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【個人撮影】金貸しチンピラ二人組が美人妻を眠る子供の横でガチの輪姦レイプ中出し
私はこのままでいいなんて思っていない。
このままで人生を終わらすなんて嫌だ。
私は奈落から来た悪魔や地獄から来た奴等を全て殺す。
それは兄の願いだから。
大切な人の願いだから。
だから、私は戦い続ける。
だって、そうしないと私が何のために生まれてきたのかが分からないから。
『1』
ピンポーンという誰かが訪ねて来る音が聞こえてきた。時刻は昼過ぎだった。
「なんや?誰やろ?」
そう言って支倉みどりが近づいたドアに近づいた。
「なるほどな。あの子が警戒することだけはあるわなぁ」
そして、ドアを開けた。
「こんにちは。あ、あの……僕は……」
「知っとる。麻生唯君やろ?支倉みどりや。こうして、面と向かって話をするのは初めてやな」
そう言って手を出すと、彼と握手した。
「それで?栞さんは?」
「出掛けとる。まあ、立ち話もなんや。入ってな。茶でも出すわ」
「はい」
そう言うと彼が入る。
すると、彼がビックリしている。
「なんや?ボロアパートでビックリしたんか?」
「いいえ。普通の女の子の部屋に入るなんて、初めてだったから」
「なんや?ガーディアンの部屋にいつもお邪魔しとるんやないんか?っていうても、あっちは化け物やったなぁ。でも、あんたはそういうのはこだわらない人とちゃうんか?」
「いえ。ガーディアンの部屋はみんな殺風景で……こんな……ぬいぐるみとかは置いてなかったので」
なるほど。とみどりは思った。ガーディアンはみんな主のために尽くすのだ。だからこそ余計なものは要らないのだろう。
「んで?栞にあって何をする気やったんか?」
「昨日のお礼……ですけれど」
そう言って茶菓子を持ってきた。老舗の和菓子だった。
「嬉しいことを言ってくれるやないの」
「栞さんには昨日回復までしてもらったので」
栞だったら別に要らないとか言いそうだけど。彼女はありがたくもらっておく。
「で?あの子とは上手くやっているんか?」
「ええ。まあ……この写真は?」
唯の見た写真に写っていた人物は三人だった。一人は中央に写っている栞。もう一人が右に写っているみどりの姿だった。
どこかの公園から撮った写真のようだけど、もう一人の好青年がいたのだ。
「ああ。私のフィアンセや……」
「みどりさん結婚していたんですか?」
彼が驚きながら言う。
「そうやけど?私は二十五やし、栞も納得してたけどなぁ。やっぱり人を愛するのって難しいわ……なんや?その顔は?栞の過去を聞きたそうな顔やなぁ?」
「いいえ。僕は……別に……」
「別に話しても構へんで。栞からは止められてへんし」
そう言うと、彼は聞く体制に入った。みどりは茶を飲んで進める。
「私があの子に会ったのは十六のときや。つまり、九年前やな。あの子とは全然、口を利けないときやった」
そう言うと、彼女は話し始めた。悲しい悲しい男の物語だった。
『2』
私の両親が亡くなったのは私が物心をつく前だった。
駆け落ち同然の恋で、親類もいなかったから親の知り合いに預けられた。
どうやら、親の大学時代の後輩だったらしい。それが私の兄だった。
私が、気がつくとそこに当たり前のように兄がいた。
だけど、私はそのことも気にせずに生きてきた。時には悪魔を狩りに出掛けたり、時には兄の言うことを聞いたりしていた。
兄の話は面白かった。物理と数学の話だけだったけれど、流れを司る私にはとても興味を感じていた。
ある日のこと。兄がいつものように授業を行い、私に教えていたときのことだった。
「ここに入るのがxだとすると、yは二次元一次方程式で解くことができる。つまり、y=2x+2とy=3x+4となり、答えは……」
そう言うと、私は紙に書いて兄に見せた。
「ん?どうした?栞……?……っ!こ、これは……!」
そこに書いてあったのは完璧な計算式と答えだった。
「お前……どうやってこれを解いたんだ?」
まさか、三、四歳の子が解けるとは思っていなかったのだろう。しかし、私には前世の記憶からこういう計算は得意だったのだ。
私はダメだった?みたいな顔をしながら……でも、兄の言葉を待った。すると。
「す、すごいよ。栞……!お兄ちゃんが解けなかった問題がこれで解けるかもしれない」
それは地球から土星までの概算距離の問題だった。
