キュイーーーーーン! バサァァァァ!
甲高いピッチの音が響く。草むらにたなびく草が音と共にブルブルと震え、そして音が一定の高さになると粒子の粒に分解された。
ここは川原の一角。唯の家から歩いて行ける距離で、さほど遠くない場所だ。麗が仲間たちと戦った場は、この近くにある。
「ふーっ」
力の実験を行った唯がぐったりとしたように座り込む。自分が行使できる音を使った攻撃を試していたのだ。川原に生えた草を目標に、高周波の音をぶつけ続けて強烈な振動で物体を粉砕するという技を先ほどは使った。
「ダメだ、やっぱりすぐ疲れるなー」
寝転がりながら、唯が呟く。吐く息がいつもより微かに荒く、体にはどうしようもない倦怠感が漂っている。
唯は暇があるときは、こうやって川原で自分の力を試していた。草むらの奥へと入ってしまえば、ただでさえ人気の無いこの場所には誰も来ない。実験の場所としては絶好と言える。音を操る唯にとっては消音もお手のもので、実験をしているときに万が一周囲にも人が通りかかっても気づかれない自信があった。
こうやって自分の力を試しておかなかったら、半田や麗との戦いでも危なかったかもしれない。
「うーん、どうすればいいのかな?」
唯も配下のガーディアンとは程遠いが、超人的な力を行使できるようになってきている。問題はダメージを与えるほど強力な力を使うと、すぐに疲弊してしまうのだ。彼は普通の少年に過ぎない、芽衣達とは元から体の作りが違う。
「なかなか面白い力を持っているのね」
思いがけないほど間近に声が聞こえて、唯は慌てて飛び起きた。誰にも気づかれていないだろうと思い、周囲の音を拾うのを止めて警戒を解いていた。それがいつの間にか、こんなに近くに人が居たとは。
唯の後ろに立っていたのは、着物を着た女だった。紺色のおとなしめな柄の和服に、結った髪を頭の後ろに綺麗に纏めている。おっとりとした印象を与える顔立ちはとても整っており、絶世とも言える美女だ。周囲に美人が多すぎる唯にとっても、彼女の顔にはまた違ったタイプの美人に感じる。年は芽衣より上みたいだが、美しい顔が邪魔をして年齢を予想しにくかった。
「だ、誰!?」
「そう警戒しなくても。別に取って食おうとは思わないわよ」
和服の美女は唯の横元を通り過ぎ、川原にあった手の平より少し小さな小石を一個拾いあげる。人差し指と親指で石を掴み、じっくりとそれを見やる。
「力っていうのは、何も思いっきり出すのだけが能ではないのよ」
指を中心に小石に亀裂が四方へと走り、ピシッと音が鳴る。次の瞬間、石はバラバラになって大きく飛び散った。
「精度を高めれば、労せずにこの通り……物を破砕するのも可能なのよ」
事も無げに言う女性に、唯は目を丸くするしかない。一見、彼女は指の握力だけで石を破壊したように見える。ガーディアンでも京ならば出来るかもしれない。だが唯には、何らかの力を使ったとしか思えない。その力が何なのかはわからないが。
声も無いという様子の唯に、女はクスリと笑うと再び彼の横を通り過ぎる。
「また会いましょう、ボウヤ」
「唯です」
唯の力がこもった言葉に熟女は立ち止まるって振り返る。少年はキリリとした表情で、女の顔を見ていた。
「麻生唯です。どなたかは知りませんが、ありがとうございました」
「……二階堂百合よ。百合って呼んで頂戴。また様子を見に来ると思うわ」
百合はふっと笑顔を唯に返す。彼女は再び振り向くと、膝の裾を軽く開く。常人離れした跳躍力で、百合は草の向こうへとジャンプして消えていった。
「どうしたのかしら……」
リビングにやって来た芽衣は、ソファに座って足を組んでから、開口一番にこう言った。理知的な顔に軽い憂いを帯びている。夕方のニュースを見ていたり、雑誌を読んでいた数人が彼女へと振り向く。
「何かあったの?」
「残りの二人に連絡が取れないの……」
細い顎に手を当てながら、ため息まじりに芽衣が報告する。
「あの正義バカは仕方ないんじゃないの。神出鬼没だし」
「あんな性格だから、合流しないかも。仕事熱心でしょ」
麗とミシェルの意見に芽衣も納得したように首を縦に振る。だが顎に細い指を当て、再び考え込む。
「問題はもう一人ね」
「この前まで連絡は取れていたの?」
「ええ、引越しするとは聞いていたんだけど……」
円の質問に芽衣は電話で連絡は取れていたと説明する。
「携帯電話、持ってないらしいのよね」
「今時それは物好きな……でも、彼女なら何かあったら連絡するでしょう」
「そう思うんだけどね」
円にこう言われても、芽衣はまだ何処と無く煮え切らない様子だ。
「もしかしたら、誰かにやられちゃったとか」
「それは有り得ないわよ。彼女は私に次いで強いから」
ニヤニヤと意地悪に言う麗の意見を京が一蹴する。
「ガーディアン最強の私並みに強いのだから、彼女に限っては有り得ないわよ」
「ちょっと待った、それは聞き捨てならないね」
興味が無さそうな京の言葉に、眉を寄せた早苗が待ったをかける。
「一番強いのは静香お姉さま。訂正してもらいましょうか」
「ちょっと早苗……」
「訂正しないわよ。私が一番強いのよ」
止めに入る静香を無視して、早苗と京が勝手にヒートアップする。立ち上がって睨み合う二人に、キッチンからやって来た由佳と雛菊が足を止める。
「一体どうしたのよ?」
「こいつが私のことにケチをつけたのよ」
「静香お姉さまの名誉にかけて、引かないよ」
由佳の質問に対する答えに、京と早苗はお互いにますます怒りが募ったようだ。
「京と静香、どっちが強いということか。当事者でもないのに、二人とも喧嘩してるのか?」
「雛菊は黙ってて」
京を睨みつけている早苗に、雛菊も呆れ顔だ。一触即発という状況に、さすがに全員がどうやって収集をつけようと考え始める。
だがそれを収めたのは、つい先ほどまで我関せずとだんまりを決め込んでいた楓だった。
「唯様に言いつけるわよ」
その言葉に早苗がギクリと固まり、それ以上に京は大きく反応した。鋭い印象を与えているはずの顔がさっと青くなると、慌てて背を向けてソファの端へと座ってしまう。その様子を見て、静香と麗が首を傾げる。
「どうしたの、京?」
「別に何でもないわよ。放っておいて」
「ふーん、もしかして唯が怖いの?」
麗がいいことを聞いたと言わんばかりに、幼い顔に邪な表情を浮かべてニヤリと笑う。
「あの京がこんなになるなんてね」
「………」
「面白そうだから、唯を怒らせてみようかな?」
軽い調子で言う麗に芽衣、由佳、雛菊、京の顔が恐怖で引きつった。
「だめよ、絶対ダメ」
「いや、それだけはだめ!」
「やめろ、麗。地獄を見るぞ」
「絶対にやめてよね、絶対よ!」
子供のように怖がる四人に、麗はからかうのも忘れて唖然としてしまう。
「そんなに怖いの?」
「怖いなんてものじゃないわ。まだ完全に怒ったところを見たことが無いからいいけど、本当に怒ったらどうなるか……」
「わ、わかったわ」
心底怯えている芽衣に麗はコクコクと頷くしかない。芽衣が怖がっている様子など、数百の悪魔に囲まれたときでも見たことは無かった。
「ただいまー」
「あ、おかえりなさいませ」
玄関から聞こえる唯の言葉に気を取り直したのか、芽衣と雛菊がリビングを出て行く。二人にエスコートされて唯がリビングへと顔を出すと、全員が一斉に立ち上がった。
「唯君、晩御飯にする?」
「うん。ありがとう、由佳さん」
唯の一声でゾロゾロと全員が食卓へ向かう。唯が外出すると、ちょうど夕飯時に帰ることが多い。そのため彼が出かけたときは、唯が帰ると夕飯を食べ始めるという不文律が出来ていた。無意識に主への義務感みたいなものが、出来ているのかもしれない。
食卓には既にコロッケ、煮魚、サラダなどの料理がずらりと並んでいる。
「それでは、頂きます」
「はい、召し上がれ」
唯はあまり量を食べない方だが、代わりに由佳達が作った料理を美味しそうに食べる。こういうのを見ると、作った側も嬉しくなる。
夕食はもっぱら由佳や雛菊が主体に作るが、最近は静香が手伝ったりしているようだ。静香が買い物や洗濯もしてくれるので随分助かる、と由佳が言っているのを唯は何度も耳にしている。ちなみに掃除は由佳が大気や床上の塵だけを燃やしたり、楓が風でごみを集めたりと能力を使って楽にこなしているようだ。皿洗いは麗に全面的に任せているらしい。
「そういえば、ちょっと聞きたいんだけど」
雑談しつつも普段どおりに夕食を食べていたメンバー達は、唯の一言で彼に注目する。こういう切り出し方をするときは、大体唯は大事な話をするからだ。
「小石に一点の圧力をかけて、貫通できる人ってどれくらい居る?」
「一点の圧力で貫通?」
唯の何だか要領の得ない質問に京が怪訝そうな顔をする。
「要は能力を使って、小石を貫通する穴を打てるかってこと?」
「うん、そういうことなんだけど」
京が唯の言葉を補足して、ようやく全員が納得する。
「そんなの簡単なことよ」
真っ先に答えた麗は、自慢そうに胸を張る。彼女はミニトマトをつまみあげて、視線の高さまであげる。
「見てなさいよ」
麗の言葉と同時に、ミニトマトが中心から綺麗に八つにスライスされた。麗の細い指の上で切れたトマトは、皿の上に零れ落ちる。これには唯も素直に驚く。
