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■バルフレア×フラン


その事に気付いたのは夕食の支度の最中、ナイフを取りにテントへ向かった時だ。


(誰か居るのか…)
いつもは空いているはずの入り口が閉じている「入るぞ」そう声を掛けようと手を伸ばしたその時だった。

「どうすれば良いと言うのだ!!」
荒げた声にバルフレアは入るタイミングを失った。
隙間から様子を伺うと、見えたのはガッチリとした後ろ姿との奥には長い耳。
(バッシュとフランとは珍しいな…)
別に覗き見するつもりではなかった。まして立ち聞きする気も……
そう思った瞬間、ドサッと二人が抱き合うように倒れていくのが見えた。
とっさにバルフレアは目を背けた。見てはいけない気がしたからだ。

以前も似たような状況に出くわした経験があった。


俺は砂海亭で泥酔してフランが居たのも忘れて女を口説いた事がある。
あんたの連れが男と出てったと聞かされて目を覚まし、街中探し回って連れ帰ったが「今夜は暇になりそうだから」と皮肉を言われたもんだ。
いつだって原因を作るのは俺の方。だから嫌な気分になる事はない。でもそれとこれは違う。

「私なら構わないわ」
フランは今そう言ったのか。
その言葉に鼓動が速まる……昔聞いた覚えのある台詞だ。
その事を思い起こされれば、中で何が起きようとしているのか容易に想像出来る。
それなのに踏み込む勇気が出来ない。
いつもそう。重要な事から目を背けてしまう、そうやって親父や過去からも…
──フ…ゥ
深く息を吐き出すとバルフレアはその場から立ち去った。


それからどれくらい経ったのか、日は落ち薄っらと月が浮かび上がっていた。
──ガサッ
テントからバッシュが出きたのが目に入った。続けてフランが歩いてくる。

「終わったのか」
俺は目を合せられなかった。
「………止めてくれないのね」
その声に驚きや動揺は感じられない。
ヴィエラの能力を考えれば俺の気配くらいを感じ取っていたのだろう。

「お前こそ気付いてたんだろ」
暫く間無言が続く。
「……今夜はいつもより燃えるでしょ」
ようやく発したそれは彼女なりの冗談と不甲斐ない俺に対する当てつけだ。
「フッなるほど、お前には敵わないな」
…当たり障りなく流してしまったな。
バルフレアの反応を見るとフランは何も言わずに離れ行った。


皆が寝静まった後もバルフレアは眠れずに焚き火の前に座っていた。
この時期の月の位置からするとちょうど日付が変わった頃だろうか。

──ザッザッ ザッザッ
近付いてくる足音は近くまで来るとピタリと止んだ。
「…」
「…」
長い沈黙を破ったのはフランだった。
「責めないの 私を」
「…済んだ事だ」
「嘘 許していないわ」
「…………いや…自分を だな」
──サッ
気まずい空気に耐えきれずバルフレアが立ち上がる。
歩き出そうとした瞬間、伸びてきた長い手に左腕を掴まれた。
「待って」
そっと身を寄せて頬をのせる。
「…………………ごめんなさい」
自分に非がある事はフラン自身が一番わかっている、そして怒ってくれた方がどんなに楽か。

でもそれが出来ないのは彼の優しさと弱さ。


バルフレアは振り返った。向き合って見える彼女はいつもと変わらない。
ただ違うのは月明かりを映した瞳が憂いに満ちている事だろうか。
こんな顔を見られるのは自分だけだなんじゃないか、そう思うと少しばかり優越感に浸ってしまう。

「簡単に許してもらえると思うなよ」
「わかっているわ」
その返事に応えるようにフランを抱き寄せるとバルフレアは激しいキスをした。
時折フランが息苦しそうに声を漏らしても止めずに何度も繰り返す。
舌が絡み合い唾液が行き来する度クチュリという音がしていた。

