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 夜の路地裏を男がひた走る。その路地は昼間でも人通りが少ないというのに、夜ともなれば人気は全く無い。灯りが無いその場所には遠くにある街灯がうっすらと見えるだけだ。
 息を荒げて男は必死に前へ前へと駆けていく。暗いとはいえ、男がただの人間ではないのは確かだ。背中に蝙蝠のような翼があり、何度も引き裂かれたようにボロボロになっている。異形の者は何かに追われているのか、怯えたような表情で汗だくになっている。

「あまり手間をかけさせないで頂戴」

 建物の屋根から飛び降り、女が男の目の前へと立ちはだかる。濃い赤のスーツ姿にウェーブヘアーの美女は、十数メートル上のビルから飛び降りたというのに、落下による衝撃を受けた様子も無い。理知的な顔は何処までも冷たく、僅かな不快感だけを目で表していた。女に行く手を遮られた男は、無意識に一歩下がる。

「ゆ、許してくれ。俺は来たばっかりで何もやっちゃいねー」
「奈落から現実に来たのがいけないのよ」
「す、すぐに帰るからな……な……」

 痩せこけた頬の男は必死に頭をぺこぺこと下げる。そんな彼に女は軽く眉を寄せる。

「もう遅いわ」
「そ、そんな。助けてくれよ」
「うるさいわね」

 女が男を右の人差し指でさす。その指先から銀色の粒子が、男に向けて霧状に吹き付けられる。

「ぐ、がががが」

 すると霧が吹きかけられた部分から、みるみるうちに男は凍りつき、もがこうとした体勢でそのまま固まってしまう。厚い霜で覆われ、異形の男は完全に冷凍された。

「とっとと死になさい」

 女の声と共に、固まった男から鈍く割れる音が響く。そして彼は粉々に砕けた。白いシャーベット状の細かい破片が散り、後には男が居たという痕跡さえも残らなかった。

「終わったようね」
「あら、居たの?」

 振り返った女の前に別の美女が現れた。赤みがかったストレートヘアーに紺のスーツを着ている。ちらりと砕けた男が居た場所を見やり、ストレートヘアーの女はすぐに目を戻す。

「主が見つかったわ」
「……そう、ついに見つかったのね」
「ええ、これも定め」

 二人の間に言いようの無い沈黙がしばらくの間続く。やがて、地を蹴って両者は飛び上がり、その場から風のように消えた。






「あの有名な化粧品会社のミラージュの社長さん?」
「ええ、そうですわ」

 麻生唯の前でウェーブヘアーの美女がにっこりと微笑む。一夜明けて、女二人の姿はとあるマンションの廊下にあった。
 学校から帰り、自宅の鍵を開けようとしていた唯は突然、見知らぬ二人の女性に声をかけられたのだ。

「麻生唯様ですね、私はこういうものなのですが……」

 そう言われて差し出した名刺を受け取って、前述の会話へと繋がる。名刺には株式会社ミラージュ代表取締役、金城芽衣と印刷されている。

「こちらは秘書の朽木由佳です」
「どうぞ、お見知りおきを」

 名刺を渡して、こちらも美女であるストレートヘアーの人物が頭を下げる。名刺の文字を読み取ってから、戸惑ったように唯は二人に声をかけた。

「それで、お二人は僕にどんなご用件でしょうか?」
「実は少しお話があって来たのですが……」
「あの、良かったら上がって下さい」

 マンションの部屋を開けて、唯は二人を招きいれた。相手の物腰が低かったのもあるが、芽衣と由佳の美貌が唯に妙な安心感を与えたのだ。
 麻生唯は中学二年生で、ごく普通の学生だ。数年前に両親が事故死しており、彼は保険金と補償費で生活している。幸いにも親戚が多く、両親と親類達の付き合いも良かったおかげで一人暮らしを支えてもらっていた。そのため彼は一人暮らしでも、あまり不自由なく、学生生活を送っている。

「あの緑茶でいいですか? うちって何も無くて……」
「いえ、お構いなく」

 唯はリビングのソファーに二人を案内して、キッチンへと向かう。幸いにして来客用の湯のみがある場所を唯は覚えており、ポットにも今朝即席スープを作るために使ったお湯が残っていた。唯の友人はよく遊びに来るが、普段はこのような対応はしない。

「そういえば、金城さんはこの前テレビに出てましたよね。いま思い出したんですが」
「ええ、我が社は時たまマスコミには取り上げて頂いております。その際に少しインタビューなどを受けることがございますわ」
「へー、凄いな……あ、すみません。そういう凄い人って全然会ったことが無いので」

