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『1』
 
「というわけで……指揮者は両曲ともに藤田君に……ピアノ伴奏は小松さんと向井さんに決定しました」
 
まあ、妥当というか、当たり前の決定に私はため息をついていた。
向井さんは合唱部でピアノを担当しているし、藤田君は指揮者の名手と謳われた腕だ。
その独特のリズム感は私でも気持ちよく引けるから嬉しいのだ。
しかし、そんなことも露とも表情に出さない私はため息を吐きながら見守っていたのだ。
 
それにしても、麻生唯はどうして練習の最中でも能力を使わないのだろう。
彼の能力は音だ。その能力は私よりも遥かに優れている。
でも、まあ……本番に使ってくれるのは問題ないのだが。いきなり使われても戸惑うだけだし。
何より本人が使わないのであれば、こっちがカバーをすればいいだけだ。
 
「というわけで、本日はこれまで……解散ですね」
 
と実行委員が言うので、私は帰る準備をして翔子に言う。
 
『行くわよ』
 
「あ……はい」
 
『それにしても、次の部活が大会の前日なんて……部長さんはよほど自信があるのかしら』
 
私が言う。今度の合唱コンクール当日に大会があって、その前日にまた集まるというのだ。
 
「まあ、栞様が頑張ってくだされば……私も頑張れますけれど」
 
『そうね。頑張るわ』
 
「栞様……」
 
翔子が嬉しそうに言う。私が微笑んでいたようだから、嬉しいのだろう。
私は感情が希薄だ。ガーディアンに生まれたから仕方がないのだけれど。
それでも、私は廃棄ナンバーだから、悪魔を殺すために生まれてきた存在だから。笑える状況にいなかったからこそ。私は自然と感情が希薄になっていき、表情も無表情に近い存在になっていたのだった。
でも、それを変わらせてくれたのはお兄ちゃんと……そして……目の前にいる彼女のおかげなのかもしれない。
 
「さて。栞様……今日のおかずは何がいいですか?」
 
『そうね。久しぶりにパスタでも食べたい気分ね』
 
「了解です。できれば……是非……私も食べて欲しいのですけれど」
 
『別に構わないけれど。帰ってからね』
 
「は、はい!」
 
そして、今日も私たちは交わる。
 
「ああ。気持ちいいです。栞様……」
 
「私も……気持ちよくさせてくださぁい!」
 
『待って。まずは順番よ』
 
翔子とエルーノが私に向かってにじり寄ってくる。
私はそれを愛しく思いながら、私は彼女たちにキスを迫る。
それを翔子が重ね合わせる。
 
「エルーノはこっちよ」
 
「はい」
 
『あっ!私も気持ちいいわ……』
 
私はオマ○コをエルーノに舐められていた。
だらしなく足を開きながら、今日は彼女たちに任せていた。
何しろ……今日は彼女たちから迫ってきたのだ。
 
「私も栞様のあそこを舐めるたびに気持ちよくなっていきますぅ」
 
すると、本当に気持ちよくなってきた。
 
『ほら。あなた達……いい加減に攻めてばかりいないで。私もあなた達を気持ちよくさせてあげるから。足を開きなさい』
 
「はい」
 
そう言うと、翔子が足を開いた。
 
『本当に大きい胸ね。翔子も……エルーノも羨ましいわ』
 
改めてその胸の大きさに私は惹かれていた。普通の人なら、AかB。よくてCカップぐらいなのに……私でもDカップが限界なのに……彼女たちはEカップくらいありそうだった。
 
