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キーンコーンカーンコーン

 終業のチャイムが鳴り響き、校舎全体が生徒の声や椅子を動かす音でざわめく。長い授業を終え、待ち望んだ放課後へとなったのだから騒がしいのも無理はない。
区立安達中学校。数年前に高層ビルの影響で、区へ若い夫婦の流入が増えたことにより新設された学校だ。新しいことを除けば、何処にでもあるごくごく普通の学校でもある。

「麻生、今日は空いてるか?」

 かばんに教科書を詰めていた唯に友人の山田竜太が声をかける。

「たまにはゲーセン寄っていこうぜ。新しいカードゲーム出たぜ」

 同じく悪友の菊池慎吾が唯の席へとやってくる。中学に入り、竜太、慎吾の二人と知り合った唯は、特に親しい友人としてグループを組んでいた。

「やっぱりまだ引越しの整理中なの?」

 田中可奈も唯に話しかけ、彼女の親友である新田このえも後ろからついてくる。二人は女子だが、可奈が竜太の幼馴染である縁から三人と一緒に行動することが多い。
 竜太の誘いに唯はうーんと唸る。

「いや、引越しは済んでるんだけど」
「じゃあ、いいだろう」

 竜太が唯の袖口をくいくいと引っ張る。

「でもなぁ……」
「何か都合が悪いの?」
「いや、特に用があるわけじゃないんだけど」

 可奈の質問にも唯はイマイチ歯切れが悪い。まだ自分の従者たる多数の女性との生活に唯は慣れていない。それもあって、最近は友人より彼女達を優先している。

「わかった。じゃあ五時半くらいまで」
「何だ。まるで小学生だな」
「夕飯に間に合わせたいんだよ」

 慎吾の呆れたような声に唯はかばんを持ち上げながら答える。唯としては、自分の食事の支度のためにいつも慌しく帰ってくる由佳を待たせたくはなかった。
 五人は連れ立って自分達の教室から出て行く。早くも部活や帰宅に向かったのか、廊下は生徒数もまばらになっている。階段を下りながら可奈が唯に話しかける。

「そういえば同居生活はどうなの? やっぱり大変?」
「うーん、良くしてもらってるんだけど……多少申し訳ないかな?」
「生活を援助して貰ってるんだしね。やっぱり気は使うよね」

 このえの言葉に残りの三人が納得する。唯の友人達は彼の家庭環境は知っている。援助者が現れ、同居することになったと聞いたときは全員喜んだものだ。

「そういえば一緒に生活してる人ってどんな人なの?」
「前にも言った通り、その家を提供してくれたのは会社の社長なんだけど……」

 校舎の入り口に差し掛かり、下駄箱で可奈が再び疑問を投げかける。

「その人の同僚……っていうか友達に近いかな。そういう人も一緒に住んでるから」
「じゃあますます肩が凝るわよね」

 可奈は一人で納得して、うんうんと頷いている。それを見て唯は苦笑するが、何も言わない。肩が凝るどころか、隅にも置かない扱いと楽しい夜の生活に、唯は充分満足しているのだ。
可奈の言葉に竜太も勝手に唯に同情する。

「そうだな、やっぱりプライバシーの危機だよな」
「竜太……あんた、また良からぬ考えしてない?」
「いや、一人じゃないと男は色々不都合があるのさ」
「あのね、麻生君がそんなことするわけないでしょ」
「いやいや、麻生だってオナニーぐらい……うごっ」
「そうそう、男なら誰でも……ぐはっ」

 可奈は容赦なく竜太と慎吾にかばんを脳天に叩きつけた。教科書満載のかばんによる突っ込みに二人は悶絶して頭を押さえる。

「いってー、何するんだよ」
「うら若き乙女の前でオナニーなんて言わないでよ」
「可奈だってするだろ……」
「ほう、今度は頭をかち割られたい?」
「待て、待て、それ以上叩かれたら脳みそ出ちゃうって」

 二人のやり取りに唯とこのえはくすくす笑ってしまう。このコンビのボケと突っ込みはいつものことで、夫婦漫才と一部では呼ばれている。

「ん、あれ何だ?」

 慎吾の言葉に他の四人が目をやると、校舎の前で人だかりがしている。見れば運動部の人間も何人か集まっている。何かを遠巻きに見ているようだ。

「うおっ、これは」
「な、何とー」

 つま先立ちになった竜太と慎吾が嬉しそうな叫びをあげる。
 同じように首を伸ばしてその人物を見たときに唯はかなり驚いた。そこに居たのはバイクスーツ姿でバイクに寄り掛かる京がいた。ヘルメットを弄りながら、 退屈そうに黒いバイクにもたれているのは一枚の絵のように、さまになっている。好奇の目で見ている中学生達のギャラリーができているというのに、全然気に もしていない。おまけに蒸れるのが嫌なのか暑いのか、バイクスーツの前のジッパーを下げており、へそまではっきり見えている。爆乳と言える胸の谷間がスー ツの間からはっきりと目に入る。