 少年はお盆で緑茶を運び、女性達の前へと置く。緊張しつつ、唯は二人の正面に座った。

「それでお話というのは何でしょうか?」
「ええ、実は麻生さんのお父様とは生前付き合いがありまして」
「そうなんですか?」
「はい、大変お世話になりました。最近は連絡を取っていなかったのですが、まさかお亡くなりになられていたなんて。ご恩を返してないというのに」

 沈んだ面持ちの芽衣に唯は目を白黒させる。唯にとって初耳だったからだ。それほど大きくない企業で会計をやっていた父が、テレビでしょっちゅうコマーシャルを流している会社の社長に、どんな世話をしたのだか唯には想像もできない。

「麻生様はご両親が亡くなって、さぞ苦労なされたのでは?」
「いえ、叔父や叔母達が色々と相談に乗ってくれたので……」
「ですが、金銭的には大変なのでは?」
「そんなにお金持ちじゃないですが、両親が残してくれたお金がありますので」
「良ければ私に援助させて頂けませんか?」

 唯へと芽衣が優しくにっこりと微笑む。あまり自分とは縁が無いような美人の笑顔に、彼は思わずドキッとしてしまう。

「いや、悪いですよ」
「いえいえ、お父様へのほんの僅かなお返しですわ。良ければ受けて下さい」
「ですが……」

 見も知らない人物に唯は流石に躊躇するが、そんな彼の手を芽衣は手に取る。柔らかく温かい手の感触に、唯は心臓の鼓動がますます速まってしまう。

「重ねてお願いしますわ」
「じゃあ、その……親戚に相談してからにします」
「お願いしますわ。ところで、今日はこれからご予定はありますか?」
「いえ、特には」
「それでは私達にお付き合い頂けないでしょうか? 実は麻生様に住居を特別に用意させましたので」
「え、えっー!」

 家まで用意してあると聞いて、さすがに唯は仰天する。初対面の相手から、住居を用意してあるとまで言われたら、普通の少年が驚かないわけがない。

「良ければ私共について来て下さい」
「だ、だけど急にそんなことを言われても……」
「住むのを強制は致しませんわ。とりあえず、一度見ていただければ判断し易いと思いますので」
「ですけど……」

 芽衣と由佳は立ち上がり、既に玄関へと向かう様子を見せる。手を握られていた唯もつい釣られて立ち上がってしまう。

「ささ、そんなに遠いところではないので」
「は、はい」

 芽衣に満面の笑みで腕を引かれて、唯は押し切られるように二人についていくことになった。





 芽衣が言ったように、そのマンションは家から車で十分ほどの場所にあった。一見すると普通のマンションなのだが、最上階である十五階の部屋へと入ったところで唯は驚かされることになった。その階全てがマンションの一室だったのだ。

(そういえば、廊下に他に扉が無かったよな……)

「お気に召されましたか? 多少古い物件なのですが」

 芽衣の秘書だという由佳が、にっこりと笑顔で聞いてくる。
 由佳に案内されて唯は何部屋か回ってみたが、まだまだ部屋数は残っているようだった。それほどにこのマンションは広く、俗に言う億ションというものらしい。自分の家のこんな近くにこのような凄いマンションがあったとは唯はついぞ知らなかった。

「いや、凄いのはわかるんですけど……僕にはこんなマンション頂けませんよ」
「お気に召しませんか? それならば、今日中に違う物件を……」
「ちょ、ちょっと待ってください。そういう意味じゃなくて、僕には身分不相応って感じで」
「そんなの気になされなくても構いませんのに」

 明るい笑顔で由佳は笑う。その優しい笑顔に唯はある程度の安心を感じるが、やはりこのマンションは自分には行き過ぎだった。

「あ、あの……お気持ちはとっても嬉しいんですけど」
「とりあえず、リビングに参りましょう。多少の家具を揃えておりますので」

 弱々しく辞退しようとする唯をあえて無視し、由佳は先に行ってしまう。仕方無しに、唯も彼女の後に続く。
 広い廊下を玄関の方へと戻り、一室に入ると巨大なリビングが待っていた。唯はこんなリビングは見たことが無い。何人も座れそうな革張りのソファー、ガラスのテーブル、そして何よりも目を引いたのは壁にかけられている巨大なテレビだった。近所の家電店でも、これほど大きなスクリーンが売っている記憶が唯には無い。
 唯が入ると同時に、キッチンから芽衣がグラスと缶コーラを幾つか持ってやってくる。