「そんな……私たちなんて……ガーディアンの皆さんに比べたら」
 
『そうなの?だったら、私も廃棄ナンバーじゃなきゃ良かったわ』
 
「……栞様は栞様らしく……していればよろしいのです」
 
「ええ。そうです」
 
『私は私らしく……か』
 
そう言うと、私は彼女たちの胸を舐め始めた。
 
「あっ!そんな……」
 
『じゃあ、今回は変わったことでもしましょうか』
 
「か、変わったこと?」
 
『ええ。そうよ』
 
私は彼女たちの乳首を吸いながら、能力を使う。
 
「ああ!そんな……!胸だけでイッちゃう!イッちゃいますぅ」
 
相変わらず感度がいいエルーノに私は更に攻めかける。
 
「あ、あれ?……そ、そんな……なんか出る……!なんか出ちゃうよ〜」
 
そう言うと、彼女が潮を噴くと同時に、母乳まで噴出した。
 
『あらあら?可愛いわね。母乳まで噴出しちゃって』
 
「あう〜。なんで……私……妊娠していないのに……」
 
穴があったら入りたいくらいの恥ずかしさに私はかわいいなぁと思いつつも種明かしをする。いつまでも、このまま野放しにしては彼女が可哀相だったからだ。
 
『これが私の力よ。あなたの『流れ』を操作して性感帯を刺激すると同時に……母乳まで噴出すのよ』
 
「あ……そんな……」
 
『まあ、これは人を辱めるための罠なんだけれど。思いの他効果は抜群だったわね』
 
私が言うと、翔子が言う。
 
「もはや……なんでも有りなんですね」
 
『いいえ。私でもできないことはあるわ。そして、それはあなた達自身が持っている』
 
「えっ?」
 
私は彼女たちの疑問を無視して続ける。
 
『さあ。続きをしましょうか』
 
「ああ……栞様!気持ちいいです!大好きです!栞様ぁ――――っ!!」
 
『私も気持ちいいわよ』
 
そういいながら、私は彼女の胸を吸い続ける。搾乳をし始めたのだ。
 
「ああ。気持ちいい。おっぱいを吸われるのがすごい気持ちいいのぉ――っ!」
 
『あなたのおっぱいの味……とても美味しいわ』
 
「ああ。嬉しいです。栞様……」
 
私は彼女に私が何かをしてあげると恥ずかしいという前に嬉しいという感情が先に来るように調教しているのだ。
だから、私が彼女にしてあげるのは何でも気持ちよくなって、しまい。それ以上のことを求めるようになるのだ。
可愛い彼女のためを思うからこそなのだが。
彼女は今、全身が性感帯だけではなくて、欲情にまみれた搾乳をするだけの奴隷なのだった。
 
『じゃあ、ここも舐めてあげるわね』
 
「えっ?そ、そこは…………ああっ!」
 
私は彼女の胸の下にまで舌を持っていき、あそこに向かって舌を這わせた。
 
「そこはダメです!栞様……汚いですよぉ!」
 
しかし、私は彼女が潮を噴いたところを丹念に舐め上げる。
 
『いいえ。とても可愛らしくて綺麗よ』
 
「えっ?ああ。イッちゃう!またイキそうなの―――っ!」
 
しかし、私は止まらない。全身性感帯の彼女をひたすら、貪りつくす。
すると、彼女が潮を噴いて私の顔にかかってしまった。
 
『あらあら?奴隷のくせにはしたない。ご主人様の前にイッちゃって……そのご主人様の顔におしっこをかけちゃうんだもの……』
 
そう言うと、私の中にあるSスイッチが発動した。
 
「だ、だってぇ」
 
『ほら……!お尻をこっちに向けなさい!それから、翔子……』
 
翔子の名前を呼んだとき、彼女はびっくりしながら……。
 
「は、はい!」
 
と、叫んだ。
 
『あなたもこっちに来て……これを持って」
 
そう言うと、渡したのはイボイボの付いた鞭だった。
 
「こ、これは……?」
 
『大丈夫よ。これは……ゴムでできているから、さして痛くはないけれど……』
 
そう言うと、彼女を鞭で叩いた。彼女は「ひぃ!」と、声を出しながら……それでも、私の『流れ』による快楽からか……恍惚の表情を浮かべる。
 
『威力は大きいわよ。これで彼女を引っ叩きなさい』
 
「本当にいいのですね?」
 
『ええ。彼女が壊れるくらいにいじめてあげなさい。これは罰よ』
 
「ええっ!?」
 
「覚悟しなさい。エルーノ……先輩を侮辱した罪は重いわよ』
 
「そんな……私のほうが年上……」
 
「口答えしない!」
 
天使歴でも年齢でもエルーノの方が上なのだろう。しかし、彼女はそれすらも蔑む。
 
『あら?残念だけれど。この家に来た瞬間で身分とか、そういうものは一切関係ないのよねぇ』
 
「そうよ。この家に仕えたものに対する特権よ」
 
『まあ、次に堕天使が来るのを祈ることね。その子を助けることができれば、今度はあなたをご主人様にしてあげるから』
 
「ひぃ!」
 
あらあら。訊いてないわね。まあいいか。彼女も幸せそうだから。
そんなこんなで一日が過ぎてしまった。
 
『2』
 
大会前日。一応、今日の予定は午前中に音楽の授業をやって……午後から会場設備のために休み。その間に私たちは部室に入って明日の予定などを確認しあうのだ。
音楽の授業は合同練習だった。私はピアノを弾いて彼女たちを驚かせていたのだ。
 
『ふぅ…………』
 
ピアノ歴なら誰にも負けないから、相変わらずのパーフェクトさにみんなが詰め掛ける。
 
「すごいですね。栞さん」
 
「小松さん!さすがは学園のナンバーワンとも呼ばれるピアノの腕だね」
 
「さすが……権威のある批評家からは『沈黙の指先』とまで言われたほどね」
 
「これで優勝は間違いないわね」
 
『っていうか、あなた達も私の旋律に触れたのなら、少しは大声で歌いなさいよ』
 
「えへへへ。実際は小松さんのピアノの伴奏がすごすぎて思わずついていけないというか」
 
「大丈夫よ。本番までには何とかするわ」
 
そうしてくれると助かる。そうでないと、私だけが目立って仕方がないのだから。
ふと。麻生唯のほうを見て見る。彼は相変わらず、他のみんなと仲良く打ち解けている。
私は一瞬、彼と眼が合い。私は慌てて逸らす。
そして、この日は無事に終わることができたのだった。
私と翔子は部活へと急ぐ。
 
『ほら。早くしなさい。翔子!』
 
「ああ。待ってくださいよぉ!」
 
私たちは部室へと急ぐ。さて、今回はどんなことをして上がろうかしら?
 
