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どうしてこんなことになってしまったのだろう。
いつからこんなことになってしまったのだろう。
それはわからないけれど。
皆に迷惑をかけてしまったことだけは確かだ。
そのために多大な犠牲を払ってしまった。
全ては自分が生き延びるために。
だけど、私は怖いのだ。
いつか、私の能力が全ての人々に対して犠牲を払うのではないか。
そう思うと、怖くて……でも、しょうがなくて……。
 
『1』
 
『……何……あなた。自分の名前を持っているの?』
 
「はい。私の人間界での名前は南翔子。天使名はゼラキエルです」
 
私が朝まで彼女を犯しつくしたあと、彼女が自分の名前ではっきりと口にしたときだった。
そういえば、エルメスも藍子とか言う名前があったことを思い出す。
私は彼女に向かって言葉を流れに乗せた。
 
『なるほど。で?サキュバスはどこにいるの?』
 
「サキュバス様……ですか」
 
『翔子』
 
「な、何ですか?」
 
心なしか彼女は緊張している。私の声が厳しくなったせいだ。
 
『あなたのご主人様は誰なのか……言ってみなさい』
 
「えっと。小松栞様です」
 
『そうよ。サキュバスじゃなくて私なの。だから、今後は私の前でサキュバスに『様』をつけるのを禁止するわね』
 
「……わかりました。サキュバスの居所は千葉県にあります」
 
彼女は従順にサキュバスの居場所を吐いていく。千葉県か……少し遠いけれど、いけない距離じゃない。私は携帯電話を取り出して、お姉ちゃんに電話した。
 
「もしもし。栞か?」
 
『あっ……お姉ちゃん。これから、サキュバスを殺しにいくから』
 
「ホンマに大丈夫か?栞は人を殺せないからなぁ」
 
『大丈夫ですよ。私が本気になったら、地球など粉々に砕け散りますから』
 
「それは逆に怖いわ。まあ、休日やし。無理はしないでや」
 
『わかりました。では』
 
そう言うと私は電話を切った。
 
『さあ。行くわよ』
 
私がそう言うと、彼女は動かなかった。
 
『どうしたの?』
 
「い、いえ。栞様にお姉さまがいらっしゃったのが驚いて……何をされているのですか?」
 
『医者よ。まあ、これから会う機会はいっぱいあるけれどね』
 
「医者……ですか……ああ、だから、昨晩は夜勤でいなかったのですね」
 
今は医師不足で悩まされているのだ。こういうことは仕方がないと思っている。
 
『そういうことよ』
 
「あの……ところで……」
 
『何?』
 
「栞様は一体何者なのですか?さっきから喋らせている声は一体……あなたは傀儡かなんかですか」
 
『いいえ。私は傀儡じゃないわ。そうね。あなたには話しておく必要があるわよね』
 
そう言うと、私は彼女に全てを話した。
私が人間を殺せないことや兄からの命令のこと。そしてガーディアンのことを全て話した。
でも、私が話してなくても、いずれは気づく。それでも、私が話したのは……多分、彼女のことが好きだからだろうと思う。
別に百合とかレズになるつもりはないけれど、私は彼女のことが好きだから、全てを話したのだ。
 
「そうだったのですか……ごめんなさい」
 
全てを聞き終わったあとに彼女はすすり泣くような声で私に謝罪した。
聞いた自分に嫌気が差すように私に向かって謝罪をしているようにも見えた。
だけど、だからこそ、私は言う。
 
『私は今まで……喋ったことがなかったけれど。あの日だけは喋らなきゃと思ったの。あの日ほど私は人間を守ろうと思ったこともなかったし。あの日ほど悪魔を殺そうと思ったこともなかったわ』
 
「…………はい」
 
『だから、私は悪魔を殺します……殺し続けます。それが兄の願いならば私はそれを行使する。私が何を言いたいかはわかりますよね?』
 
すると、彼女から「……はい」と言う声が聞こえた。
彼女もわかっているのだ。これから行うことは単なる残虐行為。相手は悪魔なのに私は悪魔のように殺すのだ。
でも、それでも彼女は私についてくることを選んだ。
 