「す、凄い」
「何処かのモデルさん?」

 グラマラスな美女の姿に女の可奈とこのえも感嘆の声をあげる。もちろん中学生らしい旺盛な性欲がある竜太と慎吾は食いつくように見ている。

「ああ、ラッキー。今日は何ていい日なんだ」
「ああ、俺生まれてきて良かったよ」
「あんた達、いつもそれよね」

 うっとりと見ている二人に、可奈は軽くため息を吐く。
 親友たちの様相とは余所に、唯は思わずあちゃーと額に手をやる。先日、京には自分の通っている中学をぽつりと漏らしたのだが、まさかいきなり学校へとやって来るとは思ってもいなかった。だが間違いなく自分に用事だろうというのがわかる。
 仕方ないと覚悟して生徒の間を抜け、唯は道路の反対側にいる京の元へと歩き出す。

「お、おい。麻生」

 竜太が制止するが、唯はあえてそれを無視する。唯がやって来るのを見ると京は思わず嬉しそうな顔をするが、すぐにそれを押し殺して視線を一旦逸らす。そしてクールな表情に戻って改めて唯と対峙する。

「唯さ……唯、待っていたわよ」
「学校に来るっていうのは何か急用?」
「いや、単に迎えに来ただけよ。迷惑だった?」
「ううん、そんなこと無いけど……」

 生徒達の視線を背中にひしひしと感じる。クラスメートも居ることだし、間違いなく明日には広まっていることだろう。
 唯を追って四人も近くに寄ってくる。

「おい、麻生。その人と知り合いか」
「う、うん。同居してる人の一人なんだけど……」

 親友に説明しつつも、何となく唯は気まずい。悪いことはしてないのだが、京との関係を知られるのは非常にまずかった。明日は間違いなく質問攻めにあうだろうことを考えると、唯は今から気が重い。
 そんな唯の心情とは別に、親友たちは目の前の美女に釘付けだ。

「そうなのか……は、初めまして」
「こ、こんにちは」

 四人は京の美貌に圧倒されているのか、ぎこちなくぺこりと挨拶する。

「九竜京よ。よろしく」

 ぶっきらぼうながらも、京は返事を返す。それがまたクールな美貌に良く似合っている。控えめながら竜太はちらちらと、慎吾は食い入るように京の胸を見て いる。京は気にも留めないだろうが、親友達の行動に唯は頭が痛くなってくる。それを察してか、可奈が二人の尻をつねって自制させてくれた。
 京はスペアのヘルメットを唯に投げ、スーツのジッパーを首元に上げる。

「唯、行くわよ」
「うん。ごめん、みんな。ゲーセンはまた今度ね」

 フルフェイスのヘルメットのバイザーが京の美貌を隠す。バイクにまたがり、エンジンを始動させた京に続いて唯も後ろに座る。ぎこちなく唯は京の細いウェストに手を回し、京が軽くアクセルを吹かす。バイクは静かな重低音を響かせながらあっという間に去っていった。
 唯の友人たち四人は呆然としながらそれを見送るしかなかった。ちなみにその後、四人はファーストフード店に居座り、ゲーセンに行くことも忘れて京の正体について激論をかわしたのだった。







「いきなり京さんが来たんで、びっくりしちゃったよ」
「そう……迷惑だった?」

 地下駐車場にバイクを停め、二人はシートから降りる。初めて乗ったバイクに体が慣れていなかった唯は、降りるときに思わず少しよろけてしまう。

「いや、驚いただけ。でも本当に何で急に来たの? 何か頼みごと?」
「特に用事は無いわよ。暇だっただけ」
「暇って言っても……」

 一階から下りてきたエレベーターに乗りつつ唯が首を捻る。

「どのくらい僕のこと待ってた?」
「三十分くらいね。学校の終わる時間を知らなかったから」
「うーん、何か疑わしいな」

 ずずっと顔を近づけると、京は気まずそうに目を逸らす。頬がほんのりと赤くなっているのを見ると、図星なのだろう。
 エレベーターのパネルが最上階を示し、唯と京が開いたドアから歩み出る。唯はポケットからカードキーを取り出し、スリットに通す。

「それで、本当のとこはどうなんですか? 別にどんなことでも怒ったりは……むぐ」

 玄関のドアを開けると同時に京が唯に圧し掛かる。そのまま、京のキスが唯の唇を奪う。紫の口紅をつけた唇を押し付けられながら、唯は無理やり中へと押し込まれた。その背後で扉が閉まる。

