばれた青年も挨拶を返す。
「ミシェル先生まで。今日はどうかなされたんですか?」
「生徒が文化祭の準備で来ているというので、ちょっと様子を見に」
「へえ、そうでしたか」
雛菊と話をしている青年は嬉しそうに笑う。その目にはミシェルや早苗、それに唯も入って居ないようだ。
「僕も生徒に頼まれてしまいまして。よろしければ一緒に行きませんか?」
「いえ、ちょっと生徒を一人案内しているので……」
にっこりと笑う青年教師に、雛菊は困ったように答える。普段は超然としている雛菊でも、教師としての体面などがあって無下に断れないようだ。
「そうそう、雛菊さん。案内がまだ途中なんだから。ねっ、行こう」
「えっ? あ、唯様!」
唯が雛菊の腰に手を回すと、ぐっと掴んで引っ張って行こうとする。突然の出来事に雛菊はもちろん、梅田も驚いたまま固まってしまう。かなり強い力で引かれたので、雛菊も仕方なしについて行く。
「し、失礼します、梅田先生」
「あ、竜宮先生」
唯に引っ張って行かれる雛菊を梅田は引きとめようとするが、言葉が出て来ない。
「梅田先生、それでは失礼しますね」
「またね、梅田先生」
軽く別れの挨拶だけ残し、ミシェルと早苗が続けてその場を去る。雛菊ばかりに意識が行っていた梅田は何が起こったのかわからず、呆然としてしまう。
「ゆ、唯様!? ど、どうなされたんです?」
訳がわからないのは雛菊も同様だ。先程の割り込み方は普段の唯とは思えない。
「いや、ちょっとね……」
「うふふ、唯様ったらヤキモチですか?」
言葉を濁した唯の心情をミシェルがズバリと推測する。
「そうだよ、ヤキモチ。男の嫉妬は見苦しい?」
にっと笑って開き直る唯に、雛菊はドキリとしてしまう。
「い、いえその……し、嫉妬して貰えるなんて……。ゆ、唯様、嬉しいです」
「雛菊いいなー。ボクもちょっとは嫉妬して欲しいくらいだよ」
顔を真っ赤にして恥らう雛菊を、早苗がクスクス笑いながら肘で突付く。
「早苗さんと静香さんは両方とも僕の恋人なんだから、嫉妬したくても出来ないって」
「あはは、まあそれもそうだね」
「しかし、唯様も嫉妬ですかー。私も気をつけないといけないですね」
唯を囲んで早苗とミシェルが笑い合う。雛菊だけは、先程唯が取った行動によっぽど心を打たれたのか、まだ顔がぽーっと赤い。
「あ、ちょっとごめん。トイレ行きたくなっちゃった」
通りがかった男子トイレを目にして、唯が入ろうとする。
「へ? わ、わわっ!?」
すると唯はいきなり雛菊、ミシェル、早苗の三人に後ろから背中を押された。訳がわからないうちに、トイレの狭い個室に押し込められてしまう。
「ちょ、ちょ、ちょっと。どうしたの、みんな?」
遊学館高校のトイレは、障害者でも使い易いように少し広めに設定されている。それでも四人も入ればすし詰めみたくなってしまう。
「ふふふ、唯様が悪いんですよ。こんなに楽しく過ごしたら、ちょっとエッチしたくなっちゃうじゃないですか」
「折角学校でデートしてるんだから、こういうシチュエーションもいいでしょ」
慌てる唯にミシェルと早苗がにっこり笑いかける。ミシェルは便器に腰掛けると、唯の細い体を抱いて膝の上に乗せた。彼女は腰から回した手で、唯の腹や胸を繊細な手つきで撫でる。
「唯様……申し訳ありません。でも、私もドキドキしてしまってるんです」
恍惚とした表情で雛菊が唯に訴えかける。赤い顔をした彼女は、まるで熱があるように見える。
「ひ、雛菊さん!?」
跪くとズボンの上からそっと股間に口付ける雛菊に、唯は驚く。これほど積極的な雛菊を、唯はほとんど見たことがない。自分でも驚くほど、彼の体内で心臓の鼓動が速くなっていく。
「あらあら、雛菊ったら」
「さっきのがよっぽど嬉しかったらしいね」
