無料エロ同人

無料エロ同人


■フラバル


「だめよ……いけない」

暗い宿屋の部屋の中、頬に添えられた手をそっと掴むと、フランは彼の手を静かに頬から遠ざけた。

「なぜ?いつもそうやって逃げようとする」

ヘーゼルグリーンの瞳が顔を覗き込む。
心を見透かされそうな視線から、フランは目をそらした。
胸が早鐘のように鳴っている。血が体中を駆け巡って、頬が熱い。

壁際に追い詰められ、自分をその影で包み込むように寄せられた体からは汗と機械油の匂いがする。
掴んだ手を放した。握り締めていては、この速い鼓動に気付かれてしまいそうで……。

「俺が嫌いかい?」
「そんなわけないでしょう」

彼との付き合いはもう長い。
と、いってもそれはヒュムの感覚であってヴィエラにとってはそうでもない。

「出会ってからもう十年だ」
「まだ十年よ」

この十年、ずっと共に過ごしてきたが、体を重ね合わせた事は一度も無い。
今まで出会った誰よりも信頼しているが、愛し合うには荷が重い。

いつものように振り払おう。明日も一緒にいられるように。

「おいたはダメよ……。バルフレア」



初めて出会った時、彼はまだ十代だった。
血気にはやり、無鉄砲でワガママだった子供は十年で眩しいほどの成長を遂げた。
若い彼の、纏わりつこうとする腕を振り解くのは容易かった。
子ども扱いしてやれば勝手に不貞腐れ、ヒュムの女を抱きに行った。

それでいいと思っていた。
短期間で目覚ましく成長する様が面白く、暫く見ていたい気持ちにさせて今に至る。
長い時間を持て余す人生の、ほんの退屈凌ぎのはずだった。

彼の一生は短い。
共に老いる事の出来ない二人が愛し合えば、互いの心に爪を立て、傷つけあわずにはいられまい。
ヒュムは、ヒュムと愛し合うべきだ。


だが、彼はもうフランの言葉にいちいち不貞腐れるような子供ではなくなっていた。


振り払ったはずの手が腰にまわされ、フランの体は逞しい胸に引き寄せられた。
何か言いたげに開かれた唇は、タバコの香りが微かに残る唇で塞がれた。
歯列をこじ開けるように入ってきた舌が、フランの舌を探り当て、逃がさぬ事を許さぬ力強さで吸い上げた。
バルフレアの唇が何度もねじるように貪りつき、唾液でぬめる唇の擦れあうその感触がフランの瞳を潤ませた。
目を閉じれば、舌の愛撫に吸い込まれるように翻弄されてしまいそうなのが恐ろしくて、随分苦労して僅かに目を開いていた。

閉じられていたバルフレアの瞼が薄く開き、様子を伺うような彼の瞳と目が合った。
できるだけ、冷静な顔をしているつもりだった。だが彼の瞳は自信に満ちて、体は更に強く抱しめられる。
拭いきれない情欲の火を、認められてしまったのだろうか?

背中に回った彼の手が、器用にスーツの止め具を外し引き下げた。
豊満な乳房があらわになる。目を射抜くような肌の白さはまるで磨き上げられた象牙のようだ。
だがその手触りは、片手で揉みしだくと弾力をもって柔らかく、男の理性を霧のように霞ませる。
激しい鼓動に打ち震え、荒い息に上下するボリュームのある半球にバルフレアの唇が吸い寄せられるように口付けた。

「ああ……」

腰をしっかと抱しめられ、背中が弓なりに反る。
白い喉元が打ち震え、自らの胸に吸い付くその頭をかき抱いた。
柔らかい髪の毛が指に心地よく、乳首を弄ぶ舌の感触に唇が震えた。