「飲み物はコーラで良かったでしょうか? なにぶん用意させたのが急ですので」
「えっと、金城さん……その……」
「まずはお座り下さい。お話はそれからで」

 ソファーに芽衣と由佳が腰をかけたので、唯も後に続く。彼が腰かけたソファーの感触は柔らかかったが、適度に弾力があって高級感を感じる。

「あの、やっぱりこんな高級なマンションは受け取れません。生前、父がどんなことをしたのか知りませんが、さすがにここまで良くして頂けるとは思えないんです」
「困りましたね。私はこれでも結構な資産家として名が通っていますわ。この程度も受け取って貰えないとしますと……」

 眉を寄せて、軽く困ったと芽衣は表情で唯にアピールする。

「それにこんなに広い家……ちょっと落ち着かないです」
「そうですの……それなら、他に貸し出してはいかがでしょうか? 金銭の援助はさせて頂きますが、ある程度の収入になりますし。そこで改めて住む家……今度は一軒家を」
「ちょっと待って下さい。やっぱり受け取れないですよ」
「それは困りましたわ……由佳、どうしましょう」
「麻生様はご自分の立場が良くわかってないみたいですしね」

 芽衣と由佳が目を交わす。二人は唯にどうしてもマンションを受け取って欲しいみたいだ。だが唯も、こんな高級な物件を受け取れと言われても困ってしまう。

(うーん、どうやって断ろう)

 テーブルの上にあるコーラを一口飲んで、唯はため息をつく。二人の美女の押しに何処まで耐えられるか、少年は自信が無かった。

「とにかく、親戚にも相談しなくてはいけないんで……あれっ?」

 唯の視界がぐらりと傾く。手からグラスが落ちて床に転がるのを感じるが、身体の動きがまったく効かない。芽衣がこちらを見て申し訳無さそうな顔をしている。

「騙してごめんなさいね」

 何かを必死に言おうとして、唯の意識はそこでぷっつりと途切れた。
 それからどのくらい経ったのだろうか。不意に意識が揺さぶられるように戻ってくる。

(な、何だこれは……か、身体の奥から……な、何かこみ上げてくる)

 唯の胸から出てきたものはあっという間に身体の隅々まで広がる。身体の中を言い知れぬ力が駆け巡り、四肢へと活力を与える。それと同時に意識がはっきりして、上半身を起こした。

「気がつかれましたか」
「あれ、僕は……」

 唯はベッドの上に居た。学生服の上着は無く、シャツはボタンを外されている。ベッドの上で唯の胸に手を置いていた芽衣と由佳は、素早くベッドの下に降りると、片膝をついて頭を垂れた。

「数々のご無礼をお許し下さい」
「我ら二人は麻生様の力を目覚めさせる必要があったのです」
「力?」

 言葉を発してみて唯は気づく。何か自分でも言い知れない力みたいなものが、言葉に乗って目の前の二人に発せられていると。

「はい、我々は古代より人の敵を倒してきた者、ガーディアンと呼ばれる者です」
「そして我々を統べ、支配するのが麻生様なのです」
「ぼ、僕が? 何で?」
「どのような方が選ばれるのは我々にはわかりません。ただ、我らが目覚めるときに必ず人の中からそのような方が現れるのです」
「麻生様、今後はどのようなこともお申し付け下さい」

 美女二人に跪かれた上、そのようなことを急に言われて唯の頭は混乱する。最初はからかわれているのかと唯は思ったが、二人の真面目な表情には嘘偽りなどは無さそうに見えた。

「そ、それで僕は何をすればいいの?」
「それはいかようにも。敵は我らにお任せ下さいませ」
「麻生様は我らに望むようにご命令して、ご自分のお好きなようにして下さいませ」
「と、とりあえずその……立ってくれる」
「はい」

 芽衣と由佳は唯の言うままに立ち上がる。唯を見る二人の目は真剣そのものだ。

「そのさっき敵って言ってたけど」

 未だ状況を理解していない唯の疑問に、由佳が答える。

「我らの力の前には取るに足らない奴らですわ。お望みなら今度、お見せします」
「でも、敵と戦うって……」
「我々にはそれぞれが違う能力があります。ある者は風を使い、ある者は重力を操り、ある者は剣を使います」
「朽木さん達にも何か力があるの?」
「由佳で構いませんわ。私は炎を司り、芽衣は氷を使います」

 芽衣と由佳は、それぞれ片手を胸元に持ち上げる。芽衣の手の平からピキピキと音が鳴り、凸凹とした氷の柱が伸びていく。そして由佳の手からは火が上り、まるで生きているかのような鳥の姿を形作る。

