「くっ、何てことだ……」
雛菊は積み重ねられた鉄骨の背後で舌打ちした。
ここは深夜の港湾地域で、海外に向けて送られる資材などが山積みになっている。遠くには幾つもの大型倉庫が見える。明かりもなく、うっすらと見える遠くの明かりだけが雛菊には頼りだ。
大量の悪魔による集会があるとの情報を手に入れたガーディアン達は、首都圏の港へとやって来ていた。大量の積荷やコンテナが並ぶ広大な施設を偵察して、目標となる悪魔達を円が何とか探り当てたのだが、相手にも感づかれてしまったのだ。四散した悪魔達を追って、ガーディアンは二つのグループに分かれた。だが、悪魔達は巧みに罠を張ってガーディアン達を更に分断した。
雛菊自身には、多少の悪魔を切り抜けて他の仲間に合流する自信がある。問題は雛菊の傍に唯が居るということだ。
「唯様……」
「ごめんね、足手まといで」
申し訳無さそうに自分を見る雛菊の髪を、唯は優しく撫でる。
今回の悪魔討伐において、唯は自ら参加を申し出た。少しずつ実戦に慣れておきたいというのが本人の意向だ。だが、芽衣、由佳、京、ミシェル、静香の五人は唯の随行に反対した。戦いはガーディアンの自分達が受け持つべきであり、主である唯をあえて危険に晒すのは愚行だという。
しかし、早苗、雛菊、円、そして楓が半田との戦った事例を挙げて、唯にもある程度の護身能力が必要だと指摘した。これは他のガーディアンも認めなくてはならず、今回は見学ということで妥協が成り立った。
雛菊は唯の護衛として後方に控えていたのだが、よもやこうもあっさりと仲間と引き剥がされるとは思ってもいなかった。大事な人が危険な状況に置かれているという認識が、雛菊からいつもの冷静さを削り取る。鉄骨の影に隠れて周囲の状況を確認するが、上手く敵の気配が読めなかった。
「五体……ゆっくり迫ってる」
雛菊の背後にピタリとくっついている唯が小声で囁く。唯は雛菊がもう気づいているものだと思って確認のために言ったのだが、雛菊には大いに助かった。音を操る能力者である唯にとっては、密かに寄ってくる悪魔達の動きも手に取るようにわかるに違いない。
「誰か近くに居ないでしょうか?」
「一番近い芽衣さんと楓さんは戦闘中みたい。かなりの数に押されているかも」
「助けは呼べませんか?」
「難しいと思う」
仲間の援護が頼めないと知って、雛菊は舌打ちしそうになる。こんなことなら、円に護衛を頼んでおけば良かったと今更ながら悔やむ。円なら影を使っての空間跳躍が可能なので、安全に脱出できるはずだ。
闇に溶け込んだプレッシャーが雛菊達に徐々に迫ってくる。見えない敵の存在を感じて、雛菊は日本刀をぐっと握りしめる。普段なら闇夜の中でも敵の気配を読むのは簡単なのだが、焦りが全てを阻害していた。
「上ッ!」
「しまっ……!」
鉄骨を飛び越してきた悪魔の爪を、雛菊は刀を掲げて受け止める。爪と刃が交差して出来た火花で、赤黒い皮に覆われた痩せた鳥のように見える悪魔の姿が闇に浮き上がる。雛菊は刀身を捻って爪を流すと、柄で相手の頭を殴りつけた。
「雛菊さんっ!」
唯の忠告を聞くより僅かに早く、雛菊の刀は新たに迫った悪魔達の爪を弾いていた。一斉に四体の悪魔に掴みかかられていたのに、雛菊は常人には不可能な動きで全員の攻撃を捌く。だが五体の悪魔が続けざまに雛菊へと攻撃を始めると、防戦一方になってしまう。
「唯様っ、お逃げ下さい。この程度なら、私一人で……」
雛菊の言葉に、唯はすぐに動いた。振り向いて駆け出し、距離を置こうとする。だが唯の前へ、雛菊の動きを振り切った一体の悪魔が遮るように立ちはだかる。
「唯様―っ!!」
主の危機に雛菊が絶叫する。だが悪魔と一対一で対峙しても唯は冷静だった。どうやってこの危機を脱出するかと思考した頭が一つのフレーズを思い出させた。
(力っていうのは、何も思いっきり出すのだけが能ではないんですよ)
唯は意識を集中すると力を解き放った。
「ぎょええぇぇぇぇ」
「ぎえええぇっぇっぇ」
頭を押さえて五体の悪魔達はのたうちまわった。唯は悪魔の耳近くで機械をもってしても作れないような大音量を響かせたのだ。これには聴覚の構造が人間とほぼ同じである悪魔にとって、とてもでは無いが耐えられない。限定空間の外に漏れない音を作り出したのは唯も初めてだったが、上手くいったようだった。