『さあ。行くわよ』
 
「はい」
 
そう言うと私は家を飛び出した。彼女に迷いはなかった。
 
『2』
 
「栞様……」
 
『何?』
 
電車に乗っているところで彼女が訊いた。
 
「あの……今から、サキュバスを殺しに行くんですよね?」
 
『……まだ、あなた……迷っていたの?』
 
「いいえ。違うんです。ただ、昨日の彼女……確か、静香……でしたっけ?あの人は……」
 
ああ。なるほど。彼女に助けを求めてはどうかと思っているのだ。
 
『あの人は正規のガーディアンよ。今朝話したと思うけれど、あなたが私のそばにいることを誰にも知られたくないの』
 
「それは何故ですか?」
 
『あなたは常に狙われているからよ。天使からも悪魔からも』
 
「えっ?」
 
『あなたは天界からも悪魔にとっても危険な存在なのよ。そんな状態で天界に戻れると思う?それにたとえ、間接的にとはいえ、私に犯されて悪魔にも戻れない』
 
「あぅ……」
 
『感謝しなさい。あなたに私が会わなければ悪魔にも人間にも天使にも狙われていたはずよ』
 
「でも、どうして栞様は私をそこまでして助けてくれるのですか?」
 
『その理由を聞きたい?』
 
そう言うと、私は彼女の胸を揉んだ。ちょっとしたセクハラのつもりだったけれど、彼女は嬌声を上げる。
 
「きゃふぅ……!そんな……栞様……人前で」
 
『何を言っているのですか?……まあ、いいけれど。続きはまた今度にするわ』
 
私はやめてしまったけれど、彼女の瞳は潤んでいる。本当はもっとやって欲しいのが見え見えである。昨日の快楽から抜け落ちていないのだろう。私はレズではないけれど、彼女の可愛い姿を見れてよかったと思っている。そして、またやりたいと思っているのだ。
さすがに千葉県と東京都の県境まで来ると、人通りも少なくなってきた。その間、私たちはお互いのことをしゃべりあった。とは言っても、ほとんど彼女のことばかりなのだけれど、驚くことに彼女はサキュバスが彼女を犯したことを覚えているそうだ。
どうやら、サキュバスは彼女に絶対の信頼からか……それとも、別の理由からか。
 
『さすがに空いてきたわね』
 
「ええ。そうですね」
 
『ところであなたは人間で言うと何歳くらい?』
 
「ええっと、明確な歳は覚えていないですけれど、多分、一万歳を超えると思います」
 
『それだけでその容姿ってありえないわ』
 
「いいえ。私くらいになると、年齢の退行が可能になるので……でも、ほとんどの場合……そんなことはしませんけれど。他の天使でもまれにやっている人は多いですね。栞様が昨日……仰ってた……藍子とか」
 
『あの子……あなたにとってはなんなの?』
 
「元後輩ですね。同期と言ったほうが正しいのでしょうけれど。階級が違いすぎるから」
 
『階級?何それ?』
 
「私たち天使は一般的に他の天使と比べるために生まれたときから階級を持っているのです。例えば私は第十三階級所属……二百三十六階位という風に天使はここの成績に応じてレベルを上げているのですよ」
 