「遅くなってすみません!」
 
翔子が息を切らして中に入る。私は相変わらずの無表情で中に入った。
 
「遅いわよ。早く座って。都大会のオーダーを発表するわよ」
 
「は、はい」
 
「さて。いよいよ……明日が都大会の日よ。私なりに考えたオーダーだけど。この順番がベストだと思うわ。では、発表するわよ」
 
翔子が息を呑む。
 
「先鋒……沙紀。次鋒……遊里。中堅は私。副将は南さん。大将……小松さん」
 
『わ、私が大将ですか?』
 
「この前の連続嶺上開花で上がれたあなたの配牌でこれがベストだと判断したわ。頑張ってね。みんな……特に……小松さん」
 
『は、はい!』
 
「さて。とりあえず。今日はこれで終わりよ。解散して、明日は八時に駅前に集合よ」
 
『「はい!」』
 
『……それにしても、私が大将だなんて……普通は部長が大将になるのが普通でしょう』
 
「いいえ。栞様だからこそ。大将に選ばれたのかもしれませんね」
 
『……そうかもね』
 
部員の期待と責任を背負って卓に立つ。それが私の役割だった。
 
「それに……栞様が出る幕はありませんよ」
 
『えっ?』
 
「私が明日……他の他校を飛ばして終わらせますから!」
 
私は笑って言う。
 
『……期待しているわ』
 
そして、運命の日が訪れた。
 
『3』
 
朝だ。私が起きる。その隣では相変わらず、可愛い寝息を立ててエルーノが眠っていた。
私はエルーノに気づかれないように……しようと思ったのだが。エルーノが起きてしまった。
 
「おはようございます。栞様……」
 
『おはよう。エルーノ……』
 
とりあえず、私が起きる。
 
「今日はどうするのですか?」
 
『とりあえず、課題曲が先だから、自由曲の前にあなたに入れ替わるわね』
 
課題曲が私で自由曲は向井さんが伴奏することになっている。
 
『さて。行きますか』
 
私は支度をして、忘れ物がないか確認する。
 
「午後から私も合流しますね」
 
『ええ。勝ってくるわね』
 
私が言うと、翔子も言う。
 
「行ってきます」
 
『行ってきます』
 
そして、私は駅前に向かっていった。幸い、みんなは先に着いていた。
 
「みんな着たわね。今日は都大会……初日です。頑張っていきましょう」
 
「はい!」
 
列車は会場前に着いた。
 
「うわぁ……すごい人でいっぱいです」
 
「本当だ。緊張してきたわ」
 
「全中になると、これの倍は集まるんだぜ」
 
誠人が言う。
 
『私……ジュース買ってきますね』
 
「おい。はぐれるなよ」
 
『大丈夫だから』
 
そう言うと、私はどこかに行ってしまう。私の名前はあちこちで有名になっているから、対局までしばらく時間を潰していこう。
どうせ、時間はたっぷりあるし。そう思い、私はみんなのところから離れた。
さて。離れたはいいけれど。どうしようか。とりあえず、ぶらぶらして考えてみる。
悪魔の気配がない今……私は暇でしょうがないのである。
ジュースを買って飲んでいる最中でも……考えていることは常に悪魔のことだった。
私は悪魔に対して敏感だ。最近は少なくなって仕事率が激減しているけれど。
 
「そこのあなた……区立安達中学校の生徒よね?」
 
私は遠く、十メートル離れた空き缶箱に空き缶を捨てる。ナイスインだった。
 
『そうだけれど。何か用かしら?』
 
そう思って、振り返る……そこにいたのは……なんと、私立仁木中学の人達だった。あの柊宇津穂がいるといわれる。
彼女たちが萎縮している。私の麻雀に対する殺気を肌で感じ取っているのだ。
 
