「それ・・・なに・・・?」
ベッドの上。
上半身のみ裸になるよう言われ、俺は着ていたカットソーを脱いでそこに座っていた。
一度寝室から出て、再び戻ってきた旭飛の手には何かが握られている。
おそらく“ソレ”を取りに言ったんだろう。
チューブ状の容器のソレ。
一見、軟膏やかゆみ止めなどの類に見える。
「何だと思う?」
「・・・何かの薬?」
「使えばすぐに分かる」
「う・・・ん?」
ブルーのキャップを外して、中から出てきたのは白いクリーム状のもの。
旭飛は軽くそれを指に取った。
「ぁ・・・あ・・・」
撫でるように胸の突起に塗り込まれる。
効能はよく分からないが、始めはひんやりとしていて、次第にじんわりと温かくなってくるような感じ。
「どんな感じがする?」
「な・・・なんか・・・あつ・・・い・・・」
指で触れられれば触れられるほど、その小さく敏感な部分が熱を帯びていく。
まるで軽い火傷をしたような感覚だった。
「・・・ヒッ・・・あ・・・ぁ・・・ぅ・・・」
それまでゆるゆると動いていた指がいきなりそこをキツく摘んだ。
痛い。
さっきまで心地良かったはずの刺激が、まるで針をさされたような痛みに変わってしまっていた。
「・・・ゃ・・・ヘン・・・っ」
見れば、自分の乳首が赤く、腫れたように若干大きくなっていた。
俺は体の異常に怖くなり、旭飛のシャツを掴んだ。
「怯えるようなものじゃない」
「・・・あ、ぁ・・んん・・・・・・」
「力を抜いていろ」
軽くなだめられて、ゆっくりと寝かされた。
その間も胸の突起を嬲る手は止まらない。
「ぁ・・・ぁはぁ・・・あぁっ・・・・」
人差し指と親指で擦り付けられ、痛みに涙が出る。
なのに、体はどこかでそれとは別の感覚を拾い上げようとしていた。
「どんな気分だ」
「ンッ・・・ぁ・・・アぁん・・・ッ」
聞きながら、両の乳首を引っ張り上げられて全身がビクリと跳ねた。
痛みを感じると同時に、信じ難い、酷い快感に侵されていた。
「ぅ・・・あぁ・・・はぁ・・・っ・・・きもち・・・ぃ・・・」
素直に言葉に出す。
実際、射精こそしていないものの、ボトムにシミが出来るほど下半身はぐしょぐしょになっていた。
「そんなにここが好きか?」
「ぁあ・・・ぁ・・・くぅんん・・・」
乳首を強く引っ張ったままこね回されて、俺は体をよじって気を紛らわせようとした。
そうでもしないと、この快感に引きずり込まれて戻れなくなりそうな気がして怖かった。
「逃げるんじゃない」
「・・・ごめ・・・なさ・・・ぃっ・・・ごめ・・・・・・」
「仕方ない」
旭飛のトーンが一瞬下がった。
反射的に謝る俺をよそに、旭飛はベッドの下から拘束具らしきものを取り出す。
「慣れるまでこうしていろ」
「ぁ・・・・・・」
両手をベッドの頭に固定される。
丁度、寝たままで万歳をしたような格好になる。
「・・・ひ・・・っく・・・ぁあ・・・んっ・・・」
再び伸びて来た指先は、感度の上がりすぎた乳首を軽く叩くように弄り始めた。
「感じたくないんだろ?」
「っ・・・・あぁっ、ぁ・・・ゃ・・・ん・・・」
焦らすようなその愛撫がもどかしくて、声が上ずる。
体は薄情にも、自ら逃れようとした激しい刺激を求めて疼く。
乳首に触れられているだけなのに、俺は全身を愛されているような錯覚に陥っていた。
「このままこうしているのも面白いな」
「・・・ぅ、う・・・・・も・・・ゆる・・・て・・・おねが・・・」
「何をどう赦すんだ?」
「・・・って・・・さっき・・・みた・・・に・・・さわっ・・・て・・・ほし・・・」
「いやいやと逃げたのは誰だ」
「も・・・ぜった・・・にげ・・・い・・・から・・・」
「絶対に?」
「・・・ぅ・・・ん・・・・・・おねが・・・も・・・ガマン・・・でき・・・な・・・よぉ・・・」
焦らされるだけで確実な快感が得られないことに耐えられず、必死に訴える。
今の状況は、俺にとって射精を塞き止められている時の何倍も苦痛だった。
「ゃっ・・・も・・・だ・・・め・・・ぁあ・・・はぁ・・・っ」
指は乳首に触れるか触れないかの位置をまださまよっている。
ほんの少しだけ掠れたかと思うとすぐに通り過ぎてしまい、刺激を求めて起立する突起を嘲笑うかのような動きをする。
旭飛はしばらく沈黙した後、言い聞かせるように話し始めた。
「このクスリは3日間は効能が消えない。その間、どうするか自分で選ばせてやる」
「ぁあっ・・・あ・・・はぁ・・・ぁ・・・」
「1つは“このまま”でいる事。もう1つは・・・」
「ヒッ、アァアアァーーーッ!」
旭飛の指先が突然膨張した乳首を潰すように摘み上げた。
ぐちゅ・・・ぅ
待ち焦がれていた快感をもたらされ、俺の体は下着をねっとりと汚して悦びを露わにした。
「“こうして嬲られ続ける”事だ」
「ぁ・・・は・・・ぁ・・・はぁ・・・はぁ・・ん・・・」
「焦らされ続ける方を選ぶのなら、言えば触れるのをやめてやっても構わない。だが、こうされる方を望むのなら何があってもやめてはやらない。オマエが快感で狂おうとな」
「ぁあ・・・ん・・・・・・・し・・・て・・・・・・ちく・・・び・・・もっ・・・と・・・して・・・ほし・・・よ・・・ぉ・・・」
一見2沢であって、結局俺に選べるのは1つしかない。
焦らされ続け、その上指で触れるのも止められてしまう事になんて耐えられるワケが無い。
俺は乳首を弄る指に1度目をやってから、旭飛の目を見て懇願した。
「分かった」
どっちにしろオマエは正気でいられなくなる、そんな含みもあるような表情で旭飛は頷いた。