「鋭ッ!」
この隙を雛菊が見逃すはずが無かった。日本刀で一体を逆袈裟に切ると、その勢いで回転しながら身を沈めて剣で三体を薙ぎ払い、最後の一体を跳躍して唐竹割りにする。一呼吸の間に、五体の悪魔はその身を分断されていた。悪魔の身体が塵となり、潮風に乗って消えていく。
「ふうっ……ありがとうございました、唯様」
「いや、僕は特に何もやってないよ」
頭を下げる雛菊の肩を慌てて掴んで、唯は顔を上げさせる。侍のように敬意を示してくれる雛菊だが、時たま自分には身分不相応な気がしてしまう。年上の女性である雛菊にこういう態度を取られると、唯はよく慌てる。
「唯様が居なければ、あれほど上手く敵を撃破できなかったと思います。私としたことが、つい冷静さを欠いていました」
「僕だって雛菊さんが居なかったら……」
「いえ、見事でした。先ほどは私などよりよっぽど……んんっ!」
唯は首に手を回すと、雛菊の唇を奪って黙らせる。このままだと議論が堂々巡りになるのは目に見えたので、唯はちょっとしたちゃめっ気を出して雛菊との話し合いを打ち切った。触れるだけのキスだが、五秒ほどたっぷりと互いの唇が重なり合う。
「とりあえず、芽衣さん達を助けに行こう。僕達の力が必要だと思うし」
「は、はい。お供します」
ウィンクして駆け始める唯に、雛菊は顔を赤らめながら後を追う。先ほどまでは唯の身を心配し過ぎて動揺していた雛菊だが、今は違う原因で動揺してしまう。ただ、もういつも通りに動けるだろうという確信が彼女にはあった。
「よっと……」
唯が意識を集中すると、目の前にあった石が粉々に崩れて砂へと変わった。
ここは唯が住んでいるマンションからほど近い川原。いつも唯が修行している場所だ。あの夜から既に何日か経過していた。
唯は学校から帰ってくると、この日は荷物を置いて真っ直ぐここにやって来ていた。既に小一時間近く能力の訓練を行っているが、あまり消耗せずに続けることが出来ている。
今はコンクリートの上に座って、拾っておいた石を一個づつ分解するのを唯は繰り返している。
「精が出るわね」
落ち着いたしっとりとした声に、唯は振り向いた。そこには着物を身につけた百合がうっすらと微笑んでいた。
「あっ、百合さん。実は待っていたんですよ」
「私を?」
「ここに来たら、また会える気がして……。お礼を言いたかったんです」
唯は立ち上がると、百合の傍へと歩み寄る。そしてペコリと彼女に向かって頭を下げた。
「アドバイスが早速役に立ちました。能力も前よりずっと上手く使えていると思います」
「あらあら、それは良かったわ。見たところ、確かに上手くなってるみたいね」
百合がコンクリートの上にある石と、その周りに広がる砂を見て微笑む。実はしばらく唯の訓練を見ていたのだが、わざと声をかけなかったのだ。
「あの、百合さんに質問があるんですが、聞いてもいいですか?」
「何かしら?」
百合は身をかがめると、拳大の石を掴んで片手で持ち上げる。
「間違ってたら、ごめんなさい。百合さんってガーディアンじゃないですか?」
「何でそう思うのかしら?」
おずおずと尋ねる唯に、百合は薄く微笑んで逆に聞く。
「その……勘なんですが……違いますか?」
「芽衣に聞いたわけでは無いのね。そうよ、私もガーディアンの一人よ」
パキンという乾いた音が響き、百合が手の平に持っていた石が細かい破片になって砕けた。
「やっぱりそうでしたか。それで僕の能力を見ても驚かなかったのは、百合さんも同じような能力を持っていたわけですね」
「いいえ、正直に言えば驚いたわ。主が私達に似た能力を持つのは初めてだから」
顔には出さないが、百合が唯の能力を見たときは本気で驚いた。主である以外は一介の少年に過ぎない唯が、ガーディアンの如く能力を駆使したのだ。驚かないはずがない。
「そうだったんですか。それなら、もしかして会ったときから……」
「主だと知ってたわよ」
「それなら、どうして芽衣さん達のところに来ないんですか? もしかして僕と一緒に居るのはやっぱり嫌ですか……」
「違うわ、逆よ」
百合はするりと指を動かして唯の顎を掴む。軽く顎を撫でると、百合は自然な動きで唯の耳元に唇を寄せた。