『それって偉いの?』
 
「中堅といったところでしょうか。元々、天使は二百万人以上いますから。能力とかによってそれぞれが違いますけれど」
 
『ああ。なるほど。それで……彼女が焦っていたのね』
 
私は昨日の彼女を思い出した。天使は堕天使にはなれるけれど、その逆はなれない。なろうとしてもなれないのだ。
 
「あっ!次の駅です」
 
『わかったわ』
 
私は次の駅で降りた。
 
『××駅〜。××駅〜』
 
駅のアナウンスを聞いて、私はやっとで敵の本拠地前に来ていた。
 
「栞様……」
 
『何?』
 
「その……作戦とかって考えているのですか?」
 
『いいえ。ただ敵を殺すだけよ』
 
「でも……その……」
 
私はため息を吐いた。
 
『あなた……一体、私が何千年悪魔狩りをしていると思っているの。その中にはサキュバスも入っているのよ』
 
「その戦績は?」
 
『全戦全勝よ』
 
私は太古の昔から、サキュバスからの淫呪の克服にも力を入れていたのだ。他の人達はわからないけれど。
サキュバスは淫香という香りみたいなものを撒き散らす。それによってまずは相手を欲情させるのだ。
しかし、私の流れはそれを跳ね返すこともできるが、元々サキュバスは淫香は効かないのだから、あくまで保険のようなものだ。
 
「あ、あの……栞様……」
 
『何よ。あなた……まだ迷っているの?さっさと案内しなさい』
 
「は、はい!」
 
そう言うと、駅から出て右に曲がる。そして左に曲がると、少し直進する。
すると、悪魔の匂いが濃くなってきた。
私がため息を吐いた。
 
『なるほど。確かにあなたが落ちるわけだわ』
 
「えっ?」
 
『これだけの強い匂いがするのだったら、あなたが落ちるのも無理はない』
 
しかし、私たちが向かった先は一軒家だったことに私が驚く。てっきり、お城みたいなところを想像していたからだ。
サキュバスは元々、征服欲が強い。そして嫉妬深い悪魔なのだ。
 
『ここが……そうなの?』
 
「……はい。そうです」
 
『とりあえず、乗り込むわよ』
 
「は、はい」
 
そう言うと、インターホンを押した。中から出てきたのは女の人だった。しかも、人間。
 
『あなたが言って』
 
「えっと。なんて?」
 
「あら?翔子ちゃん。どうしたの?」
 
『あなたのご主人様に会いにきましたって言えばいいじゃない』
 
「あっ……ええっと。その……はじめ様に会いに来ました」
 
「そちらの方は?」
 
明らかに私を警戒している。私はため息を吐きながら、彼女に話す。
 
『私の友達の小松栞です』
 
「私の友達の小松栞さ……いいえ。小松栞さんです」
 
さすがにばれるとまずいのか、彼女は言い直した。
 
「そう……なの…………初めまして……まあ、立ち話もなんでしょうから……入って」
 
ドアの立て札を見たけれど、水無月と書いてあるのに……何故か彼女の苗字が国広となっているのを私は見逃さなかった。
彼女も操られている。さて、どうするべきか。もしも、止められても厄介だ。
彼女に案内されて、家の中に入る。
しかし、そのとき二階から、降りてきた男性に対して驚愕することになった。
歳は三十歳前半から後半。顔は整っているけれど、どこか肝の座っている青年だった。
人間……いや、違う。でも、これは……まさか……!
 
「あっ!はじめ様……お客様です」
 
彼は私の顔を認めると、その顔が驚きへと変わった。
 
『あなた……サキュバスと契約を交わしたわね』
 
「ガーディアン……か?なるほど……厄介な奴を連れてきたものだ」
 
『あら?私のことを知っているの?』
 
「いや、彼女が言ってたことだよ。ガーディアンには気をつけろ。その中でも特にやばい奴は……とか言っていた」
 
それが契約の主、サキュバスなのだろう。
始めから気づくべきだった。翔子がレズビアンならわからなくもないけれど、普通に考えてサキュバスは女……しかも、男性が虜になるほどの美人だから。
でも、サキュバスは女も犯すことがある。だから、失念していたのだ。
 