「あなた……一体何者なの?」
 
『初対面相手に……随分と不躾ですね。まあ、いいでしょう。私の名前は…………』
 
「栞ちゃん!」
 
そのときだった。私の声を遮って現れたのは翔子だった。
 
『あら?どうしたの?』
 
「全く。抜け出して一体どういうことですか?」
 
あら〜?かなりお怒りのご様子で。
 
『別に……暇だったから、ジュースを買いに来ただけですよ』
 
「まあ、とにかく見つかってよかったです。部長が……話があるからって」
 
『話?なんだろうね?』
 
「さあ?とにかく、急いで戻りましょう」
 
『ええ。そうね』
 
そう言うと彼女が私の手を引っ張って連れ去っていく。
 
「た、ただいま戻りました」
 
私たちが戻った場所は暗い撮影ルームだった。
 
「お帰り……」
 
『それで?話って何ですか?』
 
「何を言っているの?ミーティングをするって言ってたでしょう?」
 
『聞いてませんけれど』
 
「ああ。そうだったわね。最近入ったあなた達には説明してなかったけれど」
 
それで部長は納得してくれた。
 
「とりあえず、一回戦の相手をそれぞれ見てもらうわ」
 
『特徴なんて、人それぞれですよ』
 
「そうね。だからこそ、見るんじゃない」
 
すると、彼女が再生した。
 
『えっ?』
 
「相手の得意不得意があるわ。ほら。始まったわよ」
 
すると、いきなりダブ東を鳴いた。
 
「うわ〜。早いわね」
 
「この子の相手は副将戦のあなたが相手になるわよ」
 
「えっ?」
 
『この子が……翔子ちゃんの相手…………』
 
「し、栞様」
 
『なるほど。面白いわね』
 
「えっ?」
 
『この子……見るからにデジタル打ちのようだけれど。時々に見せる勝負点のようなものがあるわ。翔子ちゃんは振り込まないから大丈夫よ。それよりも……』
 
私が彼女の対面にいる子を見た。
そうだ。この子が一番にいい打牌をしている。
 
「ちなみに決勝に上がったのはどこの中学なんですか?」
 
「そんなの……見てれば判るわよ」
 
『あっ!差し込んだわ』
 
「ロン!三色タンヤオドラ三……18000」
 
「うわぁ……」
 
『部長……』
 
「なに?」
 
『彼女の対面にいる人……彼女は……』
 
「ええ。彼女はあなたが対戦する相手……大将よ。そして……部長でもあるわ」
 
『なるほど……』
 
「栞ちゃん……?」
 
『決勝に進むのは対面の人ね』
 
「えっ?」
 
「ご明察……相変わらず、察しがいいわね」
 
「ええっ!?だって、点差だって二万点以上も離れてるんですよ。しかも、オーラス……倍満でも振り込まない限り……不可能です」
 
『そうね。でも……多分、ツモったのね』
 
「えっ?」
 
「そうよ……」
 
すると、開始早々……彼女が倒した。
 
「ツモ……天和……役満です」
 
他校の生徒も唖然としている。
 
「これが……今年の夏の一回戦。ちなみに決勝で……この子……二ノ宮選手は柊宇津穂に負けているのよ。しかも飛ばされてね」
 
「どれだけ化け物なんですか?」
 
「さあね。でも、天和は奇跡というか本当にラッキーな人にしか出ないからね」
 
『だから、運で勝ったと?そう言いたいのですか?』
 
「あら?あなたは違うと思っているの?」
 
『彼女は一度も振り込んでいません。これも運なのでしょうか?』
 
「さすがね。彼女もあなた達とは違ってデジタルうちの一人なんだけれど。それでも天才と呼ばれていたらしいわ。新聞にもバンバン載っていたし、雑誌や記事にも引っ張りだこね。そんな彼女が今年はリベンジに燃えているのよ」
 
『なるほど、見せたかったものというのはこれですか?』
 
「そうよ」
 
私は彼女に訊きたかったことを聞いてみた。
 
『部長はここまでどんな筋書きを思っているのですか?』
 
「そうね。先鋒の沙紀は……早上がりに徹するでしょうね。それが彼女の持ち味ならば、次鋒戦は遊里が頑張ってくれそうだし、中堅には私がいるから、他校を一気にまくることができるわ」
 
「じゃあ、私たちは何のために?」
 
「南さんはいつもどおり役満を上がって他校を飛ばして終わらせてくれればいいけれど、もしも、大将戦に回ってしまったら……と思うと気が重くなるわ。別にあなたを信じていないわけじゃないけれど」
 
『私が飛ばして終わらせるのはダメってことですね』
 
「そうよ」
 
「えっ?どうしてですか?」
 
「彼女の実力を他校に知らしめないためよ。まあ、でも直感的にもうすでに知れ渡っていると思うけれど……柊宇津穂がいる仁木中学とか……そういうのは敏感そうな学校とかはいるものよ」
 
みんなが考え込んでしまった。しょうがないと言うように私がため息を吐いて提示する。
 
『じゃあ、私が勝って……尚且つ、他校に知られないようにすればいいのですね』
 
「ええ。そうよ。でも、あなたにできるかしら?」
 
『やり方は色々あるけれど……そうね。一番リスクが少ないのはプラマイ0で終わらせることでしょうか』
 
「でも、そんなこと……あなたにできるの?」
 
『やってみなければ分かりませんよ』
 
私は実際にやったことはないけれど、私は裏では有名になりすぎているから、自然とそういうのにはなれているのだ。
自分は有名にはなりたくはない。そういう消極的な考えが私にはある。
 