その他にも三次元から四次元に変換する公式などを解いてあげた。
そんなことが続いたある日、私は兄に打ち明けた。
「ガーディアン?」
兄は私の話を親身になって聞いてくれた。
私の話を信じてくれた。私には主がいないことや主の命令があっても自分の意思で行動することができる。正規のガーディアンは絶対に服従など。細かいことまで教えた。
もちろん、悪魔を狩ることや悪魔がいるということまで教えた。
しばらくして、兄は言った。
「じゃあ、栞は廃棄ナンバーで……他にも十二人の正規ナンバーがいるんだね?」
『……信じてくれる?』
私は言葉を流れに乗せてを使い、兄と会話をしていた。
「信じるさ。かわいい妹を兄が信じなくてどうする?っていうか目の前で力を見せられて信じないほうがおかしいよ」
嬉しかった。数千年の時を経てやっと出会えた……。
私は一人だった。悪魔と戦うときもいつも一人だった。孤独に苛まれ、それでも悪魔を狩っていた。時には話をしたこともあったけれど。でも、化け物呼ばわりをされてしまった。
でも、今は違う。兄が一緒にいる。兄が私を支えてくれる。
それが私にとっては喜びだった。
でも、それが間違いだった。
兄には婚約者がいたのだった。
私がみどりさんに会ったときはまだ、四つか五つのころだった。
つまり、ガーディアンのことを話してまだ間もないころのことだった。
兄が紹介してくれた。
「栞。こっちが支倉みどり。みどり。こっちが栞だよ。しばらく一緒に暮らすことになるからね」
私は彼女の顔を見た。なるほど。兄が婚約者を選ぶだけのことはある。婚約者とは言っても親が決めたことだから。とは言っていたけれど。兄がものすごい好きそうな人だった。
「ほ〜。可愛らしい妹さんやなぁ。この子ほんまにあんたの妹?」
「いや。血は繋がっていないけど?僕の大学の先輩の娘。僕も結構、世話になってて……ほら……みどりも知っているだろう?小松先輩……。その子の娘さん」
「へ〜。小松先輩って結構有名な人やろ?何度も論文を発表して世間を驚かせている」
「ああ。そうだよ。栞もそこら辺は親に似ててさ。結構な難題も解いているんだよ?」
「えっ!?この子が?」
そう言うと私の顔をまじまじと見つめる。私は慌ててお兄ちゃんの後ろに隠れた。
『お兄ちゃん……』
私は兄にだけ聞こえるように配慮して裾を引っ張った。しかし、兄は私には介さずに話を続けていた。
思えば、このときからかもしれない。兄に余裕がなくなってきたのに気づいたのは。
『3』
今思えば、あのときの栞は本当に誰も喋らなかった。実の兄にでさえ、心を閉ざしてしまったと思い込んでしまったんや。
でも、栞はほんまに優しくてええ子やったんや。
私が本格的に高校で医者を目指そうと思ったんも栞のおかげなんや。きっかけは……ある冬の日だった。この日、彼は大学の講義に出てて、私と栞の二人だけだった。
栞と私とでテレビを見ているときだった。
「栞……こんなものが面白いんか?」
しかし、栞は頷くか首を振るだけだった。栞が見ていたものは大人なら誰でも好きそうな恋愛ドラマだったけど、子供が好きそうなものやない。むしろ、子供が見てもつまらないだけのドラマだった。
しかし、彼女は頷いた。
「栞……理解してるんか?」
彼女は頷いた。相変わらず表情が読めないけど、でも、それも明らかになってきた。
例えば、怒っているときは少しだけすましていて、落ち込んでいるときは申し訳なさそうに俯いている。
「ほお?栞は大人なんやね」
その言葉に栞は後ろを振り向いた。そして、考え込む。
「そうや。栞はどうせ喋らへんのやろ」
すると、私はどこからかノートを取り出して彼女に渡した。
「はい。これ……重要なことや大事なことはここに書いてや。そうすればもっとコミュニケーションとかが取れるやろ?」
彼女が頷いて、それを大事そうに抱きしめる。そして、何事かと思うとそれに書き始めた。
『お兄ちゃんのことは大好きですか?』
いきなり直球過ぎる問題だった。しかも字が達筆すぎる。
そういえば彼女は恋愛ドラマを見ている最中だった。
私は少し慌てながら、言う。
「いや、それはな……なんていったらええんやろ?」
何故か顔が赤くなってしまう。
『私はお兄ちゃんのことが大好きです。だから、お兄ちゃんの言うことは何でも従います』
「ええっ?」
おいおい。いきなりなんてことを教えるんや?あの男は?まさか、幼女の彼女に変なことを教えてはいないやろな?