ミシェルが制服のボタンを外すと、ワイシャツ越しに唯の乳首を指で撫でる。早苗は唯の顎を軽く持ち上げると、角度を僅かに曲げて少年の唇を奪う。
「ん、んんっ……んぅ……」
体の三点を責められて、唯は思わず少女みたいなくぐもった声を出してしまう。特にめったに触られたことのない乳首を、重点的に愛撫されているのが効いた。唯の身体が熱を帯び、股間が硬くなっていく。
「唯さま……大きくなってる……」
ズボンのジッパーを下げて、雛菊が唯のペニスを出そうとする。だがそれだけだと股間が苦しそうなので、彼女は思い切ってベルトを外すとトランクスごとズボンをずり下ろした。
「あ、ひ、雛菊さん……」
「唯くん、雛菊に任せなよ。折角の女の子の気持ちを大事にしなくちゃダメだよ」
早苗は優しく諭すと、再び唯に口付けする。早苗は唯の口内へと舌を侵入させると、歯茎をペロペロと嘗め回す。自分の舌と違い、他人に口内を舐められるのは身体がゾクゾクする。
「ん、んんっ、んう……んんー!」
「唯さま……ん、あむっ……」
雛菊は唯のペニスが露になると、躊躇無く口に含んだ。唯が出した先走りの汁が口に溶け、雛菊はますます恍惚としてしまう。たっぷりと温かい唾液を口に含んで唯のペニスにつけると、雛菊は舌でシャフトを舐め始める。
「あ、うー……ん、んんー、んー!」
「ちゅぴ……あむ、ちゅむ……くちゅくちゅ」
雛菊が舌先で亀頭のカリをなぞるように舐めまわす。クルクルと器用に回る舌の感触に、唯は思わず腰が跳ねてしまいそうになり、必死に快感に耐えようとする。早苗に塞がれている口の中から、軽い悲鳴が漏れた。
「唯さま、今日は特に興奮してますね。心臓が凄い音を立ててますよ」
ミシェルが唯の耳元に囁き、ペロペロと彼の耳を舐める。先程から唯の身体がビクビクっと反応しているのを、ミシェルは密着した全身で感じていた。彼女は少年の耳をたっぷりと唾液で濡らし、耳の穴にまで舌先を入れてくすぐってしまう。
「んくぅ……んっ、んう……んー!」
「ん、んっ……はふぅ……あむ……」
「ん、くちゅくちゅ、あむ……んちゅ……」
「ん、んう。唯さま気持ちいいですか? 凄い刺激的でしょ」
唯は早苗、雛菊、ミシェルに責められて、文字通り悶絶してしまう。二人の美女と一人の美少女に一度に奉仕してもらうなど、一般的にはまず有り得ない。常人では味わえない快楽に、唯の体はおかしくなりそうだった。おまけに雛菊とミシェルは学校の教師でスーツ姿、早苗は生徒でブレザーなのだ。このシチュエーションで、興奮しない方がおかしい。
「ん、ん……んんっ、んん!」
限界に達した唯は雛菊にそのことを伝えようとする。だが口を早苗に塞がれているために声が出せない。音を自在に操れるというのに、咄嗟に技を使うことも忘れてしまい、くぐもった声を大きく上げることしかできなかった。
どぴゅ、ぴゅるるる、どびゅ、びゅっ
「ん、んう……あくっ……うぐっ」
何の前触れも無く出された精液は雛菊の咽喉奥へと直撃し、異物に反応して咽喉がむせて白濁液を吐き出そうとした。だが意志の力でそれを押さえつけ、雛菊は唯のペニスを咥え続ける。
「ん、あむ、あむ、あむ……んんっ……」
亀頭の裏筋を舌でなぞり、雛菊は唯の射精を促す。尿道からたっぷり過ぎるほどの精液が彼女の口内へと排泄される。
「うげ、げほっ、げふっ……」
唯が長い射精をし終わると、それを待っていたかのように雛菊はむせかえった。咽喉の奥に絡まった粘液を吐き出そうとする。
「ひ、雛菊さん! 大丈夫?」
「ん、んぐっ……だ、大丈夫です」
雛菊は咳をしても唯の精液を一滴も吐き出さなかった。唾液を混ぜて多少薄めると、ゴクリと飲み干してしまう。そんな雛菊の献身に、唯は胸が痛くなるほど心臓の鼓動が速くなっていく。