『あなた……最初から気づいていたわね』
 
「はい。すみません」
 
彼女が謝ると、彼が驚愕した。
 
「驚いたな。彼女の堅物があんたには素直に従っている。どんな魔法を使った?」
 
『別に……あなたと同じ手を使った……それだけよ』
 
「なるほどな。彼女があんたに惚れるわけだ」
 
『サキュバスはどこ?』
 
「死んだ。みんなが同じように生きているとは限らん。あんたも同じで転生をしながら生きてきたのだろう。多分、彼女は奈落へと帰った」
 
私の眉辺りがピクリと動いた。
 
『一体……誰が殺したの?』
 
「さあな。内閣特殊事案対策室の誰かだということはわかっているが、詳しくはわからん」
 
内閣特殊事案対策室にそのような手腕がいるとは考えにくい……だが、ありえなくは無いが。
 
『で?あなたは……なるほど。人間や女の悪魔から精液を吸って生きているというわけね』
 
私は聞こうとして、すぐに思い立った。
 
「その通りだ」
 
一瞬にして、彼との距離をゼロに縮める。右手で出した剣で奴を斬ろうとしたのだ。
だが、それは遮られた。それも彼じゃなくて、別の女性。いや、この女は悪魔だった。
彼女は体を硬質化させて……主を守ったのだ。
 
「ご主人様に手を出すものは誰であろうと許しません」
 
私はため息を吐いた。
 
『そんな中途半端な力で私に勝てると思っているの?』
 
「えっ?」
 
私は身体を捻って左手にも剣を出す。
 
「に、二刀流!?」
 
「しかも、出すのが早いっ!」
 
彼女を一刀両断した。すると、彼女の体が灰化した。
 
『私に挑むなんて、百年早いです』
 
「き、貴様っ!」
 
『怒りましたか?そうでしょうね。あなたは自分が生きるために悪魔になった。自ら悪魔と契約をするなんて、愚かしいにもほどがあります』
 
「翔子っ!」
 
そのとき、翔子が私のわき腹を刺した。
 
「し、栞様……ご、ごめんなさいっ!」
 
彼女の手が震えている。まさか、彼女に裏切られるとは思っていなかったけれど、それも計算のうちだった。私は水の分身を瞬時に作り出して、まるでそこに何事も無かったかのように……彼の隣にいた。
 
「なっ!水分身だと?」
 
『あなた……弱いわね。自分のことばかりで周りが見えてない。だから、私の水分身も見破れないのよ。その罪は……次は奈落で償いなさい』
 
そういうと、私が最後の一撃を振り下ろそうとしたとき、それを翔子が止めた。
 
「お願いです。やめてください」
 
『あなたも殺されたいの?』
 
それは冷酷な瞳。彼女はでも、私に対して揺ぎ無かった。
意志の強い瞳ではっきりと答える。
 
「ええ。私のことはどうなっても構いません。彼だけは手を出さないでください」
 
そこまで言って、私は思い立った。
 
『まさか、あなた……彼の……?』
 
「はい。私は彼の……守護天使です」
 
守護天使。それは……自分の主を死ぬまで仕える。
まさか、だから彼女は行くのを躊躇っていたというわけか。私が殺すということを知っていたから。
 
『ということは堕天使になったのは……』
 
「自己責任です。私は彼を止められなかった。サキュバスに犯されてからも。それからは拷問に近い日々でした。でも、彼女が死んでやっと落ち着いたと思ったら、今度は人間を襲い始めたのです。私は彼を止められなくて、堕天使になったんです」
 
ここまでプライドの高い女を初めて見た。堕天使になってからも彼女はずっと彼を守り続けていたのだ。
 
「もう……いいよ。翔子……いつか、こうなることはわかっていた」
 
「はじめ様!」
 
「私は自ら進んでサキュバスに仕えるようになったんだ。サキュバスに犯されてからも……ずっと彼女のことが好きだったんだ。私が死んだら……彼女はどうなるんだ?正直に教えてくれ」
 