変なことを吹き込んでいなければいいけど。っていうか、小学生にも満たない子が書いていい言葉じゃない。
なんとか、話題をそらすことにする。
「そ、それより、栞……どうして喋りたくないんや?喋ろうと思えばいくらでも喋られるんやろ?」
私は前々から聞きたかったことを口にした。
すると、彼女は再び何かを書いた。
『喋ると感情を出してしまうから』
「えっ?」
『感情を出すと良くない』
わけが分からなかった。というより、小学生にも満たない子供が書いていい言葉じゃなかった。
普通の子供は感情が豊かだ。それによって友達も増えたりできるし、何よりも喜びを分かち合えるのに。それを良くないと彼女は言う。
それほど、彼女は異質だった。でも、だからこそ。私は言う。
「それで本当に楽しいの?」
『楽しくはないけれど。でも、私が笑ったりはできないから』
いつの間にか、目的と手段が入れ替わっただけかもしれない。でも、私は言う。
「じゃあ。わかった。私が医者になってあんたを救ってあげるわ」
すると、彼女は初めて驚いている顔を見せた。
でも、それは彼女が優しいだけだったということ。
私が気づいたのはずっと後のことだった。
『4』
私の力が安定してきた。どうも、幼い姿をしていると力が安定しないのだ。
お姉ちゃんはあれから猛勉強をしだしたので、邪魔をしないようにしている。
安定をしてきたというが、それでもまだまだだ。私の意識の大半は自分の集中に力を注いでいた。
ある程度、集束して放つ集束砲は中々いいが、弱点は隙が多すぎる点だった。
これでもかなり抑えているのに発動までに十秒近くかかってしまった。それに消費も激しい。
そして、三年後。
今日も私は悪魔を狩っていた。
何故か最近、ボーっとしていることが多くなってきている。
それもそうだ。あんなことを言われたのだ。お姉ちゃんが何を考えているのかが私にはわからなかったのだ。
それでも悪魔には手を抜かない。
「ギャア!」
「グエッ!」
悪魔の断末魔を聞きながら、私は悪魔を次々と奈落へと追い返す。
ある者は顔をひしゃげて黒い灰になったり、またある者は首を斬りおとされて灰になったりしている。
かなり、殺したというのに……まだ、残っている。
『しょうがない』
私は新技を試すことにした。この技、威力は弱いけれど突進力がある中々の技だ。
技……というより術に近いかもしれない。
しかし、それでも悪魔には効果覿面だった。
『ただいま』
私が帰ってくると、すでにお兄ちゃんとお姉ちゃんが帰ってきていた。
「おかえり」
お兄ちゃんが挨拶を交わしてくる。
『お姉ちゃんは?』
「お風呂に入っているよ」
『お兄ちゃん』
私がうつむいていることに察したのだろう。
「……どうした?」
『お姉ちゃんのこと……好きですか?』
「……どうした?珍しい」
本当に……いったいどうしたのだろう。でも、聞かずにはおれなかった。
『お姉ちゃんのこと……どう思っているのですか?』
「……そうだね。好きだよ。今の栞と同じくらい」
『……っ!』
やっぱり、私が一番じゃないんだ。そう思ったら少しだけショックだった。
「ああ。いい湯だった。栞も帰ってきとったんか?お帰り〜。ん?どうしたん?」
私は鉛筆とノートでなんでもないです。と書くと、風呂に入る。
風呂に入っている間に考えた。
いつまでもここに残っているわけにはいかない。ここにいる限り、お兄ちゃんやお姉ちゃんにも迷惑がかかってしまう。
そう。私は家出をする決意をしていたのだ。決意をしたのは三日前。お兄ちゃんとお姉ちゃんがSEXをしているのをみていたのを思い出す。
「あ……ん……修太……」