「そうね。あなたに託すしかないわね」
 
そのとき、ビーッ!というバスケの試合が始まる音が聞こえた。
 
『始まるようね』
 
「ええ。待合室で待ちましょうか」
 
私が戻ると、彼女たちがすでにいる。
 
「ごめんね。ちょっと遅くなったわ」
 
「構わないですよ」
 
そう遊里という人が言った。多分、この状況を楽しんでいるのだろう。
みんながリラックスした状態で望んでいる。ということは私たちだけか……。
 
『(とりあえず、部長の読みどおりにいくか……沙紀という人の試合を見て見ましょう)』
 
そう思うと、私は試合に集中する。
彼女はメンホン聴牌していた。出上がりすれば、5200だから……危険牌も少ないから、大丈夫そうだった。
 
「来た!ロン!5200!!」
 
次の局……彼女が親でダブ東を鳴いた。
 
「チー!」
 
更に彼女が鳴いた。ドラ三で親満確定だった。
 
『すごいわね……』
 
「あなた達ほどじゃないけれど……みんなが強敵よ」
 
「頑張って……」
 
すると、南四局で……。
 
「ツモ……2000です」
 
「ありゃあ……まあ、こんなものね」
 
そして、先鋒戦を終わった。
 
『結果だけを見れば、誰が活躍したかなんて……一目瞭然ですね』
 
「次は私の出番ね」
 
「耐える必要はないわ。ドンドン突き放しちゃって」
 
「分かっているわ。行ってきます」
 
そう言うが、彼女の点数は酷いものだった。いきなり差し込むわ、ツモ上がりされるわで……結果が三位だった。
 
「ご、ごめんなさい」
 
「まあ、次は私の出番だから、取り返すように努力するわ」
 
すると、部長は私たち……正確には私と翔子を見回して。
 
「じゃあ、行ってくるわ」
 
『はい』
 
「頑張ってください」
 
そして、部長の手は中々のイーシャンテンだった。
だが、他家がリーチを仕掛けてきたのだ。
すると、いきなりトイツを落とした。
 
「降りたな」
 
『いいえ。違います!』
 
あれはトイツ落としを見せかけた罠……『有』を司る私もあれにはまったのだ。
 
「ええ。あの状況から聴牌したよ」
 
相手は単騎待ちだけれど、こっちは三面待ち。当然……。
 
「リーチ!」
 
追っかけリーチを掛ける。しかも、他家はさっきのトイツの捨て牌を見て……モロに引っかかる。
 
「ロン!」
 
彼女が裏ドラをめくる。すると、裏ドラがドラと同じだった。
 
「リーチ一発ドラ四……12000」
 
「ば、馬鹿な!」
 
降りたはずが……落とされるなんて皮肉にもならない話だけれど。でも、それを彼女はやったのだ。
そして、その後も……。
 
「ツモ……!3900!」
 
ツモ上がりを連発して、一位になってしまった。しかも、二位との差は……12900点。
 
「ただいま……」
 
「お帰りなさい」
 
「次はあなたの出番よ。頑張って……」
 
「ええ。行ってきます」
 
そう言って翔子が行く。
 
『4』
 
さすがに緊張する。
これがもしも、一人だけの戦いなら……まだ良いものの……これは団体戦。しかも、来年の夏を決める戦いなのだ。
それに……栞様が見てる。これがもっとも大きい理由だった。
栞様に見られていることによって、私は緊張するばかりか、かなり上がっている。
呼吸を整えて、真剣に対局室に入る。
対局室はシンプルなものだった。中央には卓が置いてあるだけのシンプルな部屋。でも、ここが私の対局する場なのだ。
そして、相手が次々と出てきた。私の緊張は増すばかりだった。
 
『D卓……副将戦開始』
 
私は配牌を見てみる。小四喜なら、ウーシャンテン。それでも、東西が二枚もあり、南が三枚あって……北が一枚もあるなんて珍しいけれど。
すると、いきなり……北を捨てた。うわ〜。残り二枚ですか。
しかし、私が引いたのは中。
違う。お前じゃない。とにかく……北が欲しい。しかし、中を捨てたとき、ポンされた。
 
ドラが発なので、ドラ三……まずいわね。上がられたら満貫は確実に取られる。
私は彼女の捨て牌を想像する。しかし、次の瞬間、私は固まってしまった。
まずい。彼女の当たり牌。そして、絶対に引いてはいけない赤ウーを引いてしまった。
 
どうする?
私は……迷わないと決めたはずだ。栞様の下僕になってから……栞様にお仕えする身として誠心誠意尽くすと決めたはずだ。
だから、大丈夫。これくらいの局面は幾度となく乗り越えてきたはずだ。
そう思って、私は赤ウーを捨てた。
だが、しかし、彼女は仕掛けてこなかった。ちょっと驚いたけれど。
次の牌を引いた。
来た!北!そう思って九ソーを捨てる。
すると、対面が東を捨てた。すぐにポンをする。
そして、五巡目で張った。小四喜……西がまだ、捨てられていないので……西を持っている可能性のある西家の彼女にプレッシャーを掛ける。
すると、他家がカンをした。すると、新ドラが西だった。
ということは……西は彼女は持っていない。山の中に埋もれているはずだ。
誰かが引いても……それを捨ててくれれば、ロンをかけられる。
大丈夫……勝てる。
たとえ、西を捨てなくても……北がくれば……絶対に上がれる。
すると、北家が西を捨てた。
 