「す、凄い」
「お望みなら幾らでもお見せしますわ」
「あ、あの……」
「何でしょうか?」
「そんなに畏まらないで、さっきみたいに喋って欲しいんだけど……」

 美女二人に主人の如く扱われ、唯は逆に恐縮してしまっている。先ほどでさえ、何だか申し訳ない気がしていたというのに。だが、それに対して芽衣は困惑する。

「ですが……麻生様は覚醒したいま、我らの主ですので」
「いや、会社の社長さんにそう言われても……」
「では、努力してみますわ」
「しかし、本当にどうすればいいんだろう。命令なんて出来ないし……」
「何でも言って頂ければいいのですわ」
「貢げと言えば貢ぎますし、体を差し出せと言えば喜んで」

 芽衣の言葉に由佳が同意する。その様子に、唯は思わず固まってしまう。

「体を差し出すって……」
「ええ、抱いて下さって構わないのですわ」
「そ、そんなこと出来ないですよ。れ、レイプになっちゃいますし」
「ですが、我々が主に抱いてもらうのはごく普通のことです」

 由佳の甘い言葉に、唯はぐびりと生唾を飲み込む。

「だけど、その……」
「よろしければ、我らにお情けを」
「頂けませんか?」

 躊躇する唯に対し、二人はするりとスーツを脱いでいく。その表情に迷いは全く無い。服を床に落として由佳は赤いレースの下着に、そして芽衣は黒の下着姿になる。スーツの上からも分かっていたが、二人の胸はかなり大きく、唯の片手では絶対に掴めなさそうだ。まるですいかが四つ並んでいるように、唯には見える。だが彼女達のウェストはかなり細く、なだらかな曲線をしていた。そして唯が視線を下に落とすとふくよかなヒップが見え、ショーツの少ない布地からはみ出さんばかりなのがわかった。

「あ、あうう……」
「そんなに緊張なさらなくてもいいのですよ」

 ベッドの上に乗った芽衣が、呆然としている唯の耳に囁く。細い指が唯の薄い胸板を這い、ぞくりとした感触を与える。

「これは私達が望むこと……」

 唯の隣へと座った由佳が彼の腰に手を伸ばす。慣れた手つきでベルトを外し、ジッパーを下げる。既に唯の股間はトランクス越しに盛り上がっていた。

「もうこんなになってますわ」

 由佳の指がペニスのシャフトに絡み、トランクスの布地越しに上下に動き始める。生まれて初めて女性に性器を触られて、唯は頭が真っ白になってしまう。

「嬉しいですわ」
「あ、あぁ……だめだよ」

 今度は芽衣の手の平がペニスの先端を優しく擦る。二人の手によって、唯の性器から心地良い感触が広がっていく。自分で弄るより、遥かに強い快感だった。少年の頬が赤く染まり、息が荒くなっていく。

「このままイっても……きゃっ」

 由佳の乳房に顔をこすりつけ、唯は彼女の片胸を揉み始める。柔らかく弾力のある胸が手で圧迫されて形を自在に変える。唯が空いた反対側の手で芽衣の胸を揉むと、薄いブラジャー越しに乳首が立つ感触が伝わる。芽衣は恍惚とした吐息を漏らす。

「はあ、麻生様……」
「唯って呼んでよ」
「はい」

 思わぬ唯の反撃に由佳は身をくねらせ、ブラジャーのホックを外す。ぷるんと乳房がこぼれ落ち、形崩れせずにしっとりとした肌の感触を伝える。その柔らかな感触に唯は夢中になって胸を揉みしだく。

「唯様、おっぱい気持ちよろしいですか?」
「うん、朽木さ……由佳さんのおっぱい気持ちいい」
「うふふ、たっぷりと揉んで下さい」
「由佳さんみたいな美人の胸を触られるなんて」
「ひ、ひぁぁん」

 美人という単語にビクリと由佳の体が反応する。由佳の背がのけぞり、体が崩れ落ちると、唯が覆いかぶさるように押し倒す。

「由佳さん、綺麗だよ」
「な、なに……こんな……や、やぁぁ……き、気持ちいいの、気持ちいいんです」

 マシュマロのように柔らかい両胸を揉まれながら、由佳の体が何度も硬直する。唯の言葉に何故か体が恐ろしい快感を覚えるのだ。それに気づいているのか気づいていないのか、唯は何度も囁きを繰り返す。

「由佳さん、綺麗……声もとっても素敵」
「いやぁぁ、そ、そんな……はぅう……気持ちいい……あ、あっ、ふあっ」

 唯の言葉に反応して、由佳の豊満な体が何度も硬直する。胸を揉み解される度に、由佳は脳髄を駆け巡るような感覚を感じてしまう。髪をベッドの上に乱して、彼女は快感に必死に耐えようとする。全力で快楽に抵抗する由佳の姿に、唯は信じられない気持で夢中になって胸を揉む。
 芽衣は唯の背後に回り、彼を背後から抱き締めようとする。既にブラジャーを外した小ぶりなメロンくらいある胸を、彼のシャツを捲り上げて肌に直接当てる。その柔らかな感触に唯はますます鼓動が早まってしまう。