「ん……んむ……んっ、あふ……」
「ん、んぐ……きょ、京さん! ど、どうしたんですか?」

 無我夢中で唇を吸ってきた京に唯は困惑したような声を出す。京は華奢な少年を押し倒し、顔中にキスしまくる。

「唯……実は我慢できなくなって」
「あ……そ、それで学校に?」

 既に京は彼女の希望で、唯を名前だけで呼ぶことにしている。その方が京の性にもあっていたからだ。

「唯のことを考えてたら、居ても立ってもいられなくて」

 ライダースーツのジッパーを下げ、スーツを横に開いて京は胸を露にする。巨大な胸はふるりと震えて外気に晒されるが、形崩れを一切起こさない。京はスーツの袖から腕を抜き、上半身裸になる。

「唯……しよう」
「え、えっと……ここはまずいよ。せめてベッドで」
「我慢できない……んっ」

 唯の唇に再び口づけして、京は彼の言葉を封じる。閉ざされていた唇を割り、熱い舌を口内へと差し込む。

「ん、んむっ!」
「ん……ん……はむ……んっ……んんっ」

 口へと侵入してきた舌は生き物のように口内を蹂躙する。舌を絡ませて吸い上げ、歯の裏を舐め上げる。感じたことのない感覚を与えられ、唯の体が強張った。だが、京の唇は吸い付いて離れない。生暖かい唾液を唇越しに送られ、唯はそれを飲み干していく。

「はぁ……唯の唇、美味しい……」
「きょ、京さん……」

 京のキスは甘美で、成熟した美女の甘さがあった。ここに来て唯の欲望にも火がつく。
 唯は京の下から手を伸ばし、彼女の大きくせり出している胸を鷲掴みにする。

「はん……唯ぃ……嬉しい……抱いて、あ、あん……ふあん」

 唯の手の平が胸の表面を優しく圧迫し、弱い力で乳房を揉む。乳首を手の平で圧迫して、硬くしていく。京の胸に柔らかな悦びが広がり、情欲を満たし始める。

「は、はん……いい……いいの……ふぁん……ひぎぃ、い、痛い!」

 突然、唯が力一杯胸を握りつぶす。指が胸に食い込み、その間から柔らかな脂肪が迫り出す。
唯はすぐに手の握力を緩めて赤く跡が残った京の乳房を撫でる。痛みで敏感になった肌がビリビリするような快感を得て、胸の奥がきゅっと掴まれるような感覚を覚える。

「京さん、綺麗だよ」
「あ、あはん……わ、私、それに弱い……い、言わないで」

 唯の言葉が胸の奥を満たし、京の体に染み込んでいく。優しく揉まれる京の胸が熱を帯び、膣の奥からとろりと愛液が垂れるのが自分でわかった。そんな彼女を現実に引き戻すように再び胸を強い力で握り潰される。

「ひああぁ、やっ、苛めないで! む、胸が……」
「好きだよ」
「ふあぁ、だ、駄目。そんな事言われたら私、あ、ああっ、あん」

 愛しい言葉と共に、再び優しい愛撫をされて京の心はメロメロに呆けてしまう。

「い、痛……ふ、ふあん、あはん、胸がいいの……あくぅ、掴まないでぇ……ひゃん、優しく触って、あん、溶けちゃう……ふぁああ、痛くて気持ちいいの!」

痛くなる程強く握られるのと、繊細で肌を愛でるように触られるのを交互に繰り返され、京の頭が何も考えられなくなっていく。頻繁に痛みと快感が変わるので、そのうちどちらが痛みで快感なのかもわからなくなってきた。

「京さん、そろそろ入れたいんだけど」
「うん、入れて。私のおまんこに唯さまのおちんちん入れて!」

 もう既に頭が快感で一杯の京は、普段なら絶対に発さないような卑猥な言葉を絶叫する。快楽に突き動かされるだけで、既に自分が何を言っているのかわから ないようだった。立ち上がると京はライダースーツをもどかしげに脱ぎ捨てる。そして愛液を一杯吸った緑のショーツが廊下へと丸まって落ちた。

「唯、いい? しちゃっていい?」
「京さん、脱がしてくれる?」
「うん、もちろん」

 唯はあえて自分ではなく、京に自らのズボンを脱がせて貰う。ベルトを外し、ズボンとトランクスの中からぎこちない手つきでペニスを取り出す。

「唯のおちんちん……はん、ん、あむっ」
「あ、くっ」

 京の紫の唇が唯のペニスをずずっと飲み込む。温かい感触に包まれ、唯はその快感に耐えねばならなかった。熱い唾液をたっぷりと舌でまぶし、京は唇から陰茎を抜く。唾液が糸を引き、透明な液体が唇と肉棒との間にカーブした線ができる。