私は彼女たちが私が寝ていると勘違いをしているのだ。だから、音を立てないようにそっと覗くと、彼女たちがキスをしていた。
どうやら、二人とも初体験だったようなので……私はそばで見ていた。
「あ……修太……」
「すごいよ。好きだよ」
お姉ちゃんの胸をお兄ちゃんが服越しに掴んで揉む。それだけでお姉ちゃんが喘ぎ声を上げる。
「あ……ああん……」
お姉ちゃんが上着を脱いでブラジャーが姿を見せる。その上からも揉んでおねえちゃんも気持ちよさそうだった。
そして、お姉ちゃんはブラジャーを脱ぎ捨てた。
彼女の胸が露になる。そしてそれを揉み終わると、お兄ちゃんが下になってお姉ちゃんが上に跨る。
「ん……ちゅ……んぁ……はぁ……」
今度はお姉ちゃんがお兄ちゃんのチ○ポをしゃぶっていた。そして、お兄ちゃんはお姉ちゃんの下着越しにオマ○コを触っていた。
フェラチオ行為に次第に高まっていく二人。
「ああ……修太……きて……」
四つんばいになって、お姉ちゃんが服を全部脱ぐ。彼が彼女のアソコに突き刺した。彼女は処女だったために血が出ていた。
痛くは無いのかな?そう思ったけれど。
「ああ……っ!気持ちイイよぉ!」
「ああ。俺も気持ちいいよ。動いていい?」
なんて、すごいんだろう。これが……SEX。私も初めて見た。
今まではくだらない行為だと思っていた。
でも、二人ともすごい気持ちよさそうだった。
「ああ……イクッ!イッちゃう!」
「俺も……イキそうだよ」
「大好きだよ……修太!」
「ああ……俺も好きだ……みどり!」
「ああ……イッちゃう……あああああああああああああぁあぁぁぁぁ―――――っ!!」
私はその行為を思い出して……オナニーをし始めた。
今なら誰にも見られない。
お兄ちゃんもお姉ちゃんも気持ちよかった。私も気持ちよくなりたかった。
でも、気持ちよくなるばかりか……とても痛かった。その行為をやめてしまった。
いや、体が痛いんじゃなくて。
心が痛かった。
お兄ちゃんがとられたと思って。
とても痛かった。
とても……本当に逃げ出したいくらいの……。
私は怖かった。死んでも転生されて終わりの無い戦いをされて、とても怖かった。
でも、お兄ちゃんがいるから頑張れた。そう思っていた。
でも今は違う。私はまた、独りになってしまった。孤独に悪魔を狩っていくことになってしまった。
一人でいることがとても怖い。
でも、戻れない。
「ありがとう。お兄ちゃん。お姉ちゃん」
私は生の声で二人に別れを告げて暗闇の中を歩いていったのだった。
『5』
私は止められなかったんや。いつか、あの子を選んでしまうんやないかと思ってしもうてな。三年間住んでて、よく分かってたけど。それでも、人を愛するのって難しいんやなぁ。と思ってしまったわ。
「それで?」
唯が私に聞いた。
「栞が家出したんや」
私が淡々と答える。
「えっ?」
「思えば、もう少しだけ気づいてやればよかったかもしれん。栞が覗き見してても、あれは大人の社交辞令やと思ってくれたのかもと思っていたのが間違いだったわ。大好きなお兄ちゃんを取られたんや。そりゃあショックがでかいわな。でも、それだけじゃなかった」
「栞さんが……優しすぎるからって。まさか!」
「栞は当時、でかい奴を狙ってたんや。奈落の悪魔の中でも貴族級の奴をな……」
バン!とお茶が割れそうなほど強くたたく。
「それってザウラスよりも強いんですか?」
「フン……ザウラスなんて赤子よ。そいつの名前はヴェガって言って奈落のプリンスと呼ばれた人だった。もちろん、栞も迎え撃ったけれど当時のヴェガは奈落のプリンス。付き従うやつらはたくさんいたのよ。闇の帝王とも呼ばれていたわね。当然、力も当時の栞よりも強かった。その栞がよ。世界のためにとか思って戦うと思う?当然、私たちの赤子の心配に決まってるじゃない!あの子は未来の私たちの子供を託すために……一人で戦っていたのよ!」