「ロン!」
 
「えっ?」
 
「小四喜……役満です」
 
「なっ!?」
 
甘いわね。私が西を許すと思っているのかしら?
私は子だから、32000点をもらう。
そして、次に行った。
 
「…………はぁ……これですか」
 
すでに役が揃っていた。すぐに倒す。
その名の由来は天からの贈り物。まあ、栞様のような天運に恵まれた人も珍しいけれど。
私にはぴったりの役満だった。
 
「ツモ……天和…………」
 
「なっ!」
 
今度は私が親なので、16000点……一気にトップを独走する。
 
そして、その後も私は差し込むことなく、流局をした。
まあ、四暗刻を上がろうとしたり、大三元を上がろうとしたりしようとか思ったけれど。無理だった。さすがは中学生とはいえ、私の捨て牌を見ている。
そして、退室した。
栞様がこっちに向かってくる。
 
「ありがとう」
 
「栞様……」
 
なんと、栞様は自分の口で自らお声をお出しになったのだ。
 
「栞様……後は頼みます」
 
『ええ。大丈夫よ』
 
そう言うと、私は栞様とパンと手を叩き合った。
 
「ただいま戻りました」
 
「さあ、後は彼女よ。彼女がプラマイ0で上がることを祈りましょう」
 
『5』
 
大丈夫。勝てるわ。
この時点で私は確信していた。
まあ、とりあえず、流局とかをしてもプラマイゼロにはならない。
それにしても……この東家……相変わらず、いい打牌をしてるわね。ビデオを見ていても思ったことだけれど。
 
「リーチ!」
 
しかも早い。いきなり、リーチをかけてきた。
私はすぐに差し込む。
 
「ロン!リーチ一発ドラ四……18000」
 
『はい……』
 
はい……って。渡してから気づいた。何も差し込む必要はなかったかもしれない。ギリギリまでいって、流局の前の前に差し込めばよかった。
まあ、しょうがないから、次の局で返してもらおう。
そう思ったとき、私の表情は無表情に戻っていった。
そして、次の局。
うわぁ。最初から、これですか。
役満。地和……悔しいけれど、上がったら……確実に勝てるけれど、プラマイゼロにはならない。相手のやる気を削ぐだけだ。次のあれでリーチをかけよう。
 
そして、次の北で。私はリーチをかけた。
 
「リーチ!」
 
待ちはウーパーソー。スーソーは自分で切ってしまっているので、フリテンになる。
私は相手の捨て牌を見て思った。やばい。
この調子だと、次に来るのは……。
来てしまったか……。
赤ウーソー。リーチ一発……ドラ四……3300・6300……。裏が乗ればどうなることやら。
いくらなんでも、多面張だとしても、この運の良さはどうだ?
跳ね満で一本場なので……どうするか迷う。
しょうがない。ここで、流れを変えるために倒すか。
 
『ツモ……』
 
裏を見てみると、裏はなかった。
 
『リーチ一発ツモ……ドラ四……3300・6300』
 
「なっ!」
 
相手も立ち上がってえらい驚きようである。
まあ、それもそうか。地和をわざと見逃して……上がっちゃうもんなぁ。
しかも、私はツモ変わりをしていない。
 
「なんで?ツモ上がりをしなかったの?」
 
『さあて。なんでかしらねぇ?』
 
「…………?」
 
そして、次の局。
う〜ん。さすがは大将戦。出上がりしにくくなってきたわね。
 
「ポンっ!」
 
この対面……。
なんか、高そうで嫌な点ね。しかし、次の瞬間。
 
「リーチ!」
 
うわぁ。両方聴牌ですか……。しかも、両方とも大きそう。
私は次のツモを取った。
チーソーをツモる。
さて。どうするか。ダマでも行けそうな点だ。タンピン三色ドラ三。しかも、親なので……軽く……18000点はいける……。
しかし、右隣が危ない点数だ。ここで上がってしまえば、これだけの局だ。多分、相手の好きそうな牌も倒しそうな感じだ。となると……これか……。
 
「ロン!7700点です」
 
『はい……』
 
さて、ここからは連続で上がらないとダメね。
私は気合を入れる。
さすがにここまでハンデを与えてあげれば……少なくとも。大丈夫でしょう。
そして、私は連続で上がる。
安くても良いけれど、たまには高い点も。
 
『ロン……1000』
 
「えっ?」
 
『ツモ……2000・4000』
 
「げげっ!」
 
しかし、相手も負けていなかった。いきなり、高い点を狙ってくる。
 
「ツモ……8000オール!」
 
さっきから、私は三色やタンヤオを消しながら、着実に上がってきている。
オーラスを迎えた。
すると、他家も気づくようなものだ。
まるで、準備運動で軽く捻るようなものだ。
私の点数は−5200点。
そして、私は聴牌した。
メンホン聴牌。ウーパーソー待ちで上がれば5200で丁度、プラマイゼロだった。
しかし、彼女たちも懸命に頑張る。
さすがに差し込みはないか。まあ、最初から期待はしていないけれど。
そして、次の牌を積もった時、来た!と思った。
即ツモを宣言して牌を倒す。
 