「ざっとこんなものよ」
麗が行ったのは、水を高速で噴出してカッターにするという技だ。彼女が最も得意とする技の一つで、ミニトマトという小さな物体でも、正確に放った水流で自分の体を傷つけることなく切断してみせた。麗が完全に水をコントロールしている証拠だ。
「まあ、それくらいなら私も出来るわよ」
「ミニトマトならともかく、石は難しいですね」
正反対の回答をしたのは、どちらも接近戦を得意とする京と雛菊だ。血は水に近いので京は麗のような真似を出来るが、剣という一定の太さを持つ物体を出す雛菊には難度が高いのかもしれない。
「レイピアみたいな細い剣なら突けるかもしれませんが」
雛菊のような熟練の剣士なら、突くという行為で破砕はできるという可能性はある。
「石自体を細かくは砕けるけど、一点に集中ね……」
早苗は土使いなので、鉱石の操作は自在のものだ。早苗がちらりと静香を見ると、彼女も難しい顔をしている。
「超極小のマイクロブラックホールをぶつければできますが……不可能に近いですね」
さらりと怖いことを言ってのける静香に、唯も早苗もあははと笑うしかない。
「私は残念ですが無理です。唯様、お役に立てずに、申し訳ないです」
「私の能力は大雑把だから……上手くコントロールできればいけるかな」
「一点に強力な電流を流せば……無理っぽいですね。電圧を上げても無理そうですし」
風を操る楓では無理、影を物のように操る円と電撃使いのミシェルは破壊することは可能だが、小さな穴は力の制御的に無理のようだ。
「私も破壊は可能ですが、難しいですね」
「右に同じく。熱で溶かすのは簡単なんだけどね」
真剣に考える芽衣とは対象に、由佳は苦笑して軽く話題を流す。氷と炎では貫通は確かに困難だろう。
「やっぱり皆でも難しいんだ」
唯も麗と同じく何気なくミニトマトを摘む。何か思うところがあったのか、突然に赤い野菜を集中してじっと見つめた。次の瞬間、ミニトマトが微かにぶれたと見えると、音も無く液状に実が崩れた。赤と緑の液体は唯の指を汚しながら、皿の上にベチャリと落ちる。
「あ、ごめんね」
さすがに行儀が悪いと思ったのか、唯はティッシュで慌てて指を拭いて、食事に戻る。だがガーディアン達は驚いていた。元はただの人間である唯が、これほど精度のある能力を使うとは思ってもいなかったのだ。彼女達は改めて唯に対する認識を、これまでの主とは違うと変える必要があった。
「ねえ、唯。唯が怒ると怖いって本当?」
夕食後にリビングでテレビのリモコンに手を伸ばした唯の動きが止まる。質問した麗を彼が見ると、唯のことを彼女はニヤニヤと見ている。
「うーん、怖いんじゃないかな。山田や菊池もめちゃくちゃ怖いって言ってたし」
「本当に? 信じられないんだけど」
リモコンを手にとってテレビをつける唯に、麗が疑いの目を向ける。唯自身には自分が怒るとどのくらい怖いのかはわからないのだが、同級生の話を聞くと相当怖いらしい。唯は竜太に、思い出したくもないからその話題はやめてくれと言われたくらいだ。
唯はテレビの番組を替え、いつも見ているバラエティ番組へと回す。
「それじゃ、怒ってみてよ」
麗のリクエストに、それまでただの雑談だと思っていた京と芽衣が、ぎょっとして彼女を見る。だが唯は少し困ったような顔を見せただけだ。
「何にも怒るようなことはないのに、すぐに怒れないよ」
「ふりでいいのよ、怒ったふりで」
「そんな、上手くできないよ」
迷惑そうな顔をする唯に対して、麗はしつこく絡む。ぜんぜんやる気の無い唯に対し、先に麗のほうが不機嫌になっていく。
「なによ。別に見せても減るわけじゃないのに、ケチね」
「そんな、急に怒れないって」
「いいから怒りなさいってば」
麗は唯を指で突付いたり、肘で小突いたりするが、唯は困った顔をしているだけだ。しまいには頬を指で思いっきり摘んで、捻る。
「いひぇひぇひぇ……痛いよ、麗」
「本当に怒らないのねー。つまらないわよ」
麗は指を離したが、かなり不満そうだ。唯は痛そうに頬を自分の手で撫でる。
「麗、いい加減にしなさい」
見かねた芽衣が麗を叱り付ける。その厳しい顔つきには、若干の焦りが見えた。
「何よ。別にちょっと唯の怒った顔が見たいだけよ」
「あなたは唯様が怒ったところを見たことないから言えるのよ。そんなことのために唯様に手を出すのは止めて頂戴」
「なら、他の人はどうなの? ちょっと怒ったところ見たくない?」
麗はいいきなり他の人間に話を振る。楓、円、ミシェル、早苗、それに台所から戻ってきた静香にだ。
「えっ、何の話?」
「唯を怒らせて、見たいってことよ」
「私は見てみたいな。好奇心ってやつね」
「私も私も。芽衣達はちゃんと話さないから、結構気になってたし」
「私も見てみたい。唯様の怒る姿もきっと素敵だと思う」
「うーん、ちょっと気になるかな」
何の話かを掴んでいない静香を除いて、円、ミシェル、楓、早苗の順で麗の意見に賛同する。
「というわけで、唯。とっとと怒ってみせなさい」
「いい加減にしなさい……」
しつこい麗に頭に来たのか、京がいきなり立ち上がる。腕を軽く振ると血で出来た刃が延びて、彼女の咽喉元に突きつけられた。仲間に刃を向けられ、麗の額に汗が浮かぶ。
「いきなり何するのよ……」
「やめろって言っているのよ」
「何よ、やろうって言うの」
隙を見て、麗は小柄の身体をサッと引いて血刃から距離を置く。麗は両腕を腰に引いて構えると、彼女の周囲へ徐々に小さな水の粒が浮かび上がる。時間が経てば経つほど、その粒は大きくなっていく。
「ふ、二人ともやめてよ。ちょっとした行き違いなんだから」
「うるさい!」
唯の制止も虚しく、麗がゴルフボール程の大きさで出来た水弾を飛ばす。高速で噴射された水滴を、京は血刃を厚い盾へと変化させて防ぐ。水滴は大きな水音を立てて、血に吸い込まれた。
「殺すわよ……」
「やれるものなら、やってみなさい」
「ちょっと二人とも止めなさい!」
エキサイトする二人を止めようと、芽衣が冷気を腕に溜め始める。すかさず他のガーディアン達も自分達の能力を発動させて構えた。何かあれば、すぐに介入する様子だ。
事体の悪化に唯も京と麗の間に困惑したように立ちはだかる。
「お願いだからやめてよ。何でこんなことに力を使おうなんて」
「どいて、こんなところで引けないわ」
麗は唯の言うことを聞かない。主の言葉にも、まだ強制力は使われていないためだ。じっと構えている京も、止める気はなさそうだ。
「本当に怒るよ!」
「うるさいわね。怒る気もない意気地無しのクセに」
「やれやれ、怒るのは嫌いなんだけどね」
突然に唯が力を抜いて、顔をダラリと下げる。いきなり変わった声色に、麗が僅かに後ずさる。
「な、何よ……」
「完全に怒ったよ」
顔を上げた唯は満面に笑みを浮かべている、酷く濁った目で。
「ひっ!」
「全員、能力を止めてそこに正座」
主の発した命令には誰も逆らえない。全員が唯の前に正座した。ここに至り、全員が事の重大性を悟る。
にっこり笑う唯は全くの別人だった。
「あんなにやめてって言ったのに……ああ、怒ってるのが見たかったんだよね」
「も、もういいから……」
「遠慮しないでよ。本当に怒るのはこれからなんだから」
汗だくの麗に唯はにっこりと微笑みかける。芽衣と由佳、それに普段は豪胆な京と雛菊でさえ顔が土気色だ。
「唯様、ど、どうかお許し下さい」
「だーめ、前にも言ったでしょ」
「れ、連帯責任ですか? お気を静めて下さい、唯様!」
芽衣の哀願も聞き入れず、唯は笑顔を崩さない。連帯責任という言葉に、全員が恐怖する。
「お仕置きしないとね」
「お、お仕置きって何よ」
「全員無理やりレイプする」
とんでもないことを唯は平然と言い放つ。明らかに普段の温厚で思慮深い少年ではなく、何処かタガが外れている。
「それじゃ、まずは麗から」
「ちょっ、やだやだ。来ないでよ」
普段の心地良いセックスとは違い、暴行されると思った麗はツインテールの髪を左右に揺らして必死に嫌がってみせる。だが言霊の強制力で動けない麗に近づいた唯は、言葉とは逆に優しく彼女の唇にキスする。
「んっ、んん……」
ついばむような甘いキス。思いもよらない唯の甘いキスに、麗の身体から力が抜ける。惚れた相手からのキスに、思わず気分が高まってしまい、麗は胸の中が熱くなっていく。
「唯……」
「麗、足を開いて」
「うん」
いつもより少し真剣そうに自分を見つめる唯に、麗は素直に従って股を開く。キスだけだというのに、ショーツはじんわりと湿っている。先ほどまで恐怖を感じていたため、感覚が鋭敏になっているのかもしれない。
唯はショーツの股間部分に指をかけると、力任せに引き千切った。
「ちょ、ちょっと唯! 何するのよ!」
今まで優しかった唯の突然の豹変に、麗が慌てて身を起こそうとする。その小さな体を押し倒し、唯は頬にキスした。
「麗、可愛いよ」
「ちょっ、いきなり何よ……ああっ!」
唯の言葉にビクリと反応して、麗の幼い体が震える。唯が指を女陰へと伸ばすと、膣口からうっすらと愛液が漏れていた。それを確認して、唯は二本の指を膣口にズブリと入れる。
「い、痛い……ゆ、唯、二本はまだ無理だって」
