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■バル×フラン


まさか俺がこんな旅に出ることになるとはな…。

メラメラと燃える焚き火を囲み
ヴァンがおどけたことをいって、パンネロとアーシェがクスクスと笑っている。

自然と視線がアーシェへと向かう
―全てを失った少女
強い女。

俺はそういう女が嫌いじゃない。

「アーシェが気になる?」
「!?」
「フラン…おどかすな」
「私の気配に気づかないなんて、あなたらしくないわね」
「そうだな…気を付ける」

大きな石に座る俺の横に、同じようにフランが腰掛ける。

「彼女は強いわ」
「ああ…」
「あなたは優しすぎるから」
「なんのことだか」
フランには嘘とか隠し事とか一切通用しない
顔のちょっとした表情とかですべて見抜かれる
「二枚目は大変ね」

「かなわねーなお前には」


アーシェの好意には気づいてるつもりだ
でも、今までの普通の女みたいに扱いたくない
俺はもうあの子のことを仲間だと認めてる
ヴァン達のことも、きっともう認めちまってるんだろうな
そういうところが、フランからすると甘い部分なんだろう。
まぁでも、それでも俺についてきてくれるフランはもっと甘いやつだと思う。

自分で言うのもなんだが
今まで女に不自由したことなんかないし、女好きなのも否定しない。
女を落とすことなんて、シュトラールの運転より簡単だった。

でもフランだけは違った。
俺よりもあいつのほうが大人だったってことだ。
俺は自分のバカさに気づかされた。
フランのような人がいることで、世界の広さを知った。
だからこいつに認められる男になりたいってそう思ったんだ。
こんな強い女に認められる強い男に。
俺ってマゾだったのかもな。
だからかな、芯が強くて、いつも強気なアーシェを
ほっとけなかった。
でも本当はそれだけじゃない…俺がここにいる理由。

「そろそろ聞かせてくれてもいいんじゃない?」
「……」
何のことを言ってるのかは大体わかる
「私には聞く権利があると思うわ」

「あんなやつ、もう親父だなんて思ってねーが
 あいつを止めれるのは俺しかいねーだろ…」


「わかってて、ついてきたんだろ?」
「わかってても、わかっていなくても、私はここにいたと思うわ」
「何でだ?」
「あなたがここにいるから」

やっぱかなわねーわ、この女には。

「なぁフラン」
俺のほうを向いたフランの顎を軽く掴む。
「あの子に見られるわよ?」
「かまわねーよ」

俺は少し背伸びするようにフランの唇に軽くキスをした。

「あ!」って大きな声を出しそうになったヴァンの口をパンネロが必死に押さえつけていた。
「バカ!ヴァン!」

「子供には刺激が強すぎたか」

その様子を見て、アーシェもこちらを振り向く。
しかしすぐに目を逸らした。
俺は見てみぬ振りをし、フランを誘いテントの中へと入った。

「よかったの?」
「何が?」
「酷い人」
「傷は浅いほうがいいだろう」


そんな会話をしながら、フランを寝袋を重ねた上に寝かせた。

「彼女―」
といいかけたフランの唇を自分のそれで塞ぐ。

「今日はめずらしくおしゃべりだな」
フランは決して言葉には出さないが
俺が女の匂いをさせて帰ってくると
最低3日は機嫌が悪いんだ。

引き締まった腰に手をそっと添えると
フランは答えるように俺の腰に手を回す。

「ずいぶんと手馴れたわね」
「誰かさんのお陰でな」
「あら、誰かしら」
「すごいいい女だったよ」
「過去形?」
「今はもっといい女だ」
「そう、ありがとう」

そして2度目のキス。
その時フランの頭に着いた武具が頬に当たり
心臓をドキリとさせる。
「邪魔だな、はずすぞ」
フランの耳を傷つけないように、ゆっくりと外していく。
「素顔見たの結構久々だな」
「そうね、ずっとこんな暇なかったものね」
「今も暇ってわけじゃないんだが」