私は首を振りながら泣いていた。みっともないなと思い、拭う。
「私は探し回ったけど、当然見つからなかった。当然よね。彼女は戦い続けていたんだから。でも、そんなこんなで三年が経ったころだった。写真でみた子供を見たという人物がいたのよ。その子は私の友達で……ふと、落としちゃったのよ。あの子の写真を……そして、友達が実家に帰ったときに見たというのよ。その子の特徴で間違いないというのよ」
『6』
私は悪魔を殺しながら必死に闇の帝王を探していた。上級悪魔を殺しながら。お兄ちゃんに買ってもらった服をボロボロにしながら、それでも必死に探していた。
でも、三年かけても見つからなかった。でも、そのとき、有力な情報を掴んだのだ。
それは石川県の金沢市にそれと同じ奴を見たという情報だった。
私が三年かけて、ようやくたどり着いた。
ここに闇の帝王……ヴェガがいる。確かにいる感じだった。繁華街にもかかわらず、人が少ない。
金沢で有名なのは兼六園だった。
私はコンビニでタコスを買いながら、悪魔を狩っていく。そして兼六園を目指したとき、異変が起こった。
私はお姉ちゃんとお兄ちゃんの姿を見たのだった。
どうして?お兄ちゃんとお姉ちゃんがこんなところに?
いや、わかっているはずだった。お兄ちゃんとお姉ちゃんは自力で私を探しに来たのだ。たった一つの手がかりを元に地道な努力を重ねながら。ここにまで来てしまったのだ。
でも、どうようもなかった。
いまさら、出て行ってもヴェガを殺さない限り、お姉ちゃんたちに平穏は訪れない。
頼むから、早く帰って。そう願ったとき、最悪の展開が訪れた。
三日目の朝。いつものように、片町でお姉ちゃんたちが私を探し回ったとき、ヴェガが現れたのだ。銀髪にすらっとした体格。そして、圧倒的な魔力。私は緊張する。
どうする?ひょっとしたら、悪魔の噂で私のことが知られているのかもしれない。
そうなったら……最悪だ。お姉ちゃんたちにも危険が及んでしまう。
くそっ!やはり、私は怖いのだ。失うのがとても怖い。
「すいません。妹を探しているんですけれど。知りませんか?」
相変わらず、強い魔力を持っている。
彼女たちはいつもと同じようにチラシを配っている。
きっと、今日も警察を頼らず自分たちで探し続けているのだろう。
そんな彼女たちのことを私は好きになってしまったのだ。だから、私は呼吸を落ち着ける。奴が隙を見せる一瞬がある。そこを狙うしかない。奴がチラシを受け取る瞬間。
私は走った。奴との距離は三メートル弱。それを一瞬に縮めるかのような動きだった。
そして、右拳を突き出す。
だけど、しかし、寸前で……左手で止められてしまった。
「フム……気配を殺しながら、私に近づくとは驚嘆に値する。だが、意味が無いな」
すると、奴は私を左手で投げた。私は窓ガラスを突き破って、後ろの壁まで破壊された。
見切られていた。私は何とか、体勢を直すと同時に治癒を施す。血液の流れを循環にして体の血の巡りをよくする。
「し、栞……?」
お姉ちゃんが近づくと。私は声に流れを乗せて、言う。
『は、早く逃げて……』
「えっ?」
『私が引き付けている間に……!早く逃げてぇ!!』
叫んでから、私が奴に向かう。
しかし、私の攻撃はとことん奴に見切られて、私は吹き飛ばされた。
壁が破壊され、そのたびに私が呻く。
つ、強い。
これが……私と奴との差。私が上級悪魔と比較しても強かったのに。
それでも奴には敵わない。
私はこれまで幾度と無く悪魔と戦ってきた。その経験地は生かされないのか?