「それじゃ、入れるわ……」
「うん、いいよ」

 腰を丁度ペニスの真上へと動かし、そのシャフトを京は持つ。自らの唾液でベトベトの怒張を膣口に当てる。

「はぁぁん、は、入ってくる……あぁん……」
「京さんの気持ちいいよ……可愛いよ」
「ひあ、唯ぃ……ふ、ふあ」

 唯の言葉に京の胸の奥が締め付けられる。ずぶずぶと沈むペニスを膣壁が強い力で握りこむ。それを掻き分け、唯は一気に奥へとシャフトを突き込む。

「ひゃぁぁぁぁ、唯、い、いきなり、やぁぁん」

 子宮口を突かれ、京は体全体を一気に串刺しにされたような刺激に貫かれる。収縮する膣壁を擦りながら、唯は京を何度も突き上げる。

「ふぁ、あぁあん、やっ、あん……は、激しいの、はぁん」

 唯の上に乗った京の腰がガクガクと揺れる。体は突かれるがまま上下に跳ね、京は喘いで衝撃に耐えるしかない。ペニスが出し入れされる度に眩暈がするような悦びを感じる。

「はふん、あん、やっ、ひゃん、ふぁん……ひはっ、お、おちんちんが……もっと、もっとしてぇ」

 唯は京の二つの巨大な胸を掴み、もみくちゃにする。体が上下に揺れるたびに敏感になっている乳房が形を変え、情欲が油を注がれたようにますます燃え上がる。

「ひゃん、あ、ああっ、ひう……おっぱいが……きゃん、あっ」

 唯の胸の中で柔らかな胸は自在に形を変え、手に吸い付く。それと同様に京の膣は柔らかさとざらざらした感触で、盛んに怒張を奉仕する。油断すると、あっという間に達してしまいそうだ。

「京さんって、エッチだよね」
「やぁぁ、そ、そんなことない。わ、私……あ、あう」
「普段の京さんも可愛いけど、エッチなときも凄い可愛い」
「きゃああん、可愛いって言わないで。お、おかしくなる……あ、ああ、え、エッチいい、ひぁぁあ。おちんちんいいのぉ、唯、好き、好きぃ」

 意地悪で愛情たっぷりの主の言葉が頭に響き、京のテンションがピークへと達する。既に理性が飛んでおり、本能のまま欲望を口にする。普段の冷徹さや凶暴さは、影も形も見当たらない。

「イク、イク……あ、は、はっ、来るの、来るの……ひっ」
「イって、京さん」
「ふはぁ、やはん、イクぅぅぅぅう」

 背を逸らし、京の快感が体で爆発する。それと同時に唯も抑えていた衝動を解き放った。

「あ、ああっ、唯、液、液が……精液頂戴! ふは、ひあん」

どくっ、びゅ、びゅくん、どぷどぷ、びゅるるん

ブルブルと細かく体が震え、波のように訪れる絶頂に京は耐える。注がれる精液が何とも気持ちいい。背後に崩れ落ちそうになる体を唯に胸を掴んで支えてもらって、脱力してエクスタシーを思う存分貪る。

「はぁぁぁ、気持ちいい……イっちゃった」

何度も何度も精を放ち、唯はようやく射精を終える。京のアソコは精液を搾り取るように動き、その感覚がとても良かった。

「ん……凄く良かった……」

 愛しげな目つきで京が少年の頬を撫でる。まだ繋がってるペニスが熱く、それに体が温められて体に熱が篭っている感じだ。

「僕もとっても良かった……京さんって、エッチのときは可愛くなっちゃいますよね」
「ば、バカ。私も女よ……そういうときもあるわよ」
「ふふっ、じゃあそういうことにしておくね」
「こいつ、ばかにしてるわね」

 京は渋い顔をするが、自然と怒りは感じなかった。唯を殺そうとしたことが何十年も前に感じる、それ程に今は彼を慕っている。

「でも、急に悪かったわね。んっ……」
「ああ、まだ抜かないで」

 腰を浮き上がらせようとする京を、唯は腕を引いて引き止める。

「折角だから、もうちょっと楽しもう」
「しかし……一度イッたからまだ敏感だから……」
「ゆっくりするから」

 唯の指が京の胸の谷間をつつっとなぞる。

「そこまで言うなら……」

 唯が言った通り、彼はもう腰をあまり動かさずにゆるゆるとペニスをグラインドさせるだけだ。

「はぁ……こういうのもいい……唯を感じられる……」

 ペニスの動きに合わせて京も体を軽くゆする。まだ絶頂の余韻を残っていながら、再びゆっくりと快感のバロメーターが上がっていく。急激にイクのではなく、緩い悦びが湧いてくるのも京は好きだった。

「唯……」
「なに、京さん?」
「なんでもない」
「ふふふ、京さん、好きだよ」
「ば、バカ。やめてよ」

 唯の甘い言葉に緩やかな快楽と温かさを感じる。スローペースの性交のときは、唯の包むような愛情が感じられるのだ。他の三人の美女もこういうのには弱いのだろうと京は頭の片隅で考える。