「あ、あ、あ、ひゃあん!」
「あらあら、由佳ったら、随分いいみたいですわ」
「芽衣さんもとっても綺麗ですよ」
「ありがとうござ……ひあっ、な、なにこれ」

 唯の言葉に芽衣の胸がどくんと一際強い鼓動を放つ。今まで感じたことのない強い感覚に、芽衣は思わず唯から離れてしまった。膣が濡れて、愛液がショーツを汚すのが自分でもはっきりとわかる。
 由佳はそれ以上に乱れていた。シーツをかきむしり、体を唯の下で何度も蠢かす。

「唯さまぁ、入れて、由佳の中に入れて下さい。おかしくなっちゃう、おかしくなっちゃうんです」
「わ、わかりました」
「は、早くぅ、お願い、お願いします」

 思ったより遥かに快感を得ている由佳に、唯は慌てて身を起こす。よもや自分が年上の女性をここまで気持ちよくさせられるとは思ってもいなかった。唯がショーツに手をかけると、由佳はもどかしげに腰を上げ、しなやかな足を天井に向かって伸ばす。脱がしやすくなったので下着をするりと脱がすと、それは既に愛液でぐしょぐしょになっていた。その様子はとても演技には見えない。

「早く、早く、入れて……唯さまのおちんちん欲しいんです」
「う、うん」
「はぁん、あぁ」

 くちゅりと陰唇に亀頭を当てると、由佳の中から愛液が堰を切ったように溢れ出す。彼女が持つ柔らかな下の口は、物欲しそうにペニスを中へと導こうとする。

「由佳さん、好きだよ」
「あ、あぁぁぁぁああ!」

 唯は由佳の唇に軽く口づけして、それを合図にペニスを膣内へとずるりと中に入れる。それと同時に由佳は甘い絶叫を上げて、唯の背中に手を回す。ぷちんと何かを破る感触がして、愛液と共に血がシーツを染める。

「由佳さん、由佳さん」
「は、はっ、はぁ、唯さま、唯さま。凄くいいです、いいんです」

 ペニスが熱をもって由佳の膣を擦る。彼女の身を焦がしていた強烈な快楽が、柔らかな満たされた快楽へと変わっていく。先ほど以上に快楽を感じるのに、体を快感で締め上げるのではなく、心地よい感覚が体の芯を柔らかく暖めていく。

「唯さまぁ、気持ちいい。こんなことって初めてです」
「う、うん、僕も……」

 由佳の膣はぐにぐにと暖かく唯のペニスを包み込む。甘い感触がシャフト全体を暖める感触に、ペニスが溶けていくような錯覚を少年は覚える。だが先ほどまで童貞だったのに、自然と耐えていることに唯は自分でも驚いた。

「あ、あんっ! んぅ……」

 唯の腰が動き、くちゅくちゅと由佳の膣壁を肉棒で擦りあげる。彼女の中から愛液が絶え間なく溢れて潤滑油となり、唯のピストン運動を助ける。シーツには既に大きな染みが広がっていた。

「あん、あん、はぁん、気持ちいいです。唯さまも気持ちいい?」
「うん、気持ちいい。由佳さんの体、気持ちいい。好きだよ」
「は、はぁん、私も唯さまのことが」
「好き、好き、好き」
「あ! あ! だめぇ! あぁん、凄いの、凄いの」

 好きという単語の度に、由佳の膣がきゅんと唯を締め付ける。そして締める度にエクスタシーに達してしまいそうな気持ちよさを、由佳は少年のペニスから感じてしまう。愛しい気持ちが胸一杯に広がり、由佳は少年の背に手を回して抱きしめ、絡み付けた足で腰をぐっと引き寄せる。洪水のように己の中で暴れる快感の波で、由佳は一気に高みへと連れて行かれる。

「いく、いきます、ごめんなさい、耐えられないのぉ」
「僕もいく、いくよ」
「嬉しい! いく、いっちゃう、中に出してぇ、唯さまの精液欲しい、欲しいんです……気持ちいい」
「うっ……」

どぴゅ、どぴゅ、びゅるるるる

 唯が唇を噛み締めた瞬間、ペニスの先から精液が放たれた。ペニスがビクンビクンと動く度に、熱いザーメンが由佳の中へと溜まっていく。

「いくぅぅぅ、死んじゃう、はぁぁぁん」

 今まで溜まっていた温かい快感が弾けて、心が光で包まれるような錯覚を由佳は覚える。膣内に出された精液は熱を帯びたように、彼女の下腹部に温かな快楽を与え続ける。由佳の膣壁はぐにぐにと動きペニスを何度も締め上げ、収縮運動で精液を子宮内に飲み込もうとする。
 今まで感じたことのない快感に染め上げられ、由佳は何も考えられなかった。唯を抱き締めていた由佳の腕と足が外れて、ベッドの上にぐにゃりと四肢が力なく倒れる。