「思い出した。貴様は確か、前に殺したガーディアンにそっくりだな。なるほど……」
どうやら、正規のガーディアンも殺したことがあるらしい。
私は血を吐きながら、そんなことを思った。
でも、私は立ち上がる。
「し、栞……!」
お姉ちゃんが近づくけれど。
『こ、来ないで!』
私は拒んだ。
「……っ!」
お姉ちゃんが立ち止まる。
『お願いだから……それ以上近づかないで』
「嫌や!」
『えっ?』
「どうして、一人で無理しようとするん?どうして一人で戦ってるん?わからんよ!」
説明している暇は無い。
お兄ちゃんがいないけれど、そういえばさっきもいなかった。きっと、どこかで私を探し続けているのだろう。
だけど、お姉ちゃんは私を探しに来た理由は分かっている。お姉ちゃんは今でもあのときの優しいお姉ちゃんなのだ。
「なぁ。どうしてなん?」
『あなたに説明する気は無いわ。さっさと帰って!』
私は奴に向かう。だけど、吹き飛ばされた。でも、一つの巧妙が見えた。
これで、終わらせられる。
私はエネルギーをためる。
「フム……何をする気かは知らんが……っ!?」
『これでも喰らいなさい!』
私は突進術の術を使った。三年前に開発したあれで敵を消滅させるのである。
「フム……少々厄介そうだ。だが」
『えっ?』
「反射だよ。誰に当たるかは……分かってるね」
奴がニヤリと笑う。まるで、人を根底から見下している眼だ。
……まさか。そんな!私は後ろを見た。そこにはお姉ちゃんがいる。
私はお姉ちゃんをかばう為に走った。
そんなの嫌だ。現世で出会った大切な人を失うのはたくさんだ。
お姉ちゃんを守るために走る。私が死んでもいいから。私からお姉ちゃんに近づく。
『お姉ちゃん!』
「えっ?」
私はお姉ちゃんを無理やり押し倒して、何とか避けることに成功した。
だけど、その代償は大きかった。
お姉ちゃんが起きて。私の体を確認した。
「そ、そんな……栞……!栞ぃ――――っ!!」
私の左腕は消滅して無くなっていた。
おそらく、彼女を押し倒したときに左腕がかすったのだろう。
でも、これで勝機はゼロに等しくなっていた。
『お姉ちゃん……』
「……うう……うぅ〜」
泣かないでと頭を撫でたかったけれど。それもできなかった。
『ごめん。お姉ちゃん……』
「えっ?」
『逃げるよ!』
そう言うと行動は早かった。私は残った右腕でお姉ちゃんを抱えて上空に高く飛翔した。
そのまま流れに乗って、乱気流に乗っかって家に戻る。
だけど、左腕を失ったせいで集中できない。
そのまま、群馬県と埼玉県の県境あたりで失速して落ちていった。
しかし、直撃を避けるために私は敢えて落下直前まで力を使わなかった。そして、地面スレスレで最後の力を使った。
何とか、できたけれど。二度と使いたくなかった。
「し、栞……ここは?」
『群馬県と埼玉県の県境です。私が力を使って、お姉ちゃんを運びました』
「ち、力ってなんや?なんか、夢でも見てるみたいやわ」
どうするか。迷ってしまった。
これを話してもいいのか。
余計なことをお姉ちゃんも巻き込みたくなかった。
お姉ちゃんは大切な家族。
でも、悠長に話している時間は無かった。
もうすぐ、ここも戦場になる。
しかし、そのとき……お姉ちゃんが言った。
「栞……」
『何ですか?』
「無事でよかった……本当に……無事でよかった」
そう言うとお姉ちゃんが泣いた。
『お姉ちゃん……っ!』
「どうしたんや?」
『上級悪魔が来ます。お姉ちゃんは逃げてください』
「それってさっきと同じ人が栞を襲ってくるの?嫌よ。私はな!栞を失いたくないんや!!……どうして、言うことを聞いてくれへんの?お姉ちゃんの言うことを……」
私は……泣きじゃくるお姉ちゃんをどうしようもできなかった。
でも、お姉ちゃんは私の裾を離そうとはしなかった。