「はぁ……いい……ふぅ……ずっとこうしていたい気分……」

 まどろみに蕩けるような感覚。心地よい水準の快楽に京は夢見心地にゆっくりと腰を回す。膣内で肉棒が動いて壁を擦っていくのが何とも甘い刺激を伝える。

「ん……あぁ……高まってきた……またイキそう……」
「好きなときにイって下さい」
「唯も一緒にイこう……」

 ゆったりと少しづつ気分が高揚する。胸の奥に愛情とも言える温かな気分が溜まっていく。そして、ゆっくりとそれが弾けた。

「ふはぁ……はぁぁぁぁ……あぁ……いい」

 ゆったりとしたエクスタシーにため息が漏れる。麻薬にも似た悦楽に身も体も焦がしていく。そして、すぐに唯もまた緩やかな絶頂を感じる。

びゅくっ、びゅくっ、びゅるるる

 尿道を通過して精液が膣内へと放たれる。その温もりさえも、下腹部に熱さを与えてくれる。好きな男に中で出されて、何とも言えず京は満たされていた。そして、唯も幸せそうな京の姿に満足していた。
 二人はしばらく無言で繋がっていたが、やがて力を抜いて京が唯の胸に倒れ込む。

「はぁ……もう中毒になりそう」
「うーん、それはまずいかな?」
「私は別にいい……もうどうなってもいい。戦いも力も……私が変わってしまっても」

 こんな気持ちいいことを続けることができるのなら、暴れ回らなくても京は満足だ。戦いが至上の喜びだったのが、今は二番目以降に格下げされていた。

「唯、もう一回したい」
「えっと、僕は構いませんけど……このまま出来そうですし」
「それじゃ」

 京の上半身が再び起き上がったとき、玄関のロックが外れた音がした。

「ただいまもどりまし……た……」

 屋内に入った雛菊の動きが固まった。それと同様に京と唯の動きも固まった。

「ん、帰ってきたの?」
「京、何をしている!」

 飄々と答える京に雛菊の綺麗な眉が釣りあがった。

「見ればわかるでしょ。セックス」
「何だと……というか、何で玄関でしている」
「私が何処でしようが勝手でしょ」
「こ、こいつ……」

 完全に頭に血が昇った雛菊は体内から脇差を取り出し、低く構える。それと同時に、信じられないことに京は座った状態からジャンプして唯から離れた。小さく空中でくるりと回って反転し、裸のまま雛菊へと対峙する。精液が垂れて太ももを濡らすが、京は気にも留めない。

「そこへ直れ、叩き切ってくれるわ」
「やれるものならね……返り討ちにするわよ」

 雛菊が抜刀術の構えを見せ、京は自らの力である血を召還して体の周りに血で作られた刀を体から展開する。二人の間に爆発的に緊張が高まっていく。

「はぁ、何でこうなっちゃうんだろう」

 ズボンを履きなおして、唯が立ち上がる。すぐに彼は二人の間に立って、仲裁をし始めた。







「ふーん、そういうことね」

 芽衣の怜悧な顔の上で眉がピクピク揺れる。心なしか声も震えている。
 夕飯前に帰ってきた芽衣と由佳が唯から今日の午後のいきさつを聞き、芽衣がもらした感想がそれだった。見れば由佳も般若のような形相になっている。五人全員が集まっている、リビングの中があっという間に修羅場へと変わっていく。
 まず口火を切ったのは由佳だった。彼女は抑え切れないように京へと食いつく。

「京! 昼間っから唯様とセックスするなんてどういう了見よ」
「うるさい。何がそんなに気に食わないのよ」
「時間構わずエッチしてることよ」

 掴みかからんばかりの由佳の猛烈な抗議にも、京は何処吹く風だ。それがますます由佳の癇に障る。それを片手で静止して芽衣が冷静に問い詰める。

「京、あなた一人に抜け駆けされると困るっていうの」
「ヤキモチね」
「そりゃ、あなたはニートだからいいでしょうけど、私達には仕事があるのよ」
「に、ニートですって!」

 芽衣の言葉に京もカチンと来た。さっきまで冷静だったのが一転し、鬼の表情へと変わる。だが芽衣は怯まずに嘲るような目つきで京を見やる。

「ニートじゃない、仕事もしないで」
「仕事はあるわよ」
「じゃあ、何で昼からゴロゴロしてるのかしら」
「いつ私が休もうと、私の勝手でしょ……」

 エキサイトした二人が勢い良く立ち上がる。すぐさま雛菊と由佳も芽衣の後に続き、部屋中に殺気が噴き出す。

「今日こそは許さないわ」
「ギタンギタンにしてやる」
「決着をつける」
「全員で来なさい……殺すわ」

 四人の美女は一斉に構えを取る。それをのんびりとした声が引き止めた。

「えーと、ちょっといい。話し合う前に言ったよね、喧嘩したら駄目だって」
「唯様、止めないで下さい」
「殺さないと気が済まないわ」
「その性根、叩き直してくれる」
「雑魚が吠えないで」