「ああ、ふぅ……」

 今までに出したことの無いほどに射精して、唯はようやく膣からペニスを抜き取った。初めて女性を彼は抱いたが、女体がこれほど素晴らしいものとは知らなかった。ごぼりと精液が由佳の膣内から流れ出し、太ももを伝って愛液と血と一緒にシーツを汚した。

「あ、あれ? 由佳さんってもしかして処女?」

 慌てる唯の腕を、熱を帯びた芽衣の手が掴む。

「唯さま、私にもお情けを下さい」
「芽衣さん……」

 顔が上気して、潤んだ瞳で芽衣は唯を見る。彼女は既にショーツを脱いでおり、ガーターとストッキングのみという姿だ。由佳とのセックスで興奮したのか、芽衣が座っているシーツの上に幾つも染みがついていた。

「えっと……うん、いけそう」
「嬉しいですわ」

 許可を得た芽衣は、焦る気持ちを抑えて、少年の体を押し倒す。信じられないことだが、見ているだけで芽衣の身体は焼きついたように感じるくらい、熱くなっているのだ。由佳の体にたっぷりと射精したのに、唯にはいつものような倦怠感は無く、ペニスが萎えていない。不思議に思いながらも、芽衣のされるがままに唯はベッドに横になる。

「それでは失礼します」
「えっと、あ、うん」

 唯の上に膝立ちになり、芽衣はゆっくりと腰を下ろしていく。重力に引かれてつつっと愛液が流れ、芽衣の太ももを濡らす。少年のペニスの先が、彼女の陰唇に軽く当たった。

「芽衣さん、大好きだよ」
「えっ……ひあぁぁぁあ!」

 唯の言葉に、言い表せぬ程の快感が芽衣の背から脳へと駆け巡った。思わず彼女の腰から力が抜け、そのままずぶりとペニスが膣内へと入った。処女膜が裂け、痛烈な痛みが芽衣を襲う。

「い、痛い、う、ううっ」
「芽衣さん、どうしたの? 芽衣さんも初めてなの?」
「そ、そうなんです、うぐぅ」
「芽衣さん、ありがとう。好きだよ、大好き」
「あ、あああぁん」

 信じられないことに、猛烈な痛みが唯の言葉と共に、全て快感へと変化する。そしてその身を焼き焦がすような快感は、すぐに温かい感触に変わって蕩けるような快感のパルスを芽衣の体に与えた。

「唯さまぁ、す、凄くいいの……こんなの感じたことない」
「良かった。芽衣さん、とっても可愛いよ」
「ありがとうございます、はぁ、唯さまぁ……」

 かわいいと言われて、芽衣の脳は思考を溶かすような心地よさを感じる。まるで唯の言葉が快感のスイッチのようだ。芽衣の膣内からどろりと愛液が溢れ出して、唯の腰を濡らした。もちろん興奮しているのは芽衣だけではない。芽衣のような大人の女性が甘い声を出し、恍惚とした表情を浮かべているのに唯も興奮していた。

「芽衣さん、動いて貰ってもいい?」
「はい、もちろん……ん、あぁ」

 芽衣はベッド手をつき、何度か腰を振るがすぐに力が抜けてしまう。ペニスが膣壁を擦ると体中に温かい快感が走り、彼女の指先までも広がっていくのだ。初めて知る快楽に芽衣の体はついていかない。

「ごめんなさい、体に力が……」
「いいよ、僕が」

 多少ぎこちなく体を起こし、唯は繋がったまま芽衣の背に腕を回す。豊満な胸が唯に押し潰されて、ふにゃりと形を変えた。男性には無い柔らかな双球の感触に、唯の心臓が少し早まる。芽衣も唯の背中を抱いて、ぎゅっと抱きしめる。ベッドのスプリングを使い、慣れない動きで唯は芽衣を突き上げ始めた。

「ん、ん……これでいいのかな?」
「は、はい、はふ、あ、あっ、あん」

 細かいストロークで突かれる度に、芽衣の艶やかな声が漏れる。眉を寄せて喘ぐ美女の女社長の姿に、唯はますます興奮していく。

(えっと……こうだったかな?)