それはまるで、お姉ちゃんが私から離れたくない子供の様に。
大切な絆との繋がりを断ち切らないように。
私は怖い。
それはいつしか、能力を使うことが怖いんじゃなくて。
大切な人が泣くことが怖いと感じてしまった。
お姉ちゃんに泣いて欲しくなかった。
『お姉ちゃん……』
私は極力明るく接することにした。
「えっ?」
『私は……これまで人と接することを拒んできました。でも、今は人と接したいと考えています。大切な人を守りたい。その考えは今も変わりません』
あとでお姉ちゃんに聞いた話だが、このとき、確かに私は微笑んでいたのだった。
『7』
ホンマに写メールでとって保存しておきたいような栞の笑顔やったわ。
栞のほうが怖くて震えそうなほど怖いくせに。
大人の私が震えてるなんて、おかしくていやな話だけど。
いや、私も怖かったんや。
栞を失うのが怖い。
でも、栞は左手を失っても叫び声一つあげんかった。だからこそ、思ったんや。栞はなんて強い子なんだろうと。
これだけボロボロになりながら、たった一人で戦っとったんや。
だから、私は信じるしかなかったんや。
栞が無事に帰ってくることを。それだけを信じるしかなかったんや。
『8』
お姉ちゃんと別れてから、12時間ぐらいが経過していた。
辺りはすっかり、闇に包まれて静寂が包まれようとしていた。
そう。私がいるところ以外は。
辺りで爆発音が響き渡り、そのたびに小鳥たちが飛ぶ立つ。
上級悪魔に私は翻弄され始めていた。圧倒的な数に私はなす術が無かった。
私の新術は発動するまでに時間がかかるし、肉弾戦で戦うしかなかった。
私が降り立ったのは山の中腹だったので、ここならほかの人に迷惑がかからない。
「ええい。何をしておる!?相手は子供。幼子ではないか。何を恐れる必要があるのだ?」
私は息を整えるけれど、その息も上がってきている。
いくら、私の力が安定したとは言ってもその力を行使し続ければ息も上がって当然だった。
お姉ちゃんは無事に逃げられたかな?でも、私は逃げられそうも無かった。
後先考えずに、突っ走るのはガーディアンと同じというわけか。私は苦汁を噛み砕いたような顔をした。
体中は痛いし、左腕は無くなったままだ。
でも、それでも私は立ち上がる。
左手がなくなっても、右手がある。両腕がなくなっても、両足がある。
粉骨砕身。たとえ身が砕けても、たとえ骨が折れても……私は敵を殺し続ける。
私はもう、声を流れに乗せることもできなくなってしまった。
左腕からは血が噴出し、私は倒れそうになる。だけど、必死にこらえて何とか意識を保つ。
私は敵の攻撃によって鉄塔にまで吹き飛ばされた。何回も転がりながら、鉄塔にぶつかって何とかとまった。でも、その鉄塔もひしゃげてしまい、私はもう立てなかった。右手の指が動かない。
でも、立たなくちゃ。
「くそっ!てこずらせやがって」
もう戻れなくてもいい。このまま悪魔に好きにさせたくは無かった。
お姉ちゃん。お兄ちゃん。
私は……今…………正しくいられていますか?
「ば、馬鹿な……!不死身か?」
奴がタバコを落とす。私が左腕を失い、右足を引きずりながらそれでも立ち上がったからだ。
「どうやら、八つ裂きにしないときがすまないらしいな」
奴の爪が伸びる。おそらく硬質化している。
でも、指は全然動かないし、立っただけだった。
「死ねぇ!」
そう言って奴の爪が私の身体に目掛けて切り裂くはずだった。
しかし、私は確かに聞いていた。
かすかに聞こえる。私を呼ぶ声が。
「栞〜!」
バイク音を響かせながら現れたのは……お兄ちゃんだった。
「な、何者だ?」
「栞!よかった!間に合って」
『お…………お兄……ちゃん……どうして?』
どうして、ここだと分かったのか?どうして助けにきたのか?