「雛菊、やるわね。随分と成長したもんだわ。唯様、雛菊の愛情に応えてやって下さい」
「えっと……」
ミシェルの言葉に戸惑う唯に、雛菊が息を荒げて彼の正面へと立つ。
「唯さま……お情けを下さい……」
熱い吐息を漏らして、雛菊が近づく。スーツの上とシャツのボタンを外し、ブラジャーを上へとずらす。乳房を剥き出しにすると、邪魔だと言わんばかりにショーツを脱ぎ捨て、雛菊は唯を跨いだ。
「唯さま……よろしいですか? わ、私、もうおかしくなりそうで」
「うん、雛菊さん。たっぷり楽しんで」
唯のゴーサインが出たので、雛菊はペニスを持ち、狙いを定めてゆっくりと腰を落としていく。
「あ、ああああぁ!」
唯のペニスがズブリと刺さると、雛菊が思わず声を出す。便所中に響くような声に、早苗が慌てて彼女の口を塞がなくてはいけないくらいだった。
「ちょ、ちょっと、ひ、雛菊……」
「あ、ごめん……でも、でも……」
注意する早苗に雛菊は涙目で謝る。耐えられないように唯の上で雛菊は腰を振り始め、自らの欲望を消化しようとする。
「あ、ああぁ……ん、んう……あくっ……ああっ、止まらない!」
雛菊は自分でも浅ましいと思うくらい、唯のペニスを堪能しようと腰を動かしてしまう。前後左右、回転も加えて硬くなったペニスで膣を必死に刺激する。膣壁をシャフトが擦る度に、快感によって雛菊の目から涙がこぼれ落ちていく。
「ん、ああぁ……唯さま、ごめんなさい、ごめんなさい。わ、私、こんなに淫乱になって……幻滅しないで……見捨てないで」
「何言ってるの? 僕は雛菊さんを愛してるよ」
「あ、ああぁ……唯さま、わたし、わたし……」
感極まったように雛菊は唯の唇へとむしゃぶりつく。ペニスが膣穴を前後して擦る度に、唯への想いが高まっていく。言霊の力を使っていないのに、唯の言葉は雛菊の胸を熱いもので満たした。唯も雛菊の涙に、体全体が熱くなってしまう。
「雛菊、自分だけ気持ちよくなっちゃダメだよ。少し我慢しようね」
「早苗……うん、唯さまのためなら、我慢する……」
早苗の優しい言葉に、泣いている雛菊は素直に従う。雛菊のお尻を掴んで腰を上げさせ、早苗は一旦彼女からペニスを抜く。
「唯くん……こういうのってどうかな?」
「え? ああっ」
早苗がペニスを口に含むと、ペロペロと嘗め回す。雛菊の愛液を美味しそうに舐めとり、早苗はすぐにちゅぽんと口を離す。
「ふぁぁぁぁっ!」
「あうっ!」
早苗に導かれて、再び唯のペニスが雛菊の中へと潜り込む。ズルリと膣壁の凹凸を亀頭のカリ首が擦りあげると、雛菊に電流が奔ったかのように身体が小さく痙攣する。唯もシャフトが擦られる感触に、腰がガクガクしてしまう。
雛菊の奥までペニスが届くと、早苗は再び雛菊の綺麗に整った丸い尻を上げさせる。
「ん、あむっ……ん……」
そして唯の肉棒を口に咥えると、新たについた雛菊の分泌液を嘗め回す。二度ほどシャフトを往復すると、すぐさま唯の陰茎を解放してやる。
「ふぁぁぁぁあ、こ、これいいの」
「う……ぼ、僕もいい……」
雛菊に唯が同調する。柔らかな膣ときゅっとすぼめた口を交互に味わう感触に、唯が体を震わす。上と下の口が奏でるコントラストに、ペニスが歓喜の叫びを挙げ続ける。唯には未体験の快感だった。
「ああっ……雛菊さん……早苗さん……」
「唯さまぁ……す、凄いの。こんなの感じたことない……」
「ん、あむ……あう……唯くんが気持ちいいなら、ボクも嬉しいよ」
雛菊の膣が胎内に入るペニスを何度も嬉しそうに迎え入れ、膣壁で締め付けて歓待する。早苗の口が唯の亀頭をしゃぶり、巧みに這い回る舌ときゅっとすぼめた唇でシャフトへとご奉仕する。あまりの気持ちの良さに、唯は何が何だか訳がわからなくなっていく。唯一、唯の理性を保つための手助けをしてくれているのは、優しく髪を撫でるミシェルの手だけだった。