「んっ?麗が可愛いから、つい入れちゃった」
「ひゃぁぁぁん」
甘い囁きに、麗の頭がカッと熱くなる。唯の二本指が膣内をくちゅくちゅとかき回すのが、それに拍車をかけた。じっとりと愛液が溢れ始めたために、指の動きはどんどんスムーズになっていく。様々な動きで膣内を暴れまわる指に翻弄されて、麗は身悶えする。
「あ、あふっ、ふあ……」
「麗、麗、麗……」
「ああっ、そんな風に呼ばないで!」
ただでさえ膣を蹂躙する指の動きに手一杯なのに、媚薬のような唯の囁きで頭が白熱してしまう。膣壁を指で擦られると、下半身全体に痺れが広がっていく。
「う、いやあっ! そ、そこはダメぇっ!」
唯の指が膣内の敏感な部分に当たり、麗の腰が跳ね上がる。強烈な快感に意識が打ち壊されるかのようだ。自分でも驚くほど敏感な部分が体にあったようだ。強烈な反応を見せる麗に、唯は嬉しそうに見つけたGスポットを懸命に責め立てた。
「麗、もっと鳴いて。可愛い声で鳴いて」
「いや、やだやだやだやだ、やめてー」
指を出し入れしながら、唯は悶える麗に囁き続ける。甘くキスしながら、かなりのスピードで指を動かすと、膣内からグチョグチョと大きな音が漏れる。飛び散る愛液が手を濡らし、手首までもべチョべチョに濡らしていく。
「あ、ああっ、やだ、やめて……おかしくなっちゃうって!」
膣内から溢れた液体は唯の手全体をぐっしょりと汚しながら、更にフローリングの床まで濡らし始める。湧き出る泉のように、後から後から愛液を漏らしながら麗は泣き叫んだ。
「いやー、いく、いく、イッちゃうよー!」
ぶしゅうと麗の尿道から透明な液体が噴き出し、辺りに飛び散る。麗の膣は唯の指を咥え込み、オーガズムを迎えて麗の意識が白くなっていく。
いつにも増して早く絶頂に達した麗に、正座している全員の目が釘付けになっている。快感に咽ぶ麗の姿は、唯の愛人としてはあまりにも羨ましい。中には太ももをモジモジさせている者も何人かいるようだ。
だが、唯の動きは止まらなかった。
「麗、イっちゃったんだね。とっても可愛いよ」
「いや、やだやだ、やめて。お願い、唯やめてー」
「だーめ」
麗が達したというのに、唯の指はグリグリと膣の中で暴れた。Gスポットがある膣壁の凹凸を二本指で擦り、涙を流して悶え続ける麗を責め立てる。
「ひああああっ、やっ、やめてよー! あっ、あっ、ああっ!」
「気持ち良さそう。もっと楽しんで」
自分の意思とは反して、麗の身体が再び絶頂を迎えた。一回目の快楽も凄まじかったのに、立て続けに二回もイカされて麗は脳が焼きつくような感覚を覚える。唯にしがみつく彼女の顔は涙と涎でグショグショになっていた。
「麗、もっと素敵な顔を見せて。ずっと気持ちよくさせてあげるから」
「やめてよー! ゆ、許して、許して、お願い……」
麗の必死の願いも聞かず、唯は指を動かし続ける。既に指先は淫液でふやけているが、それでもお構いなしだ。液体を垂れ流し続けるヴァギナを責め尽くし、麗の幼い膣を蹂躙し続ける。
「ふあ、やっ、ひあああああっ! あ、ああ……はぁはぁ……ん、ああ、やめ……きゃあああああっ、だめ、だめ、いく、いく、ああああああっ、イクぅ……も、もう動かさないでー!」
立て続けに何度もイカされ、麗が再び潮を吹く。もう既に快感の限界に達しているのに、唯は指を動かすのを止めずに麗をオモチャにし続ける。
「麗のイクところ、可愛い。もっと見ていたいな」
「あ、ああっ……あ……」
最後に一度イクと、麗の動きががっくりと止まる。イキすぎて意識が持たずに失神したのだ。その股間からチョロチョロと黄色い液体が漏れ出す。
ようやく満足したのか、唯は大量のティッシュでフローリングの床を拭いて軽く掃除する。それが終わると、にっこりと笑って残りのガーディアン達へと向いた。
「さて、次は誰がお仕置きして欲しい」
麗の惨状を目の当たりにして、誰も声が出ない。唯の手にかかれば、自分達が狂うまで犯すのなど簡単だろう。笑いながら指を舐めている主の姿に、ガーディアン達は服従の微かな喜びと圧倒的な畏怖を感じてしまう。
「つ、次は私が……」
自分から名乗り出たのは楓だった。全員が正気なのか、というような目で彼女を見る。
「うん、じゃあお仕置きしてあげるね」
唯は慈母神のような優しい笑みで楓を抱き寄せて、そのショートヘアーを撫でる。唯は楓の服に手をかけると、急いでいるような乱暴な手つきで脱がせてしまう。
「楓さん、今日も可愛いよ」
「嬉しい……唯様」
恋人のような甘い雰囲気を醸し出しながら、唯は優しく楓の胸に手をかける。張りのある巨大な胸の表面をソフトに触りつつ、唯は楓の唇をチュッチュッと吸う。それだけでもう、仮面のように無表情だった楓の顔が弛緩して、惚けた顔になっていく。
「唯様、愛してます……」
「僕もだよ、楓さん……」
いつもと変わらない唯の愛を信じたのか、楓は完全に身を委ねてしまう。彼の言葉が甘くて仕方ない。
「あ、あっ……あふっ、はん……」
大きすぎる胸の先端を舐められると、体の奥底がどんどん燃えていく。つんと勃った乳首を交互に吸われるだけで、楓は体中ゾクゾクしてしまう。心から唯を慕っているので、こんなささいな愛撫でも、激しく犯されているときのように感じてしまう。
「はっ、吸って……一杯吸って。唯様、いいの……」
ぽつりと尖った乳首を舌で転がしながら、唯は楓の陰唇を手の平で撫でる。案の定、楓の膣から漏れた愛液はアナルまでも濡らしていた。麗への激しい責めを見て、ずっと濡らしていたのかもしれない。
「楓さん、そこに手をついて四つん這いになって」
「はい……」
腰が軽く震えた状態のまま、楓は唯の言う通りに手を付いて腰を上げた。程よい肉付きのヒップと、透明の粘液で濡れたピンクのヴァギナが丸見えになる。首を回して背後を見る楓の顔は期待に満ちていて、妖艶な目つきで少年のことを誘う。
「唯様……」
唯は服を脱ぐと、楓の後ろへと回る。裸になった少年は膝立ちになると、硬くそそり立った陰茎の先を膣口で軽く突く。
「ああっ!」
「楓さん、オチンチン欲しい?」
「はい、欲しいです。入れて下さい、唯様」
唯は亀頭で陰唇を何度かなぞりながら、楓の尻肉を揉む。膣口から漏れた液体は、陰唇に沿って動く亀頭を濡らす。楓がたっぷりと濡れて充分過ぎるほど整っているのを見て、唯は残酷なことを宣言した。
「だめ、お預け」
「えっ……」
楓は信じられないものを見るような目つきで、唯の顔を見つめる。たっぷりと欲情していた楓だが、今は凍ったように声も出ない。そんな楓に唯は笑顔を返す。
「言ったでしょ、お仕置きだって。だからお預け」
「そ、そんな、唯様……」
「だめ、お預けだから」
手を伸ばしてくる楓を巧みにかわし、唯は彼女から視線を外す。楓は熱い体を持て余すが、自分で慰めることもできない。
「次は京さんね」
「わ、私!?」
緊張しながら楓との情事を見ていた京は、唯からかかった突然の指名に思わずドキッとしてしまう。心が熱くなるほど大好きなはずの少年だが、常とは違って正気ではない。しかし唯のお呼びとなれば仕方なく、そろそろと彼に近づいていった。
「それじゃ、するね」
「ゆ、唯様……意地悪しないで……」
京を呼び寄せる唯に、楓が美しいプロポーションの体を寄せて必死に哀願する。
「だめ、お預け」
すがりつく楓の頭を優しく撫でて離れると、おずおずと座った京に唯は襲い掛かる。京の肩を掴んで優しく押し倒し、唯は上から彼女の顔を覗き込む。そんな唯に京は彼の思うがままに動いてしまう。
「ゆ、唯!?」
「動いちゃダメだよ」
唯は京が履いていたジーパンのホックを外すと、ショーツごと足首まで一気に引き下げる。強引な動きだが京はついつい腰を浮かせて、脱がすのを手伝ってしまった。だが次の唯の動きに京は思わず焦ってしまう。
「や、唯! やめて、やめなさい」
唯が太ももを抱え込むと、無理やりペニスを突っ込もうとしたのだ。愛撫も前戯も何も無い。純粋に京のことを犯そうとしている。
「あ、やだ。やめてよ……ああっ!」
無理な体勢で抗うこともできず、唯のペニスがズブズブと京の膣に沈む。急な挿入に京は軽いパニックに陥るが、思っていたほど痛みが無い。
「あ、ああっ……な、何よ、これ」
いきなり入れられたのに、京の中は既に濡れていて準備万端だったのだ。膣はいつもと同じく陰茎を優しく包み、唯の棒から熱が広がっていく。自分でも思っていなかったことに驚愕する京を余所に、唯が腰を動かし始める。
「どう、京さん? 気持ちいい?」
「あ、あう……き、気持ちいいわよ」
「良かった。いっぱい愉しんでね」
グシュグシュという音を立てつつ、唯がピストン運動を始める。いつもとほぼ同じに見える唯の動きと声に、京の身体は油が注がれた如く情欲の火に焦がされていく。何度抱かれても唯とのセックスには飽きがない。それどころか回数をこなせばこなすほど、深く繋がっているように感じられる。
「京さん、凄い良さそう……とっても可愛いよ」
「唯だからよ……私、唯のことが好きだから」
「でも、幾ら好きでも、無理やりレイプされて感じちゃうんだね」
唯の卑劣な言葉に京の顔がさっと青くなる。
「ば、バカ。そんなことあるわけ……」