「ボウヤに興味があったから……」
唯の耳に流れ込んできた声は、唯の全身がゾクリとするほどの妖艶さがあった。芽衣からも大人の色っぽさを感じたことがあったが、百合ほどに濃い色気は初めてだ。ミシェルも妖艶さを持つが、外国人なのでまた質が違う。
腕の中に自分の身体を絡み取られても、全く抵抗できずに胸に顔を埋めてしまった。
「ボウヤの力を見せて、主としての力を」
百合の言葉にも唯は返事をすることが出来なかった。既に十人ほどの女性を抱いたというのに、その経験が全く働かない。心臓が今までにないくらいバクバクと鼓動を強めて、唯は苦しいほどだった。
「ついたわ、ここよ」
百合に連れて来られたのはとある一軒家だった。平屋建ての日本家屋で、塀の外からでもわかるくらい植木の手入れが行き届いている。
唯は百合に手を引かれて、言われるままに彼女の家へと連れて来られてしまった。百合の手中で意のままにされ、抵抗など考えられなかったのだ。道端で出会う人から多少奇異の目で見られたが、唯は百合の手を振り解けずにここまで来てしまった。
「さあ、入って」
木で出来た格子を横に引き、百合は門を唯のために開ける。その声には少年が抗えないほどの妖艶さがあり、唯の心を半ば魅了していた。本来なら主である唯も、今は百合の意のままだった。
「狭いところでごめんなさいね」
入り口の扉を開けて唯を母屋に引き入れると、百合は唯に玄関から上がるよう勧めた。廊下を進み、和室の一つへと案内される。
「あ、凄い……」
縁側から見えるのは見事な日本庭園だった。都内にあって、ある程度の庭の広さが確保されており、幾つもの庭木が生えていてなかなかに見事なものだ。普段あまり見ることができない風景を見て呪縛が解けたのか、ようやく唯は何かを言う余裕が持てた。
「百合さんって、何してる人なの?」
「一応、茶道の教室を開いてるわよ。興味ある?」
「うん……ちょっと興味があるかも」
畳の上に呆然と立ち、唯は庭を見つめる。彼は見事な草木のコントラストに見とれていた。
「茶道を嗜む者としては、それは嬉しいわね。だけど……」
唯の目前で障子がすっと閉まり、ピシャリと視界を遮る。ビックリして振り向いた唯は、驚くほど強い力で畳の上に押し倒されていた。
「今は私に興味を持って欲しいわ」
百合の艶かしい身体が、唯の上へと圧し掛かる。
「ゆ、百合さん?」
「うふふ、ボウヤもまだ中学生だけど、もう芽衣達を抱いたのでしょう?」
巧みに唯を組み敷き、百合は少年の動きを封じる。そっと百合の唇が近づき、唯の唇を奪う。唯の目が大きく見開かれた。
「こんな若い子に手を出せるなんて、嬉しいわ」
唯の頬をちろりと百合の紅い舌がなぞった。そして再び百合は唯に接吻する。少年の唇を割り、舌が生き物のように口内に侵入して、唯の舌を絡め取る。うねうねと動く百合の舌は唯に恐ろしい程の快感を与え、背筋に流れ込む刺激に身体がビクビクと軽く跳ねてしまう。
「う、ううっ……う……」
「ん、んう……ん……ふふっ、いいみたいね」
たっぷりとキスを交わしてから離すと、唯は荒く息を吐いて酸素を体に取り込もうとする。涎を口の端から垂らしながら荒く息を吐く唯を見て、百合は妖しく微笑む。唯はこんなに激しいキスが出来る人物を、他にはミシェルしか知らない。口付けだけで翻弄されてしまった。
慣れた手つきで帯を緩め、百合は裾を引っ張って胸元を開ける。熟れきった巨大な果実のような胸が唯の目に飛び込んでいる。
「ボウヤ、たっぷりと可愛がってあげるわ」
首筋を甘噛みしながら、百合が堕落させようとするように囁く。唯の股間に手が伸び、ズボン越しに百合が優しく触る。その絶妙な愛撫に早くも硬くなった陰茎が射精感を訴える。
百合の技巧は唯に確実に快楽を伝える。出来ることなら唯はこのまま身を任せてしまいたい。だが主としての本能が、それを許さなかった。
「はぁはぁ……百合さん、ありがとう。凄く気持ちいい……」
「うふふ、もっと感じていいのよ。まだこれからだし」
「でも、僕も百合さんを気持ち良くしてあげたい。百合さん、綺麗だから……」
「お世辞でも嬉しいわ……えっ!?」
百合の体内で何かが熱くなる。子宮に響くような感触に、思わず身体から力が抜けていく。
「こ、これはいったい……」