「ああっ、唯さまぁ……雛菊はもうダメです! あ、ああっ、あふ、い、イキます……イキます」
「ぼ、僕ももうダメ……あ、ああっ」
びゅるるるるる、びゅしゅっ、びゅくびゅく
ペニスが自分の最奥を突付き、子宮口目掛けて精液を吐き掛けた瞬間、雛菊は唯に思いっきり抱きついた。
「い、イクぅぅぅぅぅぅう、ふ、ふはぁぁ!」
精液を最後の一滴まで搾り出そうとするかのように、雛菊の膣が括約筋を使ってシャフトの根元から先までグッと締め上げた。雛菊自身も唯に痛いほどに力を込めて抱きつき、子宮の奥へと精子をおねだりする。クッションの如く柔らかな胸が唯に押し付けられ、シャツ越しに雛菊の硬い乳首を感じる。
「ふ、ふぁぁぁ……唯さまぁ……」
ピクピクとペニスが縦に動き、最後の一滴までも熱い子種汁を注ぎ込むと、雛菊は満足そうに桃色の溜息を吐き出す。心と体が一杯に満たされ、雛菊はもう何もいらなかった。自然と腰が浮き、ペニスが雛菊の体内から排出される。
「ふふ、これ待ってたんだよねー。いっただきまーす」
「えっ……あ、あ、あぅ……」
雛菊の丸みを帯びた尻が持ち上がると、早苗は彼女のヴァギナへとしゃぶりついた。
「あ、ああっ、早苗、やめ、やめて……あ、あはぁ……」
花弁の中へと舌先をぐっと押し込み、早苗は雛菊の陰唇全体を吸いたてる。吸い込む力に乗って、愛液と絡んだ精液が早苗の口へと流れ込む。
「ん、んくっ、あむっ……」
「ひ、ひあぁぁ、やめて……お、お願い、やめて……」
まるで高級酒を飲むように、早苗は笑顔で唯と雛菊が出した分泌液のミックスジュースを飲み込んでいく。中へ溜まった精液を無理やり出される異質な感触に、雛菊は気がおかしくなってしまいそうだ。気持ちいいのだが、同性の口に吸われているという事実と、唯から折角貰った精子を盗られていくということが、雛菊の胸を刺す。唯に抱きついて、彼女は未知の快感を耐えようとする。
「んちゅ……ぷはぁ……ごちそうさま」
「あん……早苗、酷い……」
愛する人の精子が一杯詰まったエキスを奪われて、雛菊は顔を歪める。
「まあまあ、もう一回唯くんに精液をオマンコにご馳走して貰おうよ」
悲しそうな雛菊の頭を撫でて、早苗があけすけに提案する。
「今度は私達も可愛がって下さい、唯様」
「うん、わかった」
唯を立たせると、ミシェルと早苗は上着を脱ぐと、シャツの前をはだけてブラジャーを外す。二人はショーツを足から抜いて、床に捨てると半裸になってしまう。便所というシチュエーションもあって、三人の姿に唯は更に興奮してしまう。
「さてと……上手くいくかしら?」
ミシェルは便器に深く腰掛けると、開いた股の上に早苗を股を開かせた状態で乗せた。その際、スカートはぐっとたくし上げる。そして雛菊を早苗に抱きつくように上へとトッピングする。美少女を美女で挟んだ特製サンドイッチが見事に出来上がった。それぞれの巨乳が押し潰されて、扇情的で卑猥な光景を作り出す。
「唯様、どうぞお召し上がり下さい」
二人分の体重が乗っていることを感じさせず、ミシェルが唯を誘惑してくる。美女達三人の秘唇が唯に晒されて、下の口を開いて少年を挑発する。
「それじゃ、いただきます……これでいいのかな?」
軽くちゃかしながら、唯が三人へと近づく。唯は床のタイルに膝をつくと、ミシェルの太ももに手をかける。
「ふ、ふあ……唯さま!?」
ミシェルの股間を唯の舌がゾロリと舐め上げる。てっきり挿入されると思っていた金髪美女は、舌の温かな感触に驚きの声をあげた。
「ひゃん……ゆ、唯くん!?」
「あ、あふぅ……唯さまぁ……」