「でも、もう濡れ濡れだよね。レイプされるの好きなの?」
投げかけられる唯の酷評に、京の顔に怒りが広がる。きつそうな顔つきに、先ほどまでの幸せそうな表情が消えて、憎しみに似たものが浮かぶ。
「だけどレイプされて感じちゃう京さんも好きだよ。愛してるから。僕が好きだから、レイプされても感じちゃったんだよね。ありがとう、そんな京さんが大好きだよ」
切り返すように愛のある言葉を告げられ、京の頭が真っ白になる。そして意識が津波に流されたが如く、一気に快楽へと染まっていく。
「やああああああぁ! ああっ、やんっ、ひゃあん……あ、あっ、お、おかしいの」
唯がストロークするペニスの一突きごとが、先ほどとは桁違いな快感を与えてくる。あまりの刺激にまともな思考もままならない。怒りが喜びに一気に転化して、唯の言葉が、ペニスが、その全てが愛しくて仕方なくなっていく。
「僕ならレイプされても、感じちゃうんでしょ? 僕も京さんをレイプするの好きだよ。凄い気持ちいい」
「好きなの! 唯になら何度レイプされてもいいっ! 犯して、私を犯してー!」
白濁した意識の中、京が卑猥な言葉を叫ぶ。子宮口を押し潰されるたびに、心臓が爆発しそうなくらい鼓動が跳ね上がる。好きな唯に無理やりレイプされて、オモチャのようにされて、なおかつ感じているという認識が、眠っていたマゾの心を呼び起こしたのかもしれない。ペニスに貫かれて、心底嬉しそうに唯とのセックスを愉しんでいる。
平常で居られないのは楓も一緒だ。京が普段の快感を押し殺すようなセックスではなく、ひたすら嬉しそうなセックスをしているのだ。目の前で繰り広げられている唯が京を弄ぶ光景は、情欲の火に油を注ぐようなものだ。性欲を持て余して気が狂いそうになっていく。
「唯様、唯様……わ、私にも下さい」
「だーめ、お預け」
「そ、そんな、いやぁ……」
「これもお仕置きなんだから。楓さんのためを思ってやってるんだよ」
つれない唯の言葉に、楓は涙ぐんでしまう。だが唯はにっこりと笑って頭を撫でるだけで、手を出してはくれない。唯の細い体の下では京が悦楽を貪っているのに。
「ああっ、唯、唯、唯ーーーーっ。イク、イクの……唯も一緒に来てっ!」
「うん、無理やり中に出してあげる。レイプして中に……」
「いいの、唯のなら無理やりでも。中に好きなだけ出してえぇぇぇぇ」
京が絶叫すると同時に、壮絶なエクスタシーが彼女を襲う。腰を動かし続ける唯の亀頭が奥へと達する度に、悦楽という狂気に落ちていく。
びゅっ、びゅっ、びゅっ、どびゅびゅびゅ
精液が勢い良く子宮口にかけられると、京の意識が飛んだ。乱暴にされても、言葉でなじられても良かった。唯に愛して貰えるのなら。
「あ、ああああああぁ」
いつもより遥かにきつく収縮する京の熱い膣壁を楽しみ、唯は思う存分中で射精する。虚ろに呟く京の台詞がまた興奮を高めたようだ。いつも同様、かなり多い量の精子を美女の子宮に吐きかけて、ようやく唯は京からペニスを引き抜いた。
「あっ、あっ……」
微弱な痙攣を繰り返す京の目は、開いているが何も見つめてはいなかった。荒く息を吐いて、ぐったりしているだけだ。唯は優しく京の目を閉じてやる。そしてちょっと困ったような表情を見せた。
「物足りないな」
「ゆ、唯様……私を使って下さい。幾らでもご奉仕します!」
不満そうな唯に、楓が抱きつく。だが恋人を優しく撫でてあげながらも、彼の視線は別を向いていた。
「円さん、こっち来て」
「わ、私!? う……わかりました」
円はゴクリと生唾を飲み込むと、恐る恐る唯の傍へとやって来る。先ほどから見ている方は気が気ではない。着実に一人づつ、じわじわと仲間の意識を壊されているのだ。何でこうなったかなどと考えることもできず、全員が快楽という方法での死刑を待っている。
唯は緊張でガチガチになりながらも傍に寄ってくる円に向かって、にっこりと笑いかける。
「円さん。悪いけど舐めてくれる?」
「えっと……フェラチオすればいいんですか?」
唯がコクリと頷いて肯定する。オドオドした様子の円に、唯は膝を立てて肉棒が勃っている腰を突き出して見せた。大きくそそり立ったペニスに円は胸が高まるが、それを理性で押さえ込んで四つん這いになって口を近づけた。
「んっ……あむっ……」
赤い舌先で亀頭の周りを掃くように何度か舐め、唾液をたっぷりとつける。そして円はゆっくりと口の中へとペニスを導く。口内に青臭い精液と京の愛液の味が広がり、円はそれを唾に溶かして飲み込もうとする。仲間の愛液を口に入れたことに、円は嫌がるそぶりは見せないが、複雑な表情だ。
「唯さま……わ、私も……」
「ん、今は円さんの番だから」
涙目で訴える楓を、唯は頭を撫でて宥める。そして胸をほんの触れるか触れないかのタッチで撫で回す。
「唯さま……唯さまー……」
唯に触って貰うのは気持ちいいのだが、このような軽い愛撫では楓はますます情欲が増してしまう。めったに見せないようなもどかしい表情で楓は悶えるしかない。
「んっんっ……ん……んう……」
円は首を振りたて、軽いテンポで唯のシャフトを唇で擦る。時たまペースを落として裏スジを舐め、緩急をつけて唯に奉仕していく。自分が愛撫されているわけではないのに、主の男性器を舐めているという事実に円も興奮してしまう。犬のように這って、彼女は懸命に唯のそそり立ったペニスに奉仕する。
「円さん、上手いよ。もっと扱いてくれる?」
片手で腰の細い楓を抱き、反対側の手で円のポニーテールにしてある髪を梳く。様々な方法で陰茎をしゃぶる円のテクニックに、唯はフェラチオを堪能する。程よい力で窄まる柔らかい唇と、生暖かい口内の感触が彼の心を高揚させていく。
心底気持ち良さそうにフェラチオを味わう唯の姿に、見ている他の配下達も胸が高鳴る。芽衣や静香は無意識に、閉じた足の間から中指を差し込んでクリトリスを弄り出してしまう。
「ん、そろそろ出すよ、円さん」
「んっん……ふぁい……」
円はピッチを上げ、ラストスパートをかける。じゅぶじゅぶと唾液が音を立て、ねっとりと湿った唇が陰茎に射精を促すように動く。円の献身的な口淫に身体が満足し、股間にいつものむず痒い感覚が弾ける。唯の尿道が精を吐き出した。
どびゅ、びゅる、びゅ、びゅ、びゅ、びゅっく
ピクピクと跳ね上がり、精子の塊を吐き出す唯のペニス。その怒張を咥え込み、円は懸命に咽喉で精液を受け止める。熱い粘液は咽喉の奥に張り付くように溜まっていく。
「円さん、吐き出しちゃダメだよ」
青臭いザーメンの匂いに咽そうになりながらも、円は一滴残らず口に溜める。熱を持った白濁液は口の粘膜へと絡みつく。円が恐ろしく長く感じるくらい射精を続けて、ようやくペニスは射精を止めた。
「んっ……ふぅ……んぷ……」
「あ、円さん。抜いちゃダメだから」
ゆっくりと顎を引こうとした円の後頭部を唯は押さえつけた。咽喉に亀頭が当たって、反射的に円は唯を押し返そうとしてしまう。先ほどから息苦しいのだ。
「まだ物足りないんだ。あともうちょっとフェラチオして貰っていいよね」
見開いた目で円は唯を見上げる。にっこりと微笑む唯の目は本気だと語っている。上目遣いの円と唯の視線が絡み合うと、それが合図だったかのように唯が腰を動かし始めた。
「う、うぐっ、あうっ……」
円のポニーテールに指を絡めながら、頭を掴んで唯はピストン運動を行う。まるで円の口をヴァギナに見立てているようだ。いきなり口を犯されて、円が軽い恐慌に陥る。
「う、あうっ、ん、ん、んんっ!」
「こらこら、暴れない。大人しくして」
腰を動かすペースを速めて、唯は円に軽く警告する。唯は上手く腰を使い、軽く苦しく感じても円が吐き出すほど強くペニスで突いたりはしていない。それでも円の口には精液が大量に残っており、吐き出すことも飲み込むことも出来ない汁の感触に顔を歪める。精液は嫌いでは無いが、やはり口にずっと溜めておくと顎がだるくなってしまう。
「ううっ、ううっ、うくっ……」
「ふふっ、ごめんね。でも円さんの口って気持ちいいから」
自分本位のフェラチオを笑顔を変えず唯は続ける。頃合を良しと見たのか、唯はぐっと円の咽喉に届くまでシャフトを突きこむ。
「うぐっ、ぐっ、ぐっうっ……」
口内を生まれて初めて陵辱された円は、涙目になりながら必死に耐え続ける。咽喉を突かれて胃から液体が逆流しそうになるのを、かろうじて堪えた。口に含んだペニスと精液をすぐにでも吐き出したいのに、頭を唯に押さえられてフェラチオを強制し続けられる。こんなに乱暴にされているのに唯への嫌悪が一切沸かない。円は強制フェラに苦しみながらも、当然の如く受け入れていた。
「んっ、そろそろ出すからね」
引き寄せている頭を緩め、円の締め付ける唇で亀頭を擦る。よく締まった唇の感触に、唯はようやく射精感が沸き上がる。
びゅっ、びゅっ、どびゅどびゅ
白い精液が溜まった口内へと、更に濃い粘液を尿道が吐き出す。
「うっ……う……」
口一杯にザーメンが蓄積しても、円は吐き出すことも飲み込むこともままならない。苦みのある白濁液は嫌いではないが、溢れるばかりに口へと蓄積しているのだ。その独特の臭気に、円は気が遠くなりそうだった。
「円さん、ありがとうね」
「んっ」
「でも、まだ飲んじゃダメだよ」