『ツモ……!メンホン……1300・2600です』
 
そして、試合が終了した。
 
『……ありがとうございます』
 
さて。明日は決勝だ。柊宇津穂がいる仁木中学と……。
でも、その前に……そうだった。私が最も苦手とする……合唱コンクールがあるのだった。
しかも、場所はコンサートホール。部活の大会以上に緊張する。
 
「さて。それじゃあ……行きましょうか」
 
そう言うと、彼女が手を伸ばした。何故だか、私はそうやられると、頑張れる気がしたのだ。
うん。と頷くと。私は彼女の手を取って……コンサートホールへと向かうのだった。
 
『6』
 
『ど、どうしたの?その右手……』
 
私は向井さんの右手を見た。包帯が巻かれていて見るからに痛そうだ。
 
「ごめんなさい。昨日の練習中に事故っちゃって……」
 
『ちょっと見せて……』
 
私が彼女の流れを見て、血液の具合などを見る。かなりひどい状態だったけれど。医者が優秀だったのだろう。
これくらいなら、一ヶ月程度で済みそうだった。
 
「どう?栞さん?」
 
麻生唯が訊ねる。よほど気にかかったのだろう。
 
『おそらく、見た医者が優秀だったのね。かなりひどい状態だけれど、一ヶ月程度で済みそうよ』
 
「ということは……今日の合唱コンクールは?」
 
『絶望的でしょうね……』
 
ざわざわと音がする。
 
「栞さん……代わりに弾いてくれないかな?」
 
「な、何を言っているのよ?栞ちゃんはこの後……二曲弾いて、さらに……一曲弾くのよ。無理に決まっているじゃない」
 
そう翔子が言うが、私にとっては願ったり叶ったりだった。
 
『楽譜を見せてくれる?』
 
「えっ?」
 
『弾いてみようじゃない。あくまで不可能なことを考える。無理なことをやる。面白いじゃない……翔子……あなたはエルーノに通達してくれる?今日のあれは別に良いですって』
 
「……本気なんですね」
 
『ええ。本気よ。みんなも彼女の分まで……勝ちに行きましょう!』
 
「ああ!」
 
「分かったぜ!俺……大声で言うよ」
 
「俺もだ!」
 
クラスの全員の結束が高まった。
 
『麻生唯……』
 
みんなが去った後、何故か、麻生唯だけが残っていた。
 
「やっぱり、あなた……『流れ』を司る栞さんですね?」
 
『あら?今頃気づいたの?……まあ、色々とあって……説明できる部分は説明するけれど』
 
「……まあいいか。頑張ってね」
 
『あら?あなたも頑張るのですよ』
 
「うん。なるべく努力はするよ」
 
『あら?力を使ってくださいと言っているのです』
 
「えっ?」
 
『お嫌ですか?』
 
「いや。栞さんから……そんなことを言われるとは思っていなかったから。てっきり、ズルをするのは嫌かと思ったから」
 
『別にズルではありませんよ。自分のもてる力を全て発揮してこその合唱コンクールですから。それに……』
 
「それに?」
 
『もしも、私の『流れ』の力を使ったらどうなるか……試してみたくありません?』
 
「悪魔まで呼び寄せちゃうかもよ?」
 
『そうなったら、全員、殺してあげますわ』
 
「うん。そうだね。頑張ろう」
 
彼が冷や汗を流したことに私は笑っているような……怒っているような左右非対称な顔をして言う。
 
『もしも、無事に優勝できたら、麻生唯の何でも一つだけ言うことを訊いてあげようか?』
 
「えっ?」
 
突然の提案に麻生唯は首をかしげる。
 
『何でも言うことを訊いてあげますよ』
 
私は麻生唯の隣に座って言う。
 
「まいったなぁ。それなら、絶対に優勝するしかないじゃないか」
 
『……まさか、願い事をもう決めたのですか?』
 
「うん。栞さんとデートしたいなぁとか思っているんだけど」
 
『えっ?』
 
「ほら……僕たちって、あまり知り合っていないと言うか。なんというか。ほら、そういった意味合いで……純粋にデートをしたいなぁとか思っているんだけど」
 
『そうですか。てっきり、私は……』
 
「えっ?」
 
てっきり、私は淫らなことを考えているのかなぁと思ったのだが、違うようだ。
まあ、デートが発展したら……そういう風なこともあるかもしれないと思うので、釘を刺しておくのも悪くはない。
 