『多分、別の主を探すことになるでしょうね』
 
「じゃあ、彼女のことをよろしく頼めるかな?」
 
そう言うと彼は「あははは……」と小さく笑う。
 
「ダメです!はじめ様!お願いです!栞様っ!彼は殺さないでください」
 
そう言って……泣きじゃくりながら、私の裾を引っ張りながら必死に懇願する。
 
「私が死んで……奈落に帰ったら彼女にも会える。彼女に会ったら、奈落で幸せに暮らすさ。だから、翔子は翔子の幸せを掴めばいいよ」
 
「私は……はじめ様じゃないとダメなんです。私……はじめ様のことが大好きです。はじめ様を失うなんて耐えられない」
 
「大丈夫。人は出会いと別れを繰り返しながら強く生きるんだ。君はきっといつもよりも強くなれるよ。翔子」
 
「でも……!」
 
そう言うと、私が彼女の肩を叩いた。
 
「翔子。彼は安心して逝きたいのよ。だから、見送ってあげなさい。それが彼にとっての幸せの道なのだから」
 
「し、栞様……!」
 
『覚悟はできているわね。最後に言い残すことは無い?』
 
「翔子……」
 
「何ですか?」
 
「私が死んでも悪魔だけは許すな。あいつらは狡猾過ぎるから。それともう一つ……」
 
彼は自分の中からペンダントを取り出した。
 
「これを……受け取ってほしい。だいぶ前に君からもらったものだ」
 
「……はい」
 
「それと、栞さんだったかな?」
 
『何ですか?』
 
「彼女のことをよろしく頼みます。堅物だけれど、根はいい人だから。それともう一つ……」
 
『えっ?』
 
「もう一つ……これは忠告なんだけれど、内閣特殊事案対策室が活発な動きを見せている……悪魔とガーディアンの両方の研究を行っているようだけれど、詳細は不明だ……」
 
『……忠告……感謝して享受しよう。奴らの好きにはさせないと誓う』
 
「じゃあ、もういいよ。さらばだ。翔子」
 
「はい。栞様……お願いします。彼を彼女の元へ送ってあげてください」
 
『わかっているわよ』
 
そう言うと、私は彼を一太刀浴びせた。それだけで彼は黒い灰になって消えていった。
 
『さて、帰りましょうか?』
 
「…………はいっ!」
 
彼女は後ろを振り返って、それから、元気よく返事をした。
 
『3』
 
『あら?あなた達……』
 
帰り道で出会ったのは……麻生唯と静香だった。
 
「あっ!栞さん……良かった……そちらの女性は?」
 
「は、初めまして……私は……」
 
『私の下僕よ。南翔子っていうの』
 
「えっ?」
 
『それより、あなた達は買い物の帰り?』
 
「いいえ。栞を待っていたのよ」
 
『私を?どうして?』
 
「あのあと……どうなったのか……それが知りたくて……それでその子なんだけれど」
 
『ええ。私の家で預かることにしたわ』
 
「えっ?堕天使なのに?」
 
『彼女は天使に戻ったわ。そして、これからも天使として過ごすつもりよ。ね?』
 
私がそう言うと、彼女は翼を広げて言う。白い翼が綺麗に舞う。
 
「はい。私はこの方と一生ついていくつもりです」
 
「一体……どういう魔法を使ったの?」
 
『それは企業秘密よ』
 
「……それで、サキュバスのほうは?」
 
麻生唯が聞いてきた。そちらのほうが気になるのだろう。
 
『ああ。簡単に殺してきたわ。多分、二度とここにくることは無いでしょうね』
 
「どうして?」
 
『さてね。そんな気がしただけよ。それじゃあ、行くわよ』
 
そう言うと、麻生唯の横をすり抜けて帰っていった。
 
『4』
 
『さて、今日のご褒美よ』
 
「でも、私……栞様の邪魔ばかりをして……それに……栞様を刺しました」
 
服を脱ぐのを惜しむ。
 
『あら?じゃあ、お仕置きのほうがいいかしら?』
 
「い、いえ。決してそのようなことは……!」
 
『わかっているわよ。でもね……』
 
そう言うと、私が彼女にキスをした。
 
「ちゅ……ああ……っ!」
 
彼女にディープキスをしながら、胸を揉む。
私は流れを使って彼女の性感帯を最大限まで高める。
そうすることによって、より快感が得られるのだ。
 
『私がしたいのよ』
 
「は、はい!私を犯してください……そして、彼のことを忘れさせてください」
 
『ええ。ゆっくりと楽しみましょう。今はまだ、昼だから』
 