顎に手をかけて円の顔を上向きにさせてから、唯は唇から肉棒をようやく抜いた。ペニスが抜けたことで口に若干スペースが開く。今すぐにでも口一杯の精子を飲み込み、出来るのなら胃に流し込みたいのだ。懸命に強制フェラを耐えた円だが、彼女の主は更に残酷なことを宣告する。
「楓さん」
「はい……唯さま……」
「円さんが出させてくれた精液を全部飲んだら、犯してあげる」
途方もない唯の言葉に、円は口に溜まった精液のことも忘れて、一瞬だが頭が白くなる。目に強烈な情欲の炎を灯した楓の視線に、我が身にふりかかるであろう災難を予想してゾッとした。円は僅かに身体を後ろに引くが、獣のように襲いかかった楓に押し倒された。
「あぐぐぐあっ……」
「んっ……ん……」
素早く唇を強引に重ねてきた楓に、円はキスを許してしまう。舌がピンク色の唇を割り、精液を掻き出そうとする。
いきなり奇襲を受けた円だが、楓に黙ってディープキスを許すような性格ではない。楓の引き締まった肩に手をかけて、思いっきり押し返そうとするが、
「んっ、んんんんーーーーーっ!」
何の予告も無く、唯がペニスを円の膣へと突き込んできた。大きく円の足を持って開き、グリグリと肉棒を奥へと入れる。熱い唯のペニスに貫かれて、ヴァギナは嬉しそうに愛液を排出してシャフトを迎え入れていく。
「ん、ああぁ……んぐ……」
突然の快感に円は身体の震えが止まらない。腕に力が入らなくなり、楓に思う存分口内を蹂躙されてしまう。彼女の舌が口内を暴れまわる感触に、意思とは逆に心地良い刺激を得る。
「ん、んむ……はむ……」
楓は舌で頬の粘膜や歯にこびり付いた精液を掻き取り、口で精子を吸う。彼女は同性でキスしていることに嫌悪感は無かった。ただひたすら唯のペニスが欲しいという一念だけで、円の唇に接吻している。
「ん、んんっ、ん、あう……」
「円さん、楓さんのキスは気持ちいい?」
唯に膣内をぐちょぐちょとかき回され、円は脳内をかき回されるような快感を味わう。楓のキスが媚薬のように頭を痺れさせる。口内と膣穴という二つの口を犯され、円の身体は刺激を更に貪ろうとしていた。膣壁がペニスを締め合わせ、楓の赤い舌を自分の舌で絡め取る。
「う、うっ、唯さま……唯さまぁ」
口を楓から解放されると、切ない顔で唯を見上げた。性の喜びに全身が赤く染まり、火照っている。
「そろそろイっていいよ」
「あ、ああっ、ひああああぁ!」
パンパンと音が出るくらい、唯が腰を強く振り始める。一突きごとに円の膣が強く擦れ、股から愛液の飛沫が飛ぶ。
「ひゃああ、あ、いい……唯さま、私壊れちゃう。ムチャしないでっ!」
「安心して、ちゃんと壊してあげるから」
「ふああああああ、や、いやああああぁ、壊れちゃうぅぅぅ!」
唯の冷酷な言葉を聞いた瞬間、円の中で何かが弾けた。潮を大量に吹きながら、唯のペニスを思いっきり締め上げる。
どぷっ、ぴゅっ、びゅるるるるる
唯の精液を子宮口に浴びて、円の思考が彼方へと飛ばされる。もう何も考えられなかった。悦楽の渦に流されて、精子の熱さと快感に耐えるしかない。
さも美味そうにペニスを絞り上げる膣内をたっぷりと愉しみ、唯は射精を繰り返す。もう何度も出しているのに、女体を貪るのに飽きがまったく来ないようだ。
放出した精子を一滴残らず膣内に絞り出すと、そのまま円の上に乗った楓のヴァギナに唯は自分の分身を挿入した。
「ふわっ、あああっ、ゆ、唯さまぁ」
いきなりのインサートに楓が身体を強張らせて、大きく喘ぐ。酸欠になった金魚のように口を開いて、声にならないような荒い息を吐き出す。
「よく我慢したね。ご褒美だよ」
「ありがとうございます……唯さま、愛してます。もっと入れて、もっと出し入れしてぇぇぇ」
楓のリクエストに応えて、唯はぐちゅぐちゅとペニスでヴァギナを突く。散々お預けを食らい、溜まりに溜まった情欲が一気に燃え盛る。楓は我慢せずに全ての欲望を曝け出した。
「ひぁあああああ! ふあ、ふあ、ふあぁぁぁぁ、イク、イク、イクゥゥゥゥ!」
一分もしないうちに楓が達する。膣が蠕動してエクスタシーを感じているのを唯のペニスに伝えるが、少年はそれに構わずストロークを継続させる。
「やっ、やっ、やぁぁぁぁ! ゆ、唯さまぁ」
イッている体を肉棒で弄ばれ、楓が狂ったように泣き叫ぶ。絶頂に達した体を陵辱され、次から次へと快楽を注ぎ込まれ続ける。
「いやっ、く、苦しいです。でも、もっと動いて、動いて、あああぁっ、おかしくなっちゃう!」
唯の動きに、楓はまたも絶頂を迎えた。ぐっと締まりっぱなしの膣壁は、唯のペニスにエクスタシーをずっと感じているのを伝えている。それでも、唯は腰を動かして、奥の奥まで亀頭で突く。
「う、あああっ、ああっ、あああっ!」
完全に理性を無くし、楓は獣のように叫び続けるしかない。最早自分が気持ちいいのか、苦しいのかさえもわからない。強烈な快感に耐え続け、唯の動きに何度も何度も翻弄される。だが狂気に陥る一歩手前で、終わりは訪れた。
ぶしゅ、びゅ、びゅる、どびゅどびゅ
唯の焼けるような精液が楓の膣内を襲った。
「ああああああああぁぁっ!」
子宮へと進入した精子が契機になって、楓が声を振り絞って叫ぶ。既に脳が快感に耐えられなかったのだろう。唯がペニスを抜くのと同時に楓は円の上に折り重なって、痙攣を始めた。
何度もイって締まり続ける膣を楽しんだ唯は、ペニスにこびり付いた精液の残滓を楓の尻へ撫で付ける。その顔は心底楽しそうだ。ニコニコしながら、陵辱の限りをつくす唯の姿に、残りの女達は心の底からゾッとする。しかし主の怒りは未だ収まらず、自分達は震えて待つしかないというのがわかっていた。
「それじゃ、次は早苗さんと静香さんにしようか」
「は、はい!」
「ゆ……許して、唯君……」
慌てて立ち上がった静香は、震えて腰が立たない早苗の腕を引いて立ち上がらせる。意識せずに静香はゴクリと唾を飲み込む。覚悟を決めると、早苗を連れて静香は唯の傍へと座った。
「それじゃ、まずは静香さんを抱こうか」
「わかりました……」
「あ、早苗さんはそこに座って」
静香を後ろから抱き寄せ、正面のかなり近い位置に早苗を座らせる。
「充分に湿っているかな……中に入れてもいい?」
「どうぞ……あまり酷いことはしないで下さいね」
「それは出来ないかな」
静香の願いを却下して、唯はペニスを桜色のヴァギナへと侵入させた。既に指で確かめてあったが、穴の中は熱い愛液が溢れ出さんばかりだ。持ち上げた腰をゆっくりと下ろし、亀頭が膣の奥へとズルズルと収まっていく。
「あぁん……唯さま……」
唯はシャフトをグラインドさせて、中をゆったりとかき回す。硬く大きな肉棒に、よく湿った膣壁を擦られて、静香は快感に耐えるように息を吐いた。思いがけないソフトな性交に、静香は僅かだが緊張を緩める。
「静香お姉さま……」
同性である恋人の必死に耐えるような表情に影響されたのか、早苗がそっと静香の胸に手を伸ばす。押し付けられた手が、ぐっと柔らかな乳房を押し潰した。
「はぁ……早苗……」
早苗の手に収まらない程に大きな巨乳を揉まれて、静香は快感に揺れている表情で目を細める。体の隅々まで知り尽くした早苗の愛撫を受けて、両胸は甘い刺激をひっきりなしに感じてしまう。羞恥心から性欲を解放できないが、二人の好きな人物に愛されて、体は欲望を貪るようにと叫びをあげる。
「ん……あむっ、早苗……んっ」
「静香お姉さま……ん、ふあっ、ん、ん、ん」
胸を揉みながら、早苗の唇が静香の唇へと重なる。ちゅっちゅっという軽い音が、次第にぺちゃぺちゃという重く湿った音に変わっていく。舌を絡ませあい、二人のレズビアンは唾液を交換する。交差する舌は豊かな胸の奥を熱くしていった。
「ああっ……あ……ふわぁ……はぁ……」
愛する唯のペニスと早苗の手で、静香の頭はどんどん快楽へと染まっていく。早苗とディープキスを交わしている口から、だらしなく唾液が漏れても静香は気づいていないようだ。膣壁がぎゅっと締まり、ますます唯の体を感じる。
「ん……ああ、気持ちいい……早苗、もっと吸って……唯さまぁ、もっとかき回して下さい」
抑えていた欲望の水位がついには決壊し、静香はおねだりを始めてしてしまう。恍惚とした面持ちで、静香は唯と早苗に翻弄され続ける。唯に貫かれている膣から熱が蓄積し、一歩一歩と快感の高みへと押し上げられていく。子宮口に当たる亀頭は胎内の奥底までも刺激を送った。静香は緩々とした心地よさに身を委ね、愛液と涎を漏らすだけだ。
「ひっ、ふあっ、きちゃう、いく、いきますわ……早苗、唯さまぁ!」
ビクビクっと体全体が震えると、とろとろになった柔らかい膣がむぎゅっとペニスを締め付ける。
「あ、あっ、あ、あああぁ、い、いくぅぅぅぅ!」
頂点に達した静香は耐えるような表情で身体を痙攣させ続ける。いつも通りに唯とのセックスは途方も無い気持ち良さだ。しかし、今日はいつまでたっても唯がイク様子が無い。それどころか、静香の中からペニスを抜いてしまった。
「えっ?」
「え、え、うわっ!?」
何が起こっているかわからない静香を差し置き、唯は早苗の膣へと亀頭を何の前触れも無しに突っ込んだ。
「ちょっと、唯くん……あっ、ああっ!」