「もうさすがに我慢できなくてな」
「お前のせいだぞ」
「そう、それじゃあ仕方がないわね」
子供を諭すように言うフラン。
いつも悔しいくらいに、大人で余裕があるフラン。
だからこそ、むちゃくちゃにしたくなる。
狂うほど、情熱的に。
いつもの冷静な俺が居なくなる。
フランの前では、俺はいつだって子供なんだ。

最年少ジャッジ。
天才。
さすがシドの息子。

そんなもの糞くらえだ。
でもそこから逃げられなかった俺は、もっと糞だ。

フラン。俺はおまえに出会わなければ
まだあの闇の中にいたんだって思うとぞっとする。


俺はただの男だ、ただのバルフレアっていう一人の意思を持った人間なんだ。
もう誰の言いなりにだってならない。
自分の生きたいように生きる。
その勇気をくれたのは、フランだった。
あのときのフランとの出会いに、俺は初めて神に感謝したんだ。

「どうしたの」
「ちょっと思いだしてただけだ」
「何を?」
「お前にあった時のこと」

「たしかヴァンくらいだったかしら」
「ああ…」
「かわいかったわね、あのときのバルフレア」
「やめてくれ」
「ふふ、どうして?」
「からかうなよ」

「どうせ、今の俺だって、フランから見れば
 あの時とかわっていないんだろ?」
「そうね、まだまだね」
「だと、思ったよ。」

俺はフランの腰に当てた手をゆっくりとお腹に伝わせ
そのままゆっくりと下へと持って行く。
「んっ…」
微かにフランの口から甘い声が漏れた。

自分が発した声に顔を赤らめるフランがとても愛おしい。
いつも気丈な分、こういう一面を俺だけが見れるんだって言う優越感。
それが俺の中の何かに火をつける。


フランの顔いっぱいにキスの雨を降らす。
ピンと立つ耳にも優しくキスをする。
耳はすごい感じやすいらしく、初めは触らせてもくれなかった。
初めて触らせてくれたとき、受けれてくれたんだって
本当に嬉しかった。

フランは声が出ないように必死に堪えていた。
「声出せよ」
「何いっ―てるの、ヴァン達が…あっ…」
「聞かせてやれよ」
「ばか」

下に持っていった手を更に奥へと侵入させる
じわじわと熱いものが溢れ出し
まるで、俺を誘っているかのように感じた。

片足を持ち上げ、ゆっくりと、そこへ自分のそれをあてがうと
何の抵抗もなく、そこに入ることが当たり前のように
奥へと入っていった。
「んんっ…」
フランの顔が微かに歪む。

その顔を見ると更にもっともっと
歪ませてやりたい衝動にかられ
激しく、奥に突き立てる。

ついに我慢しきれなくなった大きな声が
フランの口から溢れ出す。
その声で俺もまた、フランの中に全てを吐き出していた。


「はぁ…はぁ…」
俺はフランの上に覆いかぶさるように、雪崩れ込む。
「フラン、愛してる」
普段はこんなこと絶対言わないが
なんでか今日は、どうしても言いたかったんだ。
「どうしたの?」
「どうもしてねーよ」

「死ぬかもしれない…なんて思ってる?」
「……」
思ってないって言ったら嘘になる
「主人公は死なないんでしょ?」

「…ああ。死なないよ」
「私を残して死んだら、許さないから」

きっと俺が寿命で死んだとしても、フランはきっと人生の半分くらいだ。
それ以前にこうやって一緒に居られるのもあと20年が限界だろう。
人間の俺にとっては十分すぎる時間だ。
でもフランにとっては、240年という長い年月の中のたった一握りの時間。
きっと、人間と交わることで、
必要以上に、別れを経験しているはずだし、これからもするはずだ
おれは、そんな決断をしたフランを本当の意味で強い女だって思うんだ。
俺にはきっと耐えられないから。

「ああ、わかってる」

だからバルフレアという一人の男が居た証を
こいつの記憶と心に刻めるのなら
それは、空賊として名前を残すことよりも
とても幸せなことだって思うんだ。

「死ぬときはお前も連れて行くよ」
「ええ、言われなくても付いて行くわ」

きっとこの”嘘”もフランには見抜かれているんだろう。


END
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