 四人は完全に頭に血が上っており、唯の言うことを聞かない。だが、それも次の一言が全てを変えた。

「じゃあ、お仕置きでいいかな?」

 女達の殺意が蝋燭を吹き消すように一瞬で消え、四人の手足は突然金縛りにあったように固まって動かない。全員がかろうじて動く首を動かしゆっくりと唯を向く、恐怖にかられた顔で。そして確認する、唯が満面の笑みなのを。

「あ、あの、唯様?」
「僕、フィストファックっていうのやってみたかったんだよね。それも前と後ろ同時に」
「え、えっと」
「ああ、野菜プレイっていうのもいいかも。大根って気持ち良さそうだよね、それも桜島大根」
「ゆ、唯様……お、お待ちを」
「獣姦って気持ちいいらしいよ。この近くに馬とか飼ってる牧場とか養豚場ってどこだっけ?」
「唯、や、やめて」

 全員は目を合わせて一瞬で意思疎通を終えると、がばっと跪く。

「も、申し訳ありません」

 四人の声が完全に唱和する。それを見て、唯はようやく笑顔を消して疲れたような顔へと表情を戻す。

「もう、すぐに喧嘩するんだから。もっと仲良くしてよ」
「で、ですけど……」

 おずおずと言い訳しようとする芽衣を唯はキッと見る。

「ですけど?」
「い、いえ何でも」
「とりあえず、話し合いに戻って。僕が原因だってわかるけど、喧嘩しても仕方ないでしょ」

 唯のため息まじりの言葉に四人は急いでテーブル越しに顔をつき合わせる。そして今度こそ全員で相談を始めた。

「と、とりあえず喧嘩はやめましょう」
「賛成、意義なし」
「ところで、唯様は何処であんなプレイを知ったのだ?」
「知らない……知りたくも無い」
「そこ、何か言った?」
「いいえ、何でもありませんわ」

 唯の言葉に全員は愛想笑いを返す。もう誰も唯の怒りの笑顔は見たくなかった。お仕置きに何をされるかわかったものではない。
すぐに芽衣が真面目な顔で三人の代表として京の説得にかかる。

「とりあえず、昼間からエッチするのは止めて頂戴」
「だけど……」
「京の気持ちはわかるけど、私たちの気持ちもわかってよ。とりあえず、唯様が求めない限り夜と週末に限定しましょう」
「それで手を打つしかないようね」
「我慢できないときもあるでしょうから、もし昼したら夜は自重するってことで」

 相談を終えて、全員が唯に振り返る。

「相談終わった?」
「はい、綺麗にまとまりました」
「良かったー。やっぱり皆仲良い方が僕も嬉しいよ」

 今度は嬉しそうに笑う唯に全員ほっと息をつく。

「お腹空いたね、由佳さん済まないけど……」
「うん、すぐに用意するね」

 由佳が急いでキッチンへと走る。
その日の夕飯のテーブルはとても和やかだったという。そこにはさっきまでのいがみ合いを微塵も感じさせるものはなかった。






「おはようー」

 翌朝の教室。いつも通りに扉を開けた唯に全員の視線が突き刺さった。

「えっと、な、なに?」

 昨晩家で行われた女性会議ですっかり失念していたが、京との会話で注目されていたのだった。既に噂は校舎を駆け巡り、早めに教室に来ていた者たちは今や遅しと唯を待ち構えていた。唯は恐る恐る自分の席へと歩いていく。後ろめたいことがあるから、余計に緊張する。
 全員が目配せすると、クラスの代表としてか可奈とこのえが動き出した。かばんを開け、机に教科書とノートを入れている唯に近づいてくる。

「おはよう、麻生君」
「おはよう田中さんに新田さん」

 にこにこと笑う可奈に唯はぎこちない笑顔を返す。クラスは諜報員としては最もやっかいな相手を送り込んできた。手は早いが頭の回転が良く、コミュニケーション能力の高い可奈。おっとりとしているが分析力と洞察力のある、このえ。
これが竜太と慎吾だったら唯はのらりくらりと追及をかわす自信があったのだが、この二人では相手が悪い。クラスの全員がそれほど本気ということなのだろう。

「麻生君、聞きたいことがあるんだけどな」
「えっと、何かな? 答えられるといいんだけど」
「昨日のあのバイクの人についてなんだけど」
「ああ、京さんのことね」

 可奈の軽いジャブに慎重に答えを返す。

「そうそう、九竜京さん……紹介してくれたわよね」
「うんうん」
「麻生君って何でファーストネームで呼んでるの?」
「えっと……」

 唯の思考が一瞬固まる。ボクシングで言うと、ジャブのワンツーから思いっきりストレートを顔面に食らったような感じだ。だが慌てて意識を集中して、言い訳を頭の中で構築していく。