興奮してしっとりと濡れていた早苗の中に、唯のペニスは抵抗も少なくずるりと入りこんだ。だが、いきなりの挿入に早苗は快感より困惑の度合いが大きい。
びゅっ、びゅる、びゅくっ、びゅっ
「ひゃああああっ!?」
中に入ったと思ったら、唯の陰茎はいきなり射精してきた。ペニスがたっぷりと白い液体を膣内に吐き出し、いきなりの出来事に早苗の身体に形容しがたい感触が走る。
「ゆ、唯くん……ど、どうしたの、いきなり?」
何度もペニスが跳ねて、ようやく射精が収まる。早苗も唯の精子なら中に幾ら出されて平気だが、こうも性急に出されてはどう反応していいのかわからない。だが胸の奥で大きくなりつつあった情欲に火がついたのは確かで、早苗の心臓の鼓動がゆっくりと速くなっていく。
「早苗さんの中で出したくなっちゃってね」
「あっ……」
早苗の中からペニスを抜くと、唯は再び静香の膣を串刺しにした。ぬるりとした胎内に肉棒が潜り込み、ヴァギナをペニスが擦りたてる。
「あぁぁぁあっ!」
荒い息を整えつつあった静香は、再度の挿入で甲高い声をあげる。一定のペースで腰を動かし始める唯に、静香は理性をまた溶かされていく。エクスタシーを感じている直後なので、膣の感度は大きく上がっている。一擦りごとに理性まで削りとられていくようだ。
「ひゃっ、はっ、ふあっ、唯さま……わ、私、む、無理です」
一分もしないうちに静香が音を上げ始めた。先ほどより僅かに唯が強い動きをしており、早めに快感のゲージが上がっていっている。精液を搾り出しそこねた静香の膣はきゅんきゅんと締まって、唯のペニスの射精を促す。その動きでますます感じてしまう。
「あ、ああっ、唯さま……こ、こんないきなり……」
「ふふっ、静香さん可愛い。凄い感じちゃって」
「ひっ、ひゃああああ、あっ、ああっ、いわ、言わないでー、だめ、ダメです!」
唯の甘い一言で、静香の体内に溜まっていた愛欲が爆発した。唯の言葉はガーディアンには危険な麻薬に等しい。身体の筋肉が硬直し、自分の意思と反して絶頂へと走り出す。
「い、いく……いくいくいくいく、あ、あああぁっ!」
インサートからさほど時間が経っていないというのに、静香は長い黒髪を振り乱して悶絶する。そしてあっという間に静香はエクスタシーへと到達した。彼女の叫びと共にヴァギナがペニスを飲み込まんばかりに蠕動する。しかし、それに逆行するように唯は静香の中から陰茎を引きずり出す。
「ああっ!」
精液を貰えぬままに、無理やりペニスを抜かれて、静香が堪らなく切ない表情を浮かべる。だがそんな静香に構わず、唯は肉棒の先端を再び早苗へと突き入れた。
「ひゃあぁぁぁ、唯くん……やめ、やめて」
静香の痴態を呆けたように見ていた早苗は、またもいきなりの挿入に驚きの声をあげる。股間の間から幾らか精液が漏れ出たとは言え、まだ白い粘液はたっぷりと早苗の中に残っていた。唯が腰を動かすと、白濁した粘液を潤滑油ペニスはスムーズに出入りする。
「や、あっ、ああっ、ひゃぁ……」
早苗も唯の硬いシャフトに責められると、すぐに嬌声をあげ始める。好きな人との性交だから声が出ないはずはない。体に膨れ上がる甘い感触に耐えることもできず、体をくねらせて身悶えする。
どびゅっびゅ、びゅくびゅく、びっ、びゅるる
だが早苗が唯とのセックスを終わりまで楽しむ間も無く、彼は膣内へと射精してしまう。中に吐き出された精液は子宮へも侵入し、精子を含んだ液体は驚くべきほど中へと溜まっていく。
「あ、熱い……唯くんの熱いよぉ……」
精子を出すために痙攣するペニスの動きは早苗も気持ちいいのだが、イクほどの気持ち良さではないためにもどかしい。彼女は膣が擦り切れるほどに犯して欲しかった。
膣内へと自分の欲望に等しい子種汁を出し切ると、唯はペニスをあっさりと早苗の膣中から引き抜く。
「あっ……唯くん……」
「あ、ああっ! ふあ……ああああっ」
唯はぐったりとしていた静香の腰を上げさせ、再び剛直で彼女の膣へと挿入した。静香は歯を食いしばり、己の身体が作り出す快感を耐えようとする。挿入されるたびに、頭がおかしくなりそうなくらい気持ち良くなっていく。
「ゆ、唯くん……ぼ、ボクにも入れて……」
「唯さま……こ、今度こそ私の中に精を……」
恋人の体にすがり付いて肩越しに懇願する早苗と、今度こそ精液を己の中へと取り込みたい静香。そんな二人に唯はにっこりと微笑む。
「じゃあ、おねだりできた方の言う通りにするよ。恋人にじゃなくて、自分をイカせて中に出してくれって」
唯の残酷な要求に、静香と早苗が辛そうな表情を浮かべる。同性の恋人か愛する主を取るかを選べと言われているに等しい。酷く残酷な要求だ。
「ぼ、ボクに入れて、唯くん……」
「早苗……」
僅かに躊躇して、早苗が懇願する。静香には罪悪感を覚えるが、それ以上に体が唯を求めているのだ。火照った体が限界を訴えている。
「それじゃ、入れてあげるね」
早苗の体を静香の体と共に押し倒し、床へと寝かせる。仰向けに寝る早苗の上に静香がうつ伏せで乗っかるような体勢へとなった。
「ふあっ……」
「ああっ、あんっ!」
静香の中から陰茎を抜き、早苗の膣へと挿入する。淫肉をかき分け、ずぶずぶとシャフトが早苗の奥へと沈んで行く。
「あっ、お、オチンチンが……唯くんのオチンチンが、入っているのー!」
子宮口に亀頭が到達し、奥をズンと突かれると早苗が悦びを顔に露にする。待ち望んでいたペニスは早苗が想像していた以上に、悦びを与えてくれた。
「ひゃっ、はん、あっ、いいっ、いいの、ふあっ、ああっ!」
唯が腰を動かし始めると、早苗は愉悦の声を挙げ始めた。膣壁にこびり付いた精液が再び良い潤滑液になってスムーズにペニスが出入りする。亀頭や陰茎が凹凸のある膣壁を擦る度に、痺れるような快感が早苗の背筋を駆け上がる。
「早苗さん、可愛い。静香さんにたっぷりとその顔を見せてあげて」
「早苗……」
「やっ、いやっ、いやあああ、お姉さま、見ないでぇ! あっ、ああっ、み、見ないでー!」
静香の困惑した視線に目が合うと、罪悪感に耐えられず早苗が顔を覆う。感じる羞恥心を押し潰すような唯の嬲るような悪魔の囁きに、浅ましいくらい体が反応してますます感度が高まってしまう。そんな早苗の顔を優しく静香がキスする。
「早苗、いいのよ。私には構わないでね」
「お、お姉さま……」
早苗と静香は口を合わせると、もう一度舌を絡ませあう。静香の唾液を飲みつつ、唯のペニスを温かな愛液で包む。二人の愛に包まれて、早苗の理性はドロドロに溶かされた。
「あっ、あっ、ふあっ、ああっ、ああっ、あーーーーーーっ!」
唯の陰茎と静香のキスに耐え切れず、気が緩んだ一瞬に早苗は絶頂に達してしまう。少年の固いシャフトの存在を確かめるように、早苗の肉壁はペニスを強烈に圧迫した。膣圧が上がったために強くこすり付けられる肉の棒に、早苗の頭がスパークする。
「あ、ああっ、い、イっちゃいました……はぁ……」
一分以上締め付けていた膣が緩むと、早苗がぐったりと意識を手放す。お預けを食らっていた体は、よっぽど主のオチンチンを切望していたらしい。増幅された快感に耐え切れずに、エクスタシーで早苗は気絶してしまった。快感に意識を飛ばした早苗の頬を、愛しそうに静香は撫でる。
唯は早苗の中からペニスを抜くと……そのまま静香の膣口に突っ込んだ。
「ああああっ、唯様、無理です、無理です……も、もう」
「早苗さんだけじゃ、不公平だしね」
静香の抗議を無視して、唯は腰を振り始める。二回イって既に充分過ぎるほどほぐれていた膣は、唯のペニスを優しく飲み込んで包み込む。
「い、いやっ、唯さま、唯さまぁ!」
巨大な恋人の胸を自分の胸で押し潰しながら、静香は早苗に抱きついて耐えようとする。だが早苗の持つ柔らかい体の感触は、ますます快感を燃え上がらせるだけだ。肉体は立て続けに三回インサートされて、快感に脆くなっている。静香の意識はピストン運動するペニスに揺さぶられ、ヴァギナから愛液を垂れ流しながら嬌声をあげるしかない。
「あっ、ああっ、ひはっ、あん、かはっ、も、もうダメぇ」
「今度こそ精子をかけてあげるから」
「出して、出して、出し……精子下さい!」
普段の貞淑さを投げ捨てて、静香が卑猥なおねだりを叫ぶ。そのリクエストに唯は喜んで応えた。
びゅっ、びゅる、びゅう、どびゅ、びゅっ
ドロドロの精液を唯は静香の中へと放った。
「ああっ、あああーーーーーーっ!」
ようやく待ち望んでいたものを体に貰い、静香は心身共に途方もない満足感を覚える。唯の精子が子宮に届き、泳ぎ回っていると思うだけで静香の全身を震えるような歓喜が襲う。唯が精を放出しきると、それで役割を果たしたかのように静香の意識も闇に包まれた。
蓋の役割をしていた唯のペニスが抜かれると、静香の中から白濁液が漏れでる。垂れていく静香の中にあった精液はは早苗の股間に流れ、彼女の中から溢れ出た精液の川へと合流していく。
唯はふーっと一息つくと、床にぺたんと座り込む。
「さすがにちょっと疲れちゃったかな……」
唯の言葉に芽衣、由佳、ミシェル、雛菊が安堵の溜息をつく。次は自分達の番だからだ。このまま終わってくれれば御の字なのだが……、