「百合さん、可愛いな……」
「ぼ、ボウヤ? はぁん!」
自分の黒髪を撫でる唯の一言に、百合の体がビクリと反応する。膣内からうっすらと愛液が漏れているのが、自分でもはっきりわかった。太ももを無意識に擦り合わせるのを止められない。
唯は百合の肢体を抱き締め、唇を吸う。
「んー、んぅ、んっ、あう……んんーん」
先ほどのお返しとばかりに、唯が温かな口内を嘗め回すと百合は堪まらずに、くぐもった声をあげた。舌でかき回される度に、頭の中をかき回されるような錯覚を受ける。ディープキス一つで百合は小娘のように感じてしまう。
「ボウヤ……こ、これって……あっ!」
唇を離されると、百合は力無く唯の上へと崩れる。唯は百合の帯に手をかけると、慣れない手つきで帯を緩めようとする。
「これが僕の主としての力だよ」
「そ、そんな……だから、あんなにも多くのガーディアンを」
「そういうことかな。百合さんもたっぷり味わって」
帯の締め付けから解放され、百合の前が大きく開く。締め付けられていた熟女の二つの豊かな双乳がたわわに揺れる。唯は愛しげに百合の胸へと手を伸ばす。
「ああっ、やっ、そ、そんな……あんっ、おかしい。胸だけで、こんなに感じちゃうなんて!」
二つの膨らみを両手で揉まれて、百合はピクピクと体を小さく震わす。胸の付け根から強烈な快感が全身へと伝達されていく。それほど体温に違いは無いはずなのに、胸を変形させる唯の手を異常に熱く感じる。
「百合さんの胸って気持ちいいね」
「やっ、ああぁぁぁぁぁん、い、言わないで……ひっ、ああっ!」
唯の褒め言葉に、百合の背が大きく反らされる。少年の一言、その愛撫一つで自分の体が自分の物では無くなってしまう。百合は頭が焼けそうな快感を胸から受けていた。
唯も百合の体を楽しんでいた。彼女の胸はマシュマロのように柔らかく、唯が今まで触ったことのないようなソフトな感触だ。二つの膨らみは手に吸い付くようで、揉むと手の中で自在に変形する。
「百合さんの胸って柔らかいね。いつまでも触っていたい」
「だ、ダメぇ……き、気がおかしくなってしまうわ」
円を描くように乳房を揉み回されるだけで、身体が熱くなっていくのが止まらない。百合はその熱で頭がオーバーヒートしそうだ。勃起した乳首の先から胸の付け根まで、胸全体が快感のパルスを発している。
「あっ、ああ、お、おっぱいが……胸がぁ……だめよぉ」
胸の愛撫だけでも狂いそうなくらいの快感なのに、馬乗りになっている唯の股間が百合の大事な部分に当たる。服越しに陰唇へと陰茎の先がのめり込む。
「ひあっ、あ、ああ、あ、や、ボウヤのが……わたし……わたし……」
じゅわっと溢れ出した愛液が、着物用の布地が多いショーツに広がる。唯の硬くなった股間が当たっているだけで、気絶しそうなくらいの快感だ。
「ぼ、ボウヤ……わ、わたし、我慢できない」
唯のペニスを欲して、百合は少年のベルトに手をかける。浅ましい行為だとはわかっていても、本能が唯の子種を欲して急かすのだ。百合はプライドも何もかも捨てて、既に一人の雌になっている。
「やっ、だめ……ボウヤ、待って、ひゃっ、ああん」
百合の動きを阻むように、唯が彼女の胸に唇をつける。しっとりとした口で尖った乳首をチューチューと吸われると、百合は身体が痙攣したように震えてしまう。
「は、はふ……ひあん! や、いや、お、おっぱい……いいの」
カチカチに硬くなった乳首は舌でチロリと舐められると、スイッチを押されるかのように百合の脊髄を強烈な刺激が駆け上る。ザラリとした舌の感触を敏感に感じ取り、百合の身体がブルブルと震えた。
「うっ、やっ、ああっ……い、イジメないで……ああっ……」
百合は唯が履いているズボンのベルトを外したいのだが、胸を吸われた体は言うことを聞いてくれない。快感に体を捩らせるだけで精一杯だ。
「はうっ、やあん……お、おっぱい……ああ、吸わないで……やん、噛んではダメぇ」
乳首を舐められる度に電流が奔り、軽く歯を当てられると腰が砕けてしまう。味わったことの無い強烈な感覚に、百合の股間にある下の口からは絶え間なく欲望のエキスが流れ出る。ぐっしょりと濡れたショーツが股間に貼り付くのが自分でもわかった。
「ふふふ、それじゃ百合さん、一緒に天国に行こう」