『私は……てっきり、無闇に悪魔を殺すなとか、奴隷になれとか。そういうものだと……』
 
「僕ってそう思われているんだ」
 
『当たり前です。っていうか、十二人もガーディアンを従えている時点でそう思われても仕方ありませんよ。でも……悪くはないですね。デートですか……』
 
「えっ?」
 
『まあ、勝てたらの話ですけれど』
 
「うん。そうだね。頑張るよ」
 
『7』
 
とりあえず、課題曲から練習をしてみる。
大丈夫だった。
私は弾き終わると、ふと……手を見てみた。そこには……いくつもの悪魔を殺した手と……翔子と手を握った手があった。
私は……こんな手で翔子の手を握っていたのか。今になって罪悪感が私の脳裏を突き抜ける。彼女は私に果たしてついてきてくれるのだろうか。
彼女は天使だ。私は彼女を束縛はしないとか言いつつも、束縛しているのだ。
だから、彼女が天界に帰るのがいやで……だから、ここにおって欲しいのだ。
さっきは彼に奴隷になってとか、そういう話をしたけれど。私も本当はガーディアンの一員としていたかった。こんな力……誰かに束縛された方がいいとさえ思っている。
どうして、私はガーディアンになれなかったのだろう。そのことばかりを最近は考えるようになった。
でも、私が死に近づいたとき……彼女達はどうなるのだろうか。
ひょっとしたら、自殺をしたいと考えるかもしれない。
私は廃棄ナンバーでも……転生できるからいいが、彼女達は転生できないのだ。
だから、私は死ぬことが怖いのだ。
 
『さて、そろそろ行きますか』
 
時間もあまりない。
私は楽譜を集めると、足早にその場を去る。
そして、みんなの待つステージへと向かうのだ。
 
『……みんな……』
 
「さあ。みんな……練習はしてたと思うけれど、頑張りましょう」
 
「ええ!」
 
「ああ!」
 
「うん!」
 
みんなの顔を見る。みんなは生き生きとしていた。
彼女が怪我をしてたというだけでこの団結力。中々、人間と言うのは面白いね。お兄ちゃん。私は地獄にいるお兄ちゃんのことを思いながら、ステージに立った。
そして、指定された座席に座る。全員から、拍手が起こる。
後は指揮者を待つばかりだ。指揮者が手を上げた。そして、手に持っている指揮棒を振る。
その声は圧倒的な迫力を持っていた。
当然だけれど、これには麻生唯の思いと、私の思いが交差してできた曲なのだ。
そして、それは私の『流れ』という能力によってどこまでも飛んでいく。
麻生唯の『音』と私の『流れ』によって、それはマイナスからプラスに変わっていく。
私はミスを一つも出さずに綺麗な音色で仕上げていく。
そして、約3分ちょっとという短い曲は終わりを告げるのだった。
 
『8』
 
割れんばかりの拍手が巻き起こり、合唱コンクールは幕を閉じた。
結果的には私たちの圧勝だった。
まずは歌唱力。これは麻生唯が能力を使って、私と同じタイミングで美声を発したのだ。
そして、自由曲のテーマも良かった。
最後の部分は本当に感動して……ものすごい良かった。
私の『流れ』は時として間違った方向へとおもむく事がある。
しかし、それを麻生唯が修正することによって、形の良い……私たちのクラスらしい仕上がりになったのだ。
これは大きな進歩と言えよう。
 
『みんな……』
 
私が帰り道にみんなに向かって流れに乗せて言うと、みんなが思いのたけをぶつけてくる。
 
「うん。みんなが己の力を発揮できてすごい良かったよ」
 
「特に麻生の声はすごかったよなぁ」
 
「うん。すごいよ。麻生君の声もすごい良かったよ」
 
「小松さんの完成度の高いピアノもすごかったよ」
 
『ありがとう。私も嬉しいわ』
 
ちっとも嬉しそうじゃないけれど。礼を言うことで少しでも嬉しさが伝わればいいなぁ。と思う。
結果は見事に優勝。そして、私は最優秀賞を獲得したのだ。
結果だけを見れば、私と麻生唯が力を使っただけに見えるだろう。
しかし、選曲も良かった。
私たちの力がフルに出せる曲として、一番最適な曲を選んでくれたのだ。
こればかりは実行委員に感謝せねばならない。
 
「じゃあ、俺……こっちだから」
 
「私も帰りはこっちだから」
 
そう言うと、みんなが別れて行く。
ようやく四人になったところで、私が麻生唯に言う。
 
『麻生唯』
 
「何?」
 
『紹介をするけれど……今度、私の配下に加わったエルーノです……エルーノも挨拶しなさい』
 
そう言うと、彼女は自分から一歩前に進んで一礼した。
 
「エルーノです。ご主人様と共によろしくお願いします」
 
「ええっと。麻生唯です」
 
どうやら、彼女も美人なので緊張しているようだ。目の前に爆乳美女を十二人も抱えているのに……不思議な人だった。
 
『一応、彼女には全てを話したわ。私がガーディアンであることや……その他の事情など。当然、あなたのことも話したから……』
 
「えっ?でも、どうしてそれを僕に言う必要があるの?」
 
「私達は天使です。だから、話しておく必要があったのでしょう」
 
『そうよ。堕天使だった彼女を天使に戻したのは私よ』
 
私が彼女を仲間にした経緯を話すと、麻生唯はため息を吐きながら言う。
 
「そうだったんだ……」
 
『まあ、そういうわけだから、天界に帰らせるわけにもいかないし……二人ともしばらくは自分の家で面倒を見ることになったから。まあ、私の家じゃなくて……世帯主はお姉ちゃんだけれど』
 
「……そういうことですから、しばらく、よろしくお願いしますね」
 
「うん。こちらこそ……よろしく」
 
そう言うと、二人で握手を交し合ったのだった。








     




















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