唯の舌は股間を伝い、三人の鼠蹊部に沿ってズルズルと上がっていく。思わぬ舌による攻撃に、ミシェル、早苗、雛菊の胸がドキリとしてしまう。
「あ、あふ……ゆ、唯さま」
「そ、そんなとこ汚いよ」
「唯さま、そこまでしなくても……あ、ああっ」
尻の谷間まで舌先でなぞられて、ミシェルと早苗、そして雛菊の顔が羞恥心で赤く染まる。だが自分達が仕えている主に、尻を舐めて奉仕してもらっているという出来事に、逆にゾクゾクしてしまうのも確かだった。ある種、優越感のようなものが刺激されているに違いない。
「ふ、ふぁぁぁ、ゆ、唯さま、そこそこ」
「やん、そんなにしちゃダメ」
「ゆ、唯さまぁ、ま、まだ敏感だから、優しく……ああっ!」
唯は唾液で三人の尻と膣の割れ目を唾液まみれにすると、今度は一人づつのヴァギナへとしゃぶりついた。一人一人の膣穴を舌でほじり、愛液を吐き出させる。
「ん、美味しいな……」
「そ、そんな……恥ずかしいよ」
赤くなる早苗に構わず、唯はひたすら交互に陰唇を舐める。三者三様に違う味の愛液をテイスティングして、たっぷりとその違いを味わう。かなり濃くてしょっぱい愛液は、唯にとっては愛しく、最高のドリンクだった。
「ふ、ふわぁ……ゆ、唯さまぁ……」
「も、もうダメだよぉ……」
「入れて下さい。も、もう一度お情けを下さい」
「おっけー。たっぷりと味わってね」
三人の従者による哀願に、唯は快く応じる。唯は雛菊の太ももに手をつくと、ズブリとミシェルに挿入した。
「あ、ああっ! ゆ、唯さま……お、オチンチン素晴らしいです」
金髪美女の高い叫びと、蕩けそうに熱く柔らかいヴァギナを唯はしばらく味わう。そして次に早苗の中へと肉の槍を突き刺す。
「ふあん……ぼ、ボクも凄い気持ちいいよぉ。や、やっぱり唯くんは最高だよぉ」
若い女子校生の甘い声と、瑞々しい弾力のある膣壁にペニスを滑らせて、唯は自分自身を愉しませる。そして最後に雛菊をペニスで再び犯す。
「は、はぁ……唯さま、ありがとう……何度もして貰って、雛菊は幸せです」
和風美女の嬌声と、程よくしまって肉棒を愛撫する括約筋を唯はたんのうする。ぐちゅぐちゅと雛菊の中を掻き混ぜると、再びミシェルへと唯は襲い掛かる。
「あ、あん……ん、はぁはぁ、とってもいいです……ふぁん」
「はん……ゆ、唯くんのオチンチン凄いよぉ、蕩けちゃうよぉ」
「あ、ああっ、わ、私も、おかしくなりそう」
テンポ良く唯は三つの膣を渡り歩いて、三人の秘部で遊ぶ。ずっと挿入されているわけではなく、間隔を置いたインサートだが、リズムの良い動きにミシェルも早苗も雛菊も身体が昂っていく。逆に普段とは違いインターバルを置くため、かえって長くペニスを味わうことが出来て、より深い満足感があった。
そんな幸福だった三人の身体が固まった。
「ふんふん、ふ、ふふーん、ふふふふ、ふーんふーん」
鼻歌混じりで誰かがトイレに入って来たのだ。さっきまでの興奮が止まり、ミシェル、早苗、雛菊の三人は一斉に口を塞いで息を押し殺した。だが、そんな三人とは逆に、唯はとんでもない行動に出た。
「あれ、もしかして正兄さん?」
「お、唯か。どうした、腹の具合でも悪いのか?」
何気ない調子で声をかける唯に、正も脳天気に返事する。主の言葉に三人は心臓が止まりそうなほど驚愕する。少年の行動は余りにリスクが高い。
「いや、お腹の調子は大丈夫だよ。別にそのことでトイレに来たわけじゃないし」
「は? じゃあ、何のために来たんだ」
「ミシェルさんと早苗さんと、雛菊さんとセックスするため」
唯の台詞に、三人は文字通り死ぬほど驚いた。心臓の鼓動は速まり、悪魔と戦う以上の緊張感と危機感に体全体から汗が噴き出る。唯が性交しているという事実を正に伝えたのが信じられなかった。
そんな三人をあざ笑うように唯が腰を振り始める。