「そ、その……京さんがそう呼べって。堅苦しいのは嫌いだって言うし」
「ふーん、そうなんだ……」
「仲良さそうだもんね……京さんも唯って呼んでたし」

 笑顔のこのえの言葉に唯はごまかすように笑う。このえから言葉のボディブローが突然飛んできたようだ。

「それで、昨日は何の用事だったの?」
「いや、その……近くを走っていたから、ついでに寄っただけみたい」

 唯と早くセックスしたいがため彼女が来たなどとは口が裂けても言えない。

「ふーん……他のクラスの子に聞いたんだけど、一時間以上あそこで待っていたらしいんだけど」
「そ、そうなんだ。それは悪いことしたかも」

 可奈の言葉に唯は徐々にリング際に追い詰められていく気がする。この二人は予想以上に手ごわい。

「それで本当のところ、何で九竜さんはここに来たの?」
「いや、本当に家に送ってもらっただけだよ」
「まっすぐ家に? 一緒に何処かに行ったんじゃないの?」
「いやいや、家に帰っただけだよ」

 可奈の攻勢を唯は必死にガードする。しかし、そんな懸命な防衛も虚しく、可奈の追及は止まらない。

「ふーん、それじゃ何も無かったの」
「うん、当たり前だよ」
「その後は九竜さんも麻生君も家に居たの? 何もせずに?」
「うん、家でボーっとしてた」
「それなら、九竜さんと一緒に私たちに付き合ってくれても良かったのに……何で帰っちゃったの?」

 このえの突っ込みに再び唯が固まる。ガードをよけてフックがいきなり顔面に直撃したような感じだ。

「いや、京さんが迎えに来たから何か用事があったと思って。でも単なる気まぐれみたい」
「本当に? ところで京さんって麻生君とはどんな関係なの?」
「いや、だから単なる同居人だよ」
「ふーん、一つ屋根の下に……ねえ」

 可奈が興味なさそうに、それでいて必殺の一撃の言葉を放つ。その目はしてやったりと笑っている。唯の頭の片隅で、「おーっと麻生選手、コーナーに追い詰められました」などという声が聞こえる。

「いや、僕を引き取ってくれたの社長さんって言ったでしょ。凄い広いマンションだから、一緒に暮らしているって言っても生活は別みたいな感じだし。僕以外にも何人も住んでるわけだし」
「そっかー……そうなんだ」

 可奈ががっかりしたような声を出す。それに唯はほっと息を吐く。

「でも、一時間以上も待ってるなんて変じゃないかしら」

 このえの冷静な突っ込みに可奈の瞳が再びキラリと光る。コーナーから抜け出したと思ったら、思いっきりアッパーが飛んできた。

「やっぱりおかしいじゃない。付き合ってるんじゃないの?」
「違う違う」
「だって、学校にやって来るくらいだし」

 ここぞとばかりに可奈が畳み掛ける。コーナー隅でラッシュをかけられている感じだ。

「とにかくただの同居人だって。年だって離れてるよ」
「でも、平日に迎えに来てるし。年の差なんて……」
「何でそんなに疑うの?」
「だってねぇ……仕事はどうしてるの?」
「えっ?」

 可奈の疑問に唯はきょとんとする。ニートではないことは彼女の口から零れたが、

「そういえば、京さんって仕事何やってるんだろう?」






「くしゅん……おかしいわ、別に風邪は引いてないはずけど」

 首を傾げて京が鼻を片手で擦る。そして彼女の反対の手は男のシャツを締め上げている。体重七十キロはありそうな強面の男なのに、さして力を入れているようには見えない。苦しいのか、男の顔は真っ赤だ。
 そこはマンションの一室、事務机が三つほど倒れており、辺りは誰かが暴れたように物が散乱していた。三人ほど男が床にのびており、一人は机の下敷きになってピクリとも動かない。
 片手で男を締め上げながら、京は尋問を再開する。

「それで、お前達のバックは何処の組?」
「輝竜会だ! そんなこと知ってどうするんだよ」
「別に……乗り込むだけよ」
「しょ、正気かよ」

 男は信じられないような顔をする。女一人でいきなりやってきて、男達を軽くボコボコにしたということ自体で既に恐ろしいのに、組事務所にも乗り込む気でいる。

「あ、あんた目的は何だ」
「闇金で儲けたんでしょ? 悪いけどそれを頂くわよ」
「く、狂っていやがる」
「ふ、そうよ……私は狂っている」

 化け物を見るような目で自分を見ている男に京はさも嬉しそうに笑う。片手で男をぶん投げ、背後の壁へと叩きつけた。

「さてと、金庫はと……」

 裏の世界で九竜京の名は結構知られている。狂竜の京、組潰しの京……彼女はKという隠語をつけられ、絶対に関わり合いになるなと彼女を知る者は言うのだった。






「じゃあ、彼女の仕事も知らないの?」
「うん。知り合いになったの最近だし……」
「なーんだ。怪しかったのになー」

 唯の言葉に偽りは無いと見て、可奈はがっかりと肩を落とす。京と唯が付き合っているという線は消えたようだった。昨日、このえと共に可奈は九竜京と唯は ラブラブカップル説を唱えていただけに、落胆は隠せない。その推測はあながち間違っておらず、本当のことを知ったら二人は驚愕するだろうが……。