胸を揉んで再開する。
実際、胸を揉んだだけで、彼女はイキそうになる。
それほど、強い快感が全身を駆け巡っているのだ。
 
「ああ……イッちゃう!イクうううううぅぅぅぅ――――――っ!!」
 
よほどの強い快感なのか、彼女はすぐにイッた。
 
「私……胸だけでイッちゃった……」
 
信じられないという顔する彼女。
でも、それはしょうがない。少し驚いたけれど、彼女はすぐに謝った。
 
「ご、ごめんなさい。私だけで気持ちよくなってしまいまして……その……」
 
『別にいいわよ。今日はあなたを気持ちよくさせるために色々と趣向を凝らしてきたんだから』
 
「趣向を……?」
 
私が用意したのは性に関する数々の道具だった。ローターやバイブ、鞭やロープまである。
 
「あの……もうちょっと普通のはないのでしょうか?」
 
『満足させられるかどうかはわからないけれど、多分、大丈夫です』
 
「いや……そういうことではなくて……あん……」
 
『つべこべ言わないの』
 
私がそう言うと、ロープで彼女を縛り、ローターとバイブを胸とあそこにつける。
しかし、ロープで縛っているときも彼女が嬌声を上げていた。
淫らに身体をくねらせて、気持ちよさそうにしている。
 
「ひぎぃ!痛いですっ!」
 
しかし、痛いとか言いながらも、それが快楽に変わると、身をよじりだした。
 
「ああ。でも、気持ちいい」
 
普通、痛いとかいう感覚は脳に伝わって初めて痛いと感じるのだ。けれど、その痛みを快楽に変えてそれが脳に伝わるようにしたのだ。
つまり、彼女の脳には快楽しか伝わらないようにしたのだ。
 
『足を広げて』
 
彼女が言うとおりに足を広げる。ヒクヒクと蠢いているのがわかる。
 
「し、栞様……私……もうイキそうです」
 
『ダメですよ。あなたにはもっと快楽を味わってもらいたいの』
 
「そ、そんなことを言われても……ああ。だめ……イッちゃう……」
 
どうやら、もう限界らしい。
 
「イクうううううぅぅぅ―――――っ!」
 
そう言うと、彼女は二回目にイッた。
 
『気持ちよかった?』
 
「はい……でも……すみません。私ばかりが気持ちよくなってしまって」
 
『私は気持ちよくなるのが嫌いだからね』
 
「えっ?」
 
『それにこの表情でしょう?私はどう表現したらいいのかわからないのよ』
 
「栞様?」
 
『だからね。今日はあなたが気持ちよくなってね。私の分まで……』
 
私は気持ちよくはなれないけれど、その分……あなたが気持ちよくなれることが、私にとっては……史上最高の喜びだから。
だから、気持ちよくなれるように私もがんばるからね。
 
「ああ……また……イッちゃう!」
 
『いいわよ。イキなさい!彼のことは忘れて……イッちゃいなさい!』
 
「あああああぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!」
 
私はあらゆる流れを司って彼女を気持ちよくさせることに成功したのである。
 
『5』
 
私は六回目でようやく彼女が気絶して、少しだけ一息ついた。
やっぱり、SEX自体は気持ちがいいとは知っていたけれど、見るだけと言うのもまたいいものだ。本当は人間用の拷問なのだけれど、今回は彼女を気持ちよくさせるために色んな工夫をしたのだ。
蝋燭攻めでも彼女の快楽をコントロールしてイカせたのだ。思えば一番、あれが彼女にとって快楽を得られたのだと思う。最後は潮を噴いていたし。
人間でも悪魔に崇拝している人もいる。魔術結社もそうなのだけれど、そうなると、どうしても必要になるのが拷問をして人間に悪魔の場所を吐かせるという方法なのである。
これなら、効率よく悪魔の場所を吐かせられて同時に人間の弱い部分を曝け出せるというものなのだ。
でも、今まで拷問用にと思って使っては来たけれど、彼女の快楽を得るために使うということは今まで一度も無かった。
そう。私は今まで誰かの快楽を得るためにこの能力や拷問器具を使ったことなど一度も無いのである。
私はため息を吐いた。そして、彼女を見る。彼女はすやすやと眠っていて、思わず笑みを浮かべたくなる。
と、そのときだった。ドアが開ける音がしてお姉ちゃんが入ってきた。
 