「さっきまでのエッチで四分の一くらい力を使ったかな。あと四人、たっぷりとお仕置きしてあげるから」
にっこりと自分たちへと微笑む唯に、残った四人は戦慄する。残りの四分の三もの陵辱を一身に受けては身も心も快楽で壊されてしまう。酷いレイプなら泣いて耐えればいいのだが、唯は優しく甘く精神と身体を犯してくる。その強烈な快楽で壊されてしまえと心の一部が囁くが、理性の全てが危険のシグナルを絶え間なく伝えている。
「それじゃ、芽衣さん、由佳さん、ミシェルさん。こっちにおいで」
死刑執行を前にしたような気分で、三人はよたよたと唯の前へと行く。足が緊張で上手く動かない。手早く服を脱がされていく三人を見ながら、一人残されてしまった雛菊は子猫のように震えるしかなかった。
「そ、それで唯様……どのように致しましょうか?」
女神のようなプロポーションを晒しながら、芽衣が恐る恐る唯に問う。その美貌には明らかに怯えが浮かんでいる。
「やだなあ、そんなに怖がらないでよ。何も取って食おうとするわけじゃないし」
「酷いことしない?」
「いや、酷いことはするよ」
由佳の質問に、表情一つ変えずサラリと冷酷なことを言い放つ。その笑顔には微塵も躊躇が無い。これには芽衣や由佳のみならず、性に通じたミシェルでさえたじろいでしまう。
「とりあえず、三人で四つん這いになってお尻を向けてくれる」
主の命令に三人はオドオドしながら、言われた通りにする。
「ひっ」
「きゃっ」
「あん」
唯が陰唇に指を這わせて具合を探ると、三者三様に悲鳴をあげる。ミシェルの中はたっぷりと愛液で濡れており、芽衣と由佳も充分に湿り気を帯びていた。仲間が気絶するほど感じているのを見て、その興奮が感染したに違いない
「うん、これならいけるね」
「唯様、どんなプレイをされるのですか?」
「いや、普通にセックスするだけだよ。三人交互にやれば、相当もつだろうしね」
唯は質問してきたミシェルの腰を掴むと、スムーズな動きで亀頭を挿入した。じゅぶりと音を立てて欧米人特有の柔らかい膣へと沈んでいく。
「あんっ、ああっ」
ミシェルの膣はいつも通り柔軟に陰茎を包み込み、ソフトなタッチで圧迫してくる。白人女性のミシェルは、膣全体の感触が日本人とは少し違う感覚だ。唯はミシェルの膣内を存分に楽しむために、すぐさま腰を少し速い速度で振り始めた。
「やっ、ひゃっ、唯さま……」
「ミシェルさん、いつも通り凄い気持ちいいよ。大好きだよ」
「やああっ、そ、そんなこと言われたら、私、私……」
耳元に囁かれて、ミシェルの体は一気にボルテージが上がった。自分でもわかるくらいに愛液が分泌して、擦られる膣内が熱くなっていく。
「唯さま、オチンチンが……オチンチンがいいの、いいです」
「まだイっちゃダメだよ」
ミシェルの声に切迫感が出てくると、唯は彼女から湿った音を立ててペニスを抜いてしまう。そして隣に移ると素早く由佳の膣口へと亀頭を侵入させる。シャフトを包むミシェルの愛液を由佳の愛液に絡ませながら、肉壁を押しのけてペニスが中へと侵入した。
「あ、やぁぁぁぁあ、唯くん、だめ、だめよ」
「何でダメなんです?」
由佳の膣を一回ぐるりとかき回すと、唯はジュプジュプと音を立てながら腰を動かし始める。バックから獣のように犯されて、由佳は胸の鼓動がどんどん強くなっていく。やはり唯に入れて貰うのは、どんなプレイよりも気持ちいい。
「怖いの……唯くん、お仕置きだって。唯くん、酷いことするって……」
「ええ、しちゃいますよ。由佳さんの綺麗な体をたっぷり犯させて貰います」
「ひっ、ひゃああああ、やっ、やだやだ、やめてぇ」
唯の言葉に込められた力に由佳の体も感度が上がる。恐怖のせいだろうか、全身が性感帯になったような感覚で、唯の手の平が背中を這い回ると悲鳴が出して悶えてしまう。
「いいよー、いいよー……ふぁぁぁあ、いいのー、た、助けてー」
「はい、まだイカないでね」
甘え声でむせび泣く由佳を興奮のるつぼに叩き込んでおきながらも、唯は再び己の怒張を抜き去る。そして最後に残った芽衣のヴァギナへとペニスをゆっくりと侵入させていく。仲間である二人の喘ぎ声を間近に浴びていた芽衣の陰部は、浅ましくも愛液が溢れる程に溜まっていた。肉棒に押されて、繋がる性器の隙間から透明な分泌液は太ももへと流れていく。
「ゆ、ゆ、唯さま……」
「やだなぁ。芽衣さん、そんなに怯えないでよ」
言葉とは裏腹に、唯は次の瞬間には急ピッチでピストン運動を始める。ぐちゅぐちゅとした音が響き、膣全体を擦る動きに芽衣は思わず叫んでしまう。
「いやぁぁ、唯さま、もっとゆっくり……ゆっくりして下さい」
「だーめ、芽衣さんが綺麗だから止まらない」
「あっ、あっ、あくっ、き、きついです……お、おかしくなるぅぅ!」
亀頭が猛烈に子宮口を叩き、その度に芽衣の手足が震える。唯の甘い言葉で理性の防壁が崩され、ペニスの動き一つで身体と心が揺さぶられてしまう。唯とのが性交がこの世のものとは思えないくらい気持ちよく、あまりにも早く高まる自分の身体が怖かった。
「やっ、ひゃっ、あっ、い、イキそう……唯さま、唯さま……」
「もうちょっと我慢しようね。またすぐにしてあげるから」
芽衣の食いつく膣内から強引にペニスを引き抜き、再びミシェルの中へと突き入れる。
「ひあぁぁぁぁあっ、唯さまぁ!」
物欲しげに芽衣とのセックスを見ていたミシェルは、再度の挿入に歓喜の声をあげる。ぐっしょりと濡れたヴァギナを肉棒で責め始めると、自ら腰を振ってペニスを貪り始めた。
「あっ、あっ、いい、やっぱり唯さまのいい」
「そう? 気持ちいいんだ」
「いいの、唯さまのオチンチンいいんです。唯さま、大好きなの!」
狂乱したように金髪を振り乱し、駆け抜けるようにミシェルは絶頂へと向かう。やがて我慢の限界へと達する。
「あうっ、ひゃ、あぁぁぁあん、いく、いきます、イクぅぅぅ!」
がっくりと肘をついて、ミシェルの身体が崩れる。ミシェルがエクスタシーに昇ったのを見て、今度は由佳へと唯は体を移す。
「ああっ、やっ、唯くん……待って、待って……あ、ああっ!」
由佳の制止する言葉を聞かず、唯は強引にペニスを膣口に押し込む。絶頂寸前でお預けを食らった身体は、再度の挿入に筋肉でペニスを締め付けて悦びを伝える。
「ふあっ、ああっ、やっ、ああん、やぁぁああ!」
シャフトが体内を擦る度に、由佳の意識が削り取られていく。それを助長するかのように、自分の膣は締まって亀頭に強く粘膜を擦りつけるのだ。どんどん押し寄せる快感は、あっという間に由佳のキャパシティを超える。
「い、イクぅぅぅぅぅ、い、イクのぉぉぉぉ!」
どびゅ、びゅっ、びっ、びっ
由佳の意識が飛ぶと共に、唯は膣穴へと精子を放出する。熱い精液を胎内まで受け止め、由佳のヴァギナは脈動して嬉しさを伝えてくる。唯が一分かけてたっぷりと精子が一杯詰まった粘液を吐き出すと、彼女は床上に顔をつけて激しく呼吸する。
「それじゃ、次は芽衣さんね」
「やっ……ゆ、唯さま、お情けを……あああっ!」
とても射精したと思えないくらい元気なイチモツを突きこまれ、芽衣が身を震動させて悶える。確かに唯に抱かれるのは快感だ。だが芽衣達にとっては普段の優しい唯に抱いて欲しいのだ。こんな乱暴に抱かれるのは、本望ではない。
「芽衣さん、可愛い声出しちゃって。好きなだけイってもいいんだよ」
「あ、あああああっ、いや、やあっ、ふあっ……あ、あ、ああっ!」
それでも身体は正直だ。唯のオチンチン一つで、こんなにもあっさりとイカされてしまう。芽衣の膣はヒダを動かしながら、唯のペニスにしゃぶりつく。まるでそれ無しでは生きていけないかのようだ。
「あ、あっ……はぁはぁ……あふっ、けほっけほっ」
唯に弄ばれてイカされた芽衣は、体の力が抜けていく。一回の性交で、もうすっかり気力を使い果たしてしまった。他の二人も身体に力が入らない。仲間が陵辱されていくのを見続けたために、緊張してしまって随分と体力を削られていたようだ。
それでも唯の陵辱は続く。ミシェルを仰向けにすると、彼はその上へと圧し掛かる。
「あ、唯さま、止めて……本当に、もう無理……」
「何言ってるの。三人交互にするんだから、もっともつでしょ」
唯はミシェルの中へと入り込み、金髪の美女を容赦なく犯し始めた。
それからは悲惨だった。唯は泣こうが叫ぼうが、ミシェルを辱め、由佳をレイプし、芽衣を強姦した。救われないのは、自分達が心の底から慕っている相手に罰を与えられているのだ。嫌がっているのに、心の何処かでは唯の懲罰を仕方ないとも感じている。
「それぞれに上手く中出し出来たら、終わりにするよ」
唯のこの酷い思いつきで、三人の美女は二時間近く陵辱されることになった。順番に犯さているのに、ミシェルに三回、由佳に二回出しても、芽衣に一回も出すことが出来なかったのだ。もう何度射精したのかわからないくらいなのに、唯は一向に止める気配が無い。
「ゆ、唯さまぁ……助けてぇ……」
「うん、すぐにイって、中にたっぷり出してあげるから」
完全に気絶した二人の代わりに、芽衣は最後まで犯され続けた。騎乗位で胸を揉まれながら、ひたすら子宮口を先端でズンズン突かれる。だが芽衣が三回絶頂に達しても、唯は彼女の中でイク気配を見せない。