「じゃあ、今度俺達に紹介して……むぐお」

 勢い良く突撃してきた竜太が倒れて後頭部を床にうちつける。かなり鈍い音が響いた。可奈が投げた教科書が顔に突き刺さった衝動で、竜太はすっ転んだのだ。

「あの、それ……僕の教科書」
「ごめんね、麻生君。竜太の顔にゴキブリが……」

 もちろんゴキブリなどは何処にも居ない。

「きょ、教科書で潰すのはやめてよね」
「ごめんごめん。そうかー、てっきり彼女だと思ったんだけどなー」
「じゃあ、麻生君は九竜さんのことどう思ってるの?」

カーン!

 このえの言葉で第二ラウンドが開始した。思わぬことに唯は慌てて心の中でファイティングポーズを取る。すぐさま臨戦態勢に戻り、可奈がすかさず突っ込んできた。

「凄い綺麗な人じゃない。そりゃ、ちょっときつそうな感じはあるけど」
「こう言ってはなんだけど……その胸も凄い大きいですし」
「うんうん、こう……ばいーんって感じよね。それなのにウェストが引き締まって、男の子ならクラクラって感じ?」

 このえの援護射撃を受けながら、可奈が攻勢をかけてくる。

「いや、年も離れてるし……」
「相手が気にしないかもしれないじゃない。麻生君、童顔だけど素材はいいんだし」
「そうそう、それに今から上手く誘惑したら、数年後にはわかりませんよ」

 にこやかな顔をしながら、このえはとんでもないことを言う。普段は大人しいのにまったく侮れない。唯の脳内にある怖い友人ランキングと頭脳派友人ランキングで、このえの順位がポーンと跳ね上がった。

「そりゃ、美人だし、綺麗だし……でも僕には不釣合いだよ」
「ほほう、美人で綺麗ですって……奥さま聞きました?」
「ええ、もうベタ惚れじゃないですか?」

 可奈とこのえが井戸端会議をするオバサンの真似をする。だが唯の目にはどちらかというと悪代官と越後屋に見える。

「ほらほら、麻生君も好きみたいじゃない」
「そりゃ、外見はいいと思うけど……そんなの皆だってそう思うでしょ?」
「うーん、確かに。他には彼女に対する感想はどうですか、麻生唯君? 彼女の性格とか」

 悪代官の次は芸能リポーターか、と唯は呆れる。こんなにノリノリの可奈を見るのは久しぶりだ。

「うーん、京さんって怖い性格してるからなあ」
「まあ、確かにそんな雰囲気はあるわよね。でも、そういうのだって恋人になれば……」
「それに凶暴なとこもあるし……」

 ちなみにその頃、京はヤミ金業者の手提げ金庫を手刀で叩き割っていた。本当に金を巻き上げる気らしい。

「きょ、凶暴? 凶暴ってどういうことよ……」
「う、うーん、本人のために内緒ということで」
「他は? きついだけじゃないでしょ。麻生君を迎えに来てくれたし」
「そうだね……基本的にはかわいいかな?」
「なにぃぃぃぃい!?」

 ちょっと照れたように言う唯に、クラス全体が生徒の叫び声で埋まった。美貌のきつそうな美女の外見に綺麗という言葉は至極似合うが、かわいいと呼べる要素は何も見当たらない。これは唯が彼女のかわいいという一面を知っているに違いなかった。

「麻生、それはどういうことだ?」
「かわいいってどんなとこが?」
「彼女とどんな付き合いがあるんだおまえは?」
「麻生、俺にも彼女を紹介してくれ!」
「あんたは黙っていなさい」

 唯はクラスメートに囲まれ、質問攻めにあう。

「ちょ、ちょっと……もう勘弁してよー!」

 唯の絶叫がクラスに響いた。






「唯様、どうしたのかしら?」

 夕方、リビングでテーブルに突っ伏している唯を芽衣は心配そうに見やる。先に帰宅していた雛菊がそっと芽衣に近寄り、囁く。

「何か学校で色々と大変なことがあったらしい」
「あら、それはおかわいそうに……学生のときはストレスも溜まるでしょうし」

 芽衣は今日は奉仕して疲れを取って差し上げなければと決意を固める。

「つ、疲れた……もう勘弁してー」

 唯はぐったりと息を吐いた。
























   































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