俺はベッドに戻る事にした。
寒いし、逃げ場もないし、このままどうされるか分からない。
きっと、台所で小用を足すどころではない、もっと大変な目に遭わされるのは確かだと感じていた。



俺は現在一人暮しで、親は俺が中学生の時に既に他界している。
ここ数年、昔からの馴染みだった友人とも疎遠になっていた。
住んでいるマンションでの近隣の付き合いも無い。
家賃は電気代なんかは、ホストで沢山稼いでいた頃のそこそこの貯金から自動で引き落とされている。

俺が誰かにさらわれた、監禁されている、なんて気付く者はまずいないだろう。
いや、そもそも俺の事を助けようとしてくれるような人間の顔が思い浮かばなかった。


俺はこのままコイツの奴隷として本当に生涯を終えなきゃいけないかも知れない・・・。
漠然とした不安に押し潰されそうになって、また、涙が溢れた。

泣きながらふらふらとベッドに倒れ込む。
言われてもいないのに、仰向けで大の字になった。


濡れた目で空を仰いでいると、旭飛が近づいてきた。
相手はそのままベッドサイドに腰を下ろす。


旭飛は少し俺の顔を覗いて、フッと鼻で笑った。


「ぁ・・・・・・」

脱力している俺の性器に再び長い指が絡まる。
その指はゆるゆるとペニスを扱き始めた。


「は・・・っあ・・・・・・」



排泄を終えたばかりのそこは性的な刺激にいつも以上に反応し、まもなく勃起した。
凄く不謹慎だと分かっていても、直にペニスを愛撫されるのはどうしても気持ちが良い。
俺は涙を流したまま快感に身を任せた。


激しく擦られたかと思うと、優しく裏筋をなぞられ、親指で尿道口を軽く引っ掻くように刺激される。
俺が少しでも良い反応を見せると、そこを何度もせめ立てた。

「ぁ・・・あぁ・・・は・・・ぁ・・・・・・」

あまりに巧みな指使いに、抑えていても声が漏れる。

「感度は悪くない」
「ふ・・・ぅっ・・・・・・んん・・・」

唇を無理矢理結んでみても、自分の物ではないような、鼻に掛かる甘ったるい喘ぎを止められない。

「もうヌルつかせているぞ?」

先端をクチュクチュと音を立てて弄られる。

「ぁ・・・やめ・・・っ・・・・・・ぁあ・・・」


絶妙なその刺激に、もう射精してしまいそうだった。


「ここからが本番だ」
「は・・・ッあ・・・ぁ・・・あ・・・」


一気に指の動きが激しくなり、俺は絶頂の瞬間を迎えようと構えた。
が、途端、旭飛の手がペニスから全て離れてしまった。


「っ・・・う・・・・・・」


ギリギリの所でイけなかったペニスはビクビクと震えている。


「ここじゃなくてもすぐ射精出来るようになる」


旭飛はそう言って俺の両足を大きく割り開き、その間に割り込んで座った。
次いで、足を胸に付く程大きく折り曲げさせられ、下半身を旭飛に晒す状態になった。

「ま・・・さか・・・」

旭飛が自分の指を舐める仕草を見て、その後の行為を察してしまった。

「そこは・・・や・・・・・・アアッ」

抵抗するよりも早く、ズブリ、と後孔に指が挿入された。
物凄い異物感と圧迫感に襲われて、悲鳴のような高い声を上げてしまった。

腸に直接繋がる排泄口を弄られるというおぞましい状況に血の気が引く。

「そうやって嫌がれば嫌がるほど、背徳感でここの悦さに目覚めるんだ」
「やだ・・・やめ・・・ろ・・・」

旭飛の長くてしなやかな中指が俺のアナルの中で蠢き始めた。

「オマエはペニスよりもこの穴で感じるようになるんだよ」
「ちが・・・っ・・・」


感じるワケが無い。排泄のために作られたその器官で、俺が。

「力を入れずに指がどこにあるか感じろ。ほら、大きく深呼吸するんだ」
「は・・・・・・ぁ・・・・・・」

逃れられる術もなく、その言葉に従う。
ゆっくり息を吐くと、指が一層奥に入っていくのが分かった。


「イッ・・・・・・ぁ・・・な・・・に・・・・・・あ、あ・・・」

そう思った刹那、疼くような感覚が体の奥から沸きあがってきた。

「ここだな」

旭飛は挿入している指を軽く折り曲げて、深い部分の内壁を再びきつく擦った。

「・・・だ・・・・・・そん・・・な・・・ぁ・・・あ・・・あーーーッ」

俺はあまりに激しいその疼きに耐えられず、体を仰け反らせて叫んだ。
息が上がって鼓動が極端に早まり、意識が遠のきそうになった。


「見てみろ」
「・・・う・・・そ・・・・・嘘・・・だ・・・」


指を引き抜かれ、息を整えようとしていた俺に、旭飛は信じたくない事実を付きつけた。

「鼎、オマエはアナルでイッったんだよ」

さっきまで固く勃起していた俺の性器は元の形に戻り、代わりに腹部が精液でまみれていた。
あの耐え難い疼きの正体が排泄口での絶頂感だという現実を、俺は受け入れざるを得なくなった。