 前に友人に見せて貰ったアダルトビデオを思い出して、唯は背から手を下に移動させる。見事な曲線を見せる太ももと尻の中間くらいを抱え、唯は芽衣にストロークでペニスを突きこむ。シャフトが深くずっぷりと入り、膣の奥まで少年のペニスが届いて子宮口をノックした。

「あん、いいです……唯さま、物凄くいいです」
「良かった」
「お、奥にまで……私のアソコの奥にまで届いています……ひゃん」

 より深いストロークで突かれて、芽衣は強く唯に抱きついた。一突きごとの快感が半端ではないのだ。膣をペニスが突く度にぐちょぐちょと音が漏れ、芽衣の体に甘い衝撃が広がる。唯は芽衣の顔にキスの雨を降らせ、唇で肌を軽く吸う。そんな少年の軽い口付けだけでも、芽衣は意識がメロメロに惚けてしまう。

「あ、あん、キス……気持ちよくて」
「そう、それじゃこれは」
「ん、んあ……あぁ」

 唇を重ねられて、芽衣の膣がきゅっと締まる。ただのキスなのに、美女の体は喜びの声をあげる。耐え切れずに芽衣は、自分から唯の唇に舌を入れてしまう。舌でかき回しているのは唯の口内なのに、芽衣は自分の体がかき回されているような錯覚に襲われる。芽衣の舌が口を犯し、舌を絡ませる感触に唯も背筋に快感が走る。それに突き動かされるように、腰をますます激しく突き上げる。

「あ、あぁ、やぁん……はん、いいです……もっと突いて突いて」

 ウェーブヘアーを振り乱し、芽衣の背が大きく反る。彼女のあそこは熱く、ペニスを溶かされそうだ。

「芽衣さん、綺麗だよ。ゾクゾクするくらい」
「ああ、唯さま……もっと言って。芽衣のことをもっと犯して下さい」
「芽衣さん、好きだよ」
「あああぁぁ、凄いのぉ! もうだめぇ、頭おかしくなっちゃうー!」

 ぎゅーっと膣圧が強まり、痛いくらいにペニスを締め付ける。

「イク! イっちゃいますわ、だめぇぇぇぇえ! こ、こんなのおかしくなっちゃう」
「うっ、僕も」
「唯さまもイって……ふあぁぁぁぁあ、い、イクぅ!」

 芽衣の体がぎゅっと弓なりに大きく反り返る。彼女は目の前の景色が真っ白な光にかき消されるような錯覚を覚える。波のような快感に体を飲まれ、芽衣は感じたことの無いくらい幸福感に包まれていた。

びゅく、びゅるるるる、びゅっ、びゅっ

 エクスタシーで締まる膣がペニス全体を強く握り締め、耐えられないように唯も精液を吐き出した。白濁液が膣内一杯に溜まっていく。芽衣の極上の体に唯もクラクラしそうな愉悦を感じる。

「ふわあ……」
「芽衣さん、凄く良かったです……って、あれ?」

 身体が言うことを聞かず、力が抜けた芽衣の体がベッドに倒れこむ。流し込まれた精子が、子宮内から微かな快感を与えるのが芽衣にはわかった。

「ちょっと芽衣さん? 芽衣さん? ああっ、由佳さんも気絶してるし」

 唯の慌てたような声を遠くに聞きながら、芽衣の意識は漂流してやがてぷつりと途切れた。






「ん?」
 芽衣は薄闇の中、むくりと体を起こした。随分と長く眠っていた気がする。徐々に思考能力が戻ってくるが、彼女は自分が何処にいるのかがわからない。周りの風景は自分の寝室とは違うし、隣に誰かが寝ているのだ。

「あれ、私……」

芽衣の体調は今までにないくらい良く、目覚めは爽快そのものだ。ただ、今まで何をしていたかだけは覚えてない。

「起きましたか? 良かった」
「え……ゆ、唯様!」

 聞き覚えのある少年の声に瞬時に今まで何をしていたかを思い出し、芽衣はかぶっていたふとんを跳ね除けた。暗がりでじっとしていた唯は床から立ち上がり、芽衣の顔を見てほっと息を吐く。