「なんや?私はお邪魔やったか?」
 
『いいえ。今……終わったところです。お姉ちゃんは夜勤ですか?』
 
「そうや。徹マンでなぁ。偉い疲れたわ。その子が天使か?」
 
彼女が肩を叩きながら、私の膝元で寝ている彼女を見ていた。
 
『ええ』
 
「よほど気持ちええかったんやなぁ」
 
『なんなら、お姉ちゃんにもしてあげましょうか?』
 
「いや、ええわ。あんまり気持ちよすぎて栞依存症になったら大変やからなぁ」
 
『そうですか……残念です』
 
私がそう言うと、彼女は急に真剣な顔をして言う。
 
「ところで栞……」
 
『何ですか?』
 
「良い知らせと悪い知らせ。どちらから先に訊きたい?」
 
『じゃあ、悪い知らせから』
 
「そうか……栞も知っておると思うけれど、もうすぐで復活するそうや」
 
『ヴェガと同等の力を持つ……悪魔の貴族級ですか?』
 
「そうや。それに伴い、天使も急に動き出したんや。これは偶然やと思う?」
 
『まさか……藍子がここに来たのは……』
 
「わからん。彼女を探すためやったんかも知れへんし、あるいはその両方やと思う」
 
『なるほど。天界はよほど漁夫の利を得ようとするのが好きらしいですね』
 
「そうやな。で。良い知らせと言うのは……私……本日付けで異動になったんや」
 
『配属先は?』
 
「心療内科や。元々、栞のために行きたかったところやさかい……ホンマによかったわ」
 
『……心療内科?』
 
お姉ちゃんの元々は小児科担当だったはず……にもかかわらず、心療内科に来た。それに私のためだと言った。
私のせいで……お姉ちゃんはまた、辛い選択をする羽目になるかもしれない。
 
『お姉ちゃん』
 
「なに?」
 
私は聞かずにはおれなかった。いいや、お姉ちゃんの真意を確かめたかっただけだ。
 
『お姉ちゃんは私のために辛い思いをするかもしれません。それでもいいのですか?』
 
「なんや?今頃……そんなん当然やん」
 
は?私はわけがわからなかった。
 
「私はな……平凡な人生を送るよりも死ぬほど……いや。一回死んだほうがええと思える人生を送ったほうがいいと思うんや。とはいえ、人生は一回こっきりや。その人生は楽しんだほうが良いやろ?だから、私は栞の親になることを決めたんよ」
 
そう言うと、私を抱きしめた。
 
『…………あっ……』
 
今頃……気づいた。お姉ちゃんの真意。お姉ちゃんは私のことを病気だとは思っていなかった。ただ、私と同じように歩いていきたかっただけなのだ。私の歩んだ人生を……そのまま歩いていきたかっただけなのだ。
 
「だからな。私はここで死んでも後悔はせぇへんで」
 
『私の奴隷は拒否するくせに……』
 
彼女を奴隷にする必要は無いのに言う。彼女はいつでも私の味方で居てくれる。
横に居て安心できる人。
それが私のお姉ちゃんである支倉みどりと言う人物なのだ。
 
「アホ……それとこれとは別や」
 
お姉ちゃんが私から離す。そういえば、もうすぐで夕方近く。ご飯の準備がまだだった。
 
『お姉ちゃん。ご飯にしますか?』
 
「うん。これからのんびりできそうやから、ゆっくりと料理してな」
 
『はい……』
 
しかし、邪悪が刻々と迫っていることに私たちは気づいていなかった。










     




















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