「だめよ……バルフレア……やめてちょうだい……」

吐息と共に絶え絶えに吐き出される拒絶の言葉は、だが彼を益々昂ぶらせるだけだった。
バルフレアはフランの両膝の下に素早く腕を回すと、その体を二の腕で軽々と抱え上げた。
そして窓際に置かれたベッドまで彼女を運び、やや乱暴に柔らかい寝床の上に仰向けになるよう放り投げる。
抵抗する暇を与えずに、素早くフランの体の上にのしかかった。
二人分の体重を受けて、ベッドのスプリングが悲鳴をあげる。

「あ!……あぁ……お願い、バルフレア……やめて……ん……」

うるさい口だと言わんばかりに、口付けで唇を塞がれる。
絡み合う舌から唾液が流れ込み口の端から伝って落ちた。
両足の間にバルフレアの腰が割って入り、布地を通してもハッキリとわかる昂ぶりがフランの腰に押し付けられた。
痛いほど胸を両手で揉みしだかれて、観念したのかフランの体から急速に強張りが取れていった。


抵抗をやめた体から、服が全て剥ぎ取られた。
窓から差し込む月明かりに照らされたシーツの上にフランの長い髪が乱れて広がる。
眩しそうな目でそれを眺めながら、バルフレアは髪の毛を一束、手で握って掬い上げると、そっとそれに口付けた。
幸せそうな顔で口付けた髪を見つめるその目が、不意に曇った。
バルフレアの体の下で力無く仰向けに横たわり、窓の外を見つめるフランの赤い瞳から、涙が溢れている。

「どうして泣くんだ」
「今夜でお別れだからよ……」
「なぜ?」
「こんな事になってしまえば、あなたを愛さずにはいられないわ……」
「それでいい、俺も愛している」

湧き上がる嗚咽に唇が震える。
告白は胸一杯に幸せを染み渡らせるも、すぐに黒い影がそれを塗りつぶしてしまう。

「あなたを縛る鎖になんてなりたくない」
「そうじゃない、俺がお前の鎖になるんだ」

想いに弾かれるように、フランの両手がバルフレアの頬を包む。
フランを見つめる彼の瞳は、確固とした意思の光を宿している。

「酷い男……あなたが死んだ後、私にどうしろと?」
「お前の寿命が尽きるまで、俺との想い出だけで幸せでいられるほど愛してみせる」

暇つぶしに見つめ続けた少年は、何時の間にか心を捕らえて放さぬ男に変化していた……。


「あぁ……!あ、はぁ……あ、あ……!」

月明かりに浮かび上がる白い肢体が身をよじった。
下腹部に舌を差し込み、奥へ奥へと進もうとする頭を愛しげに手で包み、与えられる愉悦に思うまま声を上げた。
淵を丁寧になぞる舌が膨れ上がった突起を吸い上げ、溢れるほど濡れ光った秘部を男にしては細い指先が優しく出入りする。
舌と指の奉仕は飽く事無く続けられ、フランの体が絶頂にうち震えるとようやくその動きを止めた。

大きく足を開かされ、昂ぶった彼自身が入ってくる。
体の中心を貫く大きな波に、揺られながら喘ぎを放った。
少しでも長くこうしていたいと、ゆらゆらと腰を緩く揺らしながら彼が言う。

「ん……ぁ……はっ、あ・……バル……フレアぁ……」
「……う……ちくしょ……」

名前を呼ばれて激しく昂ぶったのか、悔しげに舌打ちするとバルフレアの腰の動きが早まった。
突き上げられる快楽に何度も何度も気を失いかけ、やがてフランの胎内にほとばしるように熱が吐き出されると、
二人はそのまま絡まりあいつつ眠りに落ちた……。





バルフレアが目覚めた時、光の溢れる室内にフランの姿は既になかった。
彼はそこに六日とどまり、フランを待った。


七日目の朝、痛ましげな宿屋の主人の視線に見送られ、彼は一人でその地を旅立っていった。




(1-689〜693)














画像掲示板レンタルアダルト無料ホームページ