「あっ、ああああぁ、あっ……唯さま……」
びゅる、びゅるるるる、びゅっ、びゅっ
四回目に芽衣が達して、彼女の身体が糸の切れたマリオネットのように唯に倒れこんだときに、ようやく唯が射精する。芽衣の中へと溢れ出さんばかりに精液を吐きかけて、やっと満足したように唯は陰茎を抜く。優しく芽衣の身体を床に横たえると、芽衣の膣口からはどろりと白濁液が垂れた。
「ごめん、待たせたね」
最後に残された雛菊が、ビクっと身を震わせる。三時間近く待たされ続けた彼女だが、それでも唯に仕置きされる覚悟が出来ていなかった。正座した足は痺れてもいないのに、力が全く入らない。
「雛菊さん、何で最後だかわかる?」
「わ、わかりません……」
「いや、雛菊さんって鍛えてるでしょ。僕が満足するまでしても、大丈夫かな……って」
にっこりと微笑む唯に、雛菊の背筋をゾワリと恐怖が駆け上がる。一体どのくらい犯され続けるのか、自分でもわからない。
「それじゃ、フェラチオしてくれるかな。芽衣さん達のエッチなお汁でグチョグチョになってるから」
主の言葉に導かれるまま、フラフラと雛菊は唯へと近づいていった。
それから三時間……。
「あああっ、唯さまぁ……どうかお許し……ひゃぁああん……」
雛菊はただひたすら唯の肉人形と化していた。フェラチオ、パイズリなどで身体は精液まみれで異臭を放っている。何度も何度も奉仕したのに、唯は一向に満足しない。雛菊の膣にペニスを突っ込むと、ひたすらゆっくりと中をかき回している。
「すぐにイっちゃうと勿体無いしね。僕が満足するまで、ゆっくり楽しもう」
「いや、嫌です……し、死んじゃいま……あ、ああっ……」
唯の怒りが治まるまでの人柱として、雛菊は最後まで一身にお仕置きを受けることになった。精液がこびりついた咽喉を振り絞って何度懇願しても唯は許してくれない。地獄へと堕ちていくような快楽だけを延々と感じる。
「唯さま、許して……許して……ううっ」
「雛菊さん、泣かないで。すぐにまたイカせてあげるから」
どびゅ、びゅるるる、びゅく、びゅっ
雛菊の身体がエクスタシーの境界へと辿りつくと、精を放って唯は最後の一押しをする。
「ひ、ひやあああああああ、あ、あつっ、あつっ、ふわあああああん!」
ビクビクと暴れるペニスに、身体が同調してイってしまう。既に何度感じたかわからない強烈な快感に、再び身を焼かれる。普段なら意識が飛んでも、気が狂ってもおかしくないはずだ。
「鍛えてる雛菊さんなら、まだまだ大丈夫だよね。きっと耐えられるよね」
「もうダメなんです。ダメなはずなんです」
唯の言霊が雛菊を縛り、限界を超える性への耐性を付与していた。身体自体はスタミナがあるので、何度絶頂を迎えても自分の意識を飛ばしてくれない。雛菊の子宮は精子が詰まった液体が限界まで詰め込まれ、全身がスペルマで匂っている。これだけ陵辱されているのに、唯への恋心はまだ燃え盛り、セックスを喜んでやまない。
「さて、もう一回しよう。次はもうちょっと気持ちよくしてあげるから」
「嫌です! このままだと、淫乱になっちゃいます。嫌です、助けて」
「雛菊さんが淫乱になってもいいよ。愛してるから」
「やああああああああぁ!」
唯の言葉に身も心も蕩けるような愛を感じ、理性が最大の危機を叫ぶ。意思と肉体が相反する状態に、雛菊は魂が乖離してしまうような恐怖を覚える。それなのに彼女の愛しい恋人は許してくれない。
夜は更けていくが、雛菊の悪夢はまだ終わらない。
「本当にごめんね」
ベッドの上に座った唯が泣きそうな声で謝罪する。唯と過ごす夜の生活用に作られた超大型サイズのベッド上には、美女達の姿が死屍累々と横たわっている。
「い、いえ……唯さまを怒らせたのは私達ですので……」
「怒ると見境が無くなっちゃって、本当に悪いことしてごめん」
慰める芽衣に対し、唯は手を取ってウルウルとした瞳で見つめる。
唯が正気に戻ったのは、かなりの深夜だった。その時点で意識が残っているガーディアンは皆無であった。唯は慌てて全員をこのスーパーキングサイズとも言えるベッドに運び、身体を拭いて蒲団をかけて休ませたのだ。明朝遅く、ようやく京が起き出したのを契機に全員が目を覚ました。
「全く、幾ら怒ったからって、あんなにムチャすることは無いんじゃない」
「ごめん」
麗の厳しい指摘に、唯はシュンと項垂れる。昨晩のことが嘘のように、すっかりしおらしくなっていた。怒りに我を忘れていたとは言え、自分がやったことは覚えているのだ。
「小便を漏らした割には、随分と強気ね」
「なっ、ちょ、ちょっと……あ、あれは唯に無理やりされて、仕方なく……」
淡々とした楓の突っ込みに、麗はあたふたと手を振る。その様子に全員が苦笑してしまう。
「まあ、何にせよ唯君の怒りが収まって良かったわ。二日連続で怒っていたら、私達全員おかしくなってたわね」
「その通りよ。あんなのはもう懲り懲りよ」
可笑しそうに笑う由佳に、京は仏頂面で相槌を打つ。和やかに会話しているが、昨日の後遺症で足腰が立つ人間が誰も居ないのだ。全員が唯に何をされるのかと緊張して、無駄に体を消耗させてしまったのか、或いは執拗にイカされ続けたせいなのか。
「今日は一日、みんなの看病してあげるね。折角の休日なのに、ごめん」
「もういいよ。怖かったけど、気持ち良かったしさ。ねえ、お姉さま」
「そうね……でも、やっぱり普通にするのがいいわ」
満更でもないような早苗に、静香は顎に指を当ててうーんと唸る。早苗は過激なプレイでも、咽喉元過ぎれば熱さを忘れるということだろうか。
「唯様になら、何度でもお仕置きされてもいい」
「私も、たまにはああいう刺激的なのもいいかも」
「あんた達を基準にしたら、ここにいる半分は死んでるわよ……」
無表情の楓とニコニコしているミシェルに、円が疲れたように突っ込みを入れる。円はまだ口の中に精液が溜まっているような感じで、何となく気分が悪い。
「……私もたまになら」
「む、ムチャなことを……おまえも私の身になってみろ」
微かに赤くなる京に対し、雛菊は心底辛そうに言う。二人とも体力はある方だが、身体に一切の力が入らない。特に雛菊の方は指一本動かすのも苦痛だ。
「お粥作ったんだけど、食べる人居る?」
「頂きますわ」
「私にも頂戴、唯君」
手をあげてアピールする芽衣、由佳、早苗、ミシェルなどに土鍋から器へとお粥を移して渡す。
「唯ー、食べさせて」
「唯様を怒らせた張本人なのに、いい身分ね」
「はいはい、喧嘩しない。あーんして」
円の指摘も気にせず、麗は嬉しそうに唯にあーんと口を開けて食べさせてもらう。もちろん、それを見逃す女性達ではない。
「私もあーんさせて欲しい」
「私も私も」
「私も……」
円、さっきから手を上げていた由佳、それに京までもが唯にリクエストする。一人づつ順番に食べさせて貰い、ガーディアンの多くがかなりハッピーな気分を味わえた。まるで新婚さんみたいと何人も思う。普段はぶっきらぼうな京でさえ、寝込んでいるのを理由に食べさせて貰って、かなり嬉しそうだ。早苗と静香はお互いに食べさせあい、芽衣は半分自分で食べて半分は唯に食べさせて貰った。円はとりあえず気分が良くなるまでパスするということだ。
「はーい、雛菊さん。あーんして下さい」
「あ、あーん……」
最後に食べさせて貰った雛菊は、顔を真っ赤にしながらも嬉しそうだ。こういうご褒美があるなら、京が言うようにもう一度お仕置きされてもいいかなと感じる。
「唯、お水ー」
「はいはーい」
麗のリクエストに、唯はペットボトルに入った水を運ぶ。
その日一日、普段とは逆に唯の奉仕を受けて、ガーディアン達は随分と楽しんだ。美少年に甲斐甲斐しく世話して貰うのは嬉しく、初めての経験は新鮮でもあった。麗など、特に用も無いのに何度も唯を呼びつける。疲労で身体の動きが不自由なのだが、唯の細やかな愛情が詰まったご奉仕を受けているため気にならない。
だがそんな甘い雰囲気も、ミシェルの一言が吹き飛ばした。
「唯様、おしっこ」
すっかり失念していたが、食べた体は排泄物を出さなくてはいけない。だが疲れてボロボロになった全員の体は、歩くことができるかも怪しい。
「ご、ごめん。ミシェルさんをちゃんと運べるか自信が無いんだけど」
「尿瓶でオッケーですよ」
「ああ、それならありますよ」
「何処にあったの、そんなの!?」
ごそごそと尿瓶を出してくる唯に、早苗は心の底から驚く。
「ちょっと待った!もしかして、ここでするの?」
「仕方ないじゃない。唯様……悪いですが、お願いします……」
慌てたような円の言葉も意に介さず、ミシェルは既に顔を赤らめて唯に補助してもらうつもりだ。
「まずいわね」
「そうね、何としてでもおトイレぐらい自力で行かないと」
「いや、そうじゃなくて……次の唯様会議で、ミシェルに次は放尿プレイなんて言われたら……」
「それは勘弁してー」
芽衣の冷静な推測に、由佳はぐったりと枕に顔を埋めた。トイレに行けない自分が唯に補助してもらうことになるのは火を見るより明らかだ。
結局、その日は唯に尿の世話までもさせることになってしまった。完全にその身を唯の奉仕に委ねるのは気持ち良かったが、あまりの恥ずかしさに全員が真っ赤だったという。