────カツッ
「チッ こいつが邪魔だな」
いつもと違って今日は自ら仮面を外す、さらりと白銀の髪が風になびいた。
「これで良いかしら」
「ついでに俺のも外してくれるか」
バルフレアは左手を差し出した。フランはその中指をくわえると、歯と唇で指輪を外す。
同じ要領で薬指や手首も外していくと溜め息混じりに呟く。
「多すぎね 少し減らしたら」
「その口元を見るのが好きなんでね」
そうに言うと二人は互いに服を脱がせながら、フランが仰向けになった。
バルフレアの唇が頬へ顎へ移り首筋に赤い痕を着けながら胸へと向かっていく。


── チュ…チュィ…
片手で乳房を揉み上げ、舌で乳首を転がす。膨らみを帯て徐々にとがっていく。
舌先でつつく快感に腰をくねらせてフランがあえいでいる。
「…ぅ……んぁ…」
もう一方の手は軽く爪を立てながら下へ向かう。
茂みを先にたどり着くとバルフレアの指にはヌルヌルとした液体が付いた。
「なんだ 待ちきれないのか」
「…ひど…ぃわ」
恥ずかしがるの様子が可愛らしい。
フランの表情を見ながら指先で谷間の突起をいじるとクリクリとした感触とヌチャリと糸引く音が興奮させた。
奥から流れだす液体も増えきたようだ。
バルフレアは片足を持ち上げ、ヌルリと中指を挿し込んだ。
──……ヌチュ
「!んっ…ぅ…」
思わず力が入ってしまう、しかし直ぐに掻き回される指動きで快感が増して行く。
更に人指し指も膣に入るとフランは声を漏らさずにはいられなくなった。
「…ぁん…く…ぅぁ」
───ヌチュッ
「チッ 俺の方が待てないな」
指を抜くとバルフレアは顔を歪めた、ソレが硬く大きく膨らんでいる。
先から流れだした滴がフランの腹部にポタッと落ちた。


するとフランはバルフレアの背中に両手を回した「いいわよ」という合図だ。
それを確認するとゆっくりと反り返ったモノを当てがった。しかし
「…」
一瞬バッシュとの光景が脳裏をよぎる。
「…気に…なる…?」
「そんなんじゃない」
「…あなた…と」
「言わなくていい けど 忘れんなよ お前に触れていいのは俺だけさ」
──グィィィッ!
それと同時に一気に突き上げた。
最深部まで貫いた勢いにフランは若干顔をしかめたが、それでもバルフレアを強く抱き締めている。
奥で感じる度に全身がビクッビクッ反応してしまうようだ。
── チュプチュプッ
「…んっ…ぁんっ……」
微かな吐息と高揚した頬はより色気を増していき、それを見ていたバルフレアの腰の動きは一際早くなった。
── ジュプッ!ジュプッチュプッ!!
「…んっん…ねっ…ぇ」
「…っ俺も…!……」
「…ぁあ…!!」
「ん!…イク ぜっ!!」

──ドクッ!ドピュッ!!…ピュ………
フランの膣が締め付けられていくのが分かるとバルフレアたまらずに全てを放出した。
ゆっくり膣から抜くと白く濁った液体がトロリと溢れ出していた。



────『私なら構わないわ』
彼女がバルフレアの全てを受け入れた日に言った台詞。
それはヴィエラとして生きるのを捨てたに等しい。それでも迷わずバルフレアを選んだ。
もし出会えていなければ今もあの国や親父に囲まれて生温く過ごしていたんだろう─────


「この先もずっと 俺の側に居ろよ」
「…………今日は強気ね」
「学習したからな」
目を合わせるとフランは微笑んだ。
そしてバルフレアも…



──ピョピョ…
「朝だぞ!起きろョ」
「ぅう…」
その声に片目を開けると眩しい日差しが飛込んできた。
「おはようござます」
「はぁーこんなとこで寝てたのかョ」
(ったく 若いヤツは朝からうるせ……ぃっい゛!!)
起きようと体を持ち上げた瞬間、腰に痛みが走った。
(…ちっ 昨夜はあのま…ま……………あっ!!)

「おい!! フランッッ!!!」

「ここにいるわ」

焦るバルフレアとは対照的にいつも通りのフランがそこにいた。
よくよく見るとちゃんと服も着てれば皆も起きている。

「減らすべきね アクセサリー」
「…」
(……………やっぱり… 敵わねぇ)
「なら お前にやるよ」
「…趣味じゃないわ」



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