「ん、んう、んく……」
「ん、んー、んー」
「あ、ん、んっ、んんんんー」
無我夢中で三人は自分の口を押さえて喘ぎ声を押し殺す。異常な状況と危機で既にアドレナリンが大量に分泌していた体は、ピストン運動で動きまくるペニスによる刺激でおかしくなっていく。心臓がバクンバクンという恐ろしい音を立て、ミシェルも早苗も雛菊も自分がこのまま死んでしまうかと思った。
「唯、おまえたまに凄いこと言うなー。そうかー、唯もそんな冗談を言うようになったかー」
「あはは、冗談じゃないって」
用を足しながら軽く応じる正と唯は談笑する。そんな中、唯はピッチを上げて腰を振り始めた。
「ん、んぐー、んぐー!?」
「ん、んんっ、ん、んー!」
「ん、んん、んん……」
パンパンと腰と腰がぶつかり合う音が大きく響いて、三人の耳を打つ。その音は恐怖の響きとして三人を襲った。唯の行動が理解できず、美女達は最早何が何だかわからなくなってしまう。腰を強くぶつけられる度に心臓を針のような快感が穿ち、恐ろしいほどの刺激が体を走る。恐怖と快感がない交ぜになって、ガーディアン達は気が狂いそうだった。
「まったく、そんなこと言ってると竜宮先生やミシェル先生にチクるぞ」
「いや、それはちょっとまずいなー」
「土田とかも聞いたら、マジでどん引きだって。妄想も程々にしとけよー。まあ、あんなおっぱい大きなお姉ちゃん達と住んでたら、無理っぽいけどな。それじゃまた後でなー」
信じられないことに、正は唯の話を受け流し、手を洗って出て行ってしまった。ミシェル達はひたすら混乱し、目を見開いて唯のピストンによる快感を受け止めるしかない。
「いじめてごめん。安心してもいいよ。本当にごめんね」
唯の優しい言葉に、三人は一斉にたがが外れた。
「うああぁぁぁぁ、あっ、あっ、ああ」
「ひぁぁぁぁ、うくっ、あ、くっ」
「は、はぁぁぁぁぁん、ひ、ひ、ひあああああぁ」
ミシェルがまずは達し、次にペニスを貰った早苗が続いてエクスタシーを感じる。そして最後に陰茎を突き込まれた雛菊がイッた。絶叫に近い声がトイレ中に響いても、三人とも自分達が叫んでいるとは気付かなかった。
どびゅるるるる……びゅっ、びゅしゅっ……どくんどくっ
唯の射精を受けても、三人とも何も考えられない。雛菊が最初の勢いある射精を受け止め、続けて挿入された早苗がたっぷりと精液を体に飲み込み、最後にミシェルが残滓を注ぎ込まれた。
「ゆ、唯さまぁ……」
「大丈夫、大丈夫、大丈夫だから」
快感の余韻にも恐怖が勝ってしまっている三人の腿を順に撫でて、唯はそれぞれを宥める。涙でぐしゃぐしゃになった顔の三人に対し、唯は子供をあやすように何度も声をかけて安心させてやる。
唯は自分の能力で完全に音を個室内に留めていた。三人とエッチを楽しみ始めてすぐに防音は発動したため、誰が来ても大丈夫なようにしていたのだ。もし声をかけなかったら、正が気付く確率はほぼ皆無だったに違いない。あえて声をかけたときには、足がタイルを擦る音や、踏ん張るような声を正に聞こえるようフェイクとして混ぜた。いかにも排泄していますという雰囲気に正は完全に騙された。
「本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫」
「……良かった」
「え? わわっ、ちょっとタンマ!」
心底安心した三人の体が緩んだ瞬間、股間から液体がチョロチョロと漏れ始める。唯は慌てて横に避けて、何とか制服が汚れることだけは避けることができた。
「はい、もしもし。唯、どうした?」
携帯のディスプレイで従兄弟と確認した正が、通話ボタンを押す。彼はトイレから教室にとっくに戻っていた。