「いや、隣の部屋にもう一つベッドがあって助かりました」
「あの、唯様が運んで下さったのですか?」
「う、うん。いや、お二人とも軽くて良かったですよ、ははは」

 唯はそう言って笑うが、実際は細身で発達途中の彼では二人の女性を運ぶのには少し難儀したのだ。グラマーな大人の女性は、ちょっぴり重かった。

「そ、それはすみません」
「あの、良ければシャワーを使って下さい。タオルはあるみたいですし。一応体は拭いたんですが」
「そ、そこまで……こら、由佳起きなさい」

 芽衣は慌てて寝ている同僚を揺さぶって起こす。ぐっすりと幸せそうに寝ていた由佳は、安眠を邪魔されて、眉をしかめる。

「んー、もうちょっと」
「ば、馬鹿。何を寝ぼけているの!」
「あれ、芽衣が何で……」

 寝ぼけ眼で周囲を見回し、由佳の視線が唯と合う。そこでようやく由佳は、何があったかを把握したようだ。

「ああっ、唯様。申し訳ありません」
「私どもがお手間をかけさせまして」
「いやいや、気にしないでいいって。その……僕が原因ってのもあるし」

 照れて視線を外した唯に、思わず芽衣と由佳の頬も赤く染まる。

「それじゃ、シャワー浴びたらリビングに来て下さい。コンビニでお弁当買って来たんで」
「私達、どれくらい寝てたのでしょうか?」
「六時間くらいかな? もう夜中近いし」
「す、すみません」
「それじゃ、また後で」

 寝室の扉を閉め、唯はそそくさと出て行く。その後ろ姿が消えた後も、芽衣と由佳の二人はしばらく動けず、彼が出て行った扉を黙って見つめたままだった。






 シャワーを浴び、違うスーツを着た二人はリビングに戻ってきた。幸いにも替えの服や下着はあらかじめ準備してあったのだ。唯は大画面テレビで深夜のニュースを見つつ、リビングのソファーに座って二人を待っていた。

「あ、あがりましたか。それじゃ座って下さい」
「どうも、すみません」
「失礼しますわ」

 唯に勧められるまま、二人はソファーに座る。テーブルの上に置いてあった有名なコンビニのロゴが入ったビニール袋の中から、唯は弁当を三つ取り出して並べた。

「僕、天ぷら定食食べますが、芽衣さんと由佳さんは何食べます」
「それでは焼肉を」
「私はメンチカツを」

 弁当を開けて唯は食事に手をつけはじめるが、二人は冷めた弁当をおそるおそる開けるだけで、手をつけない。芽衣が恐る恐る唯に声をかける。

「あの、申し訳ありません。こんなことまで……後で代金は」
「いいって、気にしないでよ」
「ですが、我々は従者ですし」
「じゃあ、こう考えてよ。これは僕が好きでやったことだから。二人にそれを制限することはできないでしょ」
「は、はい。確かに」
「そういうわけ、まあ味はそこそこだけど食べちゃって」

 そこまで言われて、ようやく二人は弁当に箸を伸ばした。

「ありがとうね」
「はい、何でしょうか?」
「いや、その……凄い気持ちよかった」

 真っ赤になる唯に、芽衣と由佳もモジモジと視線を逸らす。唯はともかく、大人の女性である二人もこんな気恥ずかしさは初めてだった。

「そんな、その私達の方が……」
「でも、処女だったし。痛かったでしょ」
「いえ、主にそれを捧げるのは当たり前ですわ。それに慣れてますし」
「慣れてる?」

 芽衣の言葉に唯が首を傾げると、由佳が口を開く。

「我々は古来より転生を繰り返し、その度に新しい主を受け入れてきました」
「ああ、そうなんだ……転生かあ」

 転生なんて話はすぐには信じられない。だが、二人が能力を持っているなら、そういうこともあるだろうと唯は漠然と思う。転生する度に処女だったなら、二人が手馴れていたのも唯はわかる気がした。

「大変なんだ……それじゃ、今までの主とも?」
「はい、ですが……」

 芽衣と由佳が二人とも首筋まで赤くなる。

「今までこんなに気持ち良かったことは無いですわ」
「唯様が一番です」
「え、な、何で?」

 唯は自分がそんなにテクニックがあったとは思えない。むしろ下手なんじゃないかと思っているくらいだ。だが顔を赤くしている二人は、嘘を言っているようには見えない。

「唯様の我々を縛る言霊の力でしょう。どうしたわけだか、唯様の声は我らに快感を与えます」
「こんなことは初めてです……」

 芽衣の説明に、唯は何となくわかるような気がした。自分の声には確かに力があるのを唯は感じており、二人にそれが効いたのだろう。

「それで唯様、これからいかが致しましょうか」
「私も芽衣も唯様に命尽きるまで尽くす覚悟ですが」
「うーん、さっきまで考えてたんだけど……」
「はい」
「僕は二人の主に選ばれたんだから……なるべく頑張ってみようと思う」

 唯がにっこりと微笑み、それと同時に芽衣と由佳の鼓動が跳ね上がる。

「至らない主だとは思うけど、よろしくね二人とも」
「は、はい」
「こちらこそお願いします」

 唯の差し出した手に、芽衣と由佳の二人はぎゅっと握手する。唯の生活はこの日を境に一変する。ガーディアンの主となった彼の穏やかにて波乱の日々が始まった。






















   































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