「あうっ、はふぅ……えっ?」
百合は気がつかなかったのだが、いつの間にか唯のズボンのベルトが外れており、ペニスが外気に晒されていたのだ。随分と苦労したが、自分で気がつかないうちに、手がやっとベルトを外したらしい。
唯は片手でシャフトを掴んで調節して亀頭を浅く百合の膣に入れる。百合は待ち望んでいたペニスの硬い感触に体の緊張を緩めた。それを感じ取って、唯は彼女の両腕を掴んで一気に引き下ろした。
「ひゃあああああああああっ!」
少年の上に馬乗りになっていた百合は、唯の剛直によって串刺しにされた。処女膜の抵抗を唯は亀頭の先に感じた。だが百合の体重による重みによって、膜は僅かな穴を広げられ、一気に引き裂かれた。
「あ、ああああっ! ひ、ふあああ、い、痛……あうぅぅ」
破瓜の痛みを強く感じて、百合は眉をぐっと中央に寄せる。だが恐ろしいことに、処女喪失の痛覚が、すぐに快楽へと転化されてしまったのだ。
「こ、こんなのおかしい……はぐっ、う、うう、こんなに気持ちいいなんて!」
マゾヒスティックな性癖を持たない百合は、自分の身体に起こった異常にただただ驚愕するしかない。愛液と共にロストバージンの赤い血が股間から流れ出ているが、もう破瓜による痛みが消えてしまっていた。百合の戸惑いをよそに膣奥にペニスの先が侵入し、彼女の子宮口へとずしりとぶつかる。
「ああああああっ、奥に、奥に、奥に届いてる! し、子宮が!」
百合は紅い唇を大きく開き、必死に酸素を肺に得ようとパクパクと口を動かす。その両目からは涙が流れ、頬に向かって流れていた。亀頭が膣の奥へと少し強めに当たっただけなのに、体全体が何かに思いっきりぶつかったかのような衝撃だった。
「いいよ、百合さんの中」
「ひっ、堪忍して……こ、こんなの凄すぎる……お、お腹に響くのぉ!」
唯は自分のペニスを飲み込んだしっとりとした柔らかい膣をしばらく味わうと、さらに食べつくすかのように百合を突き上げ始めた。
「ふひゃあああ、あっ、やっ、ボウヤ、待って!」
「だめ。百合さんを気持ち良くしないとね」
ガクガクと体を揺らされる度に、膣奥をずしんずしんという衝撃が走る。唯が動くたびに膣がキュッとシャフトを締めて悦びを伝えてくる。子宮が押されて下腹部に振動が伝達すると、百合の体中が悲鳴を上げた。
「いや、いや、ボウヤ……や、やめてー、ひああああぁ!」
全身に広がる強烈なセックスの体感に、百合は悶絶してあられもない声を出すしかなかった。ボウヤと呼ぶのに相応しい、年の離れた子供にされるがままになっている。その信じられない事実に、頭がカッと熱くなっていく。
「うああっ、ひあっ、ぼうやぁぁぁ。いや、いやぁぁ、お、おかしくなるぅ!」
こんなにも恐ろしい快楽にも、百合は浅ましくも腰を振ってしまう。自分で動けば動くほど頭がおかしくなっていくのに、自分で自分が止められない。ますます感じてしまい、限界近い脳は気が狂いそうだ。
「はっ、はふっ、す、凄いの……お、オチンチンが凄いのぉ!」
気が狂いそうな衝撃に、百合の膣は絶え間なく愛液を吐き出して唯の陰茎を汚す。まるでお漏らししてしまったかのような量だった。柔らかな膣壁をシャフトが擦る度に、少年への愛しさと欲望が溢れ出していく。
「ああっ、おかしくなる、死んじゃう、死んじゃうの! ふああっ」
自らの乳房を揉みしだき、自分の乳首でさえも舐めて、百合は叫び続ける。もうそこには理性の欠片は微塵も残っていない。ただひたすらに本能のまま快楽を求める。
そして同時に、ラブジュースでぐちょぐちょになった百合の膣壁が唯のペニスを高めていく。唯の動きに同調して自在に形を変える百合の膣は、腰が抜けそうなくらい柔らかい。唯は今まで味わったことのない熟女が持つ成熟しきった膣内の感触に、ぐっと高まっていく。
「そろそろイクよ、百合さん」
「はぁぁん、私も、私も、ボウヤぁあ。イクのぉ!」
ぼびゅ、びゅっ、びるるるるるる、びゅびゅっ
唯が百合の腰を掴んで腰に引き寄せると同時に、勢い良く射精する。暖かな粘液が尿道を駆け上がった。
「いやぁぁぁぁあ、熱いの、イク、イク、イクうっ!」