「あ、正兄さん。実はね、学校を案内して貰ってたんだけど、僕がここを気に入ったって言ったら、ちゃんと入学について説明してくれるって、ミシェルさんと雛菊さんが言ってくれて」
「ほうほう、そっかー」
「それで、ちょっと悪いけど、もう手伝えそうにないんだけど……いいかな? 早苗さんも付き合いたいって言うし」
「構わない構わない。どうせもうダラダラやってるだけだし。充分作業は進んだからな」
「そうなんだ。じゃあ、今日はこれで失礼するね」
「おう、ご苦労さま。後輩になってくれるの、楽しみにしてるからな」
正との通話がプツリと切れる。
「はぁ、困ったなー」
唯は制服のポケットに携帯を放り込むと、弱ったように溜息をついた。
「唯さま……連絡は終わりましたか?」
「早く来てよ……もっと精子頂戴」
「唯さま、もっとしたいんです」
唯はまだトイレの個室で、三人の下僕と共に居る。だが先程とは様相が少し変わっていた。
ミシェルも早苗も雛菊も、全くの全裸だ。服はともかく、靴やソックスなども履いていない。脱ぎ捨てた服は唯が何とか畳んでタンクの上に纏めたが、ショーツは既にグショグショなので、諦めた。この場に居るガーディアン全員の体中がザーメンにまみれていて、精液独特の香りを放っている。
「唯さま、私達は唯様専用の精液便所ですから」
「オマンコの中に好きなだけ精液出していいんだよ。トイレみたいに使って」
「オシッコでも膣内に受け止めます。唯さま、好きにして下さい」
うっとりとしながら三人の美女と美少女は卑猥な言葉を唯に投げかける。正が去ってから既に一時間以上、唯は三人と何度も立て続けてセックスしていた。だが意識が朦朧として理性のリミッターが外れた三人は何度しても満足しなかった。おまけに全裸になって、自分達を便器のように使って欲しいと言い出してしまった。
「ごめんね、ちょっと怖がらせ過ぎちゃったね」
トイレットペーパーを千切ると、唯は三人の体を拭く。どう考えても先程の恐怖が影響しているに違いない。刺激的なプレイだと思ったのだが、その刺激がどう見ても過ぎたのだ。
しかし精液便所という言葉に興奮して、唯は文字通り欲望を一杯彼女達に排泄してしまった。子宮を精液のミルクで満タンにして、それだけに飽き足らず顔や口、胸にお腹とザーメンパックしたのだ。唯は嬉しくもあったが、同時に反省もしていた。
「精液便所なんて凄いものになってくれてありがとうね。もう満足だから、一緒に帰ろう」
「はい……あれ、でもどうしましょう?」
ミシェルが僅かに理性を取り戻して、首を捻る。精液を拭き取ってもザーメン臭さは消せないし、ショーツは既に無い。服も畳んだとはいえ、かなりクシャクシャになっていた。電車に乗ったら、周囲に奇異の目で見られるのは間違い無い。
唯はポケットから携帯を取り出すと、あらかじめ登録されていた番号にかける。
「あ、もしもし楓さん? 悪いんだけど、ちょっと頼みがあるんだけど……」
携帯を首で挟んで会話しつつ、唯はぼーっとしている三人を順番に着替えさせていく。幼児に服を着せているように錯覚して、唯は苦笑するしかなかった。
「しかし、あのプレイは良かったですね。もう死んじゃうかと思いましたよ」
以前セックスをした男子便所の前を通り過ぎる際、ミシェルは思い出し笑いをしながら唯に声をかけた。
今日は遊学館高校の文化祭当日。一般参加が可能なこの日、唯は一週間ぶりに遊学館高校へと戻ってきた。ミシェルと雛菊、早苗の三人に、暇だった京、エリザヴェータ、麗、静香、楓の五人が加わって、唯と共に文化祭を見学している。
「確かに凄かったよね。もう意識がぶっ飛んじゃって、頭の中がグルグルだったよ」
「あ、いや……本当にあれは申し訳ないと思うよ」
早苗の明るい言葉に、唯は頭を掻く。