そのどちらも含めた。どうして……だ。
しかし、それでもお兄ちゃんは私を抱きしめた。
「みどりから聞いたよ。お前がここで戦っているということも……ごめんな。遅くなってしまった」
お姉ちゃんが?あれほどここから去れと言ったのに……彼女はここから、電車で石川県まで戻ってお兄ちゃんに言って、ここに戻ってきたのだ。
「殺せ!」
しかし、そのとき、悪魔がやってきた。
『……っ!』
くそっ!状況はなんら変わっていなかった。けれど、お兄ちゃんが言う。
「大丈夫だよ。栞……」
『…………えっ?』
「お兄ちゃんが……何の考えもなしにここまで来ると思うかい?」
そう言うとお兄ちゃんはライターに火をつけた。そして、それを後ろに投げた。
ま、まさか。私は理解してしまった。
お兄ちゃんがバイクをここまで走らせてきたことや、その全てを理解してしまった。
お兄ちゃんは私を連れてすぐにここから離れる。
しかし、追っ手が来る。私がするべきことはわかっていた。
火をつけたライターはバイクにぶつかって、大爆発を引き起こしたのだった。
あれだけあった。悪魔が随分と少なくなったように見える。
「栞……どこも怪我はないか?って言っても左腕が無いんじゃあ……怪我はあるよね?」
『うん。でも平気だよ。でも二度とこんな無茶はしないで』
「わかってるよ。お兄ちゃんも二度としたくは無いからね」
「修太!栞っ!大丈夫?」
私は左腕を失って、まだ敵も生きてる。大丈夫とはいえなかった。
「ああ、大丈夫だよ」
「栞は?」
私は何も言わない。
「あれ?おかしいな。栞……声を聞こえたような気がしたんだけど」
「気のせいだろ?帰ろうぜ」
『ありがとう。お兄ちゃん』
お姉ちゃんには話したくはなかった。
いや、話をしてもよかったんだけれど。でも、言うと……何故か、お姉ちゃんにも危険が及びそうな感じがして言えなかった。
「ああ、そうだった。草太にご飯を上げないとね」
『草太?』
「ああ、お兄ちゃんとお姉ちゃんの間にできた子供だよ。男の子なら草太、女の子なら美和子にしようと思っていたんだ。で。二年前に出産したというわけだよ。栞はおばちゃんになってしまうけど」
『お、おばちゃん?』
いや、それは間違いではないけれど。それでも小学○年生ですでにおばちゃん呼ばわりされると少しショックだった。
私は草太の傍まで行って抱いてもいい?と眼で訴えてみる。すると。
「抱きたいの?」
私が頷く。私は抱かせてもらったけれど。まだ、軽かった。
でも、この子が大きくなると思うと、胸が弾んでくる。
私はお兄ちゃんとお姉ちゃんといつまでも暮らすだろう。
だけど、そのときが近づいていることに。
私は気がつかなかった。
『???』
「ふむ……中々しぶとい」
そこは小さなオフィスのようなところだった。
円卓に六人が囲んでいる。
そこで彼等は日々を過ごしている。
ある者は麻薬を集めたり、またあるものは拳銃を集めたり。
つまるところ、ここは悪魔の巣窟だった。
「じゃあ、どうする気だ?」
そこに映し出されたのは栞だった。
「放って置いてもよさそうだが、そういうわけにも行くまいな。まだ赤子だが、あの力は危険すぎる」
「……燻りだすしか方法は無かろうて」
「ヴェガ様はなんて仰っている?」
「捨て置くなと言われている。多分、まだかなりの力があるのだろう」
「そうだな。全てはヴェガ様のために」
一人が言うと。結論は達したようだ。
「全てはヴェガ様のために」
みんなが言うと一人ずつ順番に退室していった。
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