子宮口に熱い精液を吐きかけられた百合は、一瞬で絶頂に達した。そのエクスタシーの凄さに、しばらくのあいだ百合の意識が飛んでしまう。あまりにも凄まじい快感に、精子が注ぎ込まれた胎内が、爆発したような錯覚を覚えてしまうような苛烈さだった。
「ふああっ、あくっ、ああっ……ああっ……」
思考がまっさらになり、百合は呆けてしまう。意味を成さない言葉を吐いて、目は虚ろに宙を見ている。
唯もぎゅうぎゅうと締め付けながら、奥へと引きずりこむような百合の膣の動きをしばし味わう。柔らかな膣は締まっていてもソフトで、他の恋人達とは少し違う感じだ。痛いほどに締め付ける麗とは正反対のタイプかもしれない。
「ふぁぁぁぁあ……はぁはぁ……」
どのくらいの時間が経ったかわからないくらいになって、百合はようやく息を大きく吐き出してから唯に向かって倒れ込んだ。熱気を帯びた体が唯に密着して、生温かい息が顔へとかかる。その苦しそうな顔には、少年も思わずドキリとしてしまうような艶かしさがあった。
「大丈夫、百合さん?」
「う、うん、大丈夫よ……」
纏めていた髪から何本かの髪がこぼれて、百合は細い指でかきあげる。荒く息を吐いているが、百合はある程度は回復してきた。凄まじい体験に、未だ呆然とした状態ではあるが。
だがそんな百合に、唯は信じられないことを宣告する。
「良かった。それじゃ、もう一回続けてしよう」
「えっ!? ちょ、ちょっと待って。待ってよ」
唖然としている百合を唯は転がして、騎乗位から正常位へと移る。百合は抵抗したつもりなのだが、いともあっさりと少年に組み敷かれてしまった。
「ボウヤ、もう無理……こ、こんなに立て続けじゃ……」
「大丈夫、優しくするから」
唯は優しく百合の頬にキスし、驚くほどゆっくりと腰を動かし始める。激しいセックスから優しいセックスという、唯がいつも使うテクニックだ。
「だ、だめ……こ、このままだとボウヤに溺れちゃう……」
「溺れればいいよ」
唯の緩々とした動きに、百合の膣は嬉しそうに愛液を吐き出しながら、ペニスの感触を味わう。少年に主導権を握られて犯されている百合は、自分の体が少年の意のままにされているという事実に、プライドをガラスのように割られていく。
「や、やめて……おかしくなっちゃう。ボウヤを好きになっちゃったら、私離れられなくなる」
「離れなくてもいいよ。たっぷりと愛してあげるから」
「ふあっ、あああぁ……言わないで。こんなオバさんを苛めて、何が楽しいの?」
涙でぐしょぐしょになった百合の頬や目尻を、唯は柔らかな唇で拭きとっていく。唯は愛欲に溺れる百合をかわいいと思う。それ以上に百合は、唯に対して一気に燃え上がる恋心が抑えきれない。
「ボウヤ……唯ぃ……」
ペニスをズルズルと抜き差しされる度に、年甲斐も無いような甘えた声で百合は主を呼んでしまう。年上の余裕を保ちたいのだが、もうそんな自尊心は唯への愛しさに組み伏せられていた。
「ああああぁ、ボウヤ。好き、愛してる。こんなに愛しいなんて!」
少年が持つ細身の体に、百合はぎゅっと抱きつく。豊満すぎる胸を押し付けながら、好きという言葉を何度も何度も繰り返す。
「百合さんって可愛いな。僕も好きだよ」
「ありがとう、私も大好きよ。信じられないくらい」
思いを溢れさせると、既に熱くなっている膣は一気に高まっていく。
「ごめん、もうイキそうなの……はぁ……こんなにも早くて、嘘みたい」
「いいよ、合わせるから。一緒にイこう」
唯が軽くピッチをあげるだけで、百合は一気にエクスタシーへの階段を駆け上がってしまう。ふわりと温かな感触が全身を包んだ。
「ああ……あっ……ボウヤ……あっ……」
びゅっ、びゅっ、びゅっ、びゅるっ
軽くピクピクと痙攣する百合に、唯は精を解き放つ。新鮮な白濁液が子宮へと流れ込み、またも百合の胎内を満たす。卵子を求めて泳ぎ回る精子を想像して、百合の身体が喜びで震える。
「温かい……嬉しい……ボウヤ……唯……凄い良かったわ」
「ん、良かった」
「ごめんなさい。私だけ楽しんで……」
「いいよ。百合さんにはまた今度、たっぷりと奉仕してもらうから」
「うん、たっぷりと私の体でご奉仕してあげるから」
頬にキスしてくる唯に、百合はうっとりしながら答える。そこには年上の女では無く、恋する少女が居るだけだ。
「もう一回する?」
「して……百合のこと、一杯可愛がって」
障子越しに差し込むうっすらとした明かりの下、唯は再び百合に圧し掛かっていた。
それから二時間、唯と百合は何度も交わった。正常位、側位、騎乗位、座位、対面座位と唯が知る限りの体位を使い、二人はセックスを繰り返す。ミシェルに教わった松葉崩しなどというものまでした。
「うあぁっ……ボウヤ、いいわよ……もうアソコがおかしくなっちゃって……」
「ん、百合さん。僕もいいよ」
百合は苦しみとも快楽に溺れているともつかない表情で、唯に告げる。四つん這いになって、今は唯に比較的早いピッチで膣を突かれている。愛液と精液、それに破瓜の血が太ももから膝まで垂れており、股間はぐしょぐしょで陰毛は粘液で濡れきっていた。
「ああっ、ああ……ふあっ……」
この二時間で、百合は十五回以上も達していた。こんなにしているのに、一向に唯は飽きたり、疲れたりする様子は無い。
三回目に達してからは僅かにあった余裕は吹き飛び、百合は快感にひたすら溺れる肉人形と化していた。こんなにエクスタシーを感じ続けるのは苦しいはずなのに、燃え上がる欲望と溢れ出る恋心が全ての苦痛をかき消す。何も考えずこのままずっと繋がっていてもいいと思うほどだ。つい先刻までバージンだったという事実が信じがたい。
「あっ、ああっ……あふっ、いいの、きちゃう、きちゃう……やああぁあぁあっ! だ、ダメ!」
今まで大人しくバックから貫かれていた百合が、急に慌てたような声を出した。目を大きく見開き、唯から逃げようとする。
「どうしたの、大丈夫?」
唯は体を百合の背に密着させると、下を向いても形崩れしない乳房を掴んで逃がさない。そしてピストン運動を速める。
「やっ、だめ、止めて! ボウヤ、止めて! だめ、だめ、だめぇ!」
「いいんだよ、大丈夫だよ」
「やっ、いやぁぁぁぁぁあああ」
どぴゅっ、ぴゅっ、ぴゅっ、びゅっ
急に怯えたような百合の態度に興奮したのか、唯が射精する。既に精液が一杯詰まった膣内は、唯の粘液を飲み込めずに膣口からごぼりと液体を吐き出す。それと同時にエクスタシーに達した百合が叫んだ。
「いやああああああああぁぁっ!」
百合の尿道が緩み、プシューと透明な液体が吐き出される。百合がお漏らしした液は、凄まじい勢いで畳に広がって池を作っていく。
「う、ああっ……見ないで……ごめんなさい……」
「あちゃあ、こっちこそごめんね」
百合は何度も唯に責められて限界だったのだが、セックスの快感で気づかなかった。それが最後の絶頂で身体が緩んで、畳をドロドロに汚すくらい潮を吹いてしまったのだ。
「とりあえず、急いで拭かないと……タオルか雑巾ある?」
「洗面所にタオルが……私が行くわ……ああっ」
唯のペニスを抜いて立ち上がろうとした百合は、よろけて畳の上にぺタリと倒れてしまう。腰に全く力が入らない。そんな熟女の姿に、唯はクスリと笑みを漏らす。
「僕が取ってくるよ。その後に一緒にお風呂入ろう。洗いっこって一度してみたかったんだ」
「ご、ごめんなさいね、ボウヤ……恥ずかしいわ」
顔がゆでだこのようになっている百合に微笑んでから、唯は洗面所を探しに廊下へと出た。
「遅い……」
リビングのデスクに肘をついて、麗が不満そうな声をあげる。時刻は夕方七時半。彼女は先ほどから夕食を待っている。
夕食は唯より先に食べてはならないという決まりが特にあるわけではない。だが心から服従し、恋しているガーディアン達にとって主を差し置いて夕食を食べるという考えは薄かった。自然と全員が集まる朝食と、唯が連絡してきた場合は別だが。
「まあまあ、唯様だってたまには遅くなるわよ」
不満そうな麗を、円は明るい調子で宥める。リビングにはナイターで居ない楓以外の全員が既に揃っていた。本来ならば食事の時間は七時なのだ。
「だからって、こんなに遅くまで人を待たせるなんて」
「待たせるって言ったって、まだ七時半じゃない」
イライラした様子の麗を、早苗が呆れたように見る。
「でも、夕食を待たせるなんて失礼じゃない?」
「なら、麗だけでも食べればいいだろう」
「それは……」
雛菊に冷たく言われて、麗は言いよどむ。口では色々言いながらも、唯抜きで食事をするというオプションは無いらしい。だがまだ成長途中の小学生の体は空腹を訴えて仕方ない。雛菊も何処となく機嫌が悪く、その所為で口調が僅かに荒くなっている。
「それにしても珍しいわね、唯様がこんなに遅くなるなんて」
「まあ、唯様も中学生だし、多少は夜遅くまで外出してもおかしくないわ」
時計を見やる静香に芽衣は常識的な意見を返す。その台詞とは裏腹に、先ほどから芽衣の視線は壁にかかった時計を何度も見て、落ち着きが無いことこのうえない。
「携帯にメールや電話はしたの?」
「うーん、何度もしたんだけどね」
「電源を切ってるみたい」
早苗の質問に由佳と京が答える。由佳は台所のカウンターに肘をついてぼーっとしており、京はひっきり無しに携帯を弄っている。
落ち着きの無い芽衣、麗、由佳、京、雛菊の姿に早苗は思わず笑ってしまう。
「みんな、唯君に随分べったりだなー。そんなに心配?」
「普段から甘やかしっぱなしだしね」
早苗の意見に同調して、ミシェルもクスクスとおかしそうに笑う。
「ちょっと、それどういう意味よ」
「だって、初めて息子をお使いに出したお母さんみたいだよ」
早苗の指摘に由佳は絶句してしまう。確かに唯が普段居る時間に居ないというのは、落ち着かなくて仕様がなかった。不安で仕方ないのかもしれない。
「しかし、麗や京も気になるんだー。もうちょっと素直になればいいのに」
「う、うるさい」
「……殺すわよ」
精一杯虚勢を張る二人だが、早苗の言う通りなので反論が後に続かない。もうちょっと早苗がからかってやろうかと考えたとき、廊下から声が聞こえてきた。
「ただいま。遅くなって、ごめんなさい」
唯の声に芽衣達は、ほっと息を吐く。それがいかにもあからさまなので、早苗とミシェルはクスクスと笑う。それに恥ずかしさを覚えたのか、ごまかすように麗が大きな声を出す。
「遅い、何やってたのよ」
「えっと、ちょっと余所の家に行ってて、つい……あ、ちょっとタンマ。待って下さい」
廊下から聞こえる唯の声に、全員の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。だが、その答えはすぐに明らかになった。
「遅くなりました」
「うふふ、こんばんは」
唯と一緒に腕を組んで、百合がリビングへとやって来た。にっこりと微笑む和服の美女に、全員が唖然とする。
「ちょ、ちょっと。何で百合が唯君と一緒に帰って来るのよ!?」
「あら、私の主様だもの。一緒に居てもおかしくないわよ」
目を丸くする由佳に、百合は落ち着きはらってにっこりと笑う。
「何で唯君を知っているのって聞いているのよ」
「前に会ったことがあるからよ。今日、改めて主従の契りを結んだわ」
徐々に怒りが溜まってきた由佳に、百合は笑顔を崩さない。それがまた由佳の怒りを誘う。
「百歩譲って、知り合いだとしても、何で一緒に腕を組んでるの?」
「あら、いいじゃない」
眉をひそめる円の指摘にも、百合は何処吹く風だ。
「良くない。唯様も家の中では、腕を離して下さい」
「あ、そうだね」
憤る雛菊の言葉に、唯は百合に目で離してくれと頼むが、
「ボウヤ……まだ腰が痛むの。責任を取って、もう少し補助して頂戴」
「何ですってー!」
百合が投げ込んだ問題発言という爆弾に、芽衣、麗、京、雛菊、由佳、円の目がつり上がった。
「ちょっと、百合。どういうことよ」
「ボウヤって凄いんですもの。腰がおかしくなるまで抱いてくるし」
「唯様!」
「えっと、ごめん……」
「ボウヤが謝ることは無いわ。嫉妬なんて見苦しいわよ」
「こ、こいつ……喧嘩売る気!?」
唯を中心に女同士の猛烈な口喧嘩が始まる。抜け駆けされたのが、よっぽど悔しいらしい。更に悪びれない百合の態度が火に油を注いだ。弱った顔をしている唯をよそに、激しい応酬が繰り広げられる。
「……こりゃ、ご飯は当分食べられそうにないね」
「あら、面白そうじゃない」
疲れたように溜息をつく早苗に、やじ馬と化しているミシェルが楽しそうに返事する。早苗がふと見ると、喧嘩には参加していないが自分の恋人である静香までもが険しい顔をして百合を睨んでいる。これは早苗にも少し意外だった。
「みんな、もうちょっと大人になろうよ」
現役女子校生は、テーブルの上に置いてあった湯のみを掴むと、温くなったお茶を啜った。
百合も含めて全員が夕食にありつけたのは十時を回った頃だった。