あの後、楓が迎えに来てくれて飛行能力で帰ることが出来たので、四人は事なきを得た。だが楓、もしくは影による移動が可能な円のどちらかが迎えに来てくれなかったら、とんでもないことになっていたかもしれない。
「唯様、いいんです。あのときは興奮し過ぎておかしくなっていましたが、私は……雛菊は幸せでしたよ」
珍しく女を感じさせる仕草で雛菊は唯に腕を絡める。唯は少し意外そうに雛菊を見ると、うっすらと笑って彼女の好意に応えた。
「しかし便所で羞恥プレイに精液便所か……」
「もうプライド捨ててるわねー。そりゃ、そうなった方が気持ち良いとは思うけど」
京と麗が全然めげたりしていない三人に、感嘆したような言葉を漏らす。
一週間前の晩に、フラフラになって帰ってきたミシェル達の惨状を見ているので、彼女達は正直あまり真似をしたいとは思わなかった。ただ唯がそういう風なプレイがしたいと言ったら、自分達でも喜んで男子トイレでのエッチや、彼専門の便器になってしまうのだろうと薄々とは感づいている。
「私は唯様のために精液便所になってあげたい」
「楓、そんなにストレートに言うな……おまえは本当に変わったな」
楓の素直すぎる言葉に、エリザヴェータは信じられないように首を振る。楓が何事にも無関心だったとは、もう信じられなかった。楓の中では、どうやってトイレに唯を引っ張り込むかの算段がもう出来ているのかもしれない。
「もう早苗ったら……そんなにエッチだとは知らなかったわよ」
「お姉さまごめんね。何なら今度一緒にやってみる? 凄いよ、あれは」
「……うん、機会があったらね」
早苗と静香のカップルがコソコソと内緒話を交わす。大人しい静香も、早苗から何度もいかに凄かったかを聞かされて、満更でもない様子だ。とてもではないが、普段の貞淑な彼女からは連想できなかった。
「おお、唯。やっと来たか。おかげさまで大盛況だぞ」
正が居るクラスの前へと唯達がやってくると、彼は従兄弟に笑いかけながら歩み寄ってきた。完成したお化け屋敷はかなり本格的に仕上がっている。廊下側の壁はおどろおどろしくデコレーションされており、入り口もまるで地獄へ続いているかのようだ。
「へぇ、凄いなー。少しでも手伝った甲斐があったかな?」
「うん、あの墓石とかは評判良かったぞ。ここまでいいものが出来たのは、唯や竜宮先生、土田とかのおかげだな」
正は一人で感心して、うんうんと頷く。こういうオーバーリアクションで人を褒めたりするところが、正の高いコミュニケーション能力の秘訣かもしれない。
「折角だから寄っていってくれよ。ちょうど今は空いているしさ」
「あ、いや、その……」
「唯、行きましょう」
「とっとと入るわよ」
「唯様、参りましょう。楽しみです」
何かを言いかける唯を引っ張って、八人の美女は正の言うがままお化け屋敷へと入っていく。もちろんお化け屋敷ではカップルにとって定番のあれをやるために違いない。
「あれ、何か忘れてるような……」
唯達が扉の向こう側へと消えてから正が首を捻る。従兄弟として付き合いが長い彼は、どうも唯について何かを忘れているような気がした。
「ぎょえええええええええっ!」
お化け屋敷の中から、絹を切り裂くような悲鳴が聞こえてきた。その恐怖の絶叫に、廊下を歩いていた学生やら一般客がぎょっとしたように教室を見る。
「あ、そっか。唯ってこういうのダメだったっけ……すっかり忘れてた」
正がしまったという表情を見せる。済まなそうに教室の壁の向こう側に居るであろう従兄弟に心から謝った。
十分後、肌の色が灰のように白くなってしまった唯と、彼を必死に励ますガーディアン達が教室から